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[良い点]
友人ではあるけれどどこか異性として意識してもおり、しかし、互いに別な相手に恋愛感情を持っている千沙と「俺」。

この二人の微妙な関係性が最初から最後まである種の緊張感を持って描かれている点が良いです。

柴田先輩が自分の写真をずっと持っていて最後に返してきたことに対する千沙の反応にも、多くを語らないだけに却って言葉に出来ない痛みや悔やみが浮かび上がってきて巧いです。
[気になる点]
まず、語り手の「俺」には幼馴染の彼女がいるようですが、「幼馴染の彼女」とあるだけで文中で名前も与えられておらず、どのような人物なのかも見えてこない点が気に懸かりました。

「俺」の中では固定的な位置を占めていてそれ故に彼女の人物像は改めて振り返ることはない設定なのかもしれませんが、千沙を意識するのであれば、対応する存在としてこの幼馴染の彼女の面影も浮かび上がって来なければ、物語として片手落ちではないでしょうか。

次に、これは細かい点になりますが、三年生の柴田先輩が登場するくだりにも違和感を覚えました。

>「東京だけど、留学も決まっているし……当分は
>こっちに戻ってこないけど、まあ、忘れないでくれ」

まだ、東京の大学に正式に入学もしていないのに、どうして「留学も決まっている」のでしょうか。
ここは「留学も考えている」またはそもそも「外国の大学に行く」とする方が自然ではないでしょうか。
[一言]
初めまして。
このサイトでこうした知的かつ情感溢れる作品に出会えて嬉しいです。
吾妻栄子さま

初めまして。
ご丁寧な感想をいただき、ありがとうございます。


 まず、細かい点の方から、ですが、確かにそうだと思います。この男子二人は、フレンドリーな会話をしているけれども、あまり親しい関係ではない、ということで、極力、先輩の言葉を削ろうとした、その結果、内容が不自然になってしまった、という感じです。「留学も予定してるし」ぐらいにしておけばよかったですね。

 幼馴染の彼女については、主人公が物を語るときに意識的に千沙と比較しないようにしている、彼は二人を同じ土俵に載せないようにしている、という感じを出したいと思いました。
 この主人公は、実際のところ、踏み出さないようにしているけれども、千沙には惹かれていて、しかし、それを認めてしまうと、彼女に対して不誠実だし、千沙は離れていくだろうと感じています。
 そういうことを表現したかったのですが、うまくできなかったようです。難しいですね。

 良い点については、お褒めいただき、ありがとうございました。千沙は弱い子で、先輩に気持ちを残しつつ、甘えさせてくれそうな主人公に寄りかかりたいと思う気持ちも持っています。友人以上、恋人未満で、揺れてはいるけどお互いを失わないには友人同士でいるほうがいいと双方が思っているような、そういう微妙なバランスを保っている二人を書きたいと思いました。そこに緊張感を感じていただけたのは、とてもうれしく思います。
 
 どうもありがとうございました!!

  • 西洋
  • 2014年 05月12日 19時25分
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