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[一言]
本当はShineより先に読み上がっていたのですが……
気持ちの整理をつけるのに、随分と時間がかかってしまいました。
作中で描かれた祈りというものを、どうやって受け止めるべきなのかが分からなかったのです。

人々は皆、抗いようのない大きな力に翻弄されていて、だから、祈ることしかできない。
そうした祈りを背負うことを使命として受け入れるピウラの犠牲は、間違いなく尊いものです。

でも、多分この話の舞台は、空から神様が降ってきて願いを叶えてくれるような世界ではないんですよね。
願いが叶うかどうかに関わらず、祈ることの持っている意味。
それは、無力な人間にとって、祈ること自体が一つの救いであるということだと思います。

ピウラとの誓いを経て、人々の祈りを受けとめるため、そして、抗いようのない力に立ち向かうためにユタが研鑽を詰むところまで、スマートで綺麗な展開でした。
活き活きとした人間像も、印象的なシーンもあるのに、その全てがテーマに向かって収束していることに驚きを覚えます。
そういう意味では、shineよりもさらに純度の高い作品に仕上がっているのではないでしょうか。

単品のシーンで好きだったのは、やはり終盤の山場でした。
ピウラをユタが追いかけるシーンはクライマックスにふさわしい盛り上がりと演出ですね。
カントゥータに関しては、大事なシーンがあっさりしてるとか誰にも言わせません。
ピウラ渾身の気付かないふりが……私、弱いんですよ、こういうの。
yamayuriさんずるい、ずるすぎる><

拙い作品にそこまで思い入れしてくださって、嬉しいかぎりです。

>どうやって受け止めるべきか

なるほど。この作品を理解されるのに時間が掛かったというのは、私がインカのシリーズを書く為に資料を読みながら感じたことと同じ類なのかもしれません。
インカおよびアンデス文明を理解するためには、現在の、キリスト教圏の価値観が強く影響している社会の価値観を根底から覆して考えなくてはなりませんでした。

アンデスの社会では、国(部族)同士の関係であっても、神と人との関係であっても、何かを相手から得るためには必ず同等の価値のものを差し出さなくてはなりませんでした。
それゆえに、相手に従ってほしいと思うときは先に価値のある贈り物を気前よく渡して『お願い』する。
同じように神に救ってほしいと願うときは、それに見合うだけの『犠牲』を捧げなくてはなりませんでした。その願いごとが大きければ大きいほど『犠牲』は人々の間で最も尊いものでなくてはならなかった。いちばん尊いもの=子どもの命だったわけです。

白えんぴつさんも直接ご覧になったというフアニータは、おそらく国の最も深刻かつ重要な局面に捧げられた『犠牲』です。

この子どもの犠牲について以前は『残酷で野蛮な風習』とする説が多かったのですが、科学的な分析が進むに従って、この子どもたちは当時の社会としてはかなり栄養価の高い食事をしていたことが分かり、健康で、身につけているものは高価なものばかりでした。
さらに高い山の上に自力で歩いて登ったのですから、嫌がるものを無理やり連れていったわけではないことが分かります。

インカの社会全体で、神(ここでは自然物、自然現象)とは、到底人智の及ぶものではなく、その恩恵を受けたり災厄を回避するためには犠牲を捧げて願うことしかないということを共通理解していたのでしょう。

お祈りすれば神様が願いを叶えてくれるといったご都合主義ではなく、大きな苦しみを引き換えにしなくてはいけないものでした。それほど自然に対して畏怖を抱いていたのでしょう。

こういった独特の宗教観は解説するとキリが無く、クドくなってしまうので、童話という形を取ったのは結果的に良かったと感じています。
ピウラが山で命を落とすことも、敢えて説明せずに『山に行った』というだけに止めることができました。ユタがそこまで察していたのか。六歳児の一人称は、あくまで本人がそう感じことが結論なので、深い追及をせずに済んで助かりました。

子どもの一人称は言葉選びが難しいですが、主人公の主観だけで済むのだから、本当に必要なものだけを取り出して流していけばいいという利点もありますね。
その点で『純度が高い』という印象を持っていただけたのではないかと思います。

>ピウラの気付かないふり

気が強くて負けず嫌いの性格なのに、強がっていながらも実は素直でかわいいというのをピウラの魅力にしたくて、彼女の行動をひとつひとつ考えていました。最後にいちばん強く印象付けられたならと考えついたのがこのシーンです。

このお話に込めたさまざまな『狙い』をすべて汲んでくださって、本当に嬉しいです。
童話という表現方法が限定されるものでも、伝えることはできるのだと知ってとても自信になりました。

ご感想ありがとうございました!


  • yamayuri
  • 2013年 07月18日 22時34分
[一言]
innka
asuteka
たからくじに
あたったらいきます
  • 投稿者: ブルー
  • 2013年 06月23日 20時21分
ブルーさん、はじめまして。

宝くじに当たったら、1ヶ月くらい滞在してゆっくり遺跡めぐりしたいものです!(^^)
  • yamayuri
  • 2013年 06月26日 20時13分
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