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[良い点]
楽しく読ませていただいています。変わらず懐かしい雰囲気を味わいながら、学園ミステリー、風邪をひいた柚香のイレギュラーからはじまるドタバタに、まずは惹かれました。

柚香たちの入れ替わりは特にややこしく、そして巧み。柚希は、心まで柚香になりきることはできないのですね、そんな不器用さが好き。

嶋君の優柔不断と人の好さは安定の王道。
あかりは優しく。しかし何かに気づいているような。
藤井君、ちゃらけているのに変に鋭い勘を持つ侮れないヤツですね。単なる脇キャラでは終わらない、今後の要注意人物。

クレープとピザ、カレーライスを平らげる夕子りんも好き。文化祭モードを楽しみながら、各キャラクターを味わっています。

だいぶん前に読了し、改めて読み返しはじめました。ゆっくり味わわないと勿体ない気がします。天そばさんの新作が、いつになるか判らないから特に(> <;)

今回も、やっぱり柚香のほうが好きだと再確認しました。どんなピンチ場面でも、柚香が登場するとホッとする、安心感があるので。

あかりや藤井君にバレるシーンを、ドキドキしながら読み進めてゆきます(〃∀〃)ノ。
乾さん、お久しぶりです。感想ありがとうございます。
そして……返信、ものすごーーく遅れてすみません。
スマホの設定を変えてしまってログイン出来ず、しばらく気づきませんでした。申し訳ありません。

柚希の不器用さ、柚香の安定感を評価していただき、嬉しいです。実はこの辺り、この子は意外と度胸があるなとか、この子は予想以上に不器用なんだなとか、書いているうちに作者が気づかされてキャラクターができていった部分です。
一度読了したあとで再読していただき、こうして感想までくださって、とてもありがたいです。それなのに返信遅れて、申し訳ありませんでした。

クリスマスも終わり、すっかり年の瀬ですが、お身体ご自愛ください。
感想ありがとうございました。
では、よいお年を!(^^)
[一言]
 こんばんは。とても面白かったです。

 野球・ラブコメ・双子っていう要素でもう、あだち充ファンの僕からしたらそれだけで涎が出てくるほど嬉しいなと、胸を高鳴らせて読みました。
 ただ、僕なんかは文化祭ムードにちっとも馴染めずに隅っこで適当に時間を潰してたクチなので、もう物語全体の楽しげなお祭り感がつらくてつらくて! ペアゲームにいたっては、もう読んでて胃が痛いというか背筋がこそばゆいというか死にたいというか……(笑)

 推理の冴えは本当に流石だと思います。手掛かりからなされる解釈にもそこから積み上げられるロジックにも強引なところはほとんどなく、全篇にわたって非常に納得させられました。推理の説得力は前作より上がってる気がします。読んでて楽しくて楽しくて。スカーッとします。ペアゲームがんばって読んだ甲斐がありました。(若干ネタバレ気味かも)ハナマル食堂で、容疑者を限定していくうちに全員消してしまう、という展開が、王道ながらもやっぱりわくわくしました。

 多視点で混乱するかなぁと心配しましたが、僕は思いの外すっと入り込めましたね。けっこう露骨に語り口に差異がついてるおかげかなと思います。むしろ露骨すぎないかなとさえ思ったぐらいで。
 ご自分でも書かれていますが、メインキャラクターたちがみんな裏表のない良い人たちだなぁと感じました。良い人すぎて僕なんかが生きてるのが申し訳なくなるレベルで、そこでまた胃が痛くなったりします。だから森野先輩みたいなのが居るだけでちょっと安心したりするというのは僕もありました。僕は米澤穂信さんも加納朋子さんもそこそこ好きなんですけどね。でも、一番好きな日常の謎は猫丸先輩シリーズだったりします。

 これだけ上質なミステリを読ませていただいたことに感謝です。これからも頑張ってください!
赤倉博也さん、感想ありがとうございます。
おもしろかったと言っていただき、まずは安心しました。
よく考えたら、性別の違いはあれど、あだち充さんのあの作品と設定が被ってますね!^^;
恥ずかしながら、赤倉さんの感想を読んで初めて気がつきました。

ペアゲームみたいなシーンはですね、私も、読者として読むときはかなりこそばゆい思いをするので、赤倉さんの気持ちよくわかります。
実は書いているときも恥ずかしくて、これは必要な伏線だから、と言い聞かせつつ書いたところもありました笑
胃を痛くしつつもちゃんと読んでくださってありがとうございます。感謝です。


多視点でも混乱されなかったんですね。読み返すと、視点移動の部分がややこしいなあと思うところも多かっただけに、そういう方もいたんだとわかると少しほっとします。
語り口の差異は、露骨すぎると思われる部分もありましたか。こういうのって、やりすぎるとかえって不自然になるところもありますよね。素直なご意見ありがとうございます。今後の参考になります^^


