感想一覧
▽感想を書く[良い点]
三人称ながらも桜子の主観で書かれているため、桜子に寄り添って読むことができる点が良かったです。
情景描写と桜子の心理のリンクは流石だと、思いました。
[気になる点]
いくつか変換ミスがあった以外は特にありませんでしたが、強いて言うなら、時系列が変わる際の言いまわしが弱いせいで、読んでいて頭の中で切り替えがし辛かったくらいでしょうか。
ほとんど個人の感想ですし、指摘が抽象的になってしまって申し訳ないですが。
[一言]
気付いたことをいくつか。
「そういえば、山下の家に子供が産れたらしい」
「本当ですか。それはいいことですね。お祝いを贈りますか」
「それは君の仕事じゃあないよ。女中にやらせればいいんだ。君は妻だろう」
↑全体的に鉤括弧の少ない小説であるため、台詞の一つ一つに注目するようにしました。
この時点では、直接的には言わないものの、山下の家のことを通して宗次郎は子供のことを仄めかしているように感じました。深読みかもしれませんが、舞台設定(山の中の屋敷)を考えると、「山下」というネーミングにはこだわりがあるのでしょうか?
今まで桜子の母親や父親、教師などは《汝姦淫すべからず》と口を揃えて言ってきたと云うのに、ここにきて生殖と云う行為を推し進めてきたのだ。桜子は変化に戸惑う他ない。赤子を産む前には性行為が必要なのだ。そしてそれは皆の忌むべき行為なのだ。なのに皆赤子は欲しがるのだ。薄気味が悪かった。子を孕むにはまぐわいが必要であると分かっている筈なのに、結果だけを持ち上げて課程は知らんぷりして、まるで口にも出さずけろりとしているのだ。
↑これは女性ならではの視線で書かれていると思います。読んでいて、すごく納得できました。同じ物書きとしては、とても羨ましいです。
むくんで醜い体を、桜子は姿見に晒して見つめ続けた。
↑醜いはずなのに、桜子はそのことに嫌悪を示していないように感じました。後述のように、身体が心を裏切っていないためでしょうか。
大学へと入る頃には友達らはこぞって恋文を書いたり同級生の男子と帰路を共にしていたが、桜子はそのどちらもしなかった。ただ、母親の云う通りに、髪だけはきちんとして、邪魔な産毛だけはきちんと剃り落した。その姿を、今時珍しいと云って当時桜子の教師であった宗次郎が見初めたのだ。
↑宗次郎は桜子の処女性に魅力を嫁としての魅力を感じたのだろうか? と、私は思いました。
「寒いだろう。こっちに来なさい」
大人しく、桜子は数歩歩み出て宗次郎の隣に立った。桜子は嫌な予感がした。
↑作品内では初めて、宗次郎が桜子と身体的接触を取ろうとしている場面であると思います。この後、何かがあるということを読み手にも予感させられました。
桜子について
心が少女から抜け出せていない女性。所々の描写から、妊娠を望まれることに抵抗を覚えている。情景描写は、細かい部分までは把握しきれなかったが、恐らく桜子の感情の起伏とリンクしていると思われる。
宗次郎について
名前から次男だと考えられる。次男であるため、家からの束縛は桜子ほど厳しくない? 学者として周囲から慕われているため、平生では理性的な部分が強調されているが、視線や言動からさりげなく男の本能が滲み出ているように感じた。
色々な見方の出来る小説だと思いますが、私個人の感想としては「桜子は可哀想な女性だな」と感じました。また、「自分の意思を外に反映させられない人だ」とも。
滅茶滅茶長くなってしまって、すみません。ととのえ先生の次回作も楽しみにしています。
三人称ながらも桜子の主観で書かれているため、桜子に寄り添って読むことができる点が良かったです。
情景描写と桜子の心理のリンクは流石だと、思いました。
[気になる点]
いくつか変換ミスがあった以外は特にありませんでしたが、強いて言うなら、時系列が変わる際の言いまわしが弱いせいで、読んでいて頭の中で切り替えがし辛かったくらいでしょうか。
ほとんど個人の感想ですし、指摘が抽象的になってしまって申し訳ないですが。
[一言]
気付いたことをいくつか。
「そういえば、山下の家に子供が産れたらしい」
「本当ですか。それはいいことですね。お祝いを贈りますか」
「それは君の仕事じゃあないよ。女中にやらせればいいんだ。君は妻だろう」
↑全体的に鉤括弧の少ない小説であるため、台詞の一つ一つに注目するようにしました。
この時点では、直接的には言わないものの、山下の家のことを通して宗次郎は子供のことを仄めかしているように感じました。深読みかもしれませんが、舞台設定(山の中の屋敷)を考えると、「山下」というネーミングにはこだわりがあるのでしょうか?
