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[一言]
日常のあれやこれやに追われ日々忙しく過ごしていると、中々『自然』というものに目がいかなくなってしまいます。

空の青さには感動するより前に、洗濯物がよく乾くなぁと思い、雨が降ると植木に水をやらなくて済むと喜び、庭の草木が伸びると草取りや剪定の手間に嫌気が差してげんなりします。
セミやカエルの鳴き声がモズの鳴き声に変わったことも、夜の訪れが早くなったことも、気づいていたけれど、ただ事実として受け止めていただけでした。

この更級日記は旅のいろんな場面で、自然の美しさが心和ませてくれます。
旅慣れていない女性にはきつい出来事もあったようなのに、豊かな自然に出会うと、主人公や登場人物たちは心を弾ませ自然の美しさに目を見張る。
読んでる私も立ち止まり、一息ついて、また頑張れるような気がします。
車など無い時代の事で、ゆっくりと進む旅だからこそ、気付く事も多いのでしょうね。
また、女性があまり外出をしない時代だけに、外の風景がより新鮮に感じられます。

最近は車を使うのを控え、自転車で出かけるようにしてるんですよ。さすがに徒歩は時間がなくて無理ですが…(汗)
ちょっと心に余裕を持たないと、時間や仕事に追われる毎日じゃ味気ないですもんね。


都に着くまでの道中、主人公たちと一緒に足を止めて、豊かな自然を堪能したいと思います。

これからも美しい描写を楽しみにしていますね!



そうだ! 昨日の感想で早とちりして余計なことを言ってしまい、すみませんでした(涙)

いろいろ工夫してるんですね。
私は、話の内容が変わるときとか、ちょっと時間が経過した時の表現とかを、今悩んでます。
色々試しているyukiさんを見習って、私も頑張ろうっと。でも、勇気とアイデアがでるまでちょっと保留にしときます…


では、次回も楽しみにしています。
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 10月21日 21時56分
ほんとうに。季節の移り変わりって、ちょっと気にかけずにいるとどんどん変わってしまいますね。
私も住んでいる所は自然に恵まれた所なのに、あまりにも身近で、当たり前になり過ぎてしまって、
どうかするとすぐに存在を忘れてしまいがちです。味気ないな~

それに比べて更級の作者の感性の独特さには驚かされます。
普段は邸にこもりがちで、いくら田舎とはいえ一応は受領の姫君。そんなに歩きまわる機会も多くは無いはずなのに、雲が自分の登った山の下にあるのを見て「雲を踏む」と書き表すなんて斬新です。
地面すら、そう滅多に踏んだ事がない姫君だからこそ、目でとらえた景色に対して「踏む」と言う発想が浮かんだのでしょうか? とても個性的ですよね。

富士に対する描写にしてもそう。濃い青の衣に丈の短い衵を着た姿に例えるなんて。
実は「衵」と言うのは少女の衣装から上着を取った姿である他に、男性も羽織って着こなす物なので、解説ではどちらの説もあるとなっていたのですが、私はこの時作者の年齢が13歳と言う少女だったので、おそらくついこの間まで上着を外して気楽な衵姿(今なら動きやすいワンピースに可愛らしいボレロでも羽織っているようなものでしょう)で遊んでいた作者の身近な発想で、少女の服装の方をイメージしました。

あの勇壮な富士の山を見て、しかも当時は噴煙を上げる猛々しい山だったにもかかわらず、その美しい様子から可憐な少女の服装を思い描いたのだとしたら・・・。なんて豊かな感受性を持った子だったんでしょう。そんな少女が旅路の様子にどれほど心を動かされ続けていた事か。
すっかり日常に飲まれがちな自分と比較して、反省するやら、羨ましいやら(笑)

写実的でありながら夢見るような描写は、この時代の表現としてはとても独創的です。そして独創的表現はこれからも時々顔を出してくれます。読んでいるこちらも楽しくなってしまいます。

