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[良い点]
大変遅くなりました。
解明編のⅡまで読ませていただきました。


かなり綿密に独自の世界観を構築されていると感じました。

まるで見ているかのような描写は、なかなか書けるものではないです。いいですね。
風景描写や風土など、ちょっとやそっと調べたくらいで書ける描写ではないと思います。
そしてそれらを下地に、一風変わった《魔法》にまつわる物語が展開される。
しっかり考えられている分、オリジナリティに優れた作品と言えます。


キャラクターに関しては、ブレずに個性をきちんと持って生活していることに好意を覚えました。
全ての行動に意思があり、丁寧にキャラクターを創り込まれていると感じました。
テンプレートではなく、それでいて人柄にきちんと筋が通っている。いいですね。

とはいえ、男の私からすると……いえ、決して嫌いなわけではないです。
メノウがちょっとそのケがあるくらいに少女趣味すぎるな、とは思いましたが、そういうシーンがあるわけでもないですし。(私の性癖はごく一般的な成人男子なもので。……オレ何言ってるんだorz)
ただちょっとだけ気になったのは、アルバートが許嫁の回想を何度もする割には、そんなに大好き感、愛してる感が伝わってこないこと……でしょうか。
そのせいで読み始めた当初、「実は愛していなかった」というミスリードなのかと勘繰ってしまいました。
しかしそれを置いておけば、育ちのよさが節々に感じられ、それでいて気取らない態度、優しい気質。
うん、私はアルバートが一番好きです。
[気になる点]
なろうの形式として“悪い点”に書かせていただきますが、ほとんどが私の考察であり、全部がダメ出しというわけではありませんので、ご了承ください。

さてまず……そうですね。揚げ足を取るようですが失礼します。
感想依頼にあった
>~~、作品を読みにくくしているそうですが。
>展開的に要らなそうな細かい箇所を削りたいですね。もう少しスッキリさせたい。
との言葉から、おそらくアマートさんご自身でも「なんとなく分かりづらい」と思っておられるのだと推測します。

そして実際……『楽園と失踪』を読ませていただいている最中、結構……混乱してしまいました。


おそらく
・《魔法》の定義が曖昧。しかも今回だけの例外が多すぎる(第一話なのに…)。
・ミスリードや仮説が多く、何が正しいのか伝わりづらい。
この二つが混乱の要因と思われます。


まず《魔法》から失礼します。

非常に考えて創り込まれている印象は受けるのですが、なんというか、例えるならカードバトルアニメを途中から見たような感じでした。
主人公がなにやらカードを何枚か出して、ギャラリーが「すごい!!」と言うのだからそりゃすごいのだろうけども、こっちはそのカードゲームのルールを全く知らないものだから見ている側としては「はあ…」という反応しかできない。
そういう感じです。

まず、「使う意味がない」と散々言われている《魔法》ですが……
一時的とはいえ完全に姿をくらますことができるのであれば、それはそれで使い道がありそうだな…(真っ当な使い道を考えるなら殺し屋に狙われる証人を匿ったり、飢えをしのぐために一時的に避難したり…)と思ってしまったため、《魔法》は全く実用性がない、と半ば罵倒されているのを見て複雑な気持ちになってしまいました。

そんなもやもやした疑問を抱きながら読み進めていくと、結界内に侵入してから疑問はさらにどんどん増してしまいます。
例えば進入編Ⅲ

>『死にはしない。だが無防備となる。その間に、あの鼠の様に魔法にかけられて終わりだろうな』

終わる……??
序盤にクローさんが言っていたことを思い返せば、魔法にかけられても現実世界的には一時的に動きを止められるくらいのもののはずです。
どのみち時間が解決してくれるのであれば、そこまで神経質になる必要はないのでは……
と、思ってしまいます。(実際には早く解決しなければアルバートの命が危なかったわけですが、この時点ではそこまで分からないので)

そもそも序盤のクローさんのおかげで「結界内でどうなろうと大したことはないのだろう」と思って読んでしまっているので、必死で《血》を使ってがんばっているメノウやクローさんを見ても、それほどピンチには思えません。
「なんでこんなにがんばるんだ…」と、混乱する要因の一つとなってしまっています。


