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[一言]
感想依頼で参りました後藤です。
改訂前の作品を拝見したことを踏まえての感想になります。
まず結論から参りますと、まだまだ甘い。いきなりですが、変更されて改善された面も多々見られる反面、変更されたからこそ生じてしまった問題もあるように思われます。
とりあえず全体的に書いていきます。
書き方としては描写が甘く、また視点が定まりきってはいないように思われます。
冒頭の「未完成の塔と二人分の影」という表現。この中にな問題が含まれている可能性があります。
未完成の塔の意味している内容が伝わりません。
材質が不明。石造りと考えられますが、木造建築もあり得ない話ではありません。そもそもこれはファンタジーです。他に建物が登場していない以上、建築資材に基準はなく、最初の建物である塔が基準となります。
早い話が、どんなものできているのかわかりません。
また高さや大きさの情報もありません。そして、未完成と言っても様々です。内装ができていないだけかもしれません。途中で建築が止まっていた屋根がないのかもしれません。まさか基礎工事の段階で止まっていて、野ざらしの土台だけということはないと思うのですが、それでも未完成の塔であることは同じです。
そして、主人公がいる場所もわかりません。塔にいることは間違いないようですが、室内かもしれませんし、未完成ということは天井のない屋上部分かもしれません。
塔の素材は石かもしれないし、木かもしれなければ、他の未知の物質かもしれません。
塔の状態は内装ができていないだけかもしれませんし、土台だけ、あるいは途中で止まっているのかもしれません。
主人公のいるところは室内かもしれませんし、屋上かもしれません。あるいは、未完成部分の天井のない屋上部分かもしれません。
ざっと3の3乗通りの場合分けが考えられます。27通りの情景が考えられるということです。
また、最初の二人分の影という表現は違和感があります。視点者が自分の姿を見ることができない以上、二人分の影となると他に二人の人がいるかのような錯覚を与えてしまいます。
一人称は登場人物の感覚で物事を表現することができます。それは長所であり短所です。反対に感覚から外れたことは表現できないからです。
この場合、視点者がどんな状況で、どんなことを考えながら、どんなことをしているのかにややちぐはぐ感がありどうしてもわかりにくいと感じています。
押しつけのようになってしまいますが、一つの改善策としてはこんなことが考えられます。
まず、塔のことを視点者に徹底して語らせましょう。
たとえば、石造りで、監視塔として作られた塔で周囲の湿地帯を監視するために作られたと説明します。これで、周囲の環境と塔の様子や大きさが大体ですが整います。
後、まだ未完成で、中腹の宿舎部分がむき出しになっている。だから月がこれまでにないほどよく見えたとか。この世界に月があるのかわかりませんが、これで視点者がむき出し部分にいること、天井のない部屋の中で座っていることがわかります。
ただし、一人称では不必要な描写は厳禁です。なぜなら、人はいちいち周囲のことを事細かに頭の中で説明なんてしないからです。そこで、それは相手が躊躇している間の時間稼ぎだったと表現しておきます。
描写はマクロからミクロが基本のようです。そのため、周囲の様子を暇つぶしとして表現しておいて、しびれを切らせた形で相手に話しかけることでミクロな視点に変更していく。そんな流れです。
火のついた台座に飛び乗った人が火を踏み消しているなど細かく考えられた描写があるなど、無頓着だとは考えられません。ただ、やはり何を表現するか、そんな具体性が全体的に弱い。
まず、これが一点。
次に、黒王について。
以前よりもスピード感が増したように思われます。でも、ここの問題を提起しておきます。
今度はやや早い。
以前は冒頭の印象に比べてスタートが遅いと感じていました。今回は置いて行かれている印象変わってしまったような気がします。
その理由として、以前は母国が存亡の危機にあると知りながらなかなか動きだそうとしていない点に違和感を覚えていました。今回はよくわかっていないうちから動きすぎているというような印象です。
前回は死んだ理由が明確ではなく、そのため私の勝手なイメージとして志半ばで倒れたかのような印象にまとまっていたようです。ところが、今回は黒王が自ら進んで死を望んでいるように見えました。すなわち、自ら王の座を退いているのです。
