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[良い点]
冒頭は華族のような世界という見慣れていなかった雰囲気の中で、次々と遭遇していくファンタジー設定という二段構えの違和感が面白く描かれていて秀逸でした。設定がしっかり準備されていたと思うので並べ立てられた謎から始まっていく筋の組み立てが凄くバランスよく作られていて、とても構成の参考になりました。
伏線の回収が間を置いたり置かなかったり緩急がつけられていますが、見せ方に衒いが少なく肩の力の抜けたシンプルさがあるので、ファンタジーの、現実世界にはない魅力と興味をしっかり伝えていると思いました。
食事や会話が庶民の名残りを帯びているあたりの要素はいい塩梅だったと思います。
他人同然の父が淡々と語っていく短い会話からなるオープニングは、緻密な伏線が凝縮されているのに堅苦しく感じさせない、回収時に作用する笑いもまんべんなく施されたハイレベルな掴みでした。
この作品の最大の特徴はファンタジー設定への絶妙な立ち位置だったと思います。設定上の二つの優れた着想・工夫がそれを象徴していました。
純粋なファンタジー作品を読むのはこれが初めてだったのですが、とてもすんなりと作品世界になじんでいくことができました。
一つが主人公がファンタジーの外側の現実世界からスタートしていること、もう一つが主人公の心ツッコミ、筋が進んでからはビックリマンのスーパーゼウス風な建国王との掛け合いで、しかも関西弁の含みの豊かな感じも相まって、共感性の高い、独特の魅力的な語り口となっていたと感じています。
恐らくボク以外の読者にもとても伝わりやすく、味わいのある読み味として実感されるのではないかと考えます。
ファンタジー本編に入ってからは作りこまれた世界観の設定と情景、挿し絵にとても勉強させていただきました。設定集がいいですよね!
本編で描かれていたのは家族の諸々や、少年の心の成長を異世界の交流により得ていくというヒューマンドラマだったと思いました。
それが徐々に積み重なる構成に旅として描かれて濃さを増していき、クライマックスに一気に噴き出して、ボスは自我との対峙というエヴァ的な我々新世代のオーソドクシーに落とし込んでいて面白かったです。観念的なアクションとはいえ迫力やスリルは他のアクションシーンにひけを取らない印象的なクライマックスでした。
テーマの一つでもある瘴気は、文字数を合わせレンガのような視覚効果で描かれていて、それを自問自答の剣で切り裂いていく仕掛けがとてもうまく成し遂げられていたと思います。
[一言]
初期のほうの作品ということですが上手い文章だったと思います。
基本的には短文で情報の伝達優位の文体だったと思います。時々立ち上がる情景や情念などが耽美的で、メリハリのある面白い文体だと思いました。
髙津さんの関西人気質なところ、ぶっちゃけているけど本質をついているところがボクにとって一番興味深く親近感を持てる作家性でありコアな人間味なのかなと綜合して考えました。
ツイッターでの会話による気づきもありましたが、作品で描かれているような善意の押しつけや心の弱さを越えた崇高さを、醜さと同居させつつ距離感を一定にして語りきっている感じが、作品群に通底している髙津さんの感覚なのかなと現時点では思ってます。そういう必死過ぎない知性が作家には一番大切な要素なのではないかなとボクは考えています、髙津さんの優れた作品の一端とともに、そういう気づきを実感できたことも今回よかったことのひとつで、そういう人間性や作家性の共通項を発見することは、これからの作品制作の励みになりますね。
ファンタジー作品は今回一作だけでしたが、これからも読ませていただきたいと思っているので、よろしくです。
最後にこの前考えた小説家の行く末と視覚芸術について触りだけお伝えしますね。
髙津さんは描かれている絵がとても上手いと思ったのと、シュール絵画の興味と知識をお持ちだったのとで思い立ちました。
今はまだまだ夢の途中で行く末など遠い未来の話でしかありませんが、時々ふと考えることがあるんですね。
今は試行錯誤したり努力したり楽しんだりしている小説の制作や生活がありますが、具体的な目的はボクの場合プロになりそれを生活の礎にすることです。