そして《魔法》関連ではこっちの方が物語として重大なのですが、
“今回だけの例外”が多すぎて、初めてこの世界に触れた読者からすれば、いったい何を信じればいいのやら分からない。そんな悲しい状態になってしまっています。

“普通(=いつのもパターン)”がわからないために、“例外”を“例外”と感じられないのです。

例えば結界への入り口のシーン。
クローさんの「人は囲いがある所を無意識に区切る。そして其処が境目となり易い。イメージがし易いからな」という解説の直後に、墓守という生きた人間が入り口になっていて「え…お、おお…そうなん」と混乱してしまいました。
他にも、唐突に「今回《血》が無限だ」と言われても、読者からするとどの程度が有限で限界なのか全く把握できていないため、メノウは驚いていますがイマイチ事態の深刻さが伝わってきません。
それからクローさん「……ただ今回、厄介な事に、死人が出てる」って、あれだけ害はないって言っといて死人出てるのかよ!と思わず突っ込んでしまいました。読み進めていけば「《魔法》を発動させる前(あるいは直前)に死人が出ている」という意味だったとわかるのですが、この「死人が出てる」の台詞の時点ではそこまで言われていないため、物語本筋の謎と相まって混乱は増すばかりでした。。。

これが例えば第十話とか、“いつものパターン”が定着してからの話なら、ここまでの混乱はないと思います。
完全オリジナルのファンタジーなのですから、第一話としては極力“例外”は出さない方がよかったと言えるでしょう。
もしくは序章として簡単な事件を起こして解決し、サックリ《魔法》の説明だけしてしまうのもありですね。
そうすれば“例外”を“例外”と認識できて、もっと楽しめたと思います。



そして二点目。

仮説や意味深な台詞がたくさん出てきますが、それらが次々に否定されていくものだから、読み手としては本当に何が正しい情報なのか全くわからなくなって混乱してしまいます。
物語の核心かと思った“バクストンの息子”は完全にフェイクだったわけで。
バクストンの息子の迫真の演技が虚構だったとサラリと言われたときには「一体何が正しいんだよぉぉ」とソファに崩れ落ちてしまいました。
ミスリードの多用は本筋を見失わせてしまいます。
もちろん、ミステリー調の作品としては、読者を惑わすのは大事です。が、今回はちょっとミスリードが多すぎて、混乱に混乱を煽る結果となってしまっていると思います。

考察も、考察それ自体が実はミスリードであったとしても、少なくともその時点では読者に考え方の基準を与えるものでなくてはなりません。

ところが……です。
一部、読者をおいてけぼりで考察をしてしまっている箇所がありました。

私が特に理解ができなかった考察は解明編Ⅰの以下の部分です。

> クローはノートを閉じた。
>
>「デタラメだな」
>
> そして断言した。
> 確かに【楽園】で起こった事と見聞きした事を考慮すると、それは可笑しいと分かる。どこからかはわからないが、レベッカが失踪するまでの間、魔法によって記憶が改竄されているのは自明の理だ。
> まずレジーナの元夫であり、レベッカの父親であるバクストンが一切出てこない。レジーナが魔女だったのを考えると、彼を隠蔽しているのは確実だ。
>

……単純に私の理解力が低いだけかもしれませんが(><;)

まず…「魔法によって記憶が改竄されている」のは…誰の記憶のことなんです…?
そこがわからないので直前で「どこからかはわからないが」と範囲がさらにボヤけてしまっており、もう………。
「彼を隠蔽しているのは確実だ。」
も、そもそもバクストンが生きているのかどうかさえ怪しいものがありますからね……何せバクストンに会ったのは結界内での出来事ですから……。
溶けた林檎がレベッカだ、と分かった直後の回です。結界内ではあらゆる常識が通用しない、と証明したようなイベントの直後に結界内での情報を元に考察されても、説得力に欠けてしまっています。

