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[一言]
大変お時間いただいてしまいましたが、感想になります。
相互依頼の当時にはまだ時間があった、そもそも掲示板を見ることが遅れていた、所用が重なった、そもそも私が感想を書く時は1週間はかかるということ、などなどからこのような時間になってしまいました。
感想としては辛口でもよいとのことでしたので、指摘を細かくしておきました。
では早速ですが、この作品を拝見した時の印象としては、ミクロもマクロも、まるで第2巻から読み始めたかのようだと感じました。その理由として言えることは、何を説明すべきかが描写、伏線ともに十分に把握されていないように思われたからです。言い換えるなら、要点を伝え切れていないという点で説明不足で、そのためある種の読みにくさがあったように思われるのです。
よって、ここでは描写、伏線の二つの観点からこの指摘を具体的に説明しようと思います。
では描写から。
プロローグを題材にしてお話します。
個人的な考えではありますが冒頭に必要なことは、いかに早く、かつ的確に物語の世界観を伝えられるかどうかであると考えています。
この小説からは、大変失礼ながら世界観を伝える力が弱い印象です。その理由として、想像の足がかりが足りていないと考えたからです。
風が紫の布を巻き上げた。
簡単に言えばこれが描写の始まった第一文の内容です。これを足がかりにアニメーションを頭の中で描いてみましょう。すると、空に紫の布が舞っている、これだけです。まず、想像できる情報量が少ない点が問題です。
さらに問題なのは、実は夜であったことが後で明らかになります。ここで、実は想像の方向性がぶれます。なぜなら、日本では通常、人は昼間に動くからです。すると、多くの日本人は特に説明されなければ晴れた昼を土台に想像を開始します。
そして、冒頭の文章では特に時間帯の指定はありません。
すると、読んだ人はよほどひねくれた人でない限り、昼の空に布が舞い上がっている様子を想像するはずだからです。ところが、この小説でそう読んだ場合どうでしょうか。最初に昼間を想像して、ところが途中で夜だと明かされます。そうした場合、想像を最初からやり直さなければなりません。そして、実は砂漠地帯であると言うことも後からです。また、対峙する獣についても、最初に巨大な虫の姿を想像させておきながら実は傷ついていたことを後から想像させている形になってしまっています。
このように考えてみると、この小説の書き方だと想像を新しい情報が出てくる度にやり直させられる印象があるのです。
しかし、すべてを描写してからお話を始めるなんて不格好なことは論外です。ではどうするのか。
想像の枠を与えることを意識しましょう。
たとえば、こんな連想問題があったとします。
・問題:想像してください。
それは灰色をしています。寒い地方で、仲間と並んでいることが多いです。人と暖炉の前でくつろぐこともありますが、時に人を傷つけます。地元の木で作られたお手製です。
狼かなと連想する流れに意図的にしていますが、正解は椅子です。灰色で、雪に埋もれた家の中でテーブルに他の椅子とともに並べられていて、家の主人がこれに座って暖炉の前でくつろぎますが、お手製なのでささくれ立っている部分があって人に怪我をさせたことがあります。
これだと、最初に読者の感性に想像をゆだねておきながら、実は違いました、という不意打ちは戸惑わせてしまうだけに思います。
もしも上の問題で、「これは椅子です」とあれば的外れな想像にはならずに、しかもより想像しやすくなることでしょう。
この小説の場合も、残念ながらここで挙げた例と同じような問題があります。基本的に読者の想像に投げっぱなしなのに、その想像とは異なる方向に描写が続いてしまうからです。
多くの人は昼間に動く以上、想像の土台は昼の時間帯です。多くの人が年がら年中風邪を引いているような世界観でなければ、想像の土台は健康体になります。
これは裏を返せば、読者が基本的に考えそうなことは省略してもいいということになります。これが描写を省略するテクニックにもなるのですが、この小説の場合は反対で、省略してはならない描写を事実上省略していることになります。
事実上、としたのは描写そのものは存在しているけれど、そのタイミングは間違っているように思われて実質的に描写として機能していないと考えたからです。
描写には何を描いて、何を省略できるかという観点が必要です。そして、それを区別する観点は、読者の多くが一般的に置かれていると考えられる状況か否かです。
この視点から眺めると、プロローグで描かなければならないと考えられるのは、「夜」であること、「砂漠」であることです。この情報さえ与えておけば読者は風景の枠を与えられることになるからです。
具体的には、以下のような第一文になります。
「砂混じりの風が、紫の布を夜空に吸い上げた」
これが果たしてよいのかはわかりませんがほぼ同じ文字数であっても、砂漠地帯あるいは砂場であって、夜の時間帯であることが付け加わっています。文章の情報密度が大きく異なっているのです。
そして、夜の砂漠であると最初に示しておいた方が親切だと私は考えています。要するに、最初にこれからお話しするのは椅子のお話しです、とした方が想像しやすくなると考えるからです。
これが、プロローグに見る描写の問題点です。
このように、環境を特殊にしたのにそのことを意識した描写がなく、世界観が特殊なのにそのことに言及した設定が足りていない印象のようです。
ここからは細かいですが、いくつか具体例を挙げてまとめておきます。
冒頭の敵対する生物の描写について。すでにお話ししましたが傷ついているなど必要な情報の後出しがここでも見られたこともあります。
打撃という表現。打撃という表現も用いられていますが、これも不親切です。先に生物の描写をしておかなければそれがどんな攻撃かわかりません。人なら棍棒などで殴りかかっているとかなりますが、カニならハサミを叩きつけているとか、尻尾に瘤のある獣なら尻尾を振り回しても打撃になることでしょう。
これらをふまえて、簡単にではありますが描写の仕方を考えてみました。
振り下ろされた一撃が叩きつけられる。吹き飛ばされた砂に混じって、何かが砂地の上を転がった。一見するならぼろの布切れにしか見えなかったが、布の間から出した手が砂を掴み、それはゆっくりと立ち上がった。
少女だった。まだ年端も行かない少女が、乏しい表情のまま、自分を吹き飛ばした敵を前に立ち上がる。
それは奇妙な光景だった。少女はあまりに小さい。どんな災いからも身を守る術を持たないのではないか、そんな危惧さえ抱かせる少女を前に、それでも敵は傷ついていた。
敵は巨大な甲虫のような姿をしていた。もはや鎧と見紛うばかりに発達した外骨格。頭部から生えた幾本もの触角の先端には瘤が発達しており、不気味にしなっている。先ほど砂を弾き飛ばした一撃はこの触角によるものものだとわかる。
しかしこんな怪物が、外骨格に亀裂を走らせ、全身から血を流していた。
ポイントとしては、打撃の描写を意図的に省略していること、後は傷ついているということを本格的な描写に先立って表現していることです。
まず、打撃を曖昧にしたのは先述の通り、姿を描写しなければ打撃がどんなものか伝わりません。同時に、描写してから打撃をさせているとテンポが遅くなってしまいます。日常ならともかく、展開の早い戦闘場面では好ましくありません。
そのため、せっかく夜であることを利用させてもらうことにしました。夜中で、はっきりとはしないものの何かが起きている、そんな雰囲気にとどめることで逆説的に描写を曖昧にすること自体を描写として利用したのです。
単に打撃と表現するより、それが具体的にどんなことをしたのかを表現することを意識しました。また、直接攻撃を加えてしまうと、少女のどこにどんな攻撃が当たったのかを描く必要があると考えたこと、せっかく砂漠で戦っているのだから砂の表現を活かしたものにしたいと考えた結果、このような形になりました。
また、先に傷ついていると表現しておくことで、これから描写される姿は実は傷ついているものです、と読者に準備してもらうことができると期待しています。
ここまでの話から伝わってくれたかどうかはわかりませんが、描写を考える際、自分の作品がアニメ化、実写化された時のことを妄想することがお勧めです。
そうすれば描写に必要な情報が見えてきますし、反対に妄想できないということはご自身の中でも描くべき内容を把握できていない危険性があります。
繰り返しになりますが、単に打撃とするのではなくて、どうして打撃としか描写されなかった理由を文章で挙げることが必要かもしれません。すなわち、アニメでも突然の攻撃や早すぎる一撃は見ていても把握できないことと同じように、小説でも表現の一形式として省略することができます。