文章というのはひとつ面白くないところがあって、スキルが上達すればするほど個性がそがれていき表現の幅が先細りになっていくようなイメージがあるような気がしなくもなくて……
ちょうど放物線のように、今は未熟な段階なので失うものなどなく増やしていくばかりですが、磨かれていき正しい文章に近づくにつれ、いかにして逸脱するか、という芸術性も融合させていずれは追っていかなければならなくなるのかなとボクは考えています。
そういうある面ネガティブなイメージを夢想していたある日に、絵画などの視覚芸術とのジャンルミックスの道をふいに着想したんですよ。漫画やアニメでは立体アート展など、ありがちな発想ですが、ひょっとしたらむしろ小説家に必要な、残された道こそそれではないかと考えたんですね。どうしてそう思いついたかまでは覚えていませんが、嫁さんとの会話でそこに行き着いたということだけは覚えています笑
SF作家の酉島伝法さんは、画家出身の優れた世界観と文体を持った現役の作家でこれからどんどん活躍されていくと思いますが、恐らく画家としてのジャンルの融合を先駆けていくのかなとも予想します。
小説の作品世界で描かれた世界観を肌で感じることのできる、特に視覚にダイレクトに働きかける芸術形態で、映画の小道具やミニチュアのようなものや絵画などが発想にはありました。
ボク自身が将来やれるようになったとして、その具体案までは現段階では何もありませんが、ただ、その着想によって、ボクの目の前に広がり抱えている世界や未来が、開けていくようなイメージが生まれたのは確かなんですね。
最大の目的は小説家を先細りさせないための相乗効果にあるので、その二足のわらじが発想を先細りさせてしまうものならばやらないほうがいいですし、単なる趣味ではさらにいけないですし。ただ、創作というものが楽しいものであることのイメージは得ることができました、なぜなら、可能性が細くなるのではなく、太くなっていくイメージだったからなのだろうと思っています。それが小説家にとっての本来の道なのかな、などと大上段に構えた構想を思い立ちました。
全然具体的でなくてすみません笑
ボクも髙津さんのように画力があれば問題ないのですが、どうしても素人なので、これからデッサンなど基本だけでも練習していかなければ手遅れになってしまうなあと思う現在です、しかし今は小説で手一杯です笑
またツイッターなどでお話ししましょうね、そして作品を読んだら感想を書くと思うのでこれからもよろしくお願いします。
冒頭は華族のような世界という見慣れていなかった雰囲気の中で、次々と遭遇していくファンタジー設定という二段構えの違和感が面白く描かれていて秀逸でした。設定がしっかり準備されていたと思うので並べ立てられた謎から始まっていく筋の組み立てが凄くバランスよく作られていて、とても構成の参考になりました。
伏線の回収が間を置いたり置かなかったり緩急がつけられていますが、見せ方に衒いが少なく肩の力の抜けたシンプルさがあるので、ファンタジーの、現実世界にはない魅力と興味をしっかり伝えていると思いました。
食事や会話が庶民の名残りを帯びているあたりの要素はいい塩梅だったと思います。
他人同然の父が淡々と語っていく短い会話からなるオープニングは、緻密な伏線が凝縮されているのに堅苦しく感じさせない、回収時に作用する笑いもまんべんなく施されたハイレベルな掴みでした。
この作品の最大の特徴はファンタジー設定への絶妙な立ち位置だったと思います。設定上の二つの優れた着想・工夫がそれを象徴していました。
純粋なファンタジー作品を読むのはこれが初めてだったのですが、とてもすんなりと作品世界になじんでいくことができました。
一つが主人公がファンタジーの外側の現実世界からスタートしていること、もう一つが主人公の心ツッコミ、筋が進んでからはビックリマンのスーパーゼウス風な建国王との掛け合いで、しかも関西弁の含みの豊かな感じも相まって、共感性の高い、独特の魅力的な語り口となっていたと感じています。
恐らくボク以外の読者にもとても伝わりやすく、味わいのある読み味として実感されるのではないかと考えます。
ファンタジー本編に入ってからは作りこまれた世界観の設定と情景、挿し絵にとても勉強させていただきました。設定集がいいですよね!