さっきも書きましたが、考察の部分は大事です。
それ自体が実はミスリードであったとしても、正しかったとしても。
そしてミステリーという作品を成り立たせるためには、読者にその考察が正しいと思わせる必要があります。
そのために説得力をもたせることが大切です。
たとえ幼稚すぎる考察で、直後にコナン君に「いや…違う」と思われそうだとしても、理屈を通さなくてはならないのです。


……長くなりましたが、以上二点が混乱をもたらす最も大きな原因だと思います。


えーと、さらに長くなってしまいますが、もう少しだけ書かせてください。

これは上記の二点よりも、少し重要度の低い話になります。
というか、完全にただ個人的に思ったことです。

タイトルにもなっている【楽園】の話です。

【楽園】は《魔法》によるもので、その創造者たる魔法使い……魔女が創り上げた理想郷だと思います。
ところが、キャラクターの、魔女の意図が反映されていないように感じたのです。

彼女は美しさを求めていたわけですよね。それが彼女の魔法の根本にある、と。
ならば、赤子を食らう必要はないはずなのです。なぜなら、結界内では“全てが思い通り”のはずですからね。
わざわざ赤子なんか食らわなくたって美しさは保てるのです。
まあクローさんの言う通り、創造性が足りなかったため、とも考えられるのですが……

鮮血をかぶって美しさを求めたことは、「魔女が《バートリ・エリーザベト伯爵夫人》を知っていた」と仮定することで納得できます。
しかし、赤子を食らうという発想。これはどこから出てきたものなのでしょうか…?

どうもそこが、腑に落ちません。


そもそも【楽園】がなぜ屋敷の姿をとっていたのか……?
究極的には“美しい自分”と“それを賞賛する人々”さえ存在すればよかったはず。
舞台装置としてはダンスホールさえあれば十分でしょう。
そこであえて屋敷の形をとっていた……その理由が欲しかったです。
(結界内でもさすがに24時間永遠に踊りっぱなしは疲れるから、等の軽い理由でもいいのです。)

そしてですね。
中庭で、なぜ花はしゃべったのでしょうか。
それも“自分にしか聞こえない声”という非常に特殊な状況で。
そもそも、全て自分が操っているとはいえ“人”は存在しているのだから、花があえてしゃべる必要はないと思うのです。

さらに言えば、新聞に載るほどに【楽園】の噂を広める必要もなかったはずです。
なぜなら、魔女の【楽園】は自己完結の世界です。
必要最低限の“自分を賞賛する人々”は必要とはいえ、それ以上に人を引き込む必要性はなかったのですから。


これらに何かしらの暗喩や意図が含まれていたなら、さらに素晴らしい作品となることと思います。


私が読んだのは解明編のⅡ、【楽園】の結界が破壊された直後まで。
これからさらなる解決があるのかもしれないですが、ミステリーの展開的に言えば、【楽園】の結界が解かれたということは、【楽園】の主たる創造者……魔女の意図は全て暴かれていないといけないのです。これから【楽園】よりもさらに大きな結界の謎解きとなるのですから。
[一言]
……非常に長くなってしまいました。
少しでもアマートさんの参考になればと思います。
  • 投稿者: ゆのすけ
  • 23歳~29歳 男性
  • 2014年 12月22日 22時53分
あ、読み直してみたら花のモチーフ一瞬だけ書いてましたね。忘れていました。もっと目立つように書こうと思います。
行動不能は【主導権が奪われないようにする】と表現してましたね。わかりにくい。もっと読みやすいように変えていこうと思います。
それでは再び失礼いたしましたノシ
詳しい感想、誠に有難う御座いますm(_ _)m

ミスリードの多さ、
例外の多さ、
恋愛感情の書けなささ、
などなど大変勉強になりました。やはり書き慣れていないミステリー擬きなだけあって駄目な所が多いですね(´Д` )

ミスリードの多さ、例外の多さなど改善していこうと思います。例外はなんでか書いている内に多くなってしまった……。プロット下手ですね私は。
恋愛はアルバートにのろけでも挟んで表現してみます。恋愛ジャンル苦手なんで改善出来るか不安ですが(--;)