今まで桜子の母親や父親、教師などは《汝姦淫すべからず》と口を揃えて言ってきたと云うのに、ここにきて生殖と云う行為を推し進めてきたのだ。桜子は変化に戸惑う他ない。赤子を産む前には性行為が必要なのだ。そしてそれは皆の忌むべき行為なのだ。なのに皆赤子は欲しがるのだ。薄気味が悪かった。子を孕むにはまぐわいが必要であると分かっている筈なのに、結果だけを持ち上げて課程は知らんぷりして、まるで口にも出さずけろりとしているのだ。
↑これは女性ならではの視線で書かれていると思います。読んでいて、すごく納得できました。同じ物書きとしては、とても羨ましいです。
むくんで醜い体を、桜子は姿見に晒して見つめ続けた。
↑醜いはずなのに、桜子はそのことに嫌悪を示していないように感じました。後述のように、身体が心を裏切っていないためでしょうか。
大学へと入る頃には友達らはこぞって恋文を書いたり同級生の男子と帰路を共にしていたが、桜子はそのどちらもしなかった。ただ、母親の云う通りに、髪だけはきちんとして、邪魔な産毛だけはきちんと剃り落した。その姿を、今時珍しいと云って当時桜子の教師であった宗次郎が見初めたのだ。
↑宗次郎は桜子の処女性に魅力を嫁としての魅力を感じたのだろうか? と、私は思いました。
「寒いだろう。こっちに来なさい」
大人しく、桜子は数歩歩み出て宗次郎の隣に立った。桜子は嫌な予感がした。
↑作品内では初めて、宗次郎が桜子と身体的接触を取ろうとしている場面であると思います。この後、何かがあるということを読み手にも予感させられました。
桜子について
心が少女から抜け出せていない女性。所々の描写から、妊娠を望まれることに抵抗を覚えている。情景描写は、細かい部分までは把握しきれなかったが、恐らく桜子の感情の起伏とリンクしていると思われる。
宗次郎について
名前から次男だと考えられる。次男であるため、家からの束縛は桜子ほど厳しくない? 学者として周囲から慕われているため、平生では理性的な部分が強調されているが、視線や言動からさりげなく男の本能が滲み出ているように感じた。
色々な見方の出来る小説だと思いますが、私個人の感想としては「桜子は可哀想な女性だな」と感じました。また、「自分の意思を外に反映させられない人だ」とも。
滅茶滅茶長くなってしまって、すみません。ととのえ先生の次回作も楽しみにしています。
感想どうもありがとうございます。
宗次郎の男性的な面については仄めかす程度だったのですが、きちんと読み取れていただけたようでとても嬉しいです。特に宗次朗が処女厨なところとか(笑》。
確かに、改めて読み直すと時系列の変化が分かりにくいと自分でも感じました。
メリハリを意識して書かなくてはですね。
不定期ではありますが、また更新すると思いますので、その時はお手に取っていただけたら幸いです。
ありがとうございました!
宗次郎の男性的な面については仄めかす程度だったのですが、きちんと読み取れていただけたようでとても嬉しいです。特に宗次朗が処女厨なところとか(笑》。
確かに、改めて読み直すと時系列の変化が分かりにくいと自分でも感じました。
メリハリを意識して書かなくてはですね。
不定期ではありますが、また更新すると思いますので、その時はお手に取っていただけたら幸いです。
ありがとうございました!
- ととのえ
- 2014年 12月14日 06時39分
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