完全には残ってはいませんが、この作者は晩年に二つの物語を残した可能性が高いです。
決定的証拠がないために「作者不明」となっていますが、おそらく彼女の手によるものだろうと言う認識で通っているようです。
とても夢想的な作品らしいので、いかにも更級日記の夢見がちな少女に相応しい物語なのでしょうね。

こんな作者の感性と付き合って書いて行けるのは私にも楽しい作業です。
ちょっと今更新の進みが悪くて申し訳ないんですが、ゆっくり落ち気合いいただけると嬉しいです。

あ、時間経過の表現、ビールを小道具に上手にされているじゃないですか!
さらっとさりげなくて、いいと思いますよ。

では、ご感想をありがとうございました。
  • 貫雪
  • 2012年 10月23日 19時35分
[一言]
ご無沙汰してしまい申し訳ありませんでした。
お久しぶりです。

感想は後程ゆっくり書かせていただこうと思いますが、取り急ぎお知らせを…

小説案内のあらすじに、文字がないけれど、アンダーラインが引かれている箇所があるのですが、意図的にされたものですか?

意図してそうされていたなら余計なお節介ですみません(汗)

文字をうっかり消してしまったのならお知らせせねばと勝手に使命感に燃えてしまいました(笑)

では、後程改めます。
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 10月20日 12時41分
ご心配おかけして申し訳ありませんでした。

文字消えではありません。私は三点リーダーはかなり多用するんですが(ちょっと使いすぎ)、
他の記号は必要に迫られない限りあまり使わないタイプで、せっかくのネット環境にもかかわらず
そう言う部分の遊び心が足りない気がしたので。使いなれないアンダーラインを引いてみたんです。

今回は原文と訳文から本文に入る時も「****」を使ったり、遊女の歌の部分に「♪」を入れたり、
まあ、慣れないことを色々やってみています。
他の方なんて、もっといろいろ工夫されてますよね。

ネットはネットなりの書籍とは違う「読みやすさ」「面白さ」があるので、出来れば生かしたいです。
馴れないと色々難しくはありますけどね。以前は行間をあまり開けずにギッチリ書いていて、自分でも目が疲れました(汗)。印刷物ならおそらくスカスカになるようなことも、ネットだと必要だったりしますね。

「?」や「!」もやや多めに。固い印象を持たれずに済むかなと。
でも、これも使いすぎるとうっとうしいんですよね~

お試しのつもりでやっているだけですので、うっとおしさや分かりにくさ、違和感を感じたらご指摘いただけるのは大変助かります。直せる所は出来るだけ修正しますので。

ご指摘、ありがとうございました。
  • 貫雪
  • 2012年 10月20日 15時29分
[一言]
こんばんは。

わざわざ訂正文をいただきまして、ありがとうございました!

ということは…中の君のお父上のそばには、似たような名前の方が二人いらっしゃったんですね。行成と成行ですか。なんともややこしい!
行成さんとは、竹芝の回で出てきた、上司の方ですね。苦労人で、できたお方とお見受けしました。良かったです。部下に女の処理を任せるような人じゃなくて。烏帽子の件が格好良かったので…ふふ。



住み慣れた土地を離れる悲しみ。よく分かります。ストレートに伝わってきました。
土地への愛着もありますし、交流した人達との思い出もたくさんありますもんね。今生では二度と会えないだろうと思えば尚更、悲しみも募りますし。
私も引っ越しの度に置いてきた、思い出と友人を思い出して、しんみりしてしまいました。
馴れ親しんだ人達との別れ、感動の名シーンでした。


また次回も楽しみにしてますね。
お体に気を付けて。では。
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 10月04日 02時19分
その通りです。藤原行成さんは作者のお父さん、菅原孝標さんの昔の上司です。
ややこしい事に継母さんのお父さんが高階成行さんといいます。

高階氏は教養豊かな文芸肌の血筋らしく、女だてらに男の教養と言われた漢詩に明るい人も出ています。紫式部の娘もこの一族に嫁いでいます。
ですから継母さんも後に「上総大輔(かみふさたゆう)」と呼ばれる宮中の花として活躍しました。

ただ、高階氏はちょっと古風な人達からは、良く思われていない一族でした。
継母と孝標が別れたのは家庭や夫婦の事情からでしょうが、ひょっとしたら高階氏の人間である事も関係したかもしれません。