ただし、意図的に省略したらしいと判断できる書き方をしておかないと、想像できない内容を無理に想像しようとして、結果としてすかすかの描写になってしまいかねません。
では、続きまして伏線についてお話します。
この作品では設定の説明が、正直に申し上げて不格好に見えました。これは完全に余談ですが、設定は私の作品とよく似ていますね。そのため、あくまでも私の小説論をお話しすることになると思いますが、始めます。
この作品では設定の描写が少なくて、設定の説明が多いと感じました。一見、同じことを言っているだけのようにも思えるかもしれませんが、実は違うことです。
まず、この小説のパターンとして、
「ほら、○○ってあっただろ?」
○○とはどこどこで見つかるナニナニで、街の人はよく利用する。その採取方法は少々変わっていて、熟練した人でなければ見つけることも難しく専門に採取する人がいるほどだ。
のようなセットが多いように感じました。すなわち、台詞の後で説明を入れるパターンですね。
このパターンの問題点は、風景を想像しにくいということです。私が勝手に考えた概念で、時間毎行というものがあります。一行あたりの作中経過時間をそう呼んでいるものです。
たとえば、「あれから1年がすぎた」の場合は1年毎行になります。会話などの場合は、通常、5秒程度で言い終えられるとした場合、5秒毎行になります。
この概念を元に考えてみるとわかりやすいと思います。
「ほら、○○ってあっただろ?」
○○とはどこどこで見つかるナニナニで、街の人はよく利用する。その採取方法は少々変わっていて、熟練した人でなければ見つけることも難しく専門に採取する人がいるほどだ。
「ああ、それは××だから、大変そうだ」
このような文章があったとした場合、本来、二つのせりふの間の時間はほとんどないはずです。そうでなければ会話文として不自然になってしまいます。
となると、その間に挟まった数行の時間毎行はどれくらいでしょうか。だいたい、1行あたり0.1秒くらいしか与えられないことでしょう。しかし、読者は読むために数秒を必要としますし、セリフが5秒なのに、説明文だけを0.1行毎行で読むなんて器用なこともできないはずです。
となると、読者としては1秒未満の出来事をその10倍は間延びしたような感覚で物語を読まなければならないことになります。それを強引に映像化してみようとした場合、考えられることは二つです。
10秒間、いきなり時間がとまってしまうかのように感じる。
10秒間、映像がとぎれる空白地帯が発生する。
あくまでも私見で申し訳ありませんが、この作品の場合、どこか会話のみで人々のいる光景を想像しにくかった印象がどこかありました。それが、やはり設定が多い分、説明が入る度に光景が不自然に分断されているように見えてしまったからではないでしょうか。
改善策として、あくまでも一例ですが地の文任せの説明を削って、セリフで説明すること、また情報を制限することも大切だと思われます。地の文で説明しきるのではなくて、セリフの中で自然と説明することです。同時に、セリフで説明しすぎてしまうとどうしても説明的になってしまいますのでその分、説明を削る必要は出てきます。
具体的には以下のイメージです。
「ほら、○○ってあっただろ?」
○○とはどこどこで見つかるナニナニで、街の人はよく利用する。その採取方法は少々変わっていて、熟練した人でなければ見つけることも難しく専門に採取する人がいるほどだ。
↓
「ほら、○○ってあっただろう? あれ、俺もよく使うけどナニナニで見つかるんだってな」
「ああ、あれは××だから採取専門の人がいるくらいだ。大変そうだよな」
情報量はある程度削りましたが、会話の中に説明を含ませることで不自然な間をおくことはなくなったはずです。
このように、時間は止まらずす進み続けている以上、文章で説明している間も作中では時間が進んでいるはずであることの意識が、まだ少々足りていない印象であったようです。
その結果、文章ごとに時間の進み方がバラバラで、光景を想像しにくい文章になってしまっている感じがしました。
もちろん、長い空白時間をとることができるような場面であるのなら地の文での説明も可能と思いますので、今描いている光景なら次のセリフや動作までどれくらいの時間を使うことができるか、そんなことをもっと考えてみてください。
ここで、いきなりですがこの小説の魅力的な部分をお話ししようかと思います。全体として意欲的な作品だと思いました。というのも、登場人物の配置や、小道具の使い方、細かい設定を作り込むことで世界観に奥行きを与えようとされていることが確かに伝わったからです。
そう、設定そのものの量は多く世界観に広がりを与えようとしている点は理解できるのです。
ただし、その長所が短所にもなっている印象を受けました。
物語に直接関係しない設定も少なくなく、お話としての密度が減少しているようにさえ見えてしまったことです。また、世界観に奥行きがあるかと問われると、あと一歩足りていない印象もありました。
まず、世界観に奥行きを与え切れていない理由を考察してみます。
この小説の場合、どこか観光案内のように感じられてしまったからではないでしょうか。つまり、紀行文とは違って、説明を一歩離れた場所から聞いている印象のようです。
たとえば、派閥争いについて設定がありましたが、これが物語の中で活かされていたかと問われれば、ただ出てきただけのような印象も拭えません。一応、ある登場人物が逃げてきた理由にはなっていますが、それも無我夢中だった、くらいでも説明できてしまいますし、事件の調査にしても闇医者が関わっていて難しい、くらいでも何とかなります。
何より、派閥争いはあくまでもサブの情報であると考えた場合、それよりももっと重要であるはずのケモノビトなどメインの情報が足りていない印象さえあります。
まだ一章の段階で指摘するには早いかもしれませんが、それでも設定が単なる紹介に見えてしまったのは、その設定が一章の物語に関係しているものでもなければ、登場人物たちと関係する設定でもないからです、たぶん。
そう考えてしまった大きな理由としては、やはり地の文での説明が多いからではないでしょうか。要するに、登場人物たちの会話の中では表現されていない、するとどうしても説明のための説明になってしまう危険性があります。
どういうことかと言うと、伏線にしては具体的でなくて、キャラクターの表現にも必ずしも結びついていない点で情報密度が薄くなってしまっているということです。ただの伏線にしては情報の量が多く、読者の負担になっている危険があります。また、単なる説明で具体的でない以上、印象にも薄くなってしまいがちです。
この点で、設定が紹介されているだけで表現されていないと考えました。
中にはキャラクターの表現に使われている設定もありましたが、単に設定紹介にとどまっていて伏線としての機能も弱いと考えられるものもありました。
具体的には、ケモノビトの石に複数の種類があることを会話の中で表現したことは当事者の人となりの表現にも繋がっていますが、ケモノビトの設定が中心に展開している第一章の中でここでしか利用されていない点は残念なところでした。また、すでに挙げた派閥争いについては舞台装置として機能していることに加え、そのルーツも丁寧に設定されている点で好感がもてましたが、ただの紹介で物語にもキャラクター性にも寄与しきれていないと思えてしまったことも、私見ではありますが事実でした。
では、設定を表現するとはどんなことなのか。これまでの反対解釈でわかるとは思いますが、物語にも、登場人物のキャラクターにも貢献してくれる設定です。
たとえば、ケモノビトの石の場合、その石の違いが事件に関わってくれるようなお話が欲しかったということになります。
次に、派閥争いについては事件の本筋と少なくともすぐには関係しない以上、物語に密接に関連することは難しいとしても、キャラクター表現に利用するくらいはして欲しかったようにも感じています。一応、シャル氏が語ってはいますが、まだ不十分に見えてしまいました。
具体例としては以下のような感じでしょうか。
「穏健派も急進派もルーツは同じものだからね。お師匠様とお弟子さんの喧嘩が、今じゃ解決の糸口さえ見えない泥沼だよ。中には元々の原因も知らないまま殴り合ってる人たちだって少なくないんだ。人は今に生きているように見えて、過去に縛られてるってことだね。こう考えてみると、過去はじわりじわり蝕んでくる呪いか何かのようじゃないかな、チェル?」
口調まではあわせられませんが、イメージとしてはこんな感じです。
ここでの狙いは、①シャル氏のどこかニヒリスティックな感覚を示すことも、②同時に、シャル氏が過去を何か悔やんでいることを示すこと、③もちろん、派閥争いの設定を厚くする効果も射程に入れています。