推理部分を褒めてくださったのもうれしいです。
最初は、ハナマル食堂で消去法で容疑者を絞っていき、犯人を見つけるというプロットだったのですが、これだとあっさりしすぎだろ、もっとミステリーしたいなと思い、推理部分を見直しました。一度容疑者を全員消してしまうという展開は、新たに追加した部分だったので、あそこでわくわくしてもらえたなら練り直した甲斐があったというものです。

赤倉さんのマイページを少し拝見させていただいたのですが、好きな作家が泡坂さん、鮎川さん、有栖川さんとそうそうたる顔ぶれですね。ああいった方々の作品を好んで読まれている赤倉さんに、推理部分が良かった、上質なミステリと言っていただけたこと、すごくうれしいですし自信になります。ありがとうございます。

日常の謎では猫丸先輩シリーズがお好きなんですね。前々から気になってはいますが、実はまだ読んだことないんです。赤倉さんとは好みが合いそうな気がするので、いまある積読の山を消化できたら買ってみようかと思います。


感想どうもありがとうございました!これでまた頑張れます^^
[一言]
途中まで読んでいましたが、いま一度最初から通読してみました。

で、読み終わった率直な感想は――いやあ、期待以上でした。まいりましたね。ここまで面白いとは、思いもしませんでした。嬉しい悲鳴で、まずは、ありがとうございました、です。

最初のほうの書き方(一人称多視点)から、今回はミステリ味は薄みで、それぞれの心理を掘り下げる青春小説的なものになるんだろうなと読んでいたわけですが、後半の推理部分に入ると、なんと伏線・手がかりの目白押し。しかも憎たらしいほどに巧妙で、うまいったらありゃしない。前半のほうのなにげな箇所まで、伏線だったのですね。天そばさんの伏線の見事なところは、ちょこっと書いておいて、読み返さなければ、そんなの書いてあったかというレベルのものでなく、解決部分を読みながら、伏線が鮮やかに浮かんでくるところです。
青春小説部分と推理部分が分離するのではないかという危惧も抱いていましたが、きれいにまとめられていました。リバースの続編として遜色のない仕上がりになっています。(僕は、解決のネタに再度双子トリックを使ってくるのではないかと想像していました。新たな双子トリックを使って、つなげてくるのではないかと、です)
構成と細部の練り込みにも感心しました。かなり計算されていますね。後半の見せ場のペアゲームのところはもっとも楽しい読み所で、ぜったいに作者も楽しんで書いているなと読み進めながらも、しかし書き込みすぎだよ、楽しいけどこの部分浮くよねと思っていたら、ハハハ、なんと浅はかな考えだったんだと思い知らされました。この時点までは、どうやって解決するのだろうか、犯人を限定するのが難しい状況なので、推理というよりミステリ的な手法を使ってくるかと考えていましたので、いやはやお見事です。

学園青春ミステリは苦手で、常日頃から、できれば読みたくない敬遠したいと思っているクチですが、リバースといい今作といい、天そばさんの作品は、そんな僕でも面白く読ませてくれる力があります。個人的な好みですが、米澤さんのものより、僕は天そばさんのほうがいいですね。

さて、突っ込んだ意見を所望されているみたいなので、出版担当者レベルで僕の考えを記してみます。

【この下ネタバレ・要注意】

1 冒頭・前半(柚希と柚香のことがバレる前まで)が物語として弱いです。一人称多視点を使っているせいもあって、ストーリーの進展が遅遅しています。それなりに面白くはあるのですが、同じことを繰り返し読まされている印象がするのを拭えません。それと、つばこさんの指摘にもあった通り読みにくい、というより、物語に入りにくいです。設定を作るための展開が、細々して複雑なのも、進展を遅らせています。短編ならいいのですが、学生証盗難では、長編で、先を読ませる事件としての魅力に欠けてもいます。ただそうはいっても、登場人物たちの心情を読者に納得させるためには、一人称多視点は必要だったでしょうし、柚希と柚香、嶋にあかりに藤井を、不自然なく(ご都合主義にならずに)一堂に集合させるには、細々した状況設定も必要だったと思っています。じつは感心している部分でもあるのです。しかしそれでも全体的に見て、前半は弱い。長編を読ませるチャームポイントが、いまひとつなにかいるなという感じです。

2 リバースからの流れとして、藤井くんのキャラが弱くなりました。藤井くんからの視点描写があるせいで、正体不明、神出鬼没、ミステリアスな、藤井くんの魅力が損なわれちゃいました。藤井くんはリバースにおいて、黒子的存在として凄かったんですよね。登場人物のひとりでありながら、そのじつ、作品の流れを自由自在にあやつる、小説世界の枠内から抜け出した存在のところがあった。今回も黒子的役割はしてくれるのですが、心理描写がされたがために、登場人物のひとりに落ち着いてしまいました。藤井くんからの視点は省けた気もしますが、それをすると、あかりの視点部分のバランスが悪くなる。そこが浮いてしまう。しかし、あかり視点は物語の流れからいって必定。脇役バランスを取るためにも、やっぱ藤井くん視点もいる。痛し痒しのところです。