その辺も道長や、行成、一条帝の事情が絡んでくるのですが、そういった政治的な時代の流れの影響もあったかもしれない・・・ような気がする。

その辺も追々書いてみようと思ってます。

とにかく作者やその家族の情報がこの日記でしかわからないので、周りの人間関係とその人たちの逸話から推し量って行くしかありません。
おかげで恥ずかしいポカもまだ出てきそうですが、コツコツ調べながら創作しますので、温かい目で見ていただければ・・・と思っています。

別れの後の陰鬱としたシーン。ちょっとくどいかとも思いましたが、あえて強調しました。
更級日記は出会いの記述と言うものが無く、別れの悲しみを書き残しています。
そして日記全体が、底辺に悲しみを宿している作風が感じられるんです。

そんな原文の雰囲気を少しでも出して行けたら。
稚拙ながらそう思って書いてます。最初の別れの悲しみが、無事に伝わったようでホッとしています。

考えるほど奥深い「更級日記」。何処までその魅力に迫れるか。

チャレンジは続きそうです。微力ながら頑張って書いて行きたいと思ってます。
  • 貫雪
  • 2012年 10月04日 21時52分
[一言]
あの数行の原文から、ここまでイメージできるとは…
その想像力に脱帽です。
とても楽しませてもらってます。
意味はさっぱり分からないけど、原文の響きは美しく感じて、『日本語っていいな〜』って思いました。中高生の頃には全然美しいなんて思わなかったのに、不思議ですね。

ついで(?)に、自分の日本語のが貧弱なことにも気付きました(涙)
四話で『庵を立てた』とありましたよね。
びっくりしちゃいました(笑)
小屋であることは想像できたのですが、○○庵というようなお茶室みたいな小屋を『庵』の固定概念として持っていたので、『えっ! 数時間で庵なんて建てられるの!?』って驚いちゃったんです。
三本の木を結んで立てたとか、小枝や葉っぱを被せたとか書いてあったので、どうやら自分のイメージが間違っているんじゃないかと気付いて辞書を引いたら、『草木を結んで作った質素な小屋』って書いてありました…
四十数年日本語を使っていても、まだまだ分かってない言葉があるんですね。勉強になりました。ありがとうございます。
ちょっと情けないけど…(涙)



源氏物語は、薫君の方は読んでないんですよ〜。今回チラッと出てきて、俄然興味が涌いてきました。読んでみようかな、なんて今思ってます。仕事が一段落したら、ですけど。もちろん現代語訳で(笑)



今回書きたいことがいっぱいありすぎて、書ききれないのでまたの機会にします。

小説風、とても面白いです。次回を楽しみにしていますね!

そうだ。急に寒くなってきたのでお体に気をつけてくださいね。

では、また。
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 09月27日 23時22分
間違いがあって訂正します。

継母さんのお父さんは「行成」ではなく。「成行」さんでした(汗)
思いっきり間違ってました。別人です。「藤原行成」さんは、妻思いの愛妻家でした~

でもそうなると主人公の父親はまったくそういった関係のない、自分の子ではない連れ子(しかも、乳飲み子)を連れた女性を迎えて、一緒に下向したことになる・・・。

なんだか私の中でお人好し度が、かえって上がっちゃいました。

文学系の家系(高階家)で宮仕えまでしていた女性だから、憧れがあったんでしょうか?

とにかくとんでもなく勘違いしてました。訂正させていただきます。
もっとちゃんと勉強しなきゃ。
  • 貫雪
  • 2012年 10月02日 16時43分
あ、あ~!
すいません。凡ミスです! 庵の説明をあとがきに入れるの、忘れてました!