少々脈絡なく書いてしまいましたが、全体的に言いたいことをまとめておきます。
世界観を広げようとする工夫は確かに感じられます。ただ、その数が多い割に物語に関連しない設定ばかり紹介の形で並べてしまうと、それだけ物語の密度が薄くなってしまいかねません。
まずこの観点から、小道具を配置しようとする意欲は買いますし、また世界観を掘り下げることにも繋がっているものと思います。また、登場人物についても不必要にキャラ付けに走ることのない実直な人物を配置することでリアリティを与えることにも繋がっているように思います。
問題は、あくまでも個人的な感性ではありますが、設定を物語に活かしきることができずにある種の消化不良を起こしているように思えたことです。
小道具もちょっとした香り付けには効果的ですが、量を間違えてしまったら問題です。お寿司のわさびは適量なら魚の臭みを消しますが、山盛りなら罰ゲームに変わります。
そして、この作品の場合もそんな点が問題になっているように思います。メインである物語の添え物であるはずの設定が多いため、メインの味わいを邪魔してしまっている印象があるようです。
そう考えた理由は二つです。
一つは、これまでに述べてきたように物語に必ずしも有効に利用されない設定の紹介が多いように思われたこと。
続いて、設定を物語に含ませる工夫が足りていません。
同じことを言っているようですが、微妙にずれてはいます。要するに、有効利用されない設定もある程度は認められると考えているとはしても、その数が多いとだめなので、有効利用する割合を増やして欲しいということになります。
また、そもそも設定の紹介が不完全に思えた点もあります。ケモノビトのことや外の世界のことです。
改めてまとめるなら、重要な設定もそこまでではない設定も同じように扱われている印象のようです。その結果、この作品が欠いてしまっているものがあるように感じています。
具体例です。
ケモノビトになったら記憶を失ってしまう。だけど、作中にケモノビトになる以前の姿が描写された人はいません。
外の世界は危険である。しかし、物語は街の中だけですすみます。そもそも、ケモノビトになることの副作用、危険性も十分に説明されたとは考えていません。
このように、最初の方で説明したように紀行文ではなく観光案内になっていると考えました。
これらをまとめて、私なりに再構築してみたものを以下に載せておきます。基本的に設定ねつ造当たり前なのでこうしなさいというモデルではなく、意図した内容をわかりやすく伝えるための具体例にすぎません。多少、ネタバレが入ってしまいますが、ご容赦ください。
まず、盗賊面の男の設定を盛りつけましょう。個人的にこんな目立たずとも確かな存在感を見せるキャラクターは好みなのですが、正直なところ、読者のわからない事情で動かされているキャラクターを見ていても?マークが浮かぶだけでよくわからないお話になってしまった印象があります。後に重要な役割が与えられるのかもしれませんが、読み流しておくにしては思わせぶりで少々重たい印象でした。
という訳でもっと重たくしてしまいましょう。
この男性を闇医者にしてしまいます。それも、今回の事件に直接関わるような重大な手術に関わった医師で、しかしその手術は非常に危険なものであり、医師の資格を取り上げられたほどでした。
移植してはならない危険なケモノを利用する手術法は、確かに手の施しようのない重篤な患者を救うことはできますが、重大な副作用が生じます。闇医者はそのことを承知の上で手術を行っていましたが、街で事件が発生していることで、もしかしたら自分のした手術の結果ではないかと考え、その事件を探り始めます。
男が舞台となる酒場に行ることは偶然ではなく、独自の方法で探り、たどりついた結果でした。
また、事件を別の角度から探っていた別の医者も、その男へとやがてたどり着きます。そこで語られたのは、使用されたケモノのこととその危険性、また、ケモノを移植するということそのものについてでした。
簡単にですが、これで狙っているのは、移植手術の実態をより具体的にすることです。というのも、設定紹介としては表現されていましたが、それがどの程度のものかがよく具体的にはわからなかったという印象があったことも事実でした。というのも、今回は危険なケモノの仕業でしたが、そのケモノが他にもどれくらいの人に移植されているのか、また多くの人に移植されているのなら他の人にも同様の危険性があるのではないか、などなど細かい点でしっくりとしなかったと勝手に考えているからです。
他にも、登場人物の役割がそれぞれ明確になって物語の密度を高めてくれると期待しています。
小道具も世界観を深めるためには重要ですが、数が増えれば文字数を浪費する形で物語の密度が薄くなってしまいます。
そうならないためには、物語との関連を意識して、物語に関係する設定そのものを小道具にするような工夫が必要かもしれません。上の具体例で伝わってくれるといいのですが。
そろそろまとめます。
まず、描写では、枠を与えることを意識してみてください。最初に椅子ですと言った後で色を指定して、形を指定すると足がかりがある分だけ想像しやすくなるはずです。また、読者さんに想像してもらうために必要な情報は何かをより考えてみてください。
設定については小道具のだし過ぎと説明のしすぎに注意してみてください。物語の密度を減少させてしまうことにもなりかねないからです。そうしないための一例は、設定をより物語に吸収させる形で用いることだと思います。
以上、大きく分けて二つの点で問題を勝手に感じてしまいます。
物語としては設定が考えられていて、私の小説と世界観がよく似ているのに大きくお話の印象が異なる点が印象的でした。また、ウィー嬢などわき役が生き生きとしている点は好印象です。その分、飾りが少々立派すぎて、メインであるはずの物語の存在感が薄れてしまっている点があったように感じてしまったようです。
では、長くなりましたが、以上とします。何かの参考になれば幸いです。
大変お時間いただいてしまいましたが、感想になります。
相互依頼の当時にはまだ時間があった、そもそも掲示板を見ることが遅れていた、所用が重なった、そもそも私が感想を書く時は1週間はかかるということ、などなどからこのような時間になってしまいました。
感想としては辛口でもよいとのことでしたので、指摘を細かくしておきました。
では早速ですが、この作品を拝見した時の印象としては、ミクロもマクロも、まるで第2巻から読み始めたかのようだと感じました。その理由として言えることは、何を説明すべきかが描写、伏線ともに十分に把握されていないように思われたからです。言い換えるなら、要点を伝え切れていないという点で説明不足で、そのためある種の読みにくさがあったように思われるのです。
よって、ここでは描写、伏線の二つの観点からこの指摘を具体的に説明しようと思います。
では描写から。
プロローグを題材にしてお話します。
個人的な考えではありますが冒頭に必要なことは、いかに早く、かつ的確に物語の世界観を伝えられるかどうかであると考えています。
この小説からは、大変失礼ながら世界観を伝える力が弱い印象です。その理由として、想像の足がかりが足りていないと考えたからです。
風が紫の布を巻き上げた。
簡単に言えばこれが描写の始まった第一文の内容です。これを足がかりにアニメーションを頭の中で描いてみましょう。すると、空に紫の布が舞っている、これだけです。まず、想像できる情報量が少ない点が問題です。
さらに問題なのは、実は夜であったことが後で明らかになります。ここで、実は想像の方向性がぶれます。なぜなら、日本では通常、人は昼間に動くからです。すると、多くの日本人は特に説明されなければ晴れた昼を土台に想像を開始します。
そして、冒頭の文章では特に時間帯の指定はありません。
すると、読んだ人はよほどひねくれた人でない限り、昼の空に布が舞い上がっている様子を想像するはずだからです。ところが、この小説でそう読んだ場合どうでしょうか。最初に昼間を想像して、ところが途中で夜だと明かされます。そうした場合、想像を最初からやり直さなければなりません。そして、実は砂漠地帯であると言うことも後からです。また、対峙する獣についても、最初に巨大な虫の姿を想像させておきながら実は傷ついていたことを後から想像させている形になってしまっています。
このように考えてみると、この小説の書き方だと想像を新しい情報が出てくる度にやり直させられる印象があるのです。
しかし、すべてを描写してからお話を始めるなんて不格好なことは論外です。ではどうするのか。
想像の枠を与えることを意識しましょう。
たとえば、こんな連想問題があったとします。
・問題:想像してください。