あ、メノウの少女趣味は本当にただの趣味で、そういう奴なんで変えようがありません。申し訳ないm(_ _)m


さてダメ人間らしく言い訳を少々

>>魔法にも使い道がある
おっしゃる通り、あります。ここまで罵倒しているのはクローが魔法が大嫌いなのと、使った所で根本的な解決にはならない、かつ代償があるからです。
魔法は時間を止める事により、問題を先伸ばしにする事が出来る、というのが特徴です。メノウも言っていますが擬似的な不老不死状態だって作れます。代わりに死人が沢山出るでしょうけど。

>>魔法は時間が解決してくれるのを待つ
アルバートはそれを拒否し、無理にクローに頼んだのが現状です。そして結界の中で抵抗出来なくなる程の魔法にかかれば行動不能となり、魔法を解く事が出来なくなります。それでは依頼した意味がなくなります。自然に解けるまで待つのと変わらなくなりますからね。
メノウもまた、結界に招かれたら終わりと序盤で述べています。結界の中で魔法にかけられても同じです。

>>魔法にかかっても大した事にはならない
現実的には大した事にはなりません。時間が奪われる事はあっても死にはしないんですから。ただ行動不能となる可能性があります。魔法使いの傀儡とならないよう、失踪者と同じにならないよう足掻いていた訳です。

>>赤子を食べる必要がない
そうですね。あれは赤子、つまり娘が憎いという演出に近いです。産まなきゃよかった、子宮なんてなかったらよかった。と自分から吐き出して八つ当たりしていた訳です。アルバートも「嫌いだったからあんな事をしたのか」という台詞があります。
食べるのは【白雪姫】のパロディでもあります。西洋では昔から美しいものの臓器を食べると美しくなるという伝承があり、【白雪姫】でも娘(と思い込んだ猪)の臓器を食べる場面があります。赤子は娘の見立てです。
しかし臓器ではなくまんま食べてましたから、あの場で腹かっぴらいた方が分かりやすかったですかね。アルバートのsan値が振り切れそうです。。
とりあえず伝承を付け足しておきますね。

>>なぜ屋敷という形態をとったのか
それはストーリー的に演出がしやすかったという作者側の都合が大きいですね。まぁ魔女の趣味でもありますが。行動範囲が広いほど魔女の心理を反映できる場所が増えるので、ただダンスホールだけではなく屋敷そのものを作りました。
実際四六時中踊っている訳ではないですし、ダンスだけではなく晩餐会をする時もありました(アルバートの夢参照)。どこかで上手く説明できるよう調整しておきますね。

>>理想郷になりきれていない
おっしゃる通りです。魔女は楽園の中で自分で作っておいてそれを壊す場面が何度かあります。それ対してメノウとクローが怪訝に思う箇所も。これは彼女の魔法の稚拙さの表れです。早い話魔法を使いこなせてません。
花が喋るのは嫌いな物を好きな物に変えてみたけれど、上手くできなかった結果です。あれがああだったらよかったのにという置き換えですが、魔法をかける前のモチーフを知っている魔女には姿を変えた所で嫌な物という認識は変わらなかったのです。これはクローが一回指摘しています。魔法をかける前のモチーフは完結前にはわかりますが、結局終盤ですね。もっと分かりやすくなるよう変えてみます。

>>魔女の【楽園】は自己完結の世界
自己完結というより自己満足の世界ですね。それでいて満足しきれてません。「もっともっと」と欲望肥大しまくってます。仮に完結か満足していたら、楽園から出てくる事も他人を引き込む事もしないでしょう。

>>必要最低限の“自分を賞賛する人々”は必要とはいえ、それ以上に人を引き込む必要性はなかった
魔女は必要最低限なんて考えてません。気分で引き込んでいます。メノウもその一人。
力があれば町中の人間を引き込んでいた事でしょう。力がなかったのでちびちびと招いていましたが。

魔女の意図……。娘に夫を取られて激情した。灰かぶりになりたかった。けれど実際には自分は白雪姫で、しかも継母だった。とかそんな程度なんですね。それ以外の事はどうでもいいというか、アルバートの問題になります。

以上、見苦しい言い訳でした。お目汚し失礼。
最後まで読んでくださり有難う御座いました。考察、大いに参考にさせて頂きますね(^-^)/
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