感想一覧
▽感想を書く[良い点]
・短文、体言止めの使い方が秀逸。全く多すぎると思わなかった。
・一度読み、二度読み、ちがった楽しみ方ができる。
[気になる点]
・読みにくいと言えば読みにくい。けれどそれがこの作品の味であり、魅力であるので私は悪い点だとは思わない。
[一言]
鮮やかな音の世界。外の世界を、色を、拒絶する少女が最も見たくないものは自分自身なのでしょうか。
何故か春琴抄を思い出しました。
・短文、体言止めの使い方が秀逸。全く多すぎると思わなかった。
・一度読み、二度読み、ちがった楽しみ方ができる。
[気になる点]
・読みにくいと言えば読みにくい。けれどそれがこの作品の味であり、魅力であるので私は悪い点だとは思わない。
[一言]
鮮やかな音の世界。外の世界を、色を、拒絶する少女が最も見たくないものは自分自身なのでしょうか。
何故か春琴抄を思い出しました。
[一言]
他の方も言っておられましたが「ぼく」という表現にやられました。
年頃の女の子だって分かるまでずっと小さな男の子のイメージで読んでいましたもので。
ですからタクヤは優しいお兄さんではなく彼氏だったのですね。
それを踏まえてもう一度最初から読み直すとまったく違う作品みたいにイメージが変わりました。
一つで二度おいしい物語って言うんでしょうか。
盲目の少女が健全な世界で暮らすよりも闇に閉ざされた世界を望むことがなんとも悲しいですね。
タクヤみたいな素敵な彼氏がいるのに、彼を見られない世界でいることを望む理由を知りたくなりました。
たとえ光りが怖くても好きな彼氏を見られない方が不幸な気がするんですよね。
もしかすれば、これが健全者と全盲の人それぞれの認識の違いなのかもしれません。
他の方も言っておられましたが「ぼく」という表現にやられました。
年頃の女の子だって分かるまでずっと小さな男の子のイメージで読んでいましたもので。
ですからタクヤは優しいお兄さんではなく彼氏だったのですね。
それを踏まえてもう一度最初から読み直すとまったく違う作品みたいにイメージが変わりました。
一つで二度おいしい物語って言うんでしょうか。
盲目の少女が健全な世界で暮らすよりも闇に閉ざされた世界を望むことがなんとも悲しいですね。
タクヤみたいな素敵な彼氏がいるのに、彼を見られない世界でいることを望む理由を知りたくなりました。
たとえ光りが怖くても好きな彼氏を見られない方が不幸な気がするんですよね。
もしかすれば、これが健全者と全盲の人それぞれの認識の違いなのかもしれません。
[一言]
こんにちは。『ごくさいしき』読ませていただきました。私は企画参加者ではないですが、読んでよかったなあと思ったので色々書かせていただきます。
文体のリズムが、テンポよく且つ新鮮で読みやすく、同時に詩のようで五感に自然と焦点が当たり、工夫を感じました。
『日常は極彩色。十人十色。みんなちがって、みんなキライ』
みんなちがって、
起きる時間にしろ貧富にしろ人と人との間には色々な差があって、それを見ると、感じるのが優越感にしろ劣等感にしろ、多少以上の苦しみや罪悪感を覚える。
みんなキライ、
お隣の田中さんの声や抜き打ちテストをする先生、ナンパしてくるふりょーしょーねん、ぼくっ娘の自分などなど、世界には色々な人がいて、だいたいの人間と自分はえてしてソリが合わないもので、嫌だったり人間関係に苦しんだりする。
ダブルミーニング……?