3 一同揃ったところでいよいよ捜査の開始となるのですが(それまでは捜査パートというより、設定を作るためのものです)、食堂で展開される推理が、具体性に欠けるので雲をつかむようなところあります。事件が、無差別の愉快犯・シリアルキラー的なものなので、そうなるのも仕方ないです。ご存じだと思いますが、無差別犯は、ミステリには向くけど推理小説には向かない材料です。ミステリにおいても、捜査側と犯人、もしくは容疑者・関係者たちとのカットバックの手法をもちいて、焦燥感とサスペンスで引っ張っていくのが常套手段です。そういう方法を取られずに、最終的に正攻法の推理小説として仕上げた技量には、さすがだと思っています。が、その一方で、そこまで読んだ時点では、いまひとつエンタメとしてなにかいるなと感じていました。具体的に容疑者らしき人物も出ていない感じなので、ああかなこうかなという推理が楽しめないんです。読者が推理に参加しにくいんです。かといってミステリとすると、この先どうなるのかみたいなハラハラ感にも乏しいです。1とも通じるとこですが、ペアゲーム前までの部分、なにかいります。なぜ××なのか? なぜ××したのか? みたいな謎を明確に提出するか、ミステリアスな描写(つばこさんの犯人からの視点とかです)を振り込むといったような、読者の想像力なり推理力を刺激するなにかが欲しいです。

4 犯人の出番が少ないです。あまり出すと、すぐバレちゃうというところありますけど、それでも出番少ないです。つばこさんみたいな名探偵読者はそう多くないと思いますから、話しの端々でもっと出したほうがよかったのではないかと思います。もちろん、赤ニシン的(ダミー)の人物も取り混ぜてです。

5 解決にいたるロジックは、じつに楽しませてもらいました。明快で、それまでの伏線・手がかりが、ここぞとばかりに躍動しています。作者としては「この桜吹雪が」と啖呵をきっているところです。学園ミステリが一気呵成に推理小説になって、痛快です。読者も、ハハーとひれ伏します。やりすぎず、手抜きなしのロジックで、ケチのつけようがないです。しいて挙げるなら、重石のロジックが若干引っかかるぐらいです。用意したのではなく、偶然持っていたのを使ったのだ。そこから、なぜ犯人は小石を持っていたのか? の謎が導き出され、その魅力的な謎のわりには、解決がいまひとつもの足りなかったかな、って感じです。あそこに入っていた石を、思いついたようにして使うかな。足裏は皮膚感覚が敏感な箇所で、あたっていたら、普通すぐ取り除くよな。という思いが、僕はします。しかし、クイーンの「オランダ靴の謎」を連想して、ニヤリともさせてもらいました。  

6 僕のイメージでは、公星高校では柚香はかなりの有名人みたいな印象があります。柚香のほうは知らなくても、ほとんどの学生が知っているぐらいの知名度ですね。バザーでホールに立てば、それで売り上げが跳ね上がるレベルの可愛い子となっていますから。それなので、柚希の学生証の写真を見て、すぐに柚香のことに犯人がピンとこないことに、最初から疑問を持っていました。柚香は、男子生徒の間で噂になるほどの可愛い子ではないのでしょうか。話の流れでいくと、どうやら柚香のことを知らなくてもおかしくないという設定になっているので、ま、問題はないのですが、柚香の可愛さがどれほどのものなのか、いまだに釈然としない感じを持っています。

