感想一覧

[一言]
　こいつは面白かった。
　犯罪が出てこない、というところで、いわゆる法のもうひとつ外側に位置するルール、この場合だと競技規則や、競技者のモラリティの部分に焦点を当てて書かれたというのが何より素晴らしい。
　競技規則は、確かに破っても多くの場合は犯罪にはつながらない。けれども競技者はそれらにもちろん縛られるし、またその周辺の人たちにも、それらの規則は様々な影響を与えることになります。
　という部分を書いたこの短編は面白かった。
　特に、新村邦子の側がすべて伏せられているのがいい。
　事件を企んだ新村だけれども、果たして彼女の性格と心情から、じゃあ自分がそれに手をつけずに抑制することが本当にできたのか。実は一番の謎はここではないかと思う。そして、この回答によっては、主人公のかけた言葉はまったく別の意味合いを持つことになってしまう。ここが何よりも絶妙だと、私は感じました。
　魔が差す、との言葉通り、悪魔のささやきは、しのぎを削る競技者たちのすぐそばに、常にあるのでありましょう。
　楽しませていただきました。

[一言]
はじめまして。
文化系の知識しかない自分が言うのもなんですが、体育会系のリアルが伝わってきました。
実際にあってもおかしくないミステリーですね。

[一言]
るうねです。
『青い空』、拝読いたしました。

すごく、どきどきしました。
いや、作品の構成もそうなのですが、どっかで「犯罪」に転ぶんじゃないかという危うさが。このあたりを狙ってくる作者さんもいるだろうなぁ、と思ってはいましたが、主催者としてはどきどきものです（むろん、批判しているわけではないです）。
まさしく『犯罪が出てこない』ミステリーでしたね。ご参加くださり、ありがとうございました。

[一言]
初めまして、第二回ミステリー大賞に参加してる者です。
ドーピングは難しいらしいですね。私は中学までしか運動をしてこなかったですが、中学の時もあんまりそういうのは気にしてなかったです。テニス部だったからかな？

協議によっては風邪薬とかでもドーピングになるそうで、奥が深い世界だなぁと。
同時に、参加している選手の気持ちも色々と汲み取れる作品でした。

[良い点]
ドリンクを置いた犯人は――のミステリーに仕上げてありながら、作者さまの競技に対する倫理観、伝えどころがしっかり伝わるお話だと思いました。
[一言]
はじめまして。
無意識、無知ゆえに行ってしまう行為は、わたしを含め、誰もが日常的に行っているのだと思います。
知らないのも罪なら、知っていても気づかないそぶりをする（大人の対応的な何か？）。
他者は責めないけれど、自分の行為は自身には嘘がつけないので、一人で勝手に自己嫌悪という、ループをさまよう時もあり――
常に自分が正義と生きている人は幸せなのかもしれない。でも、自分はそう出来ないジレンマを抱える時があったり。
そんなことをつらつら考えながら、お話にうなづきながら、読ませていただきました。
ミステリー要素もですが、自己の立ち位置を見直そうなどと思ったりでした。（常にだと辛いので時どーき、ちょっとだけ。ですが）
ありがとうございました。

[一言]
初めまして。企画をご一緒させていただいている栖坂月という者です。
面白かったのはもちろんですが、それ以上に興味深い話でもありました。
ちょいと企画の趣旨とは外れる話ですが、私は基本的にスポーツというものは、とことんフェアにこだわるべきだと考えています。何であれ勝負事というのは勝敗が一番のポイントになります。であるならばその結果、特に敗北という事実をどれだけ納得して受け入れられるかという点が最も重要ではないか、と思っているからです。時の運も流れも含めて認めるためにこそ、フェアなルールは必要だと思うワケなのです。
いや何というか、どうでも良い話に熱中しました。
色々と考えさせられる楽しい作品でした。
それではー