感想一覧
▽感想を書く[良い点]
バイオリンの音色が聴こえてきたところで、感動してしまいました。
[一言]
はじめまして。イングリッド・バーグマン好きの若輩者です。映画館へ行くと人生の先輩ばかり……
アナスタシアの伝説を描いた『追想』は、うちでDVDで観ましたが、印象に残っていました。
DNA鑑定、この人物にとっては寂しいことかもしれませんが、それによってこのような素敵な小説が読めたのだと思うと、私は嬉しいです。
もちろん、最後まで曖昧なままでも、充分素敵な物語ではあるのですが。
バイオリンの音色が聴こえてきたところで、感動してしまいました。
[一言]
はじめまして。イングリッド・バーグマン好きの若輩者です。映画館へ行くと人生の先輩ばかり……
アナスタシアの伝説を描いた『追想』は、うちでDVDで観ましたが、印象に残っていました。
DNA鑑定、この人物にとっては寂しいことかもしれませんが、それによってこのような素敵な小説が読めたのだと思うと、私は嬉しいです。
もちろん、最後まで曖昧なままでも、充分素敵な物語ではあるのですが。
檸檬さん
ご感想どうもありがとうございます。
主人公たちの会話の中に外部の音を取り入れる描写に目を留めていただけて嬉しいです。
バーグマンの映画は未見ですが、アナスタシア伝説にはその顛末を含めて引き付けられるものがありますね。
ご感想どうもありがとうございます。
主人公たちの会話の中に外部の音を取り入れる描写に目を留めていただけて嬉しいです。
バーグマンの映画は未見ですが、アナスタシア伝説にはその顛末を含めて引き付けられるものがありますね。
- 吾妻栄子
- 2018年 07月23日 00時19分
[一言]
この様な人物が居たことを初めて知りました。それにヒントを得て、この様なストーリーを作り出すとは……創造性豊かな想像力は小説家の必須能力だな〜、と再認識しました。
>密集して咲く花々の上に散った雫は、眩しい陽射しを受けてキラリと輝くと球体の奥に吸い込まれた
表現としてはこのラストの部分が秀逸ですね、普段余りピックアップされない、目新しい、しかも日常的な描写が、物語をスッと落ち着かせてくれています。
この様な人物が居たことを初めて知りました。それにヒントを得て、この様なストーリーを作り出すとは……創造性豊かな想像力は小説家の必須能力だな〜、と再認識しました。
>密集して咲く花々の上に散った雫は、眩しい陽射しを受けてキラリと輝くと球体の奥に吸い込まれた
表現としてはこのラストの部分が秀逸ですね、普段余りピックアップされない、目新しい、しかも日常的な描写が、物語をスッと落ち着かせてくれています。
パン×クロックスさん
ご高覧ありがとうございます。
皇女アナスタシアを自称したアンナ・アンダーソンについては前々から興味を持っていたのですが、ここ最近、詐欺事件が世間を賑わしているので、改めて一般には詐欺師と呼ばれるであろう人をヒロインに据えて書くに至りました。
アンナ・アンダーソンは24歳で自称アナスタシアとして注目されてから、87歳で亡くなるまで、実に60年余りも生き残った皇女だと自称し、多数の支持者を得ました。
死後のDNA鑑定によりデータ上は否定された現在でも、彼女をアナスタシアだと信じる人はいるそうで、そこに単なる巧緻な詐欺師に止まらないカリスマ性といったものを感じました。
というより、彼女本人に人を惹きつける魅力があったからこそ、周囲がアナスタシアにし続けてくれたのではないか、と。
初めは年老いた職人の台詞で終わらせようと考えたのですが、鞠のような形をした花の奥に眩しい雫が吸い込まれる描写で結んだ方が余韻深いと思ったので、最後にその一文を置きました。
ご高覧ありがとうございます。