それは灰色をしています。寒い地方で、仲間と並んでいることが多いです。人と暖炉の前でくつろぐこともありますが、時に人を傷つけます。地元の木で作られたお手製です。
狼かなと連想する流れに意図的にしていますが、正解は椅子です。灰色で、雪に埋もれた家の中でテーブルに他の椅子とともに並べられていて、家の主人がこれに座って暖炉の前でくつろぎますが、お手製なのでささくれ立っている部分があって人に怪我をさせたことがあります。
これだと、最初に読者の感性に想像をゆだねておきながら、実は違いました、という不意打ちは戸惑わせてしまうだけに思います。
もしも上の問題で、「これは椅子です」とあれば的外れな想像にはならずに、しかもより想像しやすくなることでしょう。
この小説の場合も、残念ながらここで挙げた例と同じような問題があります。基本的に読者の想像に投げっぱなしなのに、その想像とは異なる方向に描写が続いてしまうからです。
多くの人は昼間に動く以上、想像の土台は昼の時間帯です。多くの人が年がら年中風邪を引いているような世界観でなければ、想像の土台は健康体になります。
これは裏を返せば、読者が基本的に考えそうなことは省略してもいいということになります。これが描写を省略するテクニックにもなるのですが、この小説の場合は反対で、省略してはならない描写を事実上省略していることになります。
事実上、としたのは描写そのものは存在しているけれど、そのタイミングは間違っているように思われて実質的に描写として機能していないと考えたからです。
描写には何を描いて、何を省略できるかという観点が必要です。そして、それを区別する観点は、読者の多くが一般的に置かれていると考えられる状況か否かです。
この視点から眺めると、プロローグで描かなければならないと考えられるのは、「夜」であること、「砂漠」であることです。この情報さえ与えておけば読者は風景の枠を与えられることになるからです。
具体的には、以下のような第一文になります。
「砂混じりの風が、紫の布を夜空に吸い上げた」
これが果たしてよいのかはわかりませんがほぼ同じ文字数であっても、砂漠地帯あるいは砂場であって、夜の時間帯であることが付け加わっています。文章の情報密度が大きく異なっているのです。
そして、夜の砂漠であると最初に示しておいた方が親切だと私は考えています。要するに、最初にこれからお話しするのは椅子のお話しです、とした方が想像しやすくなると考えるからです。
これが、プロローグに見る描写の問題点です。
このように、環境を特殊にしたのにそのことを意識した描写がなく、世界観が特殊なのにそのことに言及した設定が足りていない印象のようです。
ここからは細かいですが、いくつか具体例を挙げてまとめておきます。
冒頭の敵対する生物の描写について。すでにお話ししましたが傷ついているなど必要な情報の後出しがここでも見られたこともあります。
打撃という表現。打撃という表現も用いられていますが、これも不親切です。先に生物の描写をしておかなければそれがどんな攻撃かわかりません。人なら棍棒などで殴りかかっているとかなりますが、カニならハサミを叩きつけているとか、尻尾に瘤のある獣なら尻尾を振り回しても打撃になることでしょう。
これらをふまえて、簡単にではありますが描写の仕方を考えてみました。
振り下ろされた一撃が叩きつけられる。吹き飛ばされた砂に混じって、何かが砂地の上を転がった。一見するならぼろの布切れにしか見えなかったが、布の間から出した手が砂を掴み、それはゆっくりと立ち上がった。
少女だった。まだ年端も行かない少女が、乏しい表情のまま、自分を吹き飛ばした敵を前に立ち上がる。
それは奇妙な光景だった。少女はあまりに小さい。どんな災いからも身を守る術を持たないのではないか、そんな危惧さえ抱かせる少女を前に、それでも敵は傷ついていた。
敵は巨大な甲虫のような姿をしていた。もはや鎧と見紛うばかりに発達した外骨格。頭部から生えた幾本もの触角の先端には瘤が発達しており、不気味にしなっている。先ほど砂を弾き飛ばした一撃はこの触角によるものものだとわかる。
しかしこんな怪物が、外骨格に亀裂を走らせ、全身から血を流していた。
ポイントとしては、打撃の描写を意図的に省略していること、後は傷ついているということを本格的な描写に先立って表現していることです。
まず、打撃を曖昧にしたのは先述の通り、姿を描写しなければ打撃がどんなものか伝わりません。同時に、描写してから打撃をさせているとテンポが遅くなってしまいます。日常ならともかく、展開の早い戦闘場面では好ましくありません。
そのため、せっかく夜であることを利用させてもらうことにしました。夜中で、はっきりとはしないものの何かが起きている、そんな雰囲気にとどめることで逆説的に描写を曖昧にすること自体を描写として利用したのです。
単に打撃と表現するより、それが具体的にどんなことをしたのかを表現することを意識しました。また、直接攻撃を加えてしまうと、少女のどこにどんな攻撃が当たったのかを描く必要があると考えたこと、せっかく砂漠で戦っているのだから砂の表現を活かしたものにしたいと考えた結果、このような形になりました。
また、先に傷ついていると表現しておくことで、これから描写される姿は実は傷ついているものです、と読者に準備してもらうことができると期待しています。
ここまでの話から伝わってくれたかどうかはわかりませんが、描写を考える際、自分の作品がアニメ化、実写化された時のことを妄想することがお勧めです。
そうすれば描写に必要な情報が見えてきますし、反対に妄想できないということはご自身の中でも描くべき内容を把握できていない危険性があります。
繰り返しになりますが、単に打撃とするのではなくて、どうして打撃としか描写されなかった理由を文章で挙げることが必要かもしれません。すなわち、アニメでも突然の攻撃や早すぎる一撃は見ていても把握できないことと同じように、小説でも表現の一形式として省略することができます。
ただし、意図的に省略したらしいと判断できる書き方をしておかないと、想像できない内容を無理に想像しようとして、結果としてすかすかの描写になってしまいかねません。
では、続きまして伏線についてお話します。
この作品では設定の説明が、正直に申し上げて不格好に見えました。これは完全に余談ですが、設定は私の作品とよく似ていますね。そのため、あくまでも私の小説論をお話しすることになると思いますが、始めます。
この作品では設定の描写が少なくて、設定の説明が多いと感じました。一見、同じことを言っているだけのようにも思えるかもしれませんが、実は違うことです。
まず、この小説のパターンとして、
「ほら、○○ってあっただろ?」
○○とはどこどこで見つかるナニナニで、街の人はよく利用する。その採取方法は少々変わっていて、熟練した人でなければ見つけることも難しく専門に採取する人がいるほどだ。
のようなセットが多いように感じました。すなわち、台詞の後で説明を入れるパターンですね。
このパターンの問題点は、風景を想像しにくいということです。私が勝手に考えた概念で、時間毎行というものがあります。一行あたりの作中経過時間をそう呼んでいるものです。
たとえば、「あれから1年がすぎた」の場合は1年毎行になります。会話などの場合は、通常、5秒程度で言い終えられるとした場合、5秒毎行になります。
この概念を元に考えてみるとわかりやすいと思います。
「ほら、○○ってあっただろ?」
○○とはどこどこで見つかるナニナニで、街の人はよく利用する。その採取方法は少々変わっていて、熟練した人でなければ見つけることも難しく専門に採取する人がいるほどだ。
「ああ、それは××だから、大変そうだ」
このような文章があったとした場合、本来、二つのせりふの間の時間はほとんどないはずです。そうでなければ会話文として不自然になってしまいます。
となると、その間に挟まった数行の時間毎行はどれくらいでしょうか。だいたい、1行あたり0.1秒くらいしか与えられないことでしょう。しかし、読者は読むために数秒を必要としますし、セリフが5秒なのに、説明文だけを0.1行毎行で読むなんて器用なこともできないはずです。
となると、読者としては1秒未満の出来事をその10倍は間延びしたような感覚で物語を読まなければならないことになります。それを強引に映像化してみようとした場合、考えられることは二つです。
10秒間、いきなり時間がとまってしまうかのように感じる。
10秒間、映像がとぎれる空白地帯が発生する。
あくまでも私見で申し訳ありませんが、この作品の場合、どこか会話のみで人々のいる光景を想像しにくかった印象がどこかありました。それが、やはり設定が多い分、説明が入る度に光景が不自然に分断されているように見えてしまったからではないでしょうか。
