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[一言]
第七回講義 
「鶏口牛後に関するレポート課題」

牛口が最善なのは当然であり、その選択肢を取り得ない人間に贈る言葉が「鶏口牛後」だ。
講義の選択者の多くは選択肢無きが故に本学に入学したものだろう。
つまり、大学というステージにおいて、牛に飛びつけなかった敗残者たちである。
確かに敗北したものに驕る権利はないし、望むような形での自己表現など望むべくもない。
しかしそれでも、鶏においても振られるだけの尾となるよりは、煩くとも顔の見える頭となるべきだ。

社会はあらゆる意味での政治により成り立ち、政治には権力という悪魔が棲む。
そしてあらゆる権力は、トップの座にこそ与えられた特権だ。
敷かれたレールの上、沿って行くだけの人生と揶揄されて幾星霜。
若者の鬱屈した人生観は大して変化の兆しもない。
その中で、ただ死にゆくだけの老人にあらざる、活力と生き甲斐を見出したいのであれば、やはり鶏口に立つしかないのである。
牛の歯車になってはいけない。

井の中の蛙は、大海を知って絶望するだろうか。
その程度の器でありたくはない。
今までの環境で培ったものを活かして道を切り拓いていく。
それが認められていない権利だとしても、そうして生きていくのだという驕りを讃え、誇り高く生きてきたいものだ。

レポート課題 評価:A++

課題を提出してくれてありがとう。「牛口」が最善であることを述べた上で、その戦略を取りうることが出来ない場合には「鶏口」を目指し、自分の能力を駆使して生きていこうとする決意まで、見事に綺麗に纏まっている。

抗う術が殆ど奪われている社会の権力構造の中で如何にもがき、道を切り拓いていくかに焦点が置かれた名文である。

然し、本当に権力という特権は破られにくいものなのだろうか?
若しかしたら権力構造以外での突破口があるのかもしれない。
ある分野では「牛口」を目指せなくとも、別の分野では目指せるかもしれない。他人とは異なるステージを見極め、そこで戦うというのもまた一興だ。

講義で指定した文字数とは異なるが、必要な事柄を簡潔に纏めていたため、A++の評価とさせていただく。

評者:野木浪 洋
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