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[一言]
 掲示板より参りました後藤と申します。早速感想に入らせていただきます。

 まず、外伝という扱いであり、本編の設定を知らなくても読むことができるかということですので、あえて用語設定は読んでいません。知識のない状態で読んだとして結論から言うなら、特に違和感などなく読めるとともに、読めてしまいました。
 この小説そのものの感想に入るなら、全体として伝える力が弱いように思えます。というのも、まず描写が薄いということですが、このことがいくつかの問題を引き起こしているように思えます。一つは、世界観が見えてこないということ。他の方も書かれていましたが、街につきました。子どもたちが遊んでいます。では風景を想像できません。まさかここで茅葺き屋根の町並みではないでしょうから、中世ファンタジーにありがちな石造りの道に、奥には城があるんだろう、そう想像しています。別段奇々怪々な世界観を表現する必要は感じませんが、それでも読者の想像力に依存している度合いが高いように思われます。
 このことに起因して、世界観がやや王道ファンタジーすぎて抜きんでている部分が、厳しいことを言うならあまり感じられません。どんな村や街、集落にしてもどこか他から借りてきた世界観の切り張りのようにも感じられます。
 また、描写の薄さがもう一つ悪いことを招いているようにも思えます。ある種の押しつけです。たしかセルグ氏のお話だと思いましたが、モンスターが奇襲をかけてきた際、死の予感を感じておられましたが、それが具体的にどのようなものか書かれていません。何となくの感覚をただそうと書かれているだけでした。具体的に考えてしまうと登場人物が計算高いキャラクターになってしまいますが、それでも少しはその予感がどのようなものかをお聞かせ願いたかったように思えます。幽霊屋敷から出てきた友人に感想を聞いて、「怖かった。とにかく怖かった」では恐怖が伝わるどころかかえって怖くありません。「演出がすごかったよ。怖い場面の連続でさ、やっと一息つけたと思ったら急にゾンビが襲ってくるんだ」とでも言ってくれた方がより恐怖を想像しやすくなります。
 こう言っては失礼ですが、ご自身の想像したものを感じてもらうのではなく押しつけているようにも感じられます。
 その点が実は他の部位にも派生しています。怪物の描写と物語の展開です。
 怪物は正直な話をするなら姿がわかりません。地中から飛び出す怪物の頭としか書かれていなかったため、極端な話をするならポ○モンに登場するモグラのモンスターを想像してファンシーな印象を抱いてしまったほどです。
 また、リネア嬢のお話部分では、ご都合主義が散見されるようにも思われました。リネア嬢が街の子どもと仲良くなった、ただ、親友に至るまでの過程が薄く、ネタバレ含んで申し訳ありませんが、わざわざリネア嬢を悲しませるためだけに用意されたような印象を受けました。また、町外れの花園に向かうとそこに敵がいたのも不自然です。特にこの花園に訪れる必然性がないからです。加えてご友人は不自然なほどこの場にリネア嬢を留めようとしていたようにも思われます。敵に操られていたという描写もないようでしたので、ストーリーを進めるために無理に展開を繋げている、その点がご都合主義に思えました。
 短編という形式のため、お話を急ぐ必要があったのかもしれませんが、全体的にストーリーを誘導しようとする意志、ここでは作者の都合が感じられてしまいました。
 おそらく、この外伝は本編で集う仲間たちのエピソード・ゼロを表現されていることは理解できました。それぞれにキャラクターを確立されているようにも思えます。ですが、世界観の構築が不十分です。短編を拝見しただけでまだ読み込みが不十分ですが、まず魔物の様子がわかりません。姿もそうですが、怪物と呼ぶよりも動物のように扱われているようにも思える反面、名前が登場しません。小道具としてわき役の扱いとはわかりあすが、姿も特徴も名前も登場しないでは世界観が伝わりません。結局ただの記号だけで、別の世界に実在しているような、そんな現実感が伴わないからです。記号と言ったのは、そんな設定の向こう側に世界が見えてこないで、ただ人を襲う凶暴な何かとしか描写されていないという点にあります。何と言いますか、よくも悪くも絵画を見ているようです。どんなものを描きたいかは、額縁の中にに描かれていますが、本来なら見えているはずの額縁の外側が見えません。同時に、額縁の外に世界があるというという実感も伴いません。その理由はすでにいくつかあげていますが、設定に深みがないことです。物語を進めるために必要なものはそろっていますが、小道具が足りず世界に入り込めません。それが、まるで絵を見せられているようで、窓をのぞき込むとは違います。世界の奥行きが見えてきません。
 忌憚のない意見という免罪符をいただいてしまったため、リミッターをゆるめましたが、まとめとして、設定の不足が作品全体に問題として波及しているように思われます。細かいところまで想像したり設定しきれていないから描写が薄く、描写が薄いから世界観に深みがない。怪物なら怪物で、それがどんな性質でどんな姿で、どんな生態を持っていて、どんな場所に生息しているのか、それらを構築する過程で自然環境が明らかになったり登場人物が行っていない場所の存在を匂わすことができるのではないかと考えます。
 結論として、本編を知らなくても読めるけど、その一部は他の作品のイメージを借りていて、かつ物足りない部分が多い、そんなところでしょうか。本編はどうかは知りませんが、少なくともこの短編だけだと2次元的です。見えている範囲以上の世界があるようには、残念ながら思えませんでした。全体的に酷評が続いたように思われますが、やや基準を厳しくした結果です。何かの参考にしたいただけましたら幸いです。
  • 投稿者: 退会済み
  • 2011年 10月23日 16時21分
管理
[一言]
今尾実花さま

