感想一覧
▽感想を書く拝読いたしました。率直な感想をお伝えします。
語りの視点は三人称神視点でしょうか。
冒頭あたりは全体を俯瞰しつつ、それから角善に寄り、最後はドラゴンに寄るという点が特徴だと思います。
この視点の採用と実験的な文体の相性が良いと感じました。
作者様の文体の特徴は、定型句・慣用表現に頼るのではなく、自分の感性で言葉を編んでいるところだと思います。
個人的には創作とは本来そういうものだと考えているので、非常に好感が持てました。
構成面では情報のズラシが巧みで、読者の興味を惹きつける技術が光っていますね。
――そして、その前に立つ一人の男。
四十代の痩せたサラリーマン。第二ボタンまで外した薄青色のワイシャツに灰色のスラックス。頭に杉綾のネクタイを巻いている。
――生前の姿のままで男は立っていた。
男は確かに死んだ。
――朧分身。角善の家系はは武士というよりは乱波だった。(誤字がありました)
と角善の情報が読むにつれて深くなっていきます。
また彼と同様に、
――「この世界は生と死の狭間の一瞬を迎えた真の武士のみが訪れる、永遠の世界である故に」
と、ドラゴンの会話から、場所も具体的になっていきます。
作者様は情報管理が上手な方とお見受けします。
自主企画で読んでいるのも忘れて、一読者と没頭し始めたところをお伝えするようにしているのですが、本作ではこのドラゴンの会話でした。
ドラゴンと角善の会話が噛み合っていないところがおもしろく、コメディーかと思ったら、
――男は血を吐いた。
足が宙に浮き、大気の中に埋め込まれる様。
前後の描写の巧みさもあり、未知の者と闘っている恐怖がありました。
攻撃されたから吹き飛ばされたという物理的なものでなく、もっと理不尽な、空間をねじるような圧倒的な力を感じました。
本作で個人的な白眉はこの描写でした。
――――緑葉の冠を見下ろし、ギターのネックを再び掴んで振りかぶる。
「クソゲー滅びるべし!」
その頭頂へと硬く赤い楽器を振り下ろす。
ドラゴンの頭を割り、額から血飛沫を噴かせる。
アクション映画のクライマックスでも見ているかのような、鮮明な映像が浮かびました。
高度な描写力をお持ちだと思います。
終盤のドラゴンに視点が寄った場面では深い孤独を味わいましたが、冒頭とのリンクもあり、読者としてカタルシスがありました。
ここまでご自身の言葉で物語を作っておきながら、
――桜の木の下には死体が埋まっている。
と有名な一文の引用で終わる点が良かったです。
以上になります。
素敵な作品に巡り会えたこと、心より感謝申し上げます。
作者様の今後のご執筆活動を応援しております。
ありがとうございました。
語りの視点は三人称神視点でしょうか。
冒頭あたりは全体を俯瞰しつつ、それから角善に寄り、最後はドラゴンに寄るという点が特徴だと思います。
この視点の採用と実験的な文体の相性が良いと感じました。
作者様の文体の特徴は、定型句・慣用表現に頼るのではなく、自分の感性で言葉を編んでいるところだと思います。
個人的には創作とは本来そういうものだと考えているので、非常に好感が持てました。
構成面では情報のズラシが巧みで、読者の興味を惹きつける技術が光っていますね。
――そして、その前に立つ一人の男。
四十代の痩せたサラリーマン。第二ボタンまで外した薄青色のワイシャツに灰色のスラックス。頭に杉綾のネクタイを巻いている。
――生前の姿のままで男は立っていた。
男は確かに死んだ。
――朧分身。角善の家系はは武士というよりは乱波だった。(誤字がありました)
と角善の情報が読むにつれて深くなっていきます。
また彼と同様に、
――「この世界は生と死の狭間の一瞬を迎えた真の武士のみが訪れる、永遠の世界である故に」
と、ドラゴンの会話から、場所も具体的になっていきます。
作者様は情報管理が上手な方とお見受けします。
自主企画で読んでいるのも忘れて、一読者と没頭し始めたところをお伝えするようにしているのですが、本作ではこのドラゴンの会話でした。
ドラゴンと角善の会話が噛み合っていないところがおもしろく、コメディーかと思ったら、
――男は血を吐いた。
足が宙に浮き、大気の中に埋め込まれる様。
前後の描写の巧みさもあり、未知の者と闘っている恐怖がありました。
攻撃されたから吹き飛ばされたという物理的なものでなく、もっと理不尽な、空間をねじるような圧倒的な力を感じました。
本作で個人的な白眉はこの描写でした。
――――緑葉の冠を見下ろし、ギターのネックを再び掴んで振りかぶる。
「クソゲー滅びるべし!」
その頭頂へと硬く赤い楽器を振り下ろす。
ドラゴンの頭を割り、額から血飛沫を噴かせる。
アクション映画のクライマックスでも見ているかのような、鮮明な映像が浮かびました。
高度な描写力をお持ちだと思います。
終盤のドラゴンに視点が寄った場面では深い孤独を味わいましたが、冒頭とのリンクもあり、読者としてカタルシスがありました。
ここまでご自身の言葉で物語を作っておきながら、
――桜の木の下には死体が埋まっている。
と有名な一文の引用で終わる点が良かったです。
以上になります。
素敵な作品に巡り会えたこと、心より感謝申し上げます。
作者様の今後のご執筆活動を応援しております。
ありがとうございました。
感想ありがとうございました。
褒めてほしい所を褒めてほしいように、あるいはそれ以上にまで褒めていただき然るべきの礼の申しようも追いつくところではございません。
こちらこそ心より感謝申し上げます。
褒めてほしい所を褒めてほしいように、あるいはそれ以上にまで褒めていただき然るべきの礼の申しようも追いつくところではございません。
こちらこそ心より感謝申し上げます。
- 田中ざくれろ
- 2026年 10月09日 20時56分
サラリーマン、桜、ドラゴン、ギターが綺麗に噛み合って短いながらとても満足する作品でした。無数の桜というのは美しさだけではない、死という深淵に触れたものと重なるところに、心揺さぶられるようなものを感じました。素敵な作品をありがとうございます。
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