文章のひらがな率や擬音の使い方、主人公の行動に見られる幼さ(あくまでも文明に生きる社会人がこうした状態を「幼さ」と型にはめただけの言い回しですが他の言い方を私は知らないので幼さと言わせていただきます)が、適応規制(適応障害?)的に目を塞がせて、極彩色で刺激の強い環境から自分自身を守っている。そんな姿と重ねて見えました。
主人公はそんなピンキリの差がある極彩色(派手でけばけばしい、の意でしょうか)の世界に目を塞いで、法師が山に籠もるように自分の部屋に閉じこもってしまう。普通の人なら、じきに現実とのがまん比べに負けて学校や会社に向かうでしょう。でも、小説の思考実験的なifのためか、主人公は(おそらく)一人暮らしで愛のために尻を叩くような親もおらず、逆(?)にタクヤという甘え依存できる存在(悪い言い方をすれば、都合のいい人。)がいて、面倒を見てくれて、だから不登校になれて、目を塞いでいられる。
最後にタクヤがアイマスクを外させたのが、本当に好きだからこそなのか、殻に籠もっている姿に苛立って自棄気味になってのことなのか、自分を見てほしいからなのか、なんて点も考察しがいがあって物語が深くなっているなと思い、タクヤの動機も主人公の幼さも含めて、成長してからまた読み直したいと思う要素に溢れた作品でした。
愛し合うほど堕落するパラドクス、みたいなこういう構図が私はとても好きです。とてもすてきに感じました。
よい作品にまた出会えてよかったです。これからも応援しています!
こんにちは。『ごくさいしき』読ませていただきました。私は企画参加者ではないですが、読んでよかったなあと思ったので色々書かせていただきます。
文体のリズムが、テンポよく且つ新鮮で読みやすく、同時に詩のようで五感に自然と焦点が当たり、工夫を感じました。
『日常は極彩色。十人十色。みんなちがって、みんなキライ』
みんなちがって、
起きる時間にしろ貧富にしろ人と人との間には色々な差があって、それを見ると、感じるのが優越感にしろ劣等感にしろ、多少以上の苦しみや罪悪感を覚える。
みんなキライ、
お隣の田中さんの声や抜き打ちテストをする先生、ナンパしてくるふりょーしょーねん、ぼくっ娘の自分などなど、世界には色々な人がいて、だいたいの人間と自分はえてしてソリが合わないもので、嫌だったり人間関係に苦しんだりする。
ダブルミーニング……?
文章のひらがな率や擬音の使い方、主人公の行動に見られる幼さ(あくまでも文明に生きる社会人がこうした状態を「幼さ」と型にはめただけの言い回しですが他の言い方を私は知らないので幼さと言わせていただきます)が、適応規制(適応障害?)的に目を塞がせて、極彩色で刺激の強い環境から自分自身を守っている。そんな姿と重ねて見えました。
主人公はそんなピンキリの差がある極彩色(派手でけばけばしい、の意でしょうか)の世界に目を塞いで、法師が山に籠もるように自分の部屋に閉じこもってしまう。普通の人なら、じきに現実とのがまん比べに負けて学校や会社に向かうでしょう。でも、小説の思考実験的なifのためか、主人公は(おそらく)一人暮らしで愛のために尻を叩くような親もおらず、逆(?)にタクヤという甘え依存できる存在(悪い言い方をすれば、都合のいい人。)がいて、面倒を見てくれて、だから不登校になれて、目を塞いでいられる。
最後にタクヤがアイマスクを外させたのが、本当に好きだからこそなのか、殻に籠もっている姿に苛立って自棄気味になってのことなのか、自分を見てほしいからなのか、なんて点も考察しがいがあって物語が深くなっているなと思い、タクヤの動機も主人公の幼さも含めて、成長してからまた読み直したいと思う要素に溢れた作品でした。
愛し合うほど堕落するパラドクス、みたいなこういう構図が私はとても好きです。とてもすてきに感じました。
よい作品にまた出会えてよかったです。これからも応援しています!