理由ははっきりとしませんが、すべてを任せられる後任がいたからこそ死にことができたと考える方がやはり自然です。仮に後任もいないのに死んだでは責任逃れもいいところです。となると、黒王のすでに自らの責任、役割は終えたと判断し眠りについたことになります。
そうして場合、すでに一度王位を譲った人物が、新しい生を得たとは言え今更、国に未練や望郷の思いを抱くというのは不自然ではないしても違和感があります。
死ぬことができないほど未練を残していたにしては、冒頭の場面はあっさりと死を受け入れているように見えます。しかし、復活してみるとやはり赤の国への憎しみを捨て切れていません。国のためにまだ戦うことを望んでいるようでさえあります。
今度はこの点に乖離が見られるように思われます。
改訂前では前屈みのスタートなのになかなかお話が進まなくて、今回は後ろ向きなのに進もうとしすぎている。こんな印象ではないかと。
自分の役割は終わったかのように冒頭では言っているように見える黒王が、それでも赤の国の人間を見ると襲いかかっている。そんなに憎しみや敵意が激しいのであれば生前、なぜ死ぬことを選んだのかわからない。そんな印象なのです。
冒頭で黒王がなぜ死を選んだのかが不鮮明で、そのためお話についてくことができていない状況です。
もちろん、戦闘から得られた情報も多くあります。魔法の存在や使い方、赤の国との対立など。ただ、同時に以前に比べると黒王のすべきことがわかりにくくなってしまったような印象でもあります。
設定としては、魔物が制御を離れ暴れ出し国々を襲っている。この状況を収拾するためにはかつての黒王を復活させ、改めて王となってもらうことで鎮める他ない。こんな印象だと思うのですが、これが、実はうまく伝わっていません。
なぜなら、切迫感がないからです。
またまた押しつけですが、具体例ですと免罪符を求めて例示してみます。
まず、赤の国は滅亡しそうな状況にある、そんなことですね。
これを示すためには、赤王に余裕がありすぎることが問題です。戦闘中に冗談を飛ばすことができるほどですから。
そうでないにしても長らく戦争を続け顔をあわせれば殺し合いになる国の王を復活させるとなると大きな覚悟が必要です。そもそも話の通じる相手ではない。それでもそんな人の手さえ借りなければならないほど国は危機的状況にある。
そんな緊迫感が弱いのです。
となると、たとえばこんなこと。
まず、復活させた以上、暴れられることは大前提です。となると一人で放置しておくことはやや不自然。鎖かなんかで縛り付けておきましょう。
また、王と王の対面、それも貴賓として黒王を招く形になるということも忘れてはいけません。赤王は友好国の国王を招くと同じように振る舞い準備をしなければなりません。当然ですが一人でいきなり会いに行くなんてことはできません。兵を並べアーチを作り、有力な臣下を並べ頭を垂れなければなりません。もちろん、しばりつけたままで。
その結果、何でもいいのですが、柱にでも縛り付けられた黒王の周りに儀礼用の装備で固めた精兵が並び、臣下はそろって頭を下げる。赤王は最上の礼をもって黒王の目覚めを迎えなければなりません。そして、自分が赤王である証を示さなければなりません。
実は今の印象ではあまり国王同士の会話に見えませんでした。
それでも当然黒王は赤の国に憎しみをぶつけます。自ら死んだ以上、訳も聞かずに力をふるうことはないでしょう。一度は死んだ身。今更惜しい命でもないからです。
ところが、赤王から聞かされた事実は噴飯ものでした。黒の国は滅び、魔物が跋扈している。そんなことを聞かされ、やすやすと信じることはできません。相手は敵国である赤国です。結果、黒王は鎖に縛られたまま魔力を発動します。逃げまどう兵たち。それでも赤王は毒の霧の中説得を続けます。当然ですが相手が自分に危害を加えてくることを前提とした防具なんて身につけません。毒にむせながらも説得を続けます。
そんな様子に、黒王は興味引かれました。魔力の発動をやめ、自分をよみがえらせた訳を聞き出そうとします。
それが、魔物をとめてもらうためだと話すことになります。
赤の国にとっても黒王の力に頼らなければならない以前に様々な対策を講じたことでしょう。しかし、それでもどうしようもなく最後の手段として敵対する黒王に頼らざるを得なかった。そんな状況なのだと思われます。
そうしても見てみると、赤王にとって黒王を説得できるかどうかは国家の命運を左右する一大事ということになります。それこそ、説得できない時は一命捨てる覚悟で望むべきことでしょう。