本編で描かれていたのは家族の諸々や、少年の心の成長を異世界の交流により得ていくというヒューマンドラマだったと思いました。
それが徐々に積み重なる構成に旅として描かれて濃さを増していき、クライマックスに一気に噴き出して、ボスは自我との対峙というエヴァ的な我々新世代のオーソドクシーに落とし込んでいて面白かったです。観念的なアクションとはいえ迫力やスリルは他のアクションシーンにひけを取らない印象的なクライマックスでした。
テーマの一つでもある瘴気は、文字数を合わせレンガのような視覚効果で描かれていて、それを自問自答の剣で切り裂いていく仕掛けがとてもうまく成し遂げられていたと思います。
[一言]
初期のほうの作品ということですが上手い文章だったと思います。
基本的には短文で情報の伝達優位の文体だったと思います。時々立ち上がる情景や情念などが耽美的で、メリハリのある面白い文体だと思いました。
髙津さんの関西人気質なところ、ぶっちゃけているけど本質をついているところがボクにとって一番興味深く親近感を持てる作家性でありコアな人間味なのかなと綜合して考えました。
ツイッターでの会話による気づきもありましたが、作品で描かれているような善意の押しつけや心の弱さを越えた崇高さを、醜さと同居させつつ距離感を一定にして語りきっている感じが、作品群に通底している髙津さんの感覚なのかなと現時点では思ってます。そういう必死過ぎない知性が作家には一番大切な要素なのではないかなとボクは考えています、髙津さんの優れた作品の一端とともに、そういう気づきを実感できたことも今回よかったことのひとつで、そういう人間性や作家性の共通項を発見することは、これからの作品制作の励みになりますね。
ファンタジー作品は今回一作だけでしたが、これからも読ませていただきたいと思っているので、よろしくです。
最後にこの前考えた小説家の行く末と視覚芸術について触りだけお伝えしますね。
髙津さんは描かれている絵がとても上手いと思ったのと、シュール絵画の興味と知識をお持ちだったのとで思い立ちました。
今はまだまだ夢の途中で行く末など遠い未来の話でしかありませんが、時々ふと考えることがあるんですね。
今は試行錯誤したり努力したり楽しんだりしている小説の制作や生活がありますが、具体的な目的はボクの場合プロになりそれを生活の礎にすることです。
文章というのはひとつ面白くないところがあって、スキルが上達すればするほど個性がそがれていき表現の幅が先細りになっていくようなイメージがあるような気がしなくもなくて……
ちょうど放物線のように、今は未熟な段階なので失うものなどなく増やしていくばかりですが、磨かれていき正しい文章に近づくにつれ、いかにして逸脱するか、という芸術性も融合させていずれは追っていかなければならなくなるのかなとボクは考えています。
そういうある面ネガティブなイメージを夢想していたある日に、絵画などの視覚芸術とのジャンルミックスの道をふいに着想したんですよ。漫画やアニメでは立体アート展など、ありがちな発想ですが、ひょっとしたらむしろ小説家に必要な、残された道こそそれではないかと考えたんですね。どうしてそう思いついたかまでは覚えていませんが、嫁さんとの会話でそこに行き着いたということだけは覚えています笑
SF作家の酉島伝法さんは、画家出身の優れた世界観と文体を持った現役の作家でこれからどんどん活躍されていくと思いますが、恐らく画家としてのジャンルの融合を先駆けていくのかなとも予想します。
小説の作品世界で描かれた世界観を肌で感じることのできる、特に視覚にダイレクトに働きかける芸術形態で、映画の小道具やミニチュアのようなものや絵画などが発想にはありました。
ボク自身が将来やれるようになったとして、その具体案までは現段階では何もありませんが、ただ、その着想によって、ボクの目の前に広がり抱えている世界や未来が、開けていくようなイメージが生まれたのは確かなんですね。
最大の目的は小説家を先細りさせないための相乗効果にあるので、その二足のわらじが発想を先細りさせてしまうものならばやらないほうがいいですし、単なる趣味ではさらにいけないですし。ただ、創作というものが楽しいものであることのイメージは得ることができました、なぜなら、可能性が細くなるのではなく、太くなっていくイメージだったからなのだろうと思っています。それが小説家にとっての本来の道なのかな、などと大上段に構えた構想を思い立ちました。
全然具体的でなくてすみません笑
ボクも髙津さんのように画力があれば問題ないのですが、どうしても素人なので、これからデッサンなど基本だけでも練習していかなければ手遅れになってしまうなあと思う現在です、しかし今は小説で手一杯です笑
またツイッターなどでお話ししましょうね、そして作品を読んだら感想を書くと思うのでこれからもよろしくお願いします。
この話も、丁寧に読み込んで下さってありがとうございます。
野茨の環シリーズとしては、これが第一話の位置付けなので、世界観の説明も含めてなるべく馴染みやすいように準備運動的な配置にしてあります。