7 学生証コレクターの犯人の動機に、僕はついていけません。メールを送るためのきっかけですって。人を傷つけたくないなら、自分も傷つきたくない。まるでガラス細工のような、こわれやすい繊細な心理でありながら、学生証拝借して人に迷惑をかけることには無神経。僕に言わせると、あんたなに言っているのになります。それなのに、「その気持ちわかる」と肯定的な、共感を得ようとする書き方。いまの若い人というのは、こういう感性なんだろうなと、オジサンの僕は思います。僕が、いま書かれている青春ミステリが苦手なのは、そういう感性についていけないからです。自分のまわりのことばかり、こわれやすい大切なものだと大事にし、傷つきやすい青春ぶっている感傷的な若者感覚にうんざりしてしまうんです。青春って、大人目線から見ると、じつは、自己中だらけの、他人に対しては残酷なものです。ただそれをそう書いちゃうと、若い読者からそっぽを向かれるので、君たちの感性はとても純粋で素敵なものだよ、わかるわかるその気持ちみたいな作品ばかりになるんですよね。僕に言わせると、「わかんねえよ、そんな気持ち。自分を大切にするのもいい加減にしろ。おまえ如きがなんぼのもんじゃ」となってしまいます。米澤さんの作品が苦手なのもそのせいで、加納朋子さんの作品も苦手です。湊かなえさんの「告白」なんかは、好きではないけどオッケーです。自己中、残酷な若者ばかりで、そのまんまに書かれていますから。
で、リグレットに話を戻しますが、驚くことに、僕の苦手な感性になっているのにオッケーなんです。天そばマジックですね。ついてはいけない感性なのに、受け入れられるんです。米澤さんよりいいと感じているのは、そのせいなんです。どうしてそういうふうになるのかは、一概に説明できません。(どうしてそんなことができるのか教えてもらいたいというのが本当です)人物造形や世界観、それに筆力あたりがマジックの種かなと思います。そしてそのへんが、天そばさんの作品の強み・魅力です。つばこさんのいう、爽快感も、それだと思っています。

8 森野先輩にもっと活躍してもらいたかった。倍返ししてやるって、感じで。森野先輩をからませて展開させたら、話に緊迫感が出たんじゃないかな。森野視点の描写を入れてですね。そう思うのは、僕だけかもしれませんが。

いろいろ書かせてもらいました。リグレットの続編も読みたい気はしますが、そろそろ、名もなき毒を作品内に取り込まれるのはいかがなものでしょうか。リグレットの天そばさんが、名もなき毒をどう処理するのか読んでみたいです。宮部みゆきが「告白」を書いたらどうなっていたか。湊かなえが「名もなき毒」を書いていたらどうなっていたか。米澤穂信がそれらを書いたらどうなっていたか。そういうのを想像するのも面白いと思います。(三人の中では、僕は宮部派です)

最後に。ベイスターズ最下位脱出でほくほく――。じつは僕はヤクルトです。いいんです、ヤクルトはお祭り野球が持ち味ですから。最下位でホームラン記録突破。じつに、ヤクルトらしいです。

  • 投稿者: 愛理 修
  • 男性
  • 2013年 09月21日 02時36分
最後まで読んでくださっただけでもありがたいのに、ここまで長く、指摘も具体的な感想を頂けて、ただただ感激です。感想書くだけでもかなり時間がかかったんじゃないですか? 本当にありがとうございます。


*この下、ネタバレしています







愛理さんのご指摘、やっぱりここ突っ込まれるか、という部分もあれば、自分ではまったく気が付つかず、ハッとさせられたところもありました。

1と3のご指摘は、うわー、またやっちゃった、と思う部分が大きかったです。
リグレット・コレクターでは、「柚希の学生証が盗まれる」という状況設定を思いついたあとは、勝手にキャラクターたちが動いてくれたので、話の流れを考えるのが非常に楽だったんです(一度、プロットの練り直しのために更新停止していた時期がありましたが、あれは推理部分をしっかり固めるためで、大まかなストーリーは最初からほとんど変わってません)。
ただ、あまりにもキャラクターが自然に動いて話を作ってくれたので、この部分は読者を退屈にさせてないかなと、一歩引いたところから見るのを忘れていたというのが本当のところです。
長編を読ませるチャームポイント。読者の想像力なり推理力を刺激するなにか。
この二つを考えること、完全に失念していました。キャラクターが自然に動くようになると、よく忘れちゃうんです。まだまだ力の足りないところです。
リグレット・コレクターでその辺をどう工夫すればよかったかと考えると、思いつくのはやっぱり、犯人視点ですかね。合間合間に短い犯人視点をちょこっと挿入するだけでも違ってたかなあと思います。

4の、犯人の出番が少ないというのも、気にしていた部分です。
さりげなくどこかで出したほうがいいかな、でも他の容疑者たちがペアゲーム前に出てないのに犯人だけ事前に出番があったら怪しすぎるよなと、けっきょく、あれだけの出番になったのですが、ダミーとなる人物も一緒に出せていたら、この部分は解決できましたね。そこまで考えが至っておらず、愛理さんの感想を読んで初めて気づきました。お恥ずかしい限りです。


解決に至るロジックは、気に入っていただけたようでうれしいです。青春部分が合わない人は、せめて推理部分を楽しんでもらえるようにと思って、時間をかけて考えました。
ただ、重石の部分だけが気になられましたか。石が入ってもすぐに取り出さなかったのは、時間がなくて急いでいたからという理由があり、個人的にはそれでオッケーかなと思っていたのですが、弱いといえば弱いですね。すぐには取り出さなかった理由がもう一押しあれば、もっとビシッと決まっただろうと思います。
しかし、万人を納得させられるロジックというのは本当に難しいですね。このあたりにいつも悩みます。