[一言]
私は無知なもので、「極彩色」という単語を知りませんでした。それで調べてみたところ、この作品のすべてをあらわしていると感じました。
「もろい」と感じました。もちろん文体の話です。
それが主人公の最後――「ぼくは盲目になりたかった(から終わりまで)」という文を描くために作られたのではないかな、などと考えるくらいに、オチがストン、と。
納得できないようで、できる。まさに奇妙な作品でした。
執筆おつかれさまでした。
私は無知なもので、「極彩色」という単語を知りませんでした。それで調べてみたところ、この作品のすべてをあらわしていると感じました。
「もろい」と感じました。もちろん文体の話です。
それが主人公の最後――「ぼくは盲目になりたかった(から終わりまで)」という文を描くために作られたのではないかな、などと考えるくらいに、オチがストン、と。
納得できないようで、できる。まさに奇妙な作品でした。
執筆おつかれさまでした。
- 投稿者: 退会済み
- 2012年 11月24日 23時08分
管理
[一言]
こんばんは、企画参加者の高砂です。遅ればせながら拝読いたしました。
擬音語を多用するとこんなにも独特の文章になるのだなぁと驚きました。更に、同じ語のくりかえしは恐怖をさそうとどこかで読んだことがありますが、まさにこれがそうなのかもしれないと感じました。
「ぼく」の性別や狂言など、二重三重のミスリードを誘われた上での「健常者は健常者らしく~」のくだりが印象的でした。
執筆お疲れさまでした!
こんばんは、企画参加者の高砂です。遅ればせながら拝読いたしました。
擬音語を多用するとこんなにも独特の文章になるのだなぁと驚きました。更に、同じ語のくりかえしは恐怖をさそうとどこかで読んだことがありますが、まさにこれがそうなのかもしれないと感じました。
「ぼく」の性別や狂言など、二重三重のミスリードを誘われた上での「健常者は健常者らしく~」のくだりが印象的でした。
執筆お疲れさまでした!
[一言]
世奇妙SSコンテストに参加いただき、ありがとうございます! 拝読しました。
今までに見ない方式の小説だと感じました。普通は、擬音を使うのは避けがちになります。文章が幼稚っぽくなり、作者の描写力の低さを露呈することになってしまうからです。
しかし、あえてそれを一人称の視点で多用することで、主人公の心の幼さや弱さが表現されています。
物書きとして、非常に勉強になりました。レベルの高い作品です。
私にはマネできない書き方です。もし書いたら、丁史さんのパクリになってしまう。物書きとしてのアイデンティティが強く表れていると思います。
執筆お疲れさまでした。これからも、丁史さんの小説が読めるのを楽しみにしています!
世奇妙SSコンテストに参加いただき、ありがとうございます! 拝読しました。
今までに見ない方式の小説だと感じました。普通は、擬音を使うのは避けがちになります。文章が幼稚っぽくなり、作者の描写力の低さを露呈することになってしまうからです。
しかし、あえてそれを一人称の視点で多用することで、主人公の心の幼さや弱さが表現されています。
物書きとして、非常に勉強になりました。レベルの高い作品です。
私にはマネできない書き方です。もし書いたら、丁史さんのパクリになってしまう。物書きとしてのアイデンティティが強く表れていると思います。
執筆お疲れさまでした。これからも、丁史さんの小説が読めるのを楽しみにしています!
[一言]
企画参加者のつるめぐみです。
拝読いたしました。
独創性のある作品だなという印象をまず持ちました。
普段音というものは自然と耳に入ってくるものなので、こうして文字にするとまた違った世界になりますね。
確かに「奇妙」なことだなと。
同時に見えるということは、見たくないものも入ってくることだという痛烈なテーマ性も感じました。
擬音語が多いと煩いと感じるものですが、題材に見事にマッチしていました。
気になった部分をいうと盲目と健常者の点です。
こういった題材はかなりシビアなものになるので、主人公の語りの一文は無理して入れず、はずしても良かった部分ではないかなと感じました。
こういった責めの挑戦ともいえる描写は自分にはできないので、すごいなと読了して息をついていました。
読ませていただきありがとうございました。
企画参加者のつるめぐみです。
拝読いたしました。
独創性のある作品だなという印象をまず持ちました。
普段音というものは自然と耳に入ってくるものなので、こうして文字にするとまた違った世界になりますね。
確かに「奇妙」なことだなと。
同時に見えるということは、見たくないものも入ってくることだという痛烈なテーマ性も感じました。
擬音語が多いと煩いと感じるものですが、題材に見事にマッチしていました。
気になった部分をいうと盲目と健常者の点です。
こういった題材はかなりシビアなものになるので、主人公の語りの一文は無理して入れず、はずしても良かった部分ではないかなと感じました。
こういった責めの挑戦ともいえる描写は自分にはできないので、すごいなと読了して息をついていました。
読ませていただきありがとうございました。
- 投稿者: 退会済み
- 2012年 11月10日 07時58分
管理
[一言]
こんばんは!