作品世界にすんなり入っていただけましたようで、ホッとしています。
人によっては、冒頭の政治の説明台詞を面倒に感じて、そこで読むのを投げてしまうので、書き出し部分の構成は、まだまだだと思います。
ついでに言うと、公募に出して落ちた没作なので、落ちたのはその辺も理由のひとつだろうなぁと未熟さを痛感しています。
万人受けとまでは行かなくても、多くの人を惹きつけて先のページに読み進ませる冒頭って難しいです。
>主人公がファンタジーの外側の現実世界からスタート
主人公の政晶が、読者と同じ知識量からスタートするので、世界への理解が一緒に深まって、わかりやすくなるかなぁと言う工夫でした。
読み取って下さってありがとうございます。
>主人公の心ツッコミ
関西ノリのツッコミで、こういう書き方も賛否あるようですが、なんせ書いている私が関西人なので全力でツッコミを入れました。
良い点に入れて下さってありがとうございます。
設定集もご覧いただいてありがとうございます。
こういうのを考えるの好きなので、そう言っていただけて嬉しいです。シリーズの他の話も含めて、本編で小出しにした共通設定をまとめたものが設定集なので、基本的に本文に入っていますが、参照しやすいようにまとめてみました。
軸はホームドラマ+成長物語、でも、ファンタジー設定……で、散々迷いましたが、ジャンルは最終的にヒューマンドラマに落ち着きました。
要素が複合していると、ジャンルを選ぶのに悩みます。
ラスボスがドブのファンタジー……(笑)
他人の心の穢れとそこから形を成しつつある三界の魔物が、政晶の心の迷いを利用して内部に引きずり込もうとしていて、ドブの中で彼我の境が曖昧になるように、書き方を試行錯誤しました。
>文字数を合わせレンガのような視覚効果
山村暮鳥の「風景」という詩のインパクトが凄かったので、試しに小説に取り入れました。
波状攻撃と言うか、押し寄せる悪意の塊みたいなものを繰り返しの表現で視覚的に四角く表現してみる試みでした。
気付いていただけてよかったです。
文章の個性は、本屋さんで普通に売っているプロの作品を読んだ限りでは、それぞれ文体や構成に個性があって、こういうのがある人がプロになれるんだなぁと思ったことがあります。
表現の幅と言うか、持ち味……絵で例えるなら、所謂「絵柄」に相当する部分なのかな、と。
それらは全て、ストーリーの面白さがあって、それを伝えるツールとしてのものだと思います。
漫画だと顕著ですが、絵はとても美麗なのにお話がつまらない……固有名詞は出しませんが、そんな作品を見たことがあります。
その逆で、絵はちょっと残念な部分があるけど、お話が面白くてどんどん引き込まれる作品もあります。
で、どっちが売れているかというと、後者が多いんですよね。勿論、絵が上手くてストーリーも面白い作品は言わずもがな……
>絵画などの視覚芸術とのジャンルミックスの道
ふと思ったんですが、ビジュアルノベル/サウンドノベル/ノベルゲームが、そうですね。
1990年代初頭頃からあるゲームのジャンルなんですけど、昔ながらのゲームブックにイラストと音声を付けたようなもので、ゲームブックよりも文字数が多くて、ほぼ小説です。
選択肢によって結末が変わるので、何度でも繰り返し読んで楽しめる仕様。
これだけで一ジャンルを形成していて、ヒット作が何本もあるので、方向性としては充分アリなんでしょうね。
紙の小説本だと挿絵の多いラノベが近いですが、電子書籍なら現状の仕様でもイラストや音声、動画を組込めるので、これから先、電子書籍がもっと普及して、生産コストを掛けてでも付加価値を付けて差別化が図られるようになれば、多数のイラストや効果音やBGMなどを付けた形態の「小説」作品が出てくるかもしれませんね。
小説の長所であり、同時に短所にも挙げられるのが、文字を読んで読者が想像するので「視覚イメージが読者の頭の中で、その人の好みぴったりに再現されること」なんですよね。
ラノベでよくある不満が、ヒロインの挿絵ビジュアルが自分の好みじゃなかった/想像と違った/挿絵の絵柄が自分の好みじゃなかった……とかなんで、挿絵を付けるのは諸刃の剣だったりもします。
最近は変わってきましたが、一般文芸の小説に挿絵が少なく、表紙にも主人公や主要キャラの具体的な容姿があまり登場しなかったのは、こういう理由があるのかも知れません。
なろうでも、挿絵表示の有無を切替えられるようになっているは、同様の理由かなぁと。
実は自分自身でも、画力が足りなくて想像した通りには描けていないので、なかなかその辺は……
ただ、小説と挿絵、どちらも描いてて楽しいですし、巧拙は別として、実際に絵に描き起こしてみるとその過程で文章の表現を別角度からできることもあるので、それなりにいいことはあります。
たくさん褒めて下さってありがとうございました。
野茨の環シリーズとしては、これが第一話の位置付けなので、世界観の説明も含めてなるべく馴染みやすいように準備運動的な配置にしてあります。