おそらく誤解されるだろうことは分かっていて、あとがきで説明するつもりでいたのに(汗)
地名の話や「池田」の現在地、「浮船」への憧れなど書いてるうちにすっかり失念してました。
ご指摘を受けて思いだした次第です。お恥ずかしい……
取り急ぎあとがきに書き足しておきました。ありがとうございます。

想像力をお褒めに預かり、物語書きとしては大変光栄です。
本来「更級」筆者ではないけれど、私も空想を繰り返して好きな世界の想像を書くのを得意としていますので、その作業部分だけは最高に楽しい! です。
その前にいろいろ調べたり、登場人物たちの心情や行動の理解を深めたり、現代風に考え直して分かりやすく表現し直したりするのはなかなか難儀ですが……やりがいはあります(笑)

源氏の宇治十帖編は正直あまり好みではなくて、訳者の違う現代語訳をそれぞれ読んではいたのですが、宇治の橋姫の三姉妹の内、本来話の発端の姉姫たちの部分は手元にないのですが、幸い浮船登場直後の後半部分だけ持っています。こっちも読み返さないと。

今回のような説明も、なるべく本文でさりげなく取り入れてあった方がスマートですよね。
そうでないとあとがきばかり長くなって不格好ですし。
でも、それが一番難しいんだなー。実力不足を痛感します。

「落窪」の時よりも一歩突っ込んでの、小説風へのチャレンジ。
初めてのことなので今回のようなポカも数多く出てきそうですが、出来れば温かく見守っていただければと。
読み手の方々に甘えながら頑張ってます。

あきれられないよう努力しますので、今後もよろしくお付き合い願いたいと思います。
ご感想ありがとうございました。
  • 貫雪
  • 2012年 09月28日 09時13分
[一言]
主人公、中の君は本当に源氏物語が好きなんですね!
ちょっと赤毛のアンに思えてしまいました。
夢見る姉妹の会話も微笑ましく、思わず笑みを浮かべてしまいます。

彼女たちの足跡を、地図を辿りながら読んでいくのも面白そうですね。
富士山はこんな昔から日本人の心の拠り所だったのか。
同じ景色を見ていたとおもうと感動ですね。

丁寧に丁寧に進んでいく旅の様子が嬉しいです。さてこれからどんな景色に出会うのか、どんな出来事が待っているのか、わくわくします。
  • 投稿者: yamayuri
  • 2012年 09月26日 23時41分
赤毛のアン。私の書き方のせいかもしれません。

私、十代の時に村岡花子訳のアンを読んで以来、あの美しい日本語訳にあこがれているので。
十代で受けた影響は大きいですからね。
後に色々と現代風に訳されたアンも出て覗いてみたんですが、どうしてもしっくりきませんでした。
今でも「きれいな日本語」が恋しくなると、村岡訳アンの文庫本を開いてしまいます。

現代では古臭いかもしれませんが、どこかで目標にしているのかもしれません。

それにいつも物語の世界を夢見ていて、日記の中でも姉と空想を語っている主人公なので、
そういう所はとてもアンと似ています。
大きな事件があるのではなく、日常を書いている所も似ているかも。

手元の本では旅の行程を書いてある地図が載っていますので、
どこかで現代では大体どのあたりか書いた方がいいかもしれませんね。
旅程は各説があってなかなか正確には分かりませんが、大まかでも。
調べ次第、その話に出てきた地をあとがきにでも載せておきます。

富士山は平安時代にはすでに、天に最も近い山として知れ渡っていたようです。
日本最古の物語「竹取物語」のラストシーンにも使われるほどです。
その高さだけではなく、当時の富士はかなり活動が活発な山で、
平安時代には三十年置きに噴火を繰り返し、常に煙の立つ山として有名でした。

今なら桜島のような感覚かもしれませんね。

日記の解説だけでは旅先のことは分からないので、ネットで調べながらの執筆のため、
相応に時間がかかってしまいますが、なんとか納得のいく内容を目指してます。

調べるほどに魅力あふれる「更級日記」ですね。お誘いいただけて良かった。

一緒に「孝標の女(むすめ)」の姿を追っていけただければ幸いです。
  • 貫雪
  • 2012年 09月27日 17時06分
[一言]
待ってました!

