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[一言]
 星野さん、人と妖と心と闇、作品読ませて貰いました。
 平安京の時代が舞台なのですね。
 闇を恐れる気持ち…
 集団・催眠的な雰囲気を感じ取れます。
 都市とは決して住みよい場所では無かった。
 陰陽師が活躍して居た。
 そんな伝説が残るのは、その現われだったのだろうと考えられます。
 人の目には見えないはずな者達の物語り…
 本当の夜には、あって不思議はないとも思えました。
 この妖怪?とは、餓鬼ですね。
 誰もがお腹一杯食べては居ないのだから、不幸せにも行き倒れになる人は毎日のように居たろうと想像されます。
 餓鬼に思い切らせたのは、恋情の力と見て好いのでしょうか。餓えを満たす事に、生き甲斐を見出せなくなった。死に場所をさがし始める。
 奇しくも、ヒロインは救いの主と化して居る事が見てとれます。
 妖力を解いて、ふつうの人間に戻してやる事はできない。そこに悲しみを感じさせられました。
 羅城門。あの小説をもひそかに思わせて、ラストを飾るにはぴったりな場所だったと思います。
 鎮魂の調べは、きっと人それぞれでしょう。
 感想でした。
  • 投稿者: 退会済み
  • 40歳~49歳 男性
  • 2013年 07月29日 17時44分
管理
 星野です。返信遅れました。
 平安時代、西暦にして大体950年くらいの年代が中心かなあ、と思いますが、その当時の人々の心というのは、闇を、夜を怖れる気持ち、というのは現在よりとても大きかったんだろうなあ、と思っています。
 やはり、基本的に町中と言えど街灯の様な灯火はなかったでしょうし、月がでていない晩というのは、本当に暗かったんだろうなあ、と。そんな暗さの中に、見えないそこに何かがいるんじゃないか? その不安は疑心暗鬼に、そして、恐怖になるのかなあ、と。
 作中に登場させた、妖怪(?)となってしまった女。人魚の肉を食べて不老不死となった女。彼女が川原でがつがつと魚を貪り食っていた、というのは、単純に妖怪となってしまった女が、妖怪としての本性の様な状態になってしまうことがある、そんな状態では、人としての心はどこかにとんでしまっていて、見るからにあさましい、そんな状態となってしまう。というだけのつもりでした。
 とは言え、餓鬼、というのは特定の妖怪でもあるかもしれませんが、そんな状態を指す言葉でもあるんですね。とすれば、まぁ、その瞬間、彼女は『餓鬼』になっているのかもしれません。
 彼女は、思わぬことから人魚となってしまって、けど、不老不死、ということ自体は、戸惑いながらも、まぁ、そういう生として生きていこう、ただ、一般の人とはちょっと距離を置かないといけないかな、そんな程度のつもりで過ごしてきた、というつもりです。
 ただ、やはりもう自分は生きているとはいえない、生き続けていい存在じゃない、そう思い始めたきっかけは、恋の想いです。見つめるだけで幸せ、見ることができればいい、そうは言うものの、やはり触れたい、触れ合いたい、けど、それは許されない。そして、その男が別の女と幸せを築くのを、ただ見ていなければいけない、穏やかな愛情だけを育てることができれば、それでもいいのでしょうけど、激しい恋の想いを持つ身としては、そんなことは考えるだけで心が張り裂けそうになってしまう。
 それに、きっと今回だけじゃすまない、このままでは、永遠に、この叶うことのない想いを抱き続ける地獄を生き続けることに。それは到底耐えられない。
 けど、どうやって死ねばいいのか、どうすれば死ねるのか? 今までに思いつく方法は、もう散々試した。
 ラストの舞台にした羅城門、これも、『陰陽師』で琵琶の『玄象』のお話としてでてきた舞台だったので、それを借りてきた感じです。彼女の想いを、シンゲツは感じることができたのでしょうか? シンゲツ自身、記憶は持ってない設定ですが、やはり恋が絡んだ恨み、怒りの末に人から妖異へと変じた存在、彼女の恋の想いからの絶望に、どこか親近感、憐れみを感じたのかなあ、と思っています。まぁ、似たような恋の想いから、絶望を感じて、もう終わりにする以外考え付かない、という彼女と、闇雲だけど、とにかくその向こうに突き抜けて、何かを手にしようとしたシンゲツ。向かった方向性はちょっと違うけど、その根っこの想いには共感できるものがあったはず、と思いました。
 あはは。なんか長々と書いてしまいました。

 感想、ありがとうございました。
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