皇女アナスタシアを自称したアンナ・アンダーソンについては前々から興味を持っていたのですが、ここ最近、詐欺事件が世間を賑わしているので、改めて一般には詐欺師と呼ばれるであろう人をヒロインに据えて書くに至りました。
アンナ・アンダーソンは24歳で自称アナスタシアとして注目されてから、87歳で亡くなるまで、実に60年余りも生き残った皇女だと自称し、多数の支持者を得ました。
死後のDNA鑑定によりデータ上は否定された現在でも、彼女をアナスタシアだと信じる人はいるそうで、そこに単なる巧緻な詐欺師に止まらないカリスマ性といったものを感じました。
というより、彼女本人に人を惹きつける魅力があったからこそ、周囲がアナスタシアにし続けてくれたのではないか、と。
初めは年老いた職人の台詞で終わらせようと考えたのですが、鞠のような形をした花の奥に眩しい雫が吸い込まれる描写で結んだ方が余韻深いと思ったので、最後にその一文を置きました。
- 吾妻栄子
- 2014年 12月27日 15時17分
[一言]
「シンデレラの条件」を拝読しました。
本物であろうと偽物であろうと、宝飾品としては持つ者の感じ方、表現の仕方でどんなものにでもなる。人生もまた同じだ……。
かつて少年だった年老いた職人の目を通して語る。
うまいですね、いつもながら。
先生の主題とは異なりますが、確かにアナスタシア伝説は根強いですね。一連の思い込みの激しい方々の発生に事欠かないくらいには。
でも、なんで人気があったんでしょうか(本人ではなく面白がる世間的に)?僕にはわからない。ロシア皇室の宙に浮いた資産があったためなのでしょうか?それとも共産党の過激分子に処刑された悲劇性のため?ソ連に対する嫌がらせ?女の子のプリンセス願望?
日本でも例のクヒオ大佐など霞んでしまうほど自称なんたらが昔から多くいました。有名なものに戦前(日露戦争当時)では都立松沢病院に収容されていた葦原天皇。戦後では南朝の子孫と自称した熊沢天皇がいました。こちらの方はなんとはなくわかる気がします。いずれも天皇についてなんだろうと真剣に考えられていた時代(前者は明治時代、江戸時代には神官の親玉程度にしか庶民には考えられていなかった天皇について権威付けようと政府、元老が必死になっていた頃にパロディのように現れ、本人もさかんに奇矯な振る舞いをしてゴシップネタを提供した。後者は戦争に負けて天皇の権威とはなんだろうと人々が考え始めた頃に現れ、時代遅れも甚だしい南朝正当論をかまして衆議院選挙に立候補するやら天皇の地位不適格確認請求なる訴訟を提起したりした)に対極に位置するものとして認識されていましたから。
そういう意味でアナスタシア伝説は苦手です。よくわかりません。
先生の作品はここのところ、思い込みの激しい人物が登場しますが、先生自身はできればこの人物になりきりたいと思われたことはありますか?
僕の場合、幼い子供時代はいざしらず(特定の人物ではなく、なぜだかインド開拓の農業技術者になりたかった。理由は今となっては不明です)、年をとれば取るほど尊敬できる人物が少なくなり、またスゴイ人を知って感動はしてもその人の道をたどることをしたくない。いわゆる一廉の人物になる気概がなくなってしまいました。
「シンデレラの条件」を拝読しました。
本物であろうと偽物であろうと、宝飾品としては持つ者の感じ方、表現の仕方でどんなものにでもなる。人生もまた同じだ……。
かつて少年だった年老いた職人の目を通して語る。
うまいですね、いつもながら。
先生の主題とは異なりますが、確かにアナスタシア伝説は根強いですね。一連の思い込みの激しい方々の発生に事欠かないくらいには。
でも、なんで人気があったんでしょうか(本人ではなく面白がる世間的に)?僕にはわからない。ロシア皇室の宙に浮いた資産があったためなのでしょうか?それとも共産党の過激分子に処刑された悲劇性のため?ソ連に対する嫌がらせ?女の子のプリンセス願望?