6のご指摘ですが、柚香は休み時間を教室で過ごすことがほとんどなので、学年が違う人たちにはあまり知名度が高くないという設定です。誰が見ても美人なのに違いはないけど、そもそも他学年の人たちが目にする機会がほとんどないので、噂が広まらないというか。同学年の知名度はかなり高いと思うんですけど、他学年との交流は、野球部の先輩後輩で終わってしまっているという感じです。彼女目当てに喫茶店に来てたのも、ほとんど同学年の男子です。
ただ、そういう設定があるならあるで、ちゃんと作中で提示しておけよって感じですね。配慮の足らなかったところです。


で、学生証コレクターの動機ですが……。
これ、一歩引いたところから見たら自分勝手もいいところですよね。他人の迷惑考えろ、というかそんなことする勇気があるならさっさとメールでもなんでも送れや、と感じる方がほとんどだと思います。
愛理さんがこういう若者感覚についていけないというのもよくわかります。まったくいまどきの若者は、ってやつですよね。

それでも、リグレット・コレクターで書きたかったのはいまどきの若者の未熟さなので、手厳しい意見は覚悟のうえでこういう動機にしたわけですが、愛理さんにオッケーと言われ、ほっとしたというより、びっくりしたというのが本音です。
正直に言えば、青春小説が苦手だと公言している愛理さんがこの作品を読まれたら、動機の部分で辟易するだろうなと思っていました。それなのに、受け入れられるという言葉を頂き、え、そうなの?と口に出しそうになったほどです。米澤さんが駄目なら、こっちも当然駄目だと思っていましたから。

自分でもなにがどうしてそうなったのかわからないです。ちゃんと把握しておけばテクニックとしてものにできるので、自分なりの答えがほしいんですけど、うーん……思いつかないですね。
論理的な辻褄が合っているかどうかという物差しがある推理部分と違い、青春小説として受け入れられるかという部分は、自分ではどうも把握するのも評価するのも難しいです。
いまはその辺は深く考えず、いつか時間が経ったら、リグレット・コレクターをもう一度読み返して考えてみようかなと思いました。


それともうひとつ、2の、藤井のキャラクターについての評も、え、そうなの?となりました。
藤井のキャラクターが弱くなったという点ではなく、前作では、黒子的存在としてミステリアスな魅力があったという点です。そういう風に感じていた人がいるとは思わず、ただただ驚きました。
前に愛理さんに藤井のキャラクターについて褒めていただいたことがあったと思うんですが、そのときも、そういう意味だとはぜんぜん気づきませんでした。

でも、驚きつつちょっと納得した部分もあります。
リバース・シンデレラの藤井は、事件のきっかけを作ったり、謎を解くのに重要な伏線を提示したりといった役割を担うことが多かったのですが、狙ってこういう役割を集中させたわけではなく、話の導入どうしよう、伏線をどうやって張ろうと悩んだとき、なぜかいつもちょうどいい場所に藤井がいたんです。藤井にはこういう行動をさせよう、と考えなくても好き勝手に動くキャラクターで、好き勝手に動いた結果、なぜかいつもいいところにいる、という感じでした。
似たようなポジションにいるはずのあかりだとこういうことは起きず、なぜか藤井限定の現象で、作者としても不思議だったんですが、そういうところを愛理さんも感じ取ってくださっていたのかな、と思いました。
そういうキャラクターなら、確かに彼からの視点描写は控えたほうが良かったかなあといまさらながらに思いましたが、後の祭りですね。
まあでも、藤井についてはあまり深く考えず、今後も放し飼いするのが一番な気がします笑


8についてですが、なるほど、森野視点の描写とは思いつきませんでした。犯人視点ではなく、森野視点でも、うまくできれば前半の弱さは解消できたでしょうね。
しかし、愛理さんは森野好きですね笑
メインキャラクターが、他人に優しく親切で、性根が真っ直ぐな面々ばかり(柚香だけは、若干違うところもありますが)なので、それらとは真逆な森野に魅力を感じるのわかります。こういうキャラクターをもっと深く絡ませられるようになれば、話に奥行きが出るだろうなと思いますが、いまだできず、です。

名もなき毒を作品内に取り入れてみてはというアドバイスも、そういう意味ですよね?
愛理さんの感想を読んで、試しに一度、推理メインでないサスペンス小説でも書いてみようかなと思いました。
読者をハラハラさせて退屈させない展開など、いままでの作品にない要素を書けば、小説を書く技術みたいなものがもう少しレベルアップできるかなあ、と。もちろん、名もなき毒も取り入れてですね。
ちょっと考えてみようと思います。「リバース・シンデレラ」シリーズの続編も、もちろん書きたいですが。


細かい部分まで指摘してくださった感想に感激して、ついついこちらまで長々と描いてしまいました。ちょっと言い訳めいたことも言ってしまいましたが、愛理さんには本当に感謝しております。
褒めてくださった部分も素直にうれしかったですし、自分に足りないところを改めて認識することもできました。ありがとうございます。

しかし愛理さん、ヤクルトファンだったんですか。ホークスじゃないんですね。意外です。
最近の神宮球場では、大差で敗れても、バレンティンがホームランを打てば勝ったかのような雰囲気が流れるという話を聞いて笑ってしまいました。これぞお祭り野球ですね。
[良い点]
博多のオサレなカフェでオサレなスイーツを食べながら「上質な小説が読みたいなぁ」とオサレな悩み事を抱えていた私にピッタリの一冊でした!