それほど切迫した状況であるべきだからです。
それこそ、話が真実である証として、また報酬として命を差し出すくらいの覚悟で望む必要があります。
こんなところです。
以前はあくまでも一地方の問題なのかと考えていましたが、魔物が赤の国にまで出現しているらしいとなると私が考えていた以上に事態は深刻なようです。
それに赤の国単独で対処できるならわざわざ敵国の力を貸りようとはしないことでしょう。反対だってあったはずです。それを押し切ってまで黒王を復活させたという意識が伝わってきません。
これだと、ちょっと厄介なことが起きたから、面倒は黒の国に押しつければいいか、くらいに思えてしまいます。
また、以前はこの作品の方向性が見えていないとお話したような気がします。今回、戦闘が入ったことでどんな作品かはわかるようになりましたが、しかしまだ甘いところがあります。
目的意識がないことです。
この作品の雰囲気はつかめても目指す方向性がまだ見えていません。
なにやら黒の国に向かうらしいことはわかるのですが、そのためには何をして、何をすべきかがまだ明確ではありません。そのため、主人公である黒王が周囲に振り回されているだけで何がしたいのか見えてこない印象なのです。
状況を説明して、黒王の協力をとりつけたなら何をすべきか、その大ざっぱな概要を示すべきでしょう、たぶん。そうすることで方向性が見えてきます。
また、以前お話したこととやや矛盾してしまいますが、バトル・ファンタジーでは何も戦闘場面を登場させる必要はありません。少なくとも冒頭では魔法が戦いに使えるという程度で十分ではないかと考えています。どうせ序盤から盛り上がらせることなんてできません。それなら例示したような毒の魔法が攻撃に使用されているということを示す程度で十分ではないかと考えています。
今の状況だと主人公が訳も分からず動き回っているだけで、読者としても状況がわかりません。そうなるとどう読んでよいものかわからなくなってしまいます。
また雰囲気に統一感がないように見えてしまったことも事実です。やはり王が王を招くような印象ではなかったため、赤王の必死さが伝わってこない、するとそんなに深刻ではないのかもしれないと考えてしまうのです。それがやはり方向性を見えにくくしてしまっている問題ではないかと。
総評としては、設定の作り込みがまだ甘いように思われます。赤の国が敵国の力を借りなければならないほど必死なら、赤王にも説得できなければ滅亡するくらいの必死さが欲しいように思われたのです。今の状況ですと、駄目なら駄目でもかまわないくらいに見えてしまいました。すると、この赤王の人物造形が危機的状況という設定とぶつかってしまう、そんな印象なのかと。
よって、全体的にやはり作品を貫く方向性がまだ弱い、そんなことではないかと。風が吹けば桶屋が儲かる。少々たとえとしては極端ですが世界はすべての出来事が繋がっています。設定同士の相互作用をより意識された方が作品全体の雰囲気と方向性がより向上する。それが全体の印象です。
変更された点と変更されていない点の整合性を整え切れていない、そんな印象でした。
では、最後になりますが、何かの参考になれば幸いです。
感想依頼で参りました後藤です。
改訂前の作品を拝見したことを踏まえての感想になります。
まず結論から参りますと、まだまだ甘い。いきなりですが、変更されて改善された面も多々見られる反面、変更されたからこそ生じてしまった問題もあるように思われます。
とりあえず全体的に書いていきます。
書き方としては描写が甘く、また視点が定まりきってはいないように思われます。
冒頭の「未完成の塔と二人分の影」という表現。この中にな問題が含まれている可能性があります。
未完成の塔の意味している内容が伝わりません。
材質が不明。石造りと考えられますが、木造建築もあり得ない話ではありません。そもそもこれはファンタジーです。他に建物が登場していない以上、建築資材に基準はなく、最初の建物である塔が基準となります。
早い話が、どんなものできているのかわかりません。
また高さや大きさの情報もありません。そして、未完成と言っても様々です。内装ができていないだけかもしれません。途中で建築が止まっていた屋根がないのかもしれません。まさか基礎工事の段階で止まっていて、野ざらしの土台だけということはないと思うのですが、それでも未完成の塔であることは同じです。
そして、主人公がいる場所もわかりません。塔にいることは間違いないようですが、室内かもしれませんし、未完成ということは天井のない屋上部分かもしれません。