改善策として、あくまでも一例ですが地の文任せの説明を削って、セリフで説明すること、また情報を制限することも大切だと思われます。地の文で説明しきるのではなくて、セリフの中で自然と説明することです。同時に、セリフで説明しすぎてしまうとどうしても説明的になってしまいますのでその分、説明を削る必要は出てきます。
具体的には以下のイメージです。
「ほら、○○ってあっただろ?」
○○とはどこどこで見つかるナニナニで、街の人はよく利用する。その採取方法は少々変わっていて、熟練した人でなければ見つけることも難しく専門に採取する人がいるほどだ。
↓
「ほら、○○ってあっただろう? あれ、俺もよく使うけどナニナニで見つかるんだってな」
「ああ、あれは××だから採取専門の人がいるくらいだ。大変そうだよな」
情報量はある程度削りましたが、会話の中に説明を含ませることで不自然な間をおくことはなくなったはずです。
このように、時間は止まらずす進み続けている以上、文章で説明している間も作中では時間が進んでいるはずであることの意識が、まだ少々足りていない印象であったようです。
その結果、文章ごとに時間の進み方がバラバラで、光景を想像しにくい文章になってしまっている感じがしました。
もちろん、長い空白時間をとることができるような場面であるのなら地の文での説明も可能と思いますので、今描いている光景なら次のセリフや動作までどれくらいの時間を使うことができるか、そんなことをもっと考えてみてください。
ここで、いきなりですがこの小説の魅力的な部分をお話ししようかと思います。全体として意欲的な作品だと思いました。というのも、登場人物の配置や、小道具の使い方、細かい設定を作り込むことで世界観に奥行きを与えようとされていることが確かに伝わったからです。
そう、設定そのものの量は多く世界観に広がりを与えようとしている点は理解できるのです。
ただし、その長所が短所にもなっている印象を受けました。
物語に直接関係しない設定も少なくなく、お話としての密度が減少しているようにさえ見えてしまったことです。また、世界観に奥行きがあるかと問われると、あと一歩足りていない印象もありました。
まず、世界観に奥行きを与え切れていない理由を考察してみます。
この小説の場合、どこか観光案内のように感じられてしまったからではないでしょうか。つまり、紀行文とは違って、説明を一歩離れた場所から聞いている印象のようです。
たとえば、派閥争いについて設定がありましたが、これが物語の中で活かされていたかと問われれば、ただ出てきただけのような印象も拭えません。一応、ある登場人物が逃げてきた理由にはなっていますが、それも無我夢中だった、くらいでも説明できてしまいますし、事件の調査にしても闇医者が関わっていて難しい、くらいでも何とかなります。
何より、派閥争いはあくまでもサブの情報であると考えた場合、それよりももっと重要であるはずのケモノビトなどメインの情報が足りていない印象さえあります。
まだ一章の段階で指摘するには早いかもしれませんが、それでも設定が単なる紹介に見えてしまったのは、その設定が一章の物語に関係しているものでもなければ、登場人物たちと関係する設定でもないからです、たぶん。
そう考えてしまった大きな理由としては、やはり地の文での説明が多いからではないでしょうか。要するに、登場人物たちの会話の中では表現されていない、するとどうしても説明のための説明になってしまう危険性があります。
どういうことかと言うと、伏線にしては具体的でなくて、キャラクターの表現にも必ずしも結びついていない点で情報密度が薄くなってしまっているということです。ただの伏線にしては情報の量が多く、読者の負担になっている危険があります。また、単なる説明で具体的でない以上、印象にも薄くなってしまいがちです。
この点で、設定が紹介されているだけで表現されていないと考えました。
中にはキャラクターの表現に使われている設定もありましたが、単に設定紹介にとどまっていて伏線としての機能も弱いと考えられるものもありました。
具体的には、ケモノビトの石に複数の種類があることを会話の中で表現したことは当事者の人となりの表現にも繋がっていますが、ケモノビトの設定が中心に展開している第一章の中でここでしか利用されていない点は残念なところでした。また、すでに挙げた派閥争いについては舞台装置として機能していることに加え、そのルーツも丁寧に設定されている点で好感がもてましたが、ただの紹介で物語にもキャラクター性にも寄与しきれていないと思えてしまったことも、私見ではありますが事実でした。
では、設定を表現するとはどんなことなのか。これまでの反対解釈でわかるとは思いますが、物語にも、登場人物のキャラクターにも貢献してくれる設定です。
たとえば、ケモノビトの石の場合、その石の違いが事件に関わってくれるようなお話が欲しかったということになります。
次に、派閥争いについては事件の本筋と少なくともすぐには関係しない以上、物語に密接に関連することは難しいとしても、キャラクター表現に利用するくらいはして欲しかったようにも感じています。一応、シャル氏が語ってはいますが、まだ不十分に見えてしまいました。
具体例としては以下のような感じでしょうか。
「穏健派も急進派もルーツは同じものだからね。お師匠様とお弟子さんの喧嘩が、今じゃ解決の糸口さえ見えない泥沼だよ。中には元々の原因も知らないまま殴り合ってる人たちだって少なくないんだ。人は今に生きているように見えて、過去に縛られてるってことだね。こう考えてみると、過去はじわりじわり蝕んでくる呪いか何かのようじゃないかな、チェル?」
口調まではあわせられませんが、イメージとしてはこんな感じです。
ここでの狙いは、①シャル氏のどこかニヒリスティックな感覚を示すことも、②同時に、シャル氏が過去を何か悔やんでいることを示すこと、③もちろん、派閥争いの設定を厚くする効果も射程に入れています。
少々脈絡なく書いてしまいましたが、全体的に言いたいことをまとめておきます。
世界観を広げようとする工夫は確かに感じられます。ただ、その数が多い割に物語に関連しない設定ばかり紹介の形で並べてしまうと、それだけ物語の密度が薄くなってしまいかねません。
まずこの観点から、小道具を配置しようとする意欲は買いますし、また世界観を掘り下げることにも繋がっているものと思います。また、登場人物についても不必要にキャラ付けに走ることのない実直な人物を配置することでリアリティを与えることにも繋がっているように思います。
問題は、あくまでも個人的な感性ではありますが、設定を物語に活かしきることができずにある種の消化不良を起こしているように思えたことです。
小道具もちょっとした香り付けには効果的ですが、量を間違えてしまったら問題です。お寿司のわさびは適量なら魚の臭みを消しますが、山盛りなら罰ゲームに変わります。
そして、この作品の場合もそんな点が問題になっているように思います。メインである物語の添え物であるはずの設定が多いため、メインの味わいを邪魔してしまっている印象があるようです。
そう考えた理由は二つです。
一つは、これまでに述べてきたように物語に必ずしも有効に利用されない設定の紹介が多いように思われたこと。
続いて、設定を物語に含ませる工夫が足りていません。
同じことを言っているようですが、微妙にずれてはいます。要するに、有効利用されない設定もある程度は認められると考えているとはしても、その数が多いとだめなので、有効利用する割合を増やして欲しいということになります。
また、そもそも設定の紹介が不完全に思えた点もあります。ケモノビトのことや外の世界のことです。
改めてまとめるなら、重要な設定もそこまでではない設定も同じように扱われている印象のようです。その結果、この作品が欠いてしまっているものがあるように感じています。
具体例です。
ケモノビトになったら記憶を失ってしまう。だけど、作中にケモノビトになる以前の姿が描写された人はいません。
外の世界は危険である。しかし、物語は街の中だけですすみます。そもそも、ケモノビトになることの副作用、危険性も十分に説明されたとは考えていません。
このように、最初の方で説明したように紀行文ではなく観光案内になっていると考えました。
これらをまとめて、私なりに再構築してみたものを以下に載せておきます。基本的に設定ねつ造当たり前なのでこうしなさいというモデルではなく、意図した内容をわかりやすく伝えるための具体例にすぎません。多少、ネタバレが入ってしまいますが、ご容赦ください。
まず、盗賊面の男の設定を盛りつけましょう。個人的にこんな目立たずとも確かな存在感を見せるキャラクターは好みなのですが、正直なところ、読者のわからない事情で動かされているキャラクターを見ていても?マークが浮かぶだけでよくわからないお話になってしまった印象があります。後に重要な役割が与えられるのかもしれませんが、読み流しておくにしては思わせぶりで少々重たい印象でした。