日本でも例のクヒオ大佐など霞んでしまうほど自称なんたらが昔から多くいました。有名なものに戦前(日露戦争当時)では都立松沢病院に収容されていた葦原天皇。戦後では南朝の子孫と自称した熊沢天皇がいました。こちらの方はなんとはなくわかる気がします。いずれも天皇についてなんだろうと真剣に考えられていた時代(前者は明治時代、江戸時代には神官の親玉程度にしか庶民には考えられていなかった天皇について権威付けようと政府、元老が必死になっていた頃にパロディのように現れ、本人もさかんに奇矯な振る舞いをしてゴシップネタを提供した。後者は戦争に負けて天皇の権威とはなんだろうと人々が考え始めた頃に現れ、時代遅れも甚だしい南朝正当論をかまして衆議院選挙に立候補するやら天皇の地位不適格確認請求なる訴訟を提起したりした)に対極に位置するものとして認識されていましたから。
そういう意味でアナスタシア伝説は苦手です。よくわかりません。
先生の作品はここのところ、思い込みの激しい人物が登場しますが、先生自身はできればこの人物になりきりたいと思われたことはありますか?
僕の場合、幼い子供時代はいざしらず(特定の人物ではなく、なぜだかインド開拓の農業技術者になりたかった。理由は今となっては不明です)、年をとれば取るほど尊敬できる人物が少なくなり、またスゴイ人を知って感動はしてもその人の道をたどることをしたくない。いわゆる一廉の人物になる気概がなくなってしまいました。
でれすけさん
ご高覧どうもありがとうございます。
興味深い指摘が多くて読んでいて楽しいです。
本編では「本物であろうと偽物であろうと魅惑的な存在」を描きたかったので、視点となる宝石職人の少年期と老年期に分けて綴りました。
道具立てとしては以前発表した「マトリョーシカ」に似ていますが、本編はストーリー展開としては決して意外性のあるものではないので、文章表現に力を入れました。
さて、既にご存知とは思いますが、本編の「自称エカチェリーナ皇女」のモデルは、アナスタシアを自称したアンナ・アンダーソンです。
アナスタシアを自称した女性は複数いたそうですが、その中でも一番支持を得て、本物のアナスタシアを知る王朝関係者にも信じる人がいたのは彼女でした。
このアンナは実際には爆発事故で記憶喪失になったポーランド人の女工だったらしいのですが、ドイツで自殺未遂して精神病院に収容されているところを周囲の方からアナスタシアではないかと騒ぎ出したのが騒動の発端だそうです。
そう思わせるような女性だったのでしょうね。
だから、DNA鑑定上は否定されても、アンナは決して遺産狙いの悪辣な詐欺師といった女性ではなく、彼女の意識の上では本当に皇女だと思い込まされていたかもしれないのです。
彼女はその後、富裕な支持者と結婚してアメリカに渡り、ヨーロッパでも社交界の華となったそうですが、晩年は奇行が目立つようになり、最後はやはり精神病院に収容されて亡くなったとのこと。
心穏やかな人生ではなかったようです。
真偽はさておき、「生き残った皇女アナスタシア」をもてはやした当時の欧米の人々には、仰る通り、年若く美しい皇女たちが無残に殺害された悲劇性や大国ロシアを支配していたロマノフ王朝への憧憬といった感情が根底にあったと思います。
西側諸国のソ連に対する反発もむろんあったでしょうね。
実際、ソ連側も幼い皇太子やまだ若い皇女たちまで処刑した事実が知れ渡ると対外イメージが悪くなることを懸念して、当初は「皇帝のみ処刑し、皇后や子供たちは安全な所に移して生かしている」と発表していたそうで、そこから生き残ったアナスタシア伝説が生まれたと考えられます。
戦前の葦原天皇は飽くまで「狂人」の身分として登場し、その上でバラエティタレント的に世間から消費された感がありますね。
戦後の熊沢天皇は仰る通り、敗戦後の混乱期に昭和天皇に対して少なからず生じた反発や不信を表象する人物ですね。
私も思い込みの激しい方だとは自覚していますが、自分を高貴な人物だとか妄想して振舞う末期的段階には至っていません(笑)
ただ、歴史上の有名な人物本人ではなく、むしろその傍にいた無名の存在になって、つぶさに観察したかったとは昔からよく思います。
