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[一言]
こんにちは、熟雛さん。伊勢です^^

熟雛さんの物語がとても面白いのと、熟雛さんの性格がとてもよろしいのとが合わさって、よし、考えてみるぞ! と思うわけです。私が凄いとかではなくて、そういう気にさせる熟雛さんが凄いのだと思います^^

『少女眩幽譚』は、初め、優しい少女・村内まりかが、笹野こよりという少女がこの世にいたことを教える・あるいは忘れさせないために、笹野こよりの幽霊がいるという演技をし、噂を立て、噂に呑まれた人は笹野こよりの存在をはっきりと認知する。けれど親友・三条まつりが呑みこまれそうになった渥美なつきが黙って見ていられず、『もういいんだ』『いないんだ』と再確認させることで事件が収束したのだと思っていました。

しかし、改めて読んでみると、村内まりかはひどく怪しいんですね(汗)
『山崎さん』の話で、村内まりかは『優しさ』の裏で、密かにいじめを主導する陰湿な人物のように感じられます。自分は標的に寄り添ってなんの怨みも受けず、のうのうと親友の顔をしている。でも影では標的へのいじめの指図をしている――。そういう風にも、見えました。
もし山崎さんの勘が確かだとすれば、こういうお話に早変わりします。よく見れば『笹野さん』のお話でも、金江さん(?)が

>ああ嫌だ嫌だ。見ないでよ。こっち見ないでよ。村内さんを見ないでよ。だって村内さんは――。

と意味ありげなことを言っていますしね。それに、

>ああ嫌だ。気持ち悪いわ。あの顔。そうあの顔よ。/青くて白くて薄気味悪くて、不細工でそれって本当に引くわ。

と、いじめ側であることをそれとなく暗示していますし。このような友だちを持ち、なおかつ怪しい発言をされていては村内まりかはいよいよその姿を変えていきます。

ですが、だとしたらどうして村内さんはこんな事件を起こしたのでしょうか? 相手はいじめていた少女。気に病む必要もかまってやる必要も無いはずなのに。
いじめていたのでは? という疑いをそらしたかったからでしょうか?
もしかすると、友だちのふりをして接するうちに段々と罪の意識が芽生えたのかもしれません。死んだ笹野さんに後悔の念が生まれたのかもしれません。その感情は彼女に苦しい眩暈を生じさせました。
だから、その罪の意識から逃れるために、『まだ生きている、そこにいるんだ。だから私は罪の意識に苛まれる必要はないんだ』とこのような事件を起こし、結果的に笹野さんの存在を教える、忘れさせない意識の渦へ人の心を巻き込んでいったという、『良いことなのか悪いことなのか』分からないことをしたのかもしれません。
そして渥美なつきにより罪の意識から解放され、事件は収束したのです。
その一方で、笹野こよりはただ村内さんを信じていました。疑っていた所もあったのかもしれませんけれど、彼女とのふれあいが、偽りだろうと、楽しい、嬉しい、存在を認知されている、と思えたことは、事実だったのですから――。
これが、『それだけのお話』、少女たちの、小さなお話。けれど、どこか儚くて、切ないお話。

……というのが、前にも増してとんでもない私の妄想です^^;
自信はありませんが、こういうお話というのもいいものじゃありませんか? えっ、ダメ、ですか(汗)

そういえば、足立さんは、あれ、なんでしょうか。無理矢理いじめに加担されていた人物なのでしょうか。積極的ないじめではないけれど、無視するといういじめに。
ただ、足立さんは本心はそうではないから、誰もいない所では話しかけたりするのかもしれません。そして、口では『知らない子』と言っても、『忘れないよ』と暗に本心を仄めかしているのかもしれません。もしくは、本当にただ単に忘れ去っているだけなのかもしれませんが……。だとすれば、笹野さんの儚さというのが際立ってきますね(しんみり)。

それから金江さんは、笹野はいじめられて当然のやつだった、と言っていたら、丁度その時罪の意識に苛まれていた村内さんに『誰だ、友だちじゃない』と切り捨てられてしまったのでしょうか。そうだとしたら、自業自得ではありますけど、それはそれで悲しいものがありますね。あの後、金江さんも巻き込まれてしまったのでしょうか。笹野さんが『見えて』いましたし。