という訳でもっと重たくしてしまいましょう。
この男性を闇医者にしてしまいます。それも、今回の事件に直接関わるような重大な手術に関わった医師で、しかしその手術は非常に危険なものであり、医師の資格を取り上げられたほどでした。
移植してはならない危険なケモノを利用する手術法は、確かに手の施しようのない重篤な患者を救うことはできますが、重大な副作用が生じます。闇医者はそのことを承知の上で手術を行っていましたが、街で事件が発生していることで、もしかしたら自分のした手術の結果ではないかと考え、その事件を探り始めます。
男が舞台となる酒場に行ることは偶然ではなく、独自の方法で探り、たどりついた結果でした。
また、事件を別の角度から探っていた別の医者も、その男へとやがてたどり着きます。そこで語られたのは、使用されたケモノのこととその危険性、また、ケモノを移植するということそのものについてでした。
簡単にですが、これで狙っているのは、移植手術の実態をより具体的にすることです。というのも、設定紹介としては表現されていましたが、それがどの程度のものかがよく具体的にはわからなかったという印象があったことも事実でした。というのも、今回は危険なケモノの仕業でしたが、そのケモノが他にもどれくらいの人に移植されているのか、また多くの人に移植されているのなら他の人にも同様の危険性があるのではないか、などなど細かい点でしっくりとしなかったと勝手に考えているからです。
他にも、登場人物の役割がそれぞれ明確になって物語の密度を高めてくれると期待しています。
小道具も世界観を深めるためには重要ですが、数が増えれば文字数を浪費する形で物語の密度が薄くなってしまいます。
そうならないためには、物語との関連を意識して、物語に関係する設定そのものを小道具にするような工夫が必要かもしれません。上の具体例で伝わってくれるといいのですが。
そろそろまとめます。
まず、描写では、枠を与えることを意識してみてください。最初に椅子ですと言った後で色を指定して、形を指定すると足がかりがある分だけ想像しやすくなるはずです。また、読者さんに想像してもらうために必要な情報は何かをより考えてみてください。
設定については小道具のだし過ぎと説明のしすぎに注意してみてください。物語の密度を減少させてしまうことにもなりかねないからです。そうしないための一例は、設定をより物語に吸収させる形で用いることだと思います。
以上、大きく分けて二つの点で問題を勝手に感じてしまいます。
物語としては設定が考えられていて、私の小説と世界観がよく似ているのに大きくお話の印象が異なる点が印象的でした。また、ウィー嬢などわき役が生き生きとしている点は好印象です。その分、飾りが少々立派すぎて、メインであるはずの物語の存在感が薄れてしまっている点があったように感じてしまったようです。
では、長くなりましたが、以上とします。何かの参考になれば幸いです。
- 投稿者: 退会済み
- 2015年 03月23日 23時01分
管理
丁寧な感想ありがとうございますm(_ _)m
丁度指摘されていたところに不満を感じ更新を止めていたので、具体例を出していただけて助かりました。描写の薄さ・効果の弱さは本当に悩みどころでした。もうそのまま使わせてもらいたいほど素晴らしい例文が貰えましたので、今後の指針とさせていただきます。
設定の方、確かに不要なところが多いですよね。そこは削っておいて、ケモノビトをより印象づけるよう、闘技会の話でも入れようかと思ってます。施術のことはテリア視点を増やすことで補完ですかね。設定範囲の絞り込みと説明ではなく描写を多くする、を早速実践してみます。
丁度指摘されていたところに不満を感じ更新を止めていたので、具体例を出していただけて助かりました。描写の薄さ・効果の弱さは本当に悩みどころでした。もうそのまま使わせてもらいたいほど素晴らしい例文が貰えましたので、今後の指針とさせていただきます。
設定の方、確かに不要なところが多いですよね。そこは削っておいて、ケモノビトをより印象づけるよう、闘技会の話でも入れようかと思ってます。施術のことはテリア視点を増やすことで補完ですかね。設定範囲の絞り込みと説明ではなく描写を多くする、を早速実践してみます。
- 佐木間
- 2015年 03月24日 09時53分
[一言]
こんにちは!すとろんです。
異世界のハイファンタジーが好きなのでわくわくしながら読ませて貰いました。
とても読みやすい文章でした。しかし!辛口ということなので、+αでいろいろと私の個人的意見を書かせて貰おうかと思います。
注意点として、この感想は私個人の価値観なので普遍的な意見ではありません。こんな意見もあるんだなー程度に見て頂ければ有難いかと思います。
1つ目は世界観について。ハイファンタジーの面白い部分は文章を積み重ねて行くことによって出来上がる異なる世界だと考えています。この物語も独自の生物や単語を入れて、丁寧に描写されています。
ここに+αされたらいいなと思った要素は、「視覚以外の情報」です。
どうしても目で見たものを描写しがちですが、目で見えないものを描写すると臨場感が生まれます。
例えば「路地裏」腐敗臭。ネズミの走る音。ぐにゃりとした何かを踏んだ感触。娼婦の粘りつくような視線。
世界に奥行きが出て、まるでそこにいるかのような感覚…が醸し出せたらいいなぁと思ってます。
2つ目は語尾。
この作品は「〜〜た、〜〜だ」という語尾が比較的多いです。これでは説明文や報告文みたいに淡々とした文章になってしまいます。
緩急をつけるためには、語尾を使い分ける!強調したい場所は体言止め。文章のリズムを途切れさせることで読者の頭に残りやすくなります。
自論ですが、同じ種類の語尾は続かないように気をつけています。
また文章の長さにも気をつけるといいかもしれません。スピード感が必要なときは一文を短く、一つの動作だけで終わらせます。
例1
走りながら振り返ると、化け物がそこにいた。敵うわけがないと思ってしまった。逃げるしか手段はないのだ。歯を食いしばらないと、悲鳴が漏れてしまいそうだ。
例2
走った。振り返る。化け物だ。敵うわけがない。逃げるしかないんだ。歯を食いしばる。悲鳴が漏れてしまいそうだ。
あまりいい例ではないのですが、文章の雰囲気はちょっと変わったかと。組み合わせてみるのも一つの方法です。
手探りでいろいろ試している途中なのですが、私の自論はそんな感じです。もし参考になれば嬉しいです。
これからも執筆を楽しんで下さい♪
こんにちは!すとろんです。
異世界のハイファンタジーが好きなのでわくわくしながら読ませて貰いました。
とても読みやすい文章でした。しかし!辛口ということなので、+αでいろいろと私の個人的意見を書かせて貰おうかと思います。
注意点として、この感想は私個人の価値観なので普遍的な意見ではありません。こんな意見もあるんだなー程度に見て頂ければ有難いかと思います。
1つ目は世界観について。ハイファンタジーの面白い部分は文章を積み重ねて行くことによって出来上がる異なる世界だと考えています。この物語も独自の生物や単語を入れて、丁寧に描写されています。
ここに+αされたらいいなと思った要素は、「視覚以外の情報」です。
どうしても目で見たものを描写しがちですが、目で見えないものを描写すると臨場感が生まれます。
例えば「路地裏」腐敗臭。ネズミの走る音。ぐにゃりとした何かを踏んだ感触。娼婦の粘りつくような視線。
世界に奥行きが出て、まるでそこにいるかのような感覚…が醸し出せたらいいなぁと思ってます。
2つ目は語尾。
この作品は「〜〜た、〜〜だ」という語尾が比較的多いです。これでは説明文や報告文みたいに淡々とした文章になってしまいます。
緩急をつけるためには、語尾を使い分ける!強調したい場所は体言止め。文章のリズムを途切れさせることで読者の頭に残りやすくなります。
自論ですが、同じ種類の語尾は続かないように気をつけています。
また文章の長さにも気をつけるといいかもしれません。スピード感が必要なときは一文を短く、一つの動作だけで終わらせます。
例1
走りながら振り返ると、化け物がそこにいた。敵うわけがないと思ってしまった。逃げるしか手段はないのだ。歯を食いしばらないと、悲鳴が漏れてしまいそうだ。
例2
走った。振り返る。化け物だ。敵うわけがない。逃げるしかないんだ。歯を食いしばる。悲鳴が漏れてしまいそうだ。
あまりいい例ではないのですが、文章の雰囲気はちょっと変わったかと。組み合わせてみるのも一つの方法です。
手探りでいろいろ試している途中なのですが、私の自論はそんな感じです。もし参考になれば嬉しいです。
これからも執筆を楽しんで下さい♪
感想ありがとうございます!