本編で皇女を名乗る女性本人ではなく、無名の少年に視点を置いているのもそんなところから来ています。
そもそも「アナスタシア」は「復活」を意味する名前だそうで、加えて皇女姉妹の中では一番幼く、処刑当時は十七歳という若さだったことから、「せめてこの人だけは生きていて欲しい」という人々の願望が伝説の流布に拍車をかけたと思われます。
クヒオ大佐は自称した本人の頭の中にだけ存在する人物ですが、皇女アナスタシアは実在の人物で、しかも、アンナ・アンダーソンの存命時にはロマノフ王朝の莫大な遺産の継承権も発生する可能性がありましたから、この点でもワイドショー的な興味を引いたと思われます。
ご高覧どうもありがとうございます。
興味深い指摘が多くて読んでいて楽しいです。
本編では「本物であろうと偽物であろうと魅惑的な存在」を描きたかったので、視点となる宝石職人の少年期と老年期に分けて綴りました。
道具立てとしては以前発表した「マトリョーシカ」に似ていますが、本編はストーリー展開としては決して意外性のあるものではないので、文章表現に力を入れました。
さて、既にご存知とは思いますが、本編の「自称エカチェリーナ皇女」のモデルは、アナスタシアを自称したアンナ・アンダーソンです。
アナスタシアを自称した女性は複数いたそうですが、その中でも一番支持を得て、本物のアナスタシアを知る王朝関係者にも信じる人がいたのは彼女でした。
このアンナは実際には爆発事故で記憶喪失になったポーランド人の女工だったらしいのですが、ドイツで自殺未遂して精神病院に収容されているところを周囲の方からアナスタシアではないかと騒ぎ出したのが騒動の発端だそうです。
そう思わせるような女性だったのでしょうね。
だから、DNA鑑定上は否定されても、アンナは決して遺産狙いの悪辣な詐欺師といった女性ではなく、彼女の意識の上では本当に皇女だと思い込まされていたかもしれないのです。
彼女はその後、富裕な支持者と結婚してアメリカに渡り、ヨーロッパでも社交界の華となったそうですが、晩年は奇行が目立つようになり、最後はやはり精神病院に収容されて亡くなったとのこと。
心穏やかな人生ではなかったようです。
真偽はさておき、「生き残った皇女アナスタシア」をもてはやした当時の欧米の人々には、仰る通り、年若く美しい皇女たちが無残に殺害された悲劇性や大国ロシアを支配していたロマノフ王朝への憧憬といった感情が根底にあったと思います。
西側諸国のソ連に対する反発もむろんあったでしょうね。
実際、ソ連側も幼い皇太子やまだ若い皇女たちまで処刑した事実が知れ渡ると対外イメージが悪くなることを懸念して、当初は「皇帝のみ処刑し、皇后や子供たちは安全な所に移して生かしている」と発表していたそうで、そこから生き残ったアナスタシア伝説が生まれたと考えられます。
戦前の葦原天皇は飽くまで「狂人」の身分として登場し、その上でバラエティタレント的に世間から消費された感がありますね。
戦後の熊沢天皇は仰る通り、敗戦後の混乱期に昭和天皇に対して少なからず生じた反発や不信を表象する人物ですね。
私も思い込みの激しい方だとは自覚していますが、自分を高貴な人物だとか妄想して振舞う末期的段階には至っていません(笑)
ただ、歴史上の有名な人物本人ではなく、むしろその傍にいた無名の存在になって、つぶさに観察したかったとは昔からよく思います。
本編で皇女を名乗る女性本人ではなく、無名の少年に視点を置いているのもそんなところから来ています。
そもそも「アナスタシア」は「復活」を意味する名前だそうで、加えて皇女姉妹の中では一番幼く、処刑当時は十七歳という若さだったことから、「せめてこの人だけは生きていて欲しい」という人々の願望が伝説の流布に拍車をかけたと思われます。
クヒオ大佐は自称した本人の頭の中にだけ存在する人物ですが、皇女アナスタシアは実在の人物で、しかも、アンナ・アンダーソンの存命時にはロマノフ王朝の莫大な遺産の継承権も発生する可能性がありましたから、この点でもワイドショー的な興味を引いたと思われます。
- 吾妻栄子
- 2014年 12月27日 13時43分
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