企画参加者のいき♂です。
リズミカルでテンポもよく、かぎ括弧なしでも会話の様子が伝わってくる。
音を頼りに世界に触れる様子を文字に表すと、そのままこんな感じなんだろうな、などと想像しつつ拝読しました。
ラストで符合するタイトルの意味。
とても興味深いオチでした。
素敵な読書時間をありがとうございました。
こんばんは!
企画参加者のいき♂です。
リズミカルでテンポもよく、かぎ括弧なしでも会話の様子が伝わってくる。
音を頼りに世界に触れる様子を文字に表すと、そのままこんな感じなんだろうな、などと想像しつつ拝読しました。
ラストで符合するタイトルの意味。
とても興味深いオチでした。
素敵な読書時間をありがとうございました。
[一言]
読ませていただきましたので、感想などを書かせていただきます。
難しいなぁ、この作品は。「手古摺る」というのか「手強い」というのか。大胆な表現と文章構造でチャレンジしていることに拍手を送りたいです。ここまでの作品をショートショートで書かれたことが凄いと思います。見習いたいとか書いてみたいと思うけど、おいそれとは出来ないだろうなぁ。
擬音は、彼女にとって言葉と同じ意味を持っていて、そして言葉との差別も区別もない。そして、最後に闇から光があふれる世界へと開かれていくという展開で「聴覚とは? 視覚とは?」という話で、改めて考えてみると聴覚とか視覚とかは奇妙なモノかもしれない……と推察しましたが、如何でしょうか? ……たぶん、解釈が全面的に間違っているだろうなぁ。(汗)
もう少し「分かる」部分があると良かったのではないかな、という蛇足な意見を最後に付け加えておきます。
充分に頭を使った、楽しい読書の時間をありがとうございました。
読ませていただきましたので、感想などを書かせていただきます。
難しいなぁ、この作品は。「手古摺る」というのか「手強い」というのか。大胆な表現と文章構造でチャレンジしていることに拍手を送りたいです。ここまでの作品をショートショートで書かれたことが凄いと思います。見習いたいとか書いてみたいと思うけど、おいそれとは出来ないだろうなぁ。
擬音は、彼女にとって言葉と同じ意味を持っていて、そして言葉との差別も区別もない。そして、最後に闇から光があふれる世界へと開かれていくという展開で「聴覚とは? 視覚とは?」という話で、改めて考えてみると聴覚とか視覚とかは奇妙なモノかもしれない……と推察しましたが、如何でしょうか? ……たぶん、解釈が全面的に間違っているだろうなぁ。(汗)
もう少し「分かる」部分があると良かったのではないかな、という蛇足な意見を最後に付け加えておきます。
充分に頭を使った、楽しい読書の時間をありがとうございました。
[良い点]
丁史ういな先生こんにちは。
本作を拝読しました。独特の作風で味があっていいですね。ショートショートに新風をということなのでしょう、お上手だなぁと思いました。新鮮味に溢れていて楽しまさせていただきました。こういう作品も面白くて好きですね。この作品は書くのが難しそうで丁史ういな先生の実力の高さを感じました。キャラクターも魅力的で良かったです。
素敵で面白い作品をありがとうございますm(__)m
これからも執筆活動頑張ってください(^0^)/
陰ながら応援しております!
丁史ういな先生こんにちは。
本作を拝読しました。独特の作風で味があっていいですね。ショートショートに新風をということなのでしょう、お上手だなぁと思いました。新鮮味に溢れていて楽しまさせていただきました。こういう作品も面白くて好きですね。この作品は書くのが難しそうで丁史ういな先生の実力の高さを感じました。キャラクターも魅力的で良かったです。
素敵で面白い作品をありがとうございますm(__)m
これからも執筆活動頑張ってください(^0^)/
陰ながら応援しております!
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