まるでそこにいるような雰囲気ですかー。本当に出せたらいいんですが(しみじみ)
ぶっちゃけ書きながら設定考えてるので、書いててやっと「あ! ここってこういう風になってんだー」「あ! こいつこういう容姿してんだー」とかがザラです。作者ですら世界を把握しきれてません(笑)改訂して少しはましになったんですが……。路地裏なんて路地裏としか認識してなかった!(愕然)
ついさっき考えた設定だと、疫病防止のためにどこもかしこもクリーンなんですよきっと!(笑)思いついたからチェルがゴミを捨てるシーンにでも適当に説明付け加えときます。有難い指摘です。
何か全く違う方向に考えがいっちゃいましたが、今度の推敲の際にでも料理の香りや酒場の騒がしさなどの描写を増やそうと思います。市場も五感味わえますし、わあ付け加えられる場所いっぱいだ……orz
確かに過去形連続してると臨場感出ないですよね……。スマフォで書いてるからかあまり気にしてませんでしたね。少し意識してみます。
まるでそこにいるような雰囲気ですかー。本当に出せたらいいんですが(しみじみ)
ぶっちゃけ書きながら設定考えてるので、書いててやっと「あ! ここってこういう風になってんだー」「あ! こいつこういう容姿してんだー」とかがザラです。作者ですら世界を把握しきれてません(笑)改訂して少しはましになったんですが……。路地裏なんて路地裏としか認識してなかった!(愕然)
ついさっき考えた設定だと、疫病防止のためにどこもかしこもクリーンなんですよきっと!(笑)思いついたからチェルがゴミを捨てるシーンにでも適当に説明付け加えときます。有難い指摘です。
何か全く違う方向に考えがいっちゃいましたが、今度の推敲の際にでも料理の香りや酒場の騒がしさなどの描写を増やそうと思います。市場も五感味わえますし、わあ付け加えられる場所いっぱいだ……orz
確かに過去形連続してると臨場感出ないですよね……。スマフォで書いてるからかあまり気にしてませんでしたね。少し意識してみます。
- 佐木間
- 2015年 02月16日 22時15分
[一言]
読みやすい文章で、楽しく読ませていただきました。
ただ、私に読解力がないのか場面転換が少し分かりずらかったです。
今後も頑張ってください。
読みやすい文章で、楽しく読ませていただきました。
ただ、私に読解力がないのか場面転換が少し分かりずらかったです。
今後も頑張ってください。
- 投稿者: 退会済み
- 2015年 02月11日 03時09分
管理
感想の方ありがとうございます。
ただ今改変作業中でして、場面転換も減らしていますので、改変後は多少わかりやすくなっているかもしれません。
秘密基地の相互評価でも書きましたが、現在相互感想は受けつけておりません。ご理解していただければと思います。
ただ今改変作業中でして、場面転換も減らしていますので、改変後は多少わかりやすくなっているかもしれません。
秘密基地の相互評価でも書きましたが、現在相互感想は受けつけておりません。ご理解していただければと思います。
- 佐木間
- 2015年 02月11日 08時04分
[一言]
遅くなりまして申し訳ありません。掲示板より馳せ参じでございます。
さて、辛口にて感想、と承っておりましたが、概ね他の方々と同意見であることを最初に伝えておきますね。重複してもあまり意味がないように思いますので……。
決定的に説明不足で、読者の頭に映像が浮かんでこない状態で物語だけがどんどん進んでいってしまっています。
序章を例にあげていうと、少女が甲殻をもつ妙な生き物と戦っている場面がありますが、この少女の姿が一切わかりません。序章なのであえて不明瞭にしているのかもしれませんが、その後話が進んで主要場人物が出てきても特徴などの描写が不足がち、あるいは説明するタイミングが遅くて読者が困惑しかねない状態でした。
同様に背景、この物語独自のもの(ケモノビト、ケモノなど)の説明、描写も足りない……足りないというかメリハリがないので印象に残りづらくなってしまっています。
文章や言葉の選び方が良いだけに、この説明不足は非常にもったいないです。まさに文字の羅列を読むだけなら、になってしまっていて……。
近々第一章の方を改変なされるようですので、アドバイスを、といっても人様にアドバイスできるほど私も達者ではないのですが参考になればと思い少し書かせていただきますね。
まずその話、場面、章において自分が一番重要と思うもの、あるいは読者に伝えたい事柄を定めてしまうとわかりやすくなると思います。そこがその話において一番の盛り上がりになるのです。前後の文章はその事柄を補助するためのもの。
もちろん小説はこれだけで割り切れる簡単なものではないですが、意識すると少しは書きやすくなると思います。
後は他の方もおっしゃってますが本をたくさん読んでよいところは取り入れていくことでしょうか。幸い佐木間様はさまざまなジャンルの本を読まれていて好きな作家さんもいるようですので、勉強がてら研究するのも効果的なのではないでしょうか。既にされているような気がしないでもないのですが;
物語の素材、題材も個人的に好みですので、佐木間様さえよければ改変後にまた拝読させていただき、こちらに感想をのせたいのですがいかがでしょうか?
あつかましい申し出ではありますが、よろしければ是非。
それでは長々と失礼致しました。
またお目にかかれれば幸いです。
遅くなりまして申し訳ありません。掲示板より馳せ参じでございます。
さて、辛口にて感想、と承っておりましたが、概ね他の方々と同意見であることを最初に伝えておきますね。重複してもあまり意味がないように思いますので……。
決定的に説明不足で、読者の頭に映像が浮かんでこない状態で物語だけがどんどん進んでいってしまっています。
序章を例にあげていうと、少女が甲殻をもつ妙な生き物と戦っている場面がありますが、この少女の姿が一切わかりません。序章なのであえて不明瞭にしているのかもしれませんが、その後話が進んで主要場人物が出てきても特徴などの描写が不足がち、あるいは説明するタイミングが遅くて読者が困惑しかねない状態でした。
同様に背景、この物語独自のもの(ケモノビト、ケモノなど)の説明、描写も足りない……足りないというかメリハリがないので印象に残りづらくなってしまっています。
文章や言葉の選び方が良いだけに、この説明不足は非常にもったいないです。まさに文字の羅列を読むだけなら、になってしまっていて……。
近々第一章の方を改変なされるようですので、アドバイスを、といっても人様にアドバイスできるほど私も達者ではないのですが参考になればと思い少し書かせていただきますね。
まずその話、場面、章において自分が一番重要と思うもの、あるいは読者に伝えたい事柄を定めてしまうとわかりやすくなると思います。そこがその話において一番の盛り上がりになるのです。前後の文章はその事柄を補助するためのもの。
もちろん小説はこれだけで割り切れる簡単なものではないですが、意識すると少しは書きやすくなると思います。
後は他の方もおっしゃってますが本をたくさん読んでよいところは取り入れていくことでしょうか。幸い佐木間様はさまざまなジャンルの本を読まれていて好きな作家さんもいるようですので、勉強がてら研究するのも効果的なのではないでしょうか。既にされているような気がしないでもないのですが;
物語の素材、題材も個人的に好みですので、佐木間様さえよければ改変後にまた拝読させていただき、こちらに感想をのせたいのですがいかがでしょうか?