作品世界にすんなり入っていただけましたようで、ホッとしています。
人によっては、冒頭の政治の説明台詞を面倒に感じて、そこで読むのを投げてしまうので、書き出し部分の構成は、まだまだだと思います。
ついでに言うと、公募に出して落ちた没作なので、落ちたのはその辺も理由のひとつだろうなぁと未熟さを痛感しています。
万人受けとまでは行かなくても、多くの人を惹きつけて先のページに読み進ませる冒頭って難しいです。
>主人公がファンタジーの外側の現実世界からスタート
主人公の政晶が、読者と同じ知識量からスタートするので、世界への理解が一緒に深まって、わかりやすくなるかなぁと言う工夫でした。
読み取って下さってありがとうございます。
>主人公の心ツッコミ
関西ノリのツッコミで、こういう書き方も賛否あるようですが、なんせ書いている私が関西人なので全力でツッコミを入れました。
良い点に入れて下さってありがとうございます。
設定集もご覧いただいてありがとうございます。
こういうのを考えるの好きなので、そう言っていただけて嬉しいです。シリーズの他の話も含めて、本編で小出しにした共通設定をまとめたものが設定集なので、基本的に本文に入っていますが、参照しやすいようにまとめてみました。
軸はホームドラマ+成長物語、でも、ファンタジー設定……で、散々迷いましたが、ジャンルは最終的にヒューマンドラマに落ち着きました。
要素が複合していると、ジャンルを選ぶのに悩みます。
ラスボスがドブのファンタジー……(笑)
他人の心の穢れとそこから形を成しつつある三界の魔物が、政晶の心の迷いを利用して内部に引きずり込もうとしていて、ドブの中で彼我の境が曖昧になるように、書き方を試行錯誤しました。
>文字数を合わせレンガのような視覚効果
山村暮鳥の「風景」という詩のインパクトが凄かったので、試しに小説に取り入れました。
波状攻撃と言うか、押し寄せる悪意の塊みたいなものを繰り返しの表現で視覚的に四角く表現してみる試みでした。
気付いていただけてよかったです。
文章の個性は、本屋さんで普通に売っているプロの作品を読んだ限りでは、それぞれ文体や構成に個性があって、こういうのがある人がプロになれるんだなぁと思ったことがあります。
表現の幅と言うか、持ち味……絵で例えるなら、所謂「絵柄」に相当する部分なのかな、と。
それらは全て、ストーリーの面白さがあって、それを伝えるツールとしてのものだと思います。
漫画だと顕著ですが、絵はとても美麗なのにお話がつまらない……固有名詞は出しませんが、そんな作品を見たことがあります。
その逆で、絵はちょっと残念な部分があるけど、お話が面白くてどんどん引き込まれる作品もあります。
で、どっちが売れているかというと、後者が多いんですよね。勿論、絵が上手くてストーリーも面白い作品は言わずもがな……
>絵画などの視覚芸術とのジャンルミックスの道
ふと思ったんですが、ビジュアルノベル/サウンドノベル/ノベルゲームが、そうですね。
1990年代初頭頃からあるゲームのジャンルなんですけど、昔ながらのゲームブックにイラストと音声を付けたようなもので、ゲームブックよりも文字数が多くて、ほぼ小説です。
選択肢によって結末が変わるので、何度でも繰り返し読んで楽しめる仕様。
これだけで一ジャンルを形成していて、ヒット作が何本もあるので、方向性としては充分アリなんでしょうね。
紙の小説本だと挿絵の多いラノベが近いですが、電子書籍なら現状の仕様でもイラストや音声、動画を組込めるので、これから先、電子書籍がもっと普及して、生産コストを掛けてでも付加価値を付けて差別化が図られるようになれば、多数のイラストや効果音やBGMなどを付けた形態の「小説」作品が出てくるかもしれませんね。
小説の長所であり、同時に短所にも挙げられるのが、文字を読んで読者が想像するので「視覚イメージが読者の頭の中で、その人の好みぴったりに再現されること」なんですよね。
ラノベでよくある不満が、ヒロインの挿絵ビジュアルが自分の好みじゃなかった/想像と違った/挿絵の絵柄が自分の好みじゃなかった……とかなんで、挿絵を付けるのは諸刃の剣だったりもします。
最近は変わってきましたが、一般文芸の小説に挿絵が少なく、表紙にも主人公や主要キャラの具体的な容姿があまり登場しなかったのは、こういう理由があるのかも知れません。
なろうでも、挿絵表示の有無を切替えられるようになっているは、同様の理由かなぁと。
実は自分自身でも、画力が足りなくて想像した通りには描けていないので、なかなかその辺は……
ただ、小説と挿絵、どちらも描いてて楽しいですし、巧拙は別として、実際に絵に描き起こしてみるとその過程で文章の表現を別角度からできることもあるので、それなりにいいことはあります。
たくさん褒めて下さってありがとうございました。
- 髙津 央
- 2017年 09月27日 20時25分
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