新連載、おめでとうございます。


今まで(今も)古典というものは、漫画であったり現代語訳であったり、読みやすくなっている物だけを読んできました。あっ。教科書でも読みました!これは難しかったですよ!教科書の指導書を買って、丸写しした記憶があります。


そんな古典オンチですから、更級日記も当然初めてなわけです。
それが、まだ二話だというのに、早くも物語にくぎ付けです。
あの書き始めは、原文の通りなんですか?
それともyukiさんがアレンジをしたものですか?
もう、あの最初の一瞬で、物語に引き込まれてしまいました。言葉や文が美しいおかげで、私の頭の中でも、映像となって美しいシーンが繰り広げられました。

もう一つ、好きなシーンがあります。
光る君の話を聞かせて、とせがむシーンです。
『美しく、すこうし、甘い香りを漂わせる』という文の『すこうし』が、すごく好きだな〜。大好きなお義母様に甘える感じが可愛くて、いつまでも心に残りました。


幼いこの子が、どのような人生を歩むのか、今からワクワクです。
出会いと別れ、喜びや悲しみ。書き出しの尼君さまは、とても女房に慕われている様子でした。そんな尼君さまなのだから、きっと色々な経験をされて来たんでしょうね。


楽して古典、また楽しませていただきます!
その分、yukiさんは大変になるんですよね…すみません。
私にできる恩返しは、yukiさんの健康を祈るくらいなので、一生懸命祈ってます。
どうか、お身体に気を付けてください。
次回も楽しみに待ってます。では。
  • 投稿者: ケロ
  • 2012年 09月19日 05時22分
早くも御感想をいただき、ありがとうございます。

私も古典が特別得意な訳じゃありません(笑)
教科書で読んでいた頃なんて、本当に訳がわかりませんでした(汗)
いえ、今だって本文と訳文を見比べては、辞書を引き引き確認しているありさま。
学の無さは普通以上なので、イメージしたいと言う思いだけでやってます。
ですから歴史的な間違いもあるかもしれませんので、あまりうのみにしないでくださいね。

冒頭は殆んど私の創作です。
継母との別れは、作者「菅原孝標(すがわらのたかすえ)の女(むすめ)」が、初めて味わう親しい人との別れです。この継母は彼女の父親のもと上司(藤原行成)が妾腹に産ませた娘だろうと思われます。
おそらく様々な障害があって行成には直接世話を焼けないこの娘が、未婚の母となりピンチに陥ったのでしょう。
作者の父、菅原孝標はどうやら情にもろいお人好しのようで、立場はもとの上司とはいえ、同い年で主従を超えた親しい友情を若い時から育んだ人の娘のピンチに、尻ぬぐい役を買って出たようなんです。

人生の危機から救われた継母は、きっと誠心誠意、二十歳は年が離れた孝標とその息子、娘姉妹に尽くして上総の生活を暮らしたことでしょう。そして文学を好む姉妹を相手に充実した日々を過ごし、傷心を癒やして行ったと思われます。年若かったであろう彼女にとって、作者姉妹は娘と言うより年の離れた妹と言う感じで接したんじゃないでしょうか?
作者にとっても自分を甘えさせてくれて理解してくれる、優しい姉が出来たような気持があったでしょう。

ですから大人の事情が露わになり、突然別れの時が来た時の衝撃と悲しみは、深いものがあっただろうと思い、その時に継母が告げた、「梅の花が咲いたら、また来ます」と言う言葉からイメージを膨らませました。

記録的にはこの作者については殆んど何もわかりません。
孝標の娘であると言う事と、兄が学者になった事、後朱雀天皇の第三皇女「裕子内親王」に仕えた事があると言うことぐらいしかはっきりしたことは分からないのです。もちろん名前も亡くなった年も分かりません。

ですからこのお話は、父親の事情や、その主人行成の事情、当時の女性の生きて行かなければならなかった状況をもとに、創作しているんです。出て来る女房も、友人の尼もオリジナルの人物。
原文は『』に書かれたとおり、とても簡潔なものです。その中から彼女の生きざまをどこまで想像できるか。

私なりの「更級日記」作者像を、描いて行こうと思ってます。

残念ながら私の古典解釈は、まったくの自己流です。知識的には中卒程度(汗)
なんせ高卒も資格だけで、普通高校出てないくらいなんで・・・

古典って、モノによるけど、決して堅苦しいものじゃないと思います。
自由な古典のイメージにお付き合いいただいて、気楽に楽しんでいただければ十分です。
可能な限り、分かりやすく書けるように頑張ります。

よろしくお願いします。
  • 貫雪
  • 2012年 09月19日 15時23分
[一言]
拝見いたしました!

