感想一覧

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[良い点]
全体的に淡々とした語り口の中で、タロウくんと野良ネコそれぞれの主観が入った目線の切り替えがよかったです。無機質な目線のタロウくんに、時折バグのように訪れる感情のゆらぎ。過酷な日常を送る中で、楽天的なしたたかさを持つ野良ネコ。この対照的な二人が仲良くなっていく展開が、とても自然ですんなりと納得できました。二人のやりとりも微笑ましかったです。
どちらも明日が保証された立場ではないだけに、いつか関係が破綻するのでは……という悲しい予感が当たってしまいましたが、こういった切ない幕切れは心に強く残ります。
[一言]
両親は「壊れた」タロウくんに対して大人の判断をするわけですが(タロウくんが家電なら私も新しいの買うだろうなあ)、ケンジも同じくらい大人ならば、まだタロウくんにとっては幸せであったかもしれないと思います。機械であったり友達であったり、時によって正反対の役割を求められたからこそタロウくんにバグが生まれたのではないでしょうか。人間は本当に身勝手&罪作りです。

>けれど、俺はこういう生き方を望んだわけでも、まして、自分で選び取ったわけでもない。

ネコのこの言葉が印象に残りました。たとえ他人から幸せそうに見えても、それが自分で選び取った生き方でないのならば意味がないのかもしれませんね。

欲を申し上げると、タロウくんの末路がもう少し知りたかったです。路地裏で機能停止になっていたのか、あるいは野良ロボットとして逞しく生きていったのか……ああ、余計に悲劇的になっちゃうでしょうか(笑)。

切なくて、深い味わいの物語でした。ありがとうございました。
  • 投稿者: 橘 塔子
  • 女性
  • 2015年 01月18日 17時26分
 ご感想ありがとうございます。
 目線の切り替えがよかったと言って頂けて、嬉しいです。読みにくいのでは、心配していたので、救われた心地です。

>けれど、俺はこういう生き方を望んだわけでも、まして、自分で選び取ったわけでもない。

 ネコのこの言葉が印象に残ったと言って頂けて、これほど嬉しいお言葉はないと思いました。この作品の核となるものの一つだと思っています。

 タロウくんのその後に関しては、あえて書かなかったというか、書けなかったというか。僕にはどうしても機能停止してしまう未来しか見えず、しかし、そうであってほしくないと思い、さらには冬童話の提出期限も迫っていたこともあって、
「これはもう、読者の皆様のご想像にお任せしよう!」
 と、若干無責任な気もしつつ、ああいった結末とさせて頂きました。

 読んで下さりありがとうございました。
[良い点]
プログラム通りにしか動けないはずのロボットのタロウくんと、生きるのに必死で感情的な野良猫。彼らの対比や交流の様子がときに微笑ましく時に切ないお話でした。タロウくんに感情的なものや人間味のようなものが芽生えても、それを故障としか見なしてもらえないところに、ロボットの悲しさがありますね。
[気になる点]
タイトルの通り、これはタロウくんの物語でもあり、ネコの物語でもあったと思います。それぞれの日常に互いが影響し合いながら、やがてそれぞれがあるゴールを迎える、という作りは大変読み応えがありました。
だからこそ、尚更気になってしまうのはケンジくんの存在です。タロウくんに影響を与えた人物としては、ケンジくんもキーパーソンだったように感じます。何度もタロウくんとケンジくんの絆やすれ違いが仄めかされながらも、最終的にはほぼノータッチで完結してしまったのが残念でした。ネコと同じくらいの掘り下げがケンジくんにもあったら……と思います。
[一言]
タロウくんがあまりに人間的な揺らぎを持っていたので、実は読みながら途中まで「まさかタロウくんは本当は人間なんじゃなかろうか……」と思っていました(笑)もしそうだったら童話にしてはブラックすぎるかもしれませんが……。
けれど、そんな風に思ってしまうほどタロウくんには人間味が備わっていて、そして最終的にはそれが原因で家族の元を離れることになってしまったのですね……切ないお話です。
  • 投稿者: 退会済み
  • 2015年 01月18日 14時12分
管理
 ご感想ありがとうございます。
 お察しの通り、これはタロウくんの物語であり、ネコの物語でもあります。その為、彼らに関しては深く知ろう、理解しよう、と努力したのですが。ケンジくんは間違いなくキーパーソンだったと思うのですが、そのことをなぜか完全に失念していました。彼についてももっと理解してあげられたなら、このお話はもっと違ったものになっていたような気がします。
「まさかタロウくんは……」と書いてくださっていましたが、実は一時期それも考えていました。しかし、それだとちょっと童話として成り立たないというか、童話にできる自信がなかった為、ボツにしたという経緯があります。