塔の素材は石かもしれないし、木かもしれなければ、他の未知の物質かもしれません。
塔の状態は内装ができていないだけかもしれませんし、土台だけ、あるいは途中で止まっているのかもしれません。
主人公のいるところは室内かもしれませんし、屋上かもしれません。あるいは、未完成部分の天井のない屋上部分かもしれません。
ざっと3の3乗通りの場合分けが考えられます。27通りの情景が考えられるということです。
また、最初の二人分の影という表現は違和感があります。視点者が自分の姿を見ることができない以上、二人分の影となると他に二人の人がいるかのような錯覚を与えてしまいます。
一人称は登場人物の感覚で物事を表現することができます。それは長所であり短所です。反対に感覚から外れたことは表現できないからです。
この場合、視点者がどんな状況で、どんなことを考えながら、どんなことをしているのかにややちぐはぐ感がありどうしてもわかりにくいと感じています。
押しつけのようになってしまいますが、一つの改善策としてはこんなことが考えられます。
まず、塔のことを視点者に徹底して語らせましょう。
たとえば、石造りで、監視塔として作られた塔で周囲の湿地帯を監視するために作られたと説明します。これで、周囲の環境と塔の様子や大きさが大体ですが整います。
後、まだ未完成で、中腹の宿舎部分がむき出しになっている。だから月がこれまでにないほどよく見えたとか。この世界に月があるのかわかりませんが、これで視点者がむき出し部分にいること、天井のない部屋の中で座っていることがわかります。
ただし、一人称では不必要な描写は厳禁です。なぜなら、人はいちいち周囲のことを事細かに頭の中で説明なんてしないからです。そこで、それは相手が躊躇している間の時間稼ぎだったと表現しておきます。
描写はマクロからミクロが基本のようです。そのため、周囲の様子を暇つぶしとして表現しておいて、しびれを切らせた形で相手に話しかけることでミクロな視点に変更していく。そんな流れです。
火のついた台座に飛び乗った人が火を踏み消しているなど細かく考えられた描写があるなど、無頓着だとは考えられません。ただ、やはり何を表現するか、そんな具体性が全体的に弱い。
まず、これが一点。
次に、黒王について。
以前よりもスピード感が増したように思われます。でも、ここの問題を提起しておきます。
今度はやや早い。
以前は冒頭の印象に比べてスタートが遅いと感じていました。今回は置いて行かれている印象変わってしまったような気がします。
その理由として、以前は母国が存亡の危機にあると知りながらなかなか動きだそうとしていない点に違和感を覚えていました。今回はよくわかっていないうちから動きすぎているというような印象です。
前回は死んだ理由が明確ではなく、そのため私の勝手なイメージとして志半ばで倒れたかのような印象にまとまっていたようです。ところが、今回は黒王が自ら進んで死を望んでいるように見えました。すなわち、自ら王の座を退いているのです。
理由ははっきりとしませんが、すべてを任せられる後任がいたからこそ死にことができたと考える方がやはり自然です。仮に後任もいないのに死んだでは責任逃れもいいところです。となると、黒王のすでに自らの責任、役割は終えたと判断し眠りについたことになります。
そうして場合、すでに一度王位を譲った人物が、新しい生を得たとは言え今更、国に未練や望郷の思いを抱くというのは不自然ではないしても違和感があります。
死ぬことができないほど未練を残していたにしては、冒頭の場面はあっさりと死を受け入れているように見えます。しかし、復活してみるとやはり赤の国への憎しみを捨て切れていません。国のためにまだ戦うことを望んでいるようでさえあります。
今度はこの点に乖離が見られるように思われます。
改訂前では前屈みのスタートなのになかなかお話が進まなくて、今回は後ろ向きなのに進もうとしすぎている。こんな印象ではないかと。
自分の役割は終わったかのように冒頭では言っているように見える黒王が、それでも赤の国の人間を見ると襲いかかっている。そんなに憎しみや敵意が激しいのであれば生前、なぜ死ぬことを選んだのかわからない。そんな印象なのです。
冒頭で黒王がなぜ死を選んだのかが不鮮明で、そのためお話についてくことができていない状況です。
もちろん、戦闘から得られた情報も多くあります。魔法の存在や使い方、赤の国との対立など。ただ、同時に以前に比べると黒王のすべきことがわかりにくくなってしまったような印象でもあります。