はじめまして、こんばんは。
遅くなり申し訳ありません。掲示板からのこのこやってきました。

では、さくさく行っちゃいます。


初めに、この作品が番外編ではあるが本編を読まなくてもわかるかどうかの判断を求めていらっしゃいましたので、あえて用語解説等は読んでおりません。
単独作品として読みました。


紅の月

全体的に軽いファンタジーだと思いました。理由としては、キャラの掘り下げが浅いということ。
また状況を言葉で表し、キャラそれぞれの行動、表情等の描写がないということです。

たとえば状況ですが、
>リネアのハキハキした返事に満足して――すると次の瞬間、二人はもう目指す町の入り口に降り立っていた。
「さあ、行こう」途中略

え、どんな町ですか? キャラが見ている風景を、読者にも伝えてください。

キャラの掘り下げについて、たとえば
>「お前が失いたくないものを手に入れたら――一番強くなれるのだから」途中略
どこかで使い古されたセリフの基本形です。
そのセリフに、師匠の人生観、経験を上乗せして、師匠の言葉として出せたら、それだけで人物像が浮かび上がります。

キャラを言葉で断定するのは、とっても怖いです。キャラが動くのは、思いもあるし、それに伴う動作や表情がつきますよね。
たとえば
>冷酷非情に言い放つ。
大体はわかるのですが、人によって感じ方は違います。ただすべてやるとくどくなりますが、ある程度は言動に対する詳細な描写は必要かと思います。


冒頭に持ってきた世界観の説明、この作品では本当に必要かどうかを疑問に思います。また設定を説明していても、読み進めていくうちに忘れてしまいます。こういう説明は、ある程度話の中に溶け込ませ、そしてすべてを開示する必要もないのです。それはテクです。またこれをやっちゃうと、冒頭で説明したから、話の中では省いちゃえ、読者ならわかるだろう? ということになりかねません。世界観の説明を好まれない理由の一つだと思います。読みたいのは設定ではなく、ストーリーです。

ストーリーについて、起承転結はわかりやすくできていますが、話の流れが単調で、こうあるからこうなったと因果関係の成り立ちを順番に書きだしています。そうではなくて、もっとこの場面が効果的に読まれるように、後の出来事を冒頭に持ってくるなど、構成の練りは必要です。
それから出来上がった世界観に頼りすぎだと思います。
出来上がった世界観、つまり、冒頭の世界観の説明ですよね。終盤はもう、本当に番外編だなと思いました。
単品で読めるようにするのであれば、リネアの旅立ち理由に絞ることをお勧めします。その中でテーマ性を持たせれば、もっと話が深くなると思いますが。

自分のことは棚上げで、かなり厳しくなってしまいました。
今夜はこの辺でお暇いたします。
頑張ってくださいね。

でわでわ

  • 投稿者: 鷹臣えり
  • 30歳~39歳 女性
  • 2011年 10月13日 00時09分
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