いやぁ、これは名作ですね。めっちゃ面白かったです。
読み進めているうちに、視点変更のザッピングがだんだん快感に変わっていきましたねぇ。
「リバシン」では無意識のザッピングに気持ち良く騙されましたが、今回はあえてそれを強調&強制させた上で、ほろ苦くも甘い青春ドラマを展開されるとは。
沢山の伏線を回収しながらのラストは、恍惚を覚える展開でした。
まさにこれこそ青春ミステリー。なんと素晴らしい人間ドラマ。

またキャラが生き生きしてていいんですよ。
この複雑なプロットであれだけの登場人物を動かしているのに、ちゃんとキャラが立ってるんですよね。
前作ではアホの子だったあかりちゃんが成長してたなぁ・・・。
ただのベイスターズバカじゃなかったんだ。
柚香推しでしたが、あかりちゃんに推し変しました。
一緒にハマスタのライトスタンドでデートがしたいです。お願いします。あかりちゃんのためならもっと良い席も押さえます。

私はザッピングのあるノベルゲームが大好きなので、今回は『街』とか『428』とか『かまいたちの夜3』などを思い出して、めっちゃワクテカしました。
ただ、小説としては難しい手法で、正直なところ好きじゃなかったんですよ。
文字になると視点変更のたびに意識を大きく切り替えなければならないので、小刻みなザッピングは没入感を薄めてしまうと思ってたんです。
これがゲームならプレイヤーが意識してザッピングできますし、映像なら視覚効果が高いのですぐに没入できますが、小説は作者による強制ザッピングなので、視点変更の多用は邪魔になると考えておりました。
テレビのリモコンをチャカチャカいじり、番組を好き勝手に切り替えるのは楽しいですが、他人のザッピングを眺めているのは苦痛でしかありません。
「もっと落ち着いて観ろよ」とか思うので、『冷静と情熱』ぐらい分かれているのが小説の理想だな、なんて思っておりました。

ところが、まさかザッピングを物語の主軸にして、ザッピングありきの青春ミステリーに仕立てあげるとは。
これはなかなか読める小説じゃありません。
悩みや葛藤を丁寧に描いてザッピングしていたからこそ、ラストの爽快感があるんだと思います。本当に天そばさんは、この辺りの爽快感の演出がお上手です。
完璧にストーリーに取り込まれました。お金出す価値あります。
[気になる点]
とはいえ、天そばさんとは仲良しなので、ちょいと辛辣な酷評もしてみます。
ふっふっふ。ズバズバ斬り刻みますよ。

後半は時系列を統一されたので読みやすかったですが、前半は視点移動後に「これ、誰だっけ?」と混乱することが多く、何度かスクロールを戻してタイトルの名前を確認するこがありました。
これ、たぶん本ならそこまで気にならないと思うんですが、PCなどのブラウザだと「いちいちスクロールを戻さないと名前が確認できない」という、デメリットが発生するんですね。本なら少し視線を移すだけで名前が確認できますから。
小刻みなザッピングが魅力の本作なので、後半のように時間軸を統一し、視点変更前に「次は嶋くんに移動するよ」といったような、さり気ない前フリがあるといいのかなぁ。

いや、でも移動が多いから逆にウザくなるかな・・・。
うーん。どうすればいいんだろう。
視点移動は私の苦手な分野だしなぁ。
良いアイデアがイマイチ浮かびませんが、前半に何かしらのザッピングアジャストがあると、もっと読みやすくなるのではないか、と思います。

あと、せっかくなので犯人視点が欲しかったなぁ。
いや、ユズちゃんたちを持ってくるのが一番締まると思いますし、自分もそうするとは思うんですけど、犯人とあの娘がどうなるのか、気になるんですよねぇ。
読みたいんですよぉ。不器用な2人のその後が気になるんですよぉ。
気になるし描写されないからこそ、タイトルがジーンと胸にきちゃうんですよねぇ。
この演出、ニクいですよねぇ。