設定としては、魔物が制御を離れ暴れ出し国々を襲っている。この状況を収拾するためにはかつての黒王を復活させ、改めて王となってもらうことで鎮める他ない。こんな印象だと思うのですが、これが、実はうまく伝わっていません。
なぜなら、切迫感がないからです。
またまた押しつけですが、具体例ですと免罪符を求めて例示してみます。
まず、赤の国は滅亡しそうな状況にある、そんなことですね。
これを示すためには、赤王に余裕がありすぎることが問題です。戦闘中に冗談を飛ばすことができるほどですから。
そうでないにしても長らく戦争を続け顔をあわせれば殺し合いになる国の王を復活させるとなると大きな覚悟が必要です。そもそも話の通じる相手ではない。それでもそんな人の手さえ借りなければならないほど国は危機的状況にある。
そんな緊迫感が弱いのです。
となると、たとえばこんなこと。
まず、復活させた以上、暴れられることは大前提です。となると一人で放置しておくことはやや不自然。鎖かなんかで縛り付けておきましょう。
また、王と王の対面、それも貴賓として黒王を招く形になるということも忘れてはいけません。赤王は友好国の国王を招くと同じように振る舞い準備をしなければなりません。当然ですが一人でいきなり会いに行くなんてことはできません。兵を並べアーチを作り、有力な臣下を並べ頭を垂れなければなりません。もちろん、しばりつけたままで。
その結果、何でもいいのですが、柱にでも縛り付けられた黒王の周りに儀礼用の装備で固めた精兵が並び、臣下はそろって頭を下げる。赤王は最上の礼をもって黒王の目覚めを迎えなければなりません。そして、自分が赤王である証を示さなければなりません。
実は今の印象ではあまり国王同士の会話に見えませんでした。
それでも当然黒王は赤の国に憎しみをぶつけます。自ら死んだ以上、訳も聞かずに力をふるうことはないでしょう。一度は死んだ身。今更惜しい命でもないからです。
ところが、赤王から聞かされた事実は噴飯ものでした。黒の国は滅び、魔物が跋扈している。そんなことを聞かされ、やすやすと信じることはできません。相手は敵国である赤国です。結果、黒王は鎖に縛られたまま魔力を発動します。逃げまどう兵たち。それでも赤王は毒の霧の中説得を続けます。当然ですが相手が自分に危害を加えてくることを前提とした防具なんて身につけません。毒にむせながらも説得を続けます。
そんな様子に、黒王は興味引かれました。魔力の発動をやめ、自分をよみがえらせた訳を聞き出そうとします。
それが、魔物をとめてもらうためだと話すことになります。
赤の国にとっても黒王の力に頼らなければならない以前に様々な対策を講じたことでしょう。しかし、それでもどうしようもなく最後の手段として敵対する黒王に頼らざるを得なかった。そんな状況なのだと思われます。
そうしても見てみると、赤王にとって黒王を説得できるかどうかは国家の命運を左右する一大事ということになります。それこそ、説得できない時は一命捨てる覚悟で望むべきことでしょう。
それほど切迫した状況であるべきだからです。
それこそ、話が真実である証として、また報酬として命を差し出すくらいの覚悟で望む必要があります。
こんなところです。
以前はあくまでも一地方の問題なのかと考えていましたが、魔物が赤の国にまで出現しているらしいとなると私が考えていた以上に事態は深刻なようです。
それに赤の国単独で対処できるならわざわざ敵国の力を貸りようとはしないことでしょう。反対だってあったはずです。それを押し切ってまで黒王を復活させたという意識が伝わってきません。
これだと、ちょっと厄介なことが起きたから、面倒は黒の国に押しつければいいか、くらいに思えてしまいます。
また、以前はこの作品の方向性が見えていないとお話したような気がします。今回、戦闘が入ったことでどんな作品かはわかるようになりましたが、しかしまだ甘いところがあります。
目的意識がないことです。
この作品の雰囲気はつかめても目指す方向性がまだ見えていません。
なにやら黒の国に向かうらしいことはわかるのですが、そのためには何をして、何をすべきかがまだ明確ではありません。そのため、主人公である黒王が周囲に振り回されているだけで何がしたいのか見えてこない印象なのです。
状況を説明して、黒王の協力をとりつけたなら何をすべきか、その大ざっぱな概要を示すべきでしょう、たぶん。そうすることで方向性が見えてきます。