期待どおり、魅力的なお話です。

昔、わけのわからない原典を知ったようなつもりで一部だけ読んだときでも、この天真爛漫な少女が旅立ちの期待に胸をときめかせている様子を思い浮かべて、わくわくしたものです。
こうして現代語訳で読ませていただくと、事の次第がはっきりし、ますます興味が湧きました。

このお話は老女が半生を振り返って綴った日記だったのですね。少女が大人になり、どのような人生を送っていくのか、壮大な物語が期待できます。

ほぼ現代語の小説になったことで非常に読みやすいです。
しかし、ところどころに原典が入っていることで、作者の生の声に触れているようでまたそちらも興味深いです。
あまり原文が多いと疲れてしまうので、ちょうどいい塩梅です。

yukiさんの表現も美しく、分かりやすく、いかに現代の人にすんなりと伝わるかと工夫されているのが分かります。

原典の解釈から現代小説としての表現になるまで、何重もの段階を踏まねばならず、普通の小説と違って一篇が出来上がるまで大変な行程だと思います。

ゆっくり更新で構いません。
yukiさんの描く更級日記の世界をこれからじっくり堪能させていただきます。



  • 投稿者: yamayuri
  • 2012年 09月18日 23時02分
早速の御感想を、ありがとうございます!

お誘いいただいて、この「更級日記」の周辺情報をほんの少し探ったんですが、まあ驚きました。
読む前はこの話は大人になりかけの少女が、都へ上京できる喜びや、
その道筋で起った出来事を楽しく書いた日記なのかと思っていました。

まず読んでみると、これは作者が人生を振り返って書いた記録だと知りました。
前半は都への旅路のさまざまな出来事や感動。
楽しい生活を期待していた都で次々訪れた悲しい別れ。
そして後半作者は大変苦労したにもかかわらず、ひたすら反省の弁を書き綴っています。

そして家族について調べると、彼女と家族の濃厚な人生が見えてきました。

情にもろく親切で、不器用だけれど子煩悩な父親には、その不器用さゆえに損な役回りで、
それでも人の影となって支えることに心血を注ぎ、同い年の主人との友情や、
我が子への期待にすべてを捧げた、献身的な人生がありました。
想像にはなりますが、彼と主人「藤原行成」との友情も盛り込みたいと思っています。

男性達に振り回されながらも、人生のその時その時を精いっぱいに生きた継母。
彼女も窮地から自分を立て直し、作者に大きな影響を与え、自らに花を咲かせた人でした。
この日記から多くは読みとれませんが、おそらく逞しく、したたかに生きた女性なのでしょう。
この継母との別れは、作者にとって初めての別れの悲しみとして印象的でしたので、
冒頭部分に使いました。

そして古風な母親に抑えつけられがちな作者を優しく見守り、人生を開かせた彼女の叔母は、
かの「蜻蛉日記」の作者ですから、彼女が物語の他にこの日記をまとめようと思ったのは、
この叔母が「蜻蛉」を書いたからに他ならないでしょう。
蜻蛉日記の方でもこの人は嫉妬に苦悩する妻としてだけではなく、
子を愛する母としての顔がありますから、姪にあたる作者にもそんな顔で接したことでしょう。

若くして幼子を残し、逝ってしまった姉との死別。なかなか思うに任せない人生。

その中で物語を書き続け、懸命に生きた作者の横顔を綴ったのが「更級日記」なのですね。

私の頭のイメージで、どこまで彼女の人生に迫れるかは定かではありませんが、
私なりの「菅原孝標の女」を描いてみたいと思います。

  • 貫雪
  • 2012年 09月19日 14時12分
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