きっとメールと真相に気づいたらあてもなく走り出すのかなぁ。
いざ再会したら息を切らせながら「俺、ほんとは、あの時・・・」とか言うけどそこで言葉に詰まっちゃうのかなぁ。
久しぶりに会えたあの娘は当時とあまり変わってなくて、目を逸らしていた自分の気持ちを痛いぐらいに感じちゃうのかなぁ。
だからこそ言葉が出て来なくて2人を気まずい沈黙が包むのかなぁ。
でも勇気を出せ、ここで言わなきゃ俺はいつまでも後悔を胸に抱えるだけだ、ここに後悔を捨てていくんだ、とか自分に言い聞かせて「俺・・・俺は・・・!」とか言うのかなぁ。
出来ればモンローになってて欲しいなぁ。サッカーボールとかパスしちゃったらコメディチックだなぁ。
そんな甘酸っぱい恋愛ドラマも最後に読みたいなぁ。読みたいなぁ(おねだり)
[一言]
「謎」の部分なんですが、私はペアゲームでの発言が、天そばさんの用意した最大のヒントだと見破りました。
「ふむふむ、これを軸にフーダニットを解き明かすのだな」
と、ちゃんと理解しました。さすが名探偵つばこです。
ところが、あの台詞、隣にいたアイツだと勘違いしちゃったんですよねぇ。
名探偵つばこには読解力が不足しているようです。
どれだけ考えても、アイツが犯人である理由も手段もわかりません。

さては「実はユズちゃんを守るための犯行だった」のが、「実は嶋くんに惚れていた」という設定が隠されており、「最終的にはユズちゃんに嫌がらせをする腹黒キャラ」にターンするのかな? と考えましたが、天そばさんはそんな後味の悪いオチを用意しませんでしたね。
そんなところも含めて、この作品は名作だと思います。
フーダニットはもちろん、作品の肝となるホワイダニットが極上でした。
続きが楽しみです。ハマスタのペアチケットを購入して待ってます!!
  • 投稿者: つばこ
  • 2013年 09月18日 14時29分
まさかつばこさんから感想がいただけるとは思わず、名前を見たときびっくりしました。旅の途中に読んでいただき、どうもありがとうございます。
もう博多ですか。ということは、私の出身地までくる日も近い?
これから外出するときは、MTBにママチャリ籠をつけたチャリダーさんがいないか注意深く辺りを見てみようと思います笑

まずは、楽しんでいただけたようでよかったです。
前作に比べて、今作は青春要素が占める割合が格段に強くなったのですが、この青春部分が合わない人は本当に合わないだろうなと思っていました。
なので、この青春部分を褒めていただいただけたことがすごくうれしいです。

>まさにこれこそ青春ミステリー。なんと素晴らしい人間ドラマ。

こう思ってくれる人が一人でもいたなら、完結させた甲斐があったなという心境です。
ホントうれしいです。ありがとうございます。

つばこさん、あかり推しですか笑
あかりは今作の裏主人公といってもいいぐらいの活躍だったので、気に入っていただけたのはうれしいです。
でも基本はベイスターズバカで当たってますよ。今年は念願の最下位脱出が叶いそうでほくほくでしょうね。


ザッピングですが、正直、これが書いていて一番難しいところでした。
こういう風に視点がころころ変わる小説の場合、三人称で書くのが基本、一人称は使わないほうがいいという意見をよく聞きますが、その意味が身を持ってわかりました。
視点移動のタイミング、時系列の調整などが本当に難しかったです。つばこさんを読みにくさを感じて苦労されたのも、その辺が上手じゃないからでしょうね。三人称ならもう少し読みやすくなった部分もあると思うのですが。力不足を感じます。

つばこさんの言うとおり、ザッピングアジャストをもっと入れればよかったなあと反省中です。特に女子三人の場合は、それぞれの口調、一人称に大きな違いがありませんし、その辺も混乱の原因かもしれないといま思いました。時間軸の統一は最低条件として、口調での差別化など、読み手を混乱させない配慮がもっと必要ですね。
改めて一人称多視点形式の難しさを感じます。

それでも、この話の登場人物たちの悩みや葛藤は、三人称だとどうもしっくりこないと思ったんですよね。それでこの形式にしたんですが、うーん……まだぜんぜんものになってないですね。いつかはものにしたいという気持ちはありますが。
そんな中でも、ザッピングを主軸にした点をお褒め頂いたのはうれしかったです。読みにくさを感じたことも、遠慮なく言っていただいたのは助かります。

犯人視点、というか、犯人たちの今後については、今回は想像に任せたほうがいいと思って、ああいう形にしました。
つばこさんの想像された展開、いいですね。自分の書いた作品を読んでくださった方が、登場人物たちの今後を考えてくださるなんて、こんなに幸せなことはないです。
甘酸っぱい恋愛ドラマについては、今後、書けるといいなあと思ってます笑


