エピソード60の感想一覧

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[一言]
「静かの海がやってくる」拝読しました。
少年時代と夏と海……何ともノスタルジーをくすぐる、魅力的なモチーフの組み合わせです。もともと本作は、夢と現の境のような世界で、変わらないものと変わってゆくものとの一期一会が主題だと思うのですが、今回のエピソードもまたヘンゼルと鯨とのひと夏の友情が鮮やかに描かれていました。

ひたひたと現実世界を浸食していく夢の静けさとは裏腹に、海中の描写の賑やかなこと! 美しいものも不気味なものも怖いものもユーモラスなものもごちゃ混ぜで、まさに子供が描く絵画のようでした。際限なくヘンゼルの興味を引き、より深みへ潜っていきたくなる気持ちが分かります。そしてあのまま潜り続けていたら……セヴァとムゥが間に合わなかったら、ヘンゼルと鯨は永遠に夏の海で遊んでいられたのかなと考えると、それも違う気がします。広がりすぎた夢はいずれ破綻して、悲劇的な終わりを迎えたかもしれません。やや強引なやり方でしたが、二人の父親がヘンゼルを連れ戻してくれて本当によかった。

『遠い残響を聞いた』で語られた鯨のモノローグが心に残りました。陸に住まう鯨は「ここではないどこか」「自分の居るべき場所」を求める誰かのメタファーでしょう。誰もが生きやすい場所で生きられたらそれが一番なのですが、うまくいかないのが人生です。鯨の心残りが解消できたかどうかは分かりませんが、短い間でも広い海を自由に泳げて、そして親友にそんな自分の姿を見せられて、満足だったのではないかと思います。だからこそ、ヘンゼルを彼の「居るべき場所」へ戻してあげたのでしょうね。
夏の欠片を胸に、またひとつ成長したヘンゼル。彼がこの世界で何を得てどこへ向かうのか、行く末が気になる幕切れでした。
  • 投稿者: 橘 塔子
  • 女性
  • 2022年 09月19日 21時45分
お忙しい中、感想ありがとうございます!
もともと八月分は欠番で、私も夏が好きなもんだから、張り切って夏っぽいあれこれを詰め込んだったw ノスタルジーもバリバリ意識してました。少年時代と夏って、相性抜群の組み合わせですよね。人生に於いては春より夏が先に来るのか。
夢と現、変わるものと変わらないもの。仰る通り「境界線」は、本作の重要なテーマです。分かたれたり、混ざったり、まさに境界線上だったり。今回は超えられない一線としてのそれでしたが、いつか軽々と超えて行ってしまう誰かも現れるかもしれませんね。

水中描写。
苦労したので、褒めてもらえて嬉しいです(*´艸`*) 子供の絵画、その表現素敵! だいたいどんな生き物でも好きなので(昆虫と多脚類を除く。あれは宇宙人)、欲張って海の生き物たくさん出しちゃいましたw ただ美しいだけ、可愛いだけってのも芸がないし、なんか違うなーと。得体の知れない不気味さこそ、海の魅力だと思います。

鯨のモノローグは、実はプロットを作る前から出来上がっていた台詞です。鯨は、誰よりも境界線の意味を理解していました。互いに住む世界が違っても、楽しい時間は、確かに存在した。それで充分だと判断したんでしょうね。彼の最後の台詞は、どうしても言わせたかったものでした。
テーマが重たいので、その分、鯨が陽キャになってます。自分が陰キャなためか、割と気に入ってしまったキャラですw

いつも鋭い考察、温かい感想をありがとうございます!
読んでくれて嬉しいです! 感謝(∩´∀`)
 
[一言]
拝読しました!

傘の事件以来、ヘンゼルの居場所が分かるようにペンダントを渡すなんて、心配なんですね、ムゥさんは。
今回はムゥさんの憔悴っぷりにきゅんきゅん(こら)しちゃいました。
とはいえ、ヘンゼルは好奇心旺盛な男の子。これからも色々とやらかしてくれそうです。
住むところが違う存在……人間と鯨。鯨と仲良くなっていくうちに、ムゥさんとセヴァさんのことを忘れかけるヘンゼルにはちょっと待ってー! と言いたくなりました。
続きも楽しみにしています!

感想ありがとうございます!

今でいうなら、GPSですよね。賛否両論ありますが、心配な親の気持ちもわかるんですよねぇ…私は子供を持ったことがないけど、友人の子供が小さい頃はよく一緒に遊んでいて、母親って大変だなぁと思ったものです。
イケメンの憔悴って、なんかセクシーですよねw 普段きっちりしてる人の服装や髪が乱れたり、愛想笑いができなくなったりするの、私も結構ツボですw ムゥは毎回こんな目に遭ってるような…はい、不憫系も好きです( *´艸`)
ムゥとセヴァを忘れてゆくシーンは「どちらか一方しか選べない」という状況を表したくて、こうなりました。人生に於いて、そういう場面って多々あると思います。選ばなかった方の結末が凄く気になるんだけど、それは永遠に知り得ないっていう。
書いてて思ったんですが、ペンギンとかカエルとか、水陸両用ってヤバい能力ですよねぇ。その分、何かが犠牲になってるとしても、ちょっと小器用で憧れますw

読んでくれてありがとうございました!
[一言]
イメージの美しさに感動しました!
水没は「崖の上のポニョ」で街が水没するシーンがありますが、迷いの森と海とのコラボはあの映画より幻想的で美しいですね! 特に向日葵の水没は強く印象に残りました。
そして、海へ行こうか山へ行こうか迷う季節である夏なので、海と森のコラボは贅沢に夏を凝縮したシーンだと思います。深海のホラー風味も夏を感じさせますね。
住んでいる世界が違うというテーマはピンとこなかったのですが、ラストの鯨の決断と昇天のシーンは見事でした。
凝縮した夏のイメージを楽しむことが出来ました。ありがとうございました。

  • 投稿者: 梢美果
  • 2022年 09月05日 09時28分
感想ありがとうございます!
イメージは、毎回ぼんやり頭の中にあるのを文章にするのに凄く苦労するので、美しいと仰って頂けて嬉しいです! そういえばポニョも水没してましたね。あれは人魚(半魚人?)の婿取り物語として見ると結構怖い。あの女神様の正体も絶対チョウチンアンコウだし…たぶんクトゥルフ怪談ですよ、あれw

水中向日葵は、前から書きたくって、強引に捻じ込んでしまいました。街が丸ごととか、廃墟がとか、水没したものって、浪漫と物悲しさを感じて、何とも言えない気分になります。
私事ですが、四季の中で夏がいちばん好きなんですよ。少年時代との相性も抜群だし、せっかくなので「夏といえば?」なテンプレ盛り沢山でお届け致しましたw 楽しんでもらえて光栄です! 惜しむらくは海亀を出せなかったこと…好きなんだけどな。

一応「住む世界が違う」というのは、最終的には共存できなかった鯨とヘンゼル、という存在の関係性です。好き嫌いに関わらず、互いが生きられる環境が違うことはあるよね…という。

今年は雨ばっかりだったので、来年の夏は晴れてほしいです。
読んでくれてありがとうございました!
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