また、以前お話したこととやや矛盾してしまいますが、バトル・ファンタジーでは何も戦闘場面を登場させる必要はありません。少なくとも冒頭では魔法が戦いに使えるという程度で十分ではないかと考えています。どうせ序盤から盛り上がらせることなんてできません。それなら例示したような毒の魔法が攻撃に使用されているということを示す程度で十分ではないかと考えています。
今の状況だと主人公が訳も分からず動き回っているだけで、読者としても状況がわかりません。そうなるとどう読んでよいものかわからなくなってしまいます。
また雰囲気に統一感がないように見えてしまったことも事実です。やはり王が王を招くような印象ではなかったため、赤王の必死さが伝わってこない、するとそんなに深刻ではないのかもしれないと考えてしまうのです。それがやはり方向性を見えにくくしてしまっている問題ではないかと。
総評としては、設定の作り込みがまだ甘いように思われます。赤の国が敵国の力を借りなければならないほど必死なら、赤王にも説得できなければ滅亡するくらいの必死さが欲しいように思われたのです。今の状況ですと、駄目なら駄目でもかまわないくらいに見えてしまいました。すると、この赤王の人物造形が危機的状況という設定とぶつかってしまう、そんな印象なのかと。
よって、全体的にやはり作品を貫く方向性がまだ弱い、そんなことではないかと。風が吹けば桶屋が儲かる。少々たとえとしては極端ですが世界はすべての出来事が繋がっています。設定同士の相互作用をより意識された方が作品全体の雰囲気と方向性がより向上する。それが全体の印象です。
変更された点と変更されていない点の整合性を整え切れていない、そんな印象でした。
では、最後になりますが、何かの参考になれば幸いです。
- 投稿者: 退会済み
- 2013年 07月30日 23時35分
管理
お忙しい中、長文の感想ありがとうございます!
・塔の様子
後に『建築材=白石(鉱物)』というのが多々出てくるので、ここではシンプルに塔と表現して良しとしてしまいました。
それから「ふと見上げた空は」という描写、頭から入水する事から、すぐ上は外&高所(=塔の上)にいるのを表現している……つもりだったのですが、今の技量では私のイメージを上手に伝えられなかったようですね。
どうにもスピードと見やすさを重視しすぎて(大きさ描写は完っ全に入れ忘れてました……)色々と削りすぎてしまったようです。間を取るのは本当に難しい……。
それから、000の視点がおかしいのは一応設定上の演出(文才がアレな為か上手くいっていないようですが)になります。これはメッセージにて語らせていただきます。
しかし、001以降でおかしかったら高確率でポカです。罵ってくださいッ。
・黒王
あぁぁ、今度はクラウチングスタートで飛ばしすぎましたか……。
主人公は兎も角、見てくださってる方まで混乱させては元も子もないですよね……。
中々うまい事行かないものです。
す、すみません。
また物凄いアウトなネタバレ文章になってしまったので、返信として何だか物凄く中途半端ですが、ここできらせていただきます。
設定云々については、メッセージにて返信させていただきます。
・塔の様子
後に『建築材=白石(鉱物)』というのが多々出てくるので、ここではシンプルに塔と表現して良しとしてしまいました。
それから「ふと見上げた空は」という描写、頭から入水する事から、すぐ上は外&高所(=塔の上)にいるのを表現している……つもりだったのですが、今の技量では私のイメージを上手に伝えられなかったようですね。
どうにもスピードと見やすさを重視しすぎて(大きさ描写は完っ全に入れ忘れてました……)色々と削りすぎてしまったようです。間を取るのは本当に難しい……。
それから、000の視点がおかしいのは一応設定上の演出(文才がアレな為か上手くいっていないようですが)になります。これはメッセージにて語らせていただきます。
しかし、001以降でおかしかったら高確率でポカです。罵ってくださいッ。
・黒王
あぁぁ、今度はクラウチングスタートで飛ばしすぎましたか……。
主人公は兎も角、見てくださってる方まで混乱させては元も子もないですよね……。
中々うまい事行かないものです。
す、すみません。
また物凄いアウトなネタバレ文章になってしまったので、返信として何だか物凄く中途半端ですが、ここできらせていただきます。
設定云々については、メッセージにて返信させていただきます。
- 一一一
- 2013年 07月31日 19時48分
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