*この下、ネタバレの可能性あり






で、ペアゲームの例の発言、伏線だと気づいていたんですね!さすがです。
あれさえ気づけば、犯人はわかったも同然ですよね。
しかしまさか、発言者を勘違いされていたとは。いちおう、前の発言者が、「同じ〇〇部の〇〇として~」という発言をしているので、例の台詞を言っているのがどっちかわかるようにしたつもりなんですが、二人とも口調が似ているせいでちょっとややこしいですね。つばこさんが勘違いされたのもわかります。
今度こっそり修正しようと思います。

つばこさんの考えた犯人、動機もおもしろいですね。なるほどそういう手もあったのかと、目から鱗が落ちました。うーん、さすがです。
いつかはそういうブラックな話も書いてみたいなと思います。書くとしたらこのシリーズではないと思いますが。

素敵な感想ありがとうございました。
先に記したように、青春部分をほめていただいたことが一番うれしかったです。
正直、自分では出来がいいのかどうか客観的な判断ができなくてびくびくだったので、つばこさんの感想には元気をもらえました。ありがとうございます。
でも、斬るときはもっと遠慮なくずばずば斬っていただいても大丈夫ですよ^^
これからもよろしくお願いします。

旅先からの感想、ありがとうございました!
これからの道中も、どうかお気をつけて^^
[一言]
感想がまだひとつも入っていないので、書いてみました。
最初は更新ごとに読んでいたのですが、こりゃ前半部分を忘れてしまうからまとめて読んだほうがいいと判断し、今日まとめて十話を読んでまでの、感想です。

前半少し書き込み多いかなと思っていましたが、少しずつテンポがよくなり、文化祭当日からは話が転がり出して快調です。学生証が紛失してからは、先が気になっております。

森野くん出てきてくれたのは嬉しいです。盛り上がってきました。鬼太郎のねずみ男効果です。
藤井くんの、アリスはちょっと見たかったかな。余談ですが、むかし女装をしたことがあり、すね毛を剃って、初めてストッキングがフイットするという感触を体感しましたっけ。(笑)

推理小説としては、「なんちゃって盗難事件」のバリエーションだろうか、てな具合に読んでいます。鞄の見た目の違いにヒントがあるのか?
ほかには、クライマックスは演劇の舞台かな・どうまとめるんだろう・嶋くんに結果出させるのかな(心配)・前半の、ちょっと多いかなと感じた書き込みは読者を最後で納得させるためだよな(ここが一番難しい)・クライマックスに流れ込むくだりで、どんな手腕をみせてくれるのか、いまから期待大。

ハハハ、すごいプレッシャーかけています。
一番楽しみにしているのは、森野くんのこの先の活躍かも、だったりしてです。
  • 投稿者: 愛理 修
  • 男性
  • 2013年 02月09日 23時39分
愛理さん、感想ありがとうございます^^
このタイミングで感想がもらえるとは思っていなかったのでびっくりです。



愛理さん、森野がお気に入りなんですね笑
ねずみ男効果という表現、めちゃくちゃ納得しました。いわゆる子悪党ポジションですからね。
余談ですが、ホラーモノはあまり読まない私ですが、ゲゲゲの鬼太郎は大好きです。
むかし行っていた保育園で、よくビデオが流れてたんですよねー。そのときに観てたシリーズのDVDBOXは購入して、手元に置いてあります。「遊園地の吹き消し婆」の話が痛快で好きです(マニアックすぎますね^^;)

推理小説としての趣向は……まだほとんど要素が出てきていないので、深くは申し上げられませんが、ロジック型に分類されると思います。愛理さんが納得できるようなレベルになっているといいのですが^^;
話の展開としては、文化祭が舞台なので、それっぽいイベントも出てくる予定です。

で、前半部分が少しテンポ悪く感じたんですね。
個人的にも、文化祭の前日に一章をまるまる使うのはどうかなーと思ったのですが、やはり書き込み多く感じましたか。後半の展開などを見据えると、あかり・藤井・嶋の心境を先に描いておいた方がいいかなと思っててああなったのですが、このへん、やはり難しいですね。
借家幽霊の感想で、前半が少し読みにくかったとか言った私ですが、人のこと言えないですね^^;
こういった意見は貴重なので、大変うれしいです。ありがとうございます^^
更新ごとに読んでいたら前半部分を忘れてしまうと思ったというのも耳が痛いです。
更新の間隔、空きすぎですもんね。もうちょっと頻繁に更新できるよう、頑張ります。

ようやく事件が発生して、これから捜査に乗り出すので、テンポもよくなると思います。
いろいろと期待していただけるのはプレッシャーも感じますが、光栄だと思って頑張ります!
これからも、ぜひ忌憚ない意見をお聞かせください^^

しかし、まさか愛理さんに女装の経験があったとは……
感想がきたことにもびっくりですが、ここに一番びっくりしました笑
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