以上、また長々と妄想を書き散らしてしまいましたが、とにかく言いたいのは、この作品が心に残るとても良い作品だということですっ。熟雛さまバンザイ!(笑)

熟雛さんのお話は、確かに私の記憶となりましたよ。
伊勢さま、またまたご感想寄せて頂き感無量にございます^^
いえいえ、わたしの作品なんぞアマチュア道を真っ直ぐ行進する些末な作品でございます。
大きなお世話かも知れませんが、こういう作風がお好きならば七川迦南先生の『七つの海を照らす星』と続編『アルバトロスは羽ばたかない』をオススメ致します。
児童養護施設を舞台にした不思議なミステリーで、かなり拘られ考えられた良作ですので興味がございましたら読んで見てください。
まあそうは言っても作風は全然違いますし、七川先生の作品はきちんとしたミステリーなので比べたらダメなんですが……(笑)

さて伊勢さまの考察、またも素晴らしいと言わざるを得ませんね。

ただあとがきにも書きましたように、この作品には正解がございません。読者が想像し導きだした答えはすべて正解であり不正解でもございます。

ですので伊勢さまが構築した物語はすべて素晴らしいものであり、間違った点というのもないのでございますよ。

ただわたしから言えることは『人の心は決して一筋縄ではいかない』ということです。
人の心や気持ち、感情や情緒というのは一本筋が通ったものでは決してないのです。
愛した人も嫌いになる。好きな食べ物もいつかは飽きる。虫も殺せぬ人間が、明日は人を殺すかも知れない。

決して一つの視点では捉えれないもの、それが人ではないでしょうか?

村内さんも笹野さんも人にございます。ですので簡単な関係ではないのでしょうね。わたしはそう思います。

ですので伊勢さまの想像はそういった面からも素晴らしいものと言えるのです^^

そして、そんな不思議な物語を“彼女”はどう解いたのやら……。

すべては淡い陰の中。
此方の暗闇だけが知る、小さなお話。そして『それだけのお話』にございます。

伊勢さまの中で少女達の幽かな心が物語を形成したことを嬉しく思います。

伊勢さまには本当に励まされましたよ。何度感謝を申し上げても足りません。

本当に、ありがとうございました^^





  • 熟雛
  • 2013年 04月09日 20時17分
[一言]
初めまして、伊勢めじろといいます。熟雛さんの作品楽しく読まさせていただきました。

私は、この作品は確かに『それだけのお話』だと思いました。思いましたが、最後の『笹野こより』を読んでから前の話を思い返すと、妙に切なくなって、そして心が温まりました。

淡々とした歯切れのいい文章に、少女たちのそれぞれの思いが色濃く描かれています。
笹野さんが村内さんに出会えてよかった。こんなにまで思い続けてくれる人に出会えるのは理想です。

また何回か読み返してみます。作者の意図はどうであれ、読む人に何らかを考えさせ、何かを残す作品は、とてもいいものです。

ありがとうございましたっ。
伊勢さまご感想ありがとうございます。なおかつ読み直すまでの熟読、大変嬉しく思います。

この作品は読者の中で幅広い展開が出来るよう様々なギミックを置いております。
当然どれが正解というものはありません。伊勢さまの気に入る展開で読みといて頂ければ幸いにございます。
また何か面白い展開や疑問点などあればいつでも教えてくださいまし。

  • 熟雛
  • 2013年 03月28日 22時54分
[良い点]
それぞれの少女の考え方、感じ方、あり方が書き分けられています。少女たちの魂を垣間見るようで、読んでいてドキドキ、そわそわ、ゾクゾクします。
[一言]
『事件、解決、結末』を読者にゆだねているお話ですが、自分はそれらを組み立てませんでした。
笹野さんと村内さんを中心とした、少女たちの魂の一片をのぞき見するような、つまみ喰いするような気持ちで読みました。
下山さまご感想ありがとうございます。
少しでも下山さまの感覚を刺激できて良かったです。

作者の意図など本来不要なものです。どのような読まれ方でも作者としては嬉しく思います。つまみ食い、大いにけっこうでございますよ(笑)。ありがとうございます。

下山さまの作品も読ませて頂きますね。
  • 熟雛
  • 2013年 03月22日 20時06分
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