 読んで下さりありがとうございました。
[一言]
ほうっていかれたケンジくんがかわいそうでした。
 ご感想ありがとうございます。返信遅くなりすみません。
 ケンジくんについては、タロウくんにおいていかれたこともそうですが、僕自身、彼についてあまり掘り下げることをせずに書いてしまったこともあって、なんだか二重にかわいそうなことになってしまったな、と反省しています。
 読んで下さりありがとうございました。
[一言]
凄く素敵な世界観で、一気に読了致しました……!

童話というとハッピーエンドだったり、夢あふれるお話を想像してしまいがちですが、『タロウくんと路地裏のネコ』のようにあたたかさのなかに切なさが溶けた童話、とっても素敵だと思います。
大変苦労なさったとのことですが、酷い出来だなんてとんでもない! 
個人的な感想になってしまいますが、こういった展開のほうが王道的展開の小説よりもずっと、読者に訴えかける力も大きくなるのでは……と思います。

読者の疑問や好奇心と共にゆっくり進むやさしいお話、じーんと心に響く読後感に浸ることが出来る素敵な時間をありがとうございました……!
  • 投稿者: 退会済み
  • 2015年 01月13日 23時12分
管理
 ご感想ありがとうございます。
 酷い出来だなんてとんでもない、と言ってくださりありがとうございます。余計なことを書いたな、と今は反省しています。
 素敵な世界観、あたたかさのなかに切なさが溶けた童話、とのお言葉ありがとうございます。とても励みになります。
 読んでくださりありがとうございました。
[一言]
SFっぽい切り口で、こういう童話もアリだなと思いました。ロボットのタロウ君目線の心の動きや、映像が途切れたりするシーンが想像力をかきたてて、子供の読者でも面白く読めるんじゃないでしょうか。
希望をいえば、ラストはハッピーエンドが良かったなぁ。タロウ君が、路地裏のネコの食事を作っているシーンとかが見たかったかも。
 ご感想ありがとうございます。
 子供の読者でも面白く読めるんじゃないか、とのお言葉ありがとうございます。
 僕もハッピーエンドがいいな、と思っていたんですけど、書いているうちにどうしてもこうなってしまって……。
 来年こそ、ハッピーエンドな童話が書けるように精進しようと思います。
 読んで下さり、ありがとうございました。
[一言]
ロボットの立場、猫の立場、大きくなった子供の立場、微妙な噛みあわせが良かったです。ラストに向かって起きるだろう事は予測できましたが、『死』に対する切なさに涙が出ました。
子供が中学という事で、多分思春期の難しい時期に入っているのと、『一緒』と約束したのにと家出を止めかけるのと、その動機やタイミング、心の動きが掴みにくかったのが若干勿体無かったです。
最後に来てくれて猫を一緒に葬ったり、その時に『ロボットだから壊れない(死なない)と思っていたのに』なんて一言や、フォローがあればもっと流れが変わっていた気がします。
他にはロボットに感情が生まれたっぽかったのに気付き、何十年後かに子供は博士になって、感情のあるロボットを作ったなど他に路線はあったかも知れません。
『なんとも中途半端というか、ひどい出来だったと……』書かれていますが、そんな事はないと思います。これはこれで完成していると思います。そう書く気持ちもわからなくはないのですが、読後、余韻を楽しんでいる所でそれを目にするのは読者的には余り良い気持ちにはならないので、外していいのではないかと思います。
まだ捻れる所はあったかとは思いますが、いいお話だったと私は感じました。
読ませていただきありがとうございました。
 ご感想ありがとうございます。
 あとがきの問題の部分は削除させて頂きました。あとから考えると、ただの逃げでしかなく、読者の方に不快な思いをさせるだけの、意味のない一文だったと、深く反省しています。
 ケンジくんに関しては、もう少し掘り下げて、彼をもっとよく理解してあげればよかったな、と思います。彼のこれからのことまでは考えが及びませんでした。桜月さんの感想を読んで、
「なるほど。そういうことも考えられるな」
 と、初めて気づかされました。
 涙が出た。いいお話だった。とのお言葉ありがとうございます。
 こちらこそ、読んで下さり本当にありがとうございました。
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