あつかましい申し出ではありますが、よろしければ是非。
それでは長々と失礼致しました。
またお目にかかれれば幸いです。
- 投稿者: 退会済み
- 2015年 02月10日 21時16分
管理
感想ありがとうございます。申し出、とてもありがたいです。ちょうど改変前を知る方に感想をお聞きしたいなと思っていましたので、小山内様の申し出は願ってもないことでした。満足のいくものができましたら、秘密基地の評価依頼の場でお知らせします。
アドバイスの方、本当にその通りです。どうも自分は説明も盛り上げも苦手でして、無意識に避けてしまっているようです。プロットにはここで説明、ここは重要、と書かれていても、気がついたら出てないーーそんなことだらけで(笑)
研究は多少してますが性格で全部無駄になってる状態ですよ(笑)
アドバイスの方、本当にその通りです。どうも自分は説明も盛り上げも苦手でして、無意識に避けてしまっているようです。プロットにはここで説明、ここは重要、と書かれていても、気がついたら出てないーーそんなことだらけで(笑)
研究は多少してますが性格で全部無駄になってる状態ですよ(笑)
- 佐木間
- 2015年 02月10日 22時06分
[一言]
すいません。他の方も同じような事をコメントしていたようですね……
でも本当に文章力は直ぐにでもデビュー出来るだけの力はあると思います。
私にとってはうらやましいかぎりです。
こちらを参考にするために、また読みに来たいと思います。
すいません。他の方も同じような事をコメントしていたようですね……
でも本当に文章力は直ぐにでもデビュー出来るだけの力はあると思います。
私にとってはうらやましいかぎりです。
こちらを参考にするために、また読みに来たいと思います。
いえいえ、気にしてませんよ。自分の明確な弱点だと自覚できてありがたいぐらいです。
重ね重ねありがとうございます。一時期かなり小説のことを勉強していたことがありまして、恐らくそのおかげかと。
文章を学ぶなら紅玉いづき先生や綾崎隼先生などがおすすめですよ。恋愛ものは文章力が高いものが多いですから。質の良い学術書やシェイクスピアなどを読むのも刺激になりますし。個人的には意外とBL漫画が一番美しい表現を見つけやすいと思っていますが、雪ノ音様が嫌いだったことを考えて例に挙げないでおきます。
私ももっと様々な文に触れて、更に自分にあったものを見つけたいですね。
重ね重ねありがとうございます。一時期かなり小説のことを勉強していたことがありまして、恐らくそのおかげかと。
文章を学ぶなら紅玉いづき先生や綾崎隼先生などがおすすめですよ。恋愛ものは文章力が高いものが多いですから。質の良い学術書やシェイクスピアなどを読むのも刺激になりますし。個人的には意外とBL漫画が一番美しい表現を見つけやすいと思っていますが、雪ノ音様が嫌いだったことを考えて例に挙げないでおきます。
私ももっと様々な文に触れて、更に自分にあったものを見つけたいですね。
- 佐木間
- 2015年 02月10日 19時57分
[良い点]
スティーブン・キングの「ダークタワー」とかをもう少しライトにした感じで、独特な世界観をシンプルに描けていると思います。
ラストのネタバレも、純粋に驚くことができる良いオチでした。
[気になる点]
他の方が散々言われていますが、ストーリーの内容、世界観、キャラの背景ことごとくが説明不足で、そのせいで漠然としています。あと、読みやすい反面で文章にメリハリがないと思います。
誰々が死んだとかどういう行動があってどういう経緯があったのか、大体二、三行程度で片付けられているので、うっかり見逃すと後々混乱して見返すハメに……(読み切れなくてすみません)
その数少ない情報が、大体が地の文やキャラの口からそっくりそのまま説明されているだけで、それがテンポを削ぐ一因になっていると思います。また、違和感を覚えます。
確かに、世界観は説明しなくても肌で感じろ! というやり方も、私としてはアリだと思います。
ただ、そういう作品は読者に直接見せなくても感づかせるだけの生活描写や、想像させる余地や雰囲気を巧みに盛り込んでいるものです。
また、この作品には読みやすい分、想像力を刺激させるだけの面白い要素、設定、キャラクターがなかったのも確かです。
ファンタジーなのですから、読者的にはそこに力を入れて欲しかったです。
[一言]
相互評価のご応募ありがとうございました。
上で色々申しましたが、今後の展開で十分に化ける内容だったと思います。
少なくともこのエピソードはダークで面白かったし、よくまとまっていたと思います。
今後も、影ながら応援させていただきます!
スティーブン・キングの「ダークタワー」とかをもう少しライトにした感じで、独特な世界観をシンプルに描けていると思います。
ラストのネタバレも、純粋に驚くことができる良いオチでした。
[気になる点]
他の方が散々言われていますが、ストーリーの内容、世界観、キャラの背景ことごとくが説明不足で、そのせいで漠然としています。あと、読みやすい反面で文章にメリハリがないと思います。
誰々が死んだとかどういう行動があってどういう経緯があったのか、大体二、三行程度で片付けられているので、うっかり見逃すと後々混乱して見返すハメに……(読み切れなくてすみません)
その数少ない情報が、大体が地の文やキャラの口からそっくりそのまま説明されているだけで、それがテンポを削ぐ一因になっていると思います。また、違和感を覚えます。
確かに、世界観は説明しなくても肌で感じろ! というやり方も、私としてはアリだと思います。
ただ、そういう作品は読者に直接見せなくても感づかせるだけの生活描写や、想像させる余地や雰囲気を巧みに盛り込んでいるものです。
また、この作品には読みやすい分、想像力を刺激させるだけの面白い要素、設定、キャラクターがなかったのも確かです。
ファンタジーなのですから、読者的にはそこに力を入れて欲しかったです。
[一言]
相互評価のご応募ありがとうございました。
上で色々申しましたが、今後の展開で十分に化ける内容だったと思います。
少なくともこのエピソードはダークで面白かったし、よくまとまっていたと思います。
今後も、影ながら応援させていただきます!
感想の方ありがとうございます。
やはりインパクト不足ですか。あまり強調すると安っぽくみえてしまいそうで避けていたんですが、あまり避けすぎていても駄目なんですね。以後できるだけ気をつけます。
例に出された「ダークタワー」、調べてみました。面白そうですので近い内に読んでみようと思います。
今気づきましたが、自分はどうやら漫画家の市川春子先生に強く影響されてるみたいです。どちらかというとSF小説家の上田早夕里先生をリスペクトしていたので少しショックを受けています(笑)
やはりインパクト不足ですか。あまり強調すると安っぽくみえてしまいそうで避けていたんですが、あまり避けすぎていても駄目なんですね。以後できるだけ気をつけます。
例に出された「ダークタワー」、調べてみました。面白そうですので近い内に読んでみようと思います。
今気づきましたが、自分はどうやら漫画家の市川春子先生に強く影響されてるみたいです。どちらかというとSF小説家の上田早夕里先生をリスペクトしていたので少しショックを受けています(笑)
- 佐木間
- 2015年 02月08日 21時44分
[一言]
冒頭、砂漠にて少女が鎧のような生物と戦っている場面があります。
『触覚』という語が用いられていますが、『触角』ではありませんか? 動物の頭部から突き出ている器官を指しているのであれば、『触覚』というのは誤りです。こちらは、皮膚の表面に何かが触れた際に感じる感覚の事ですので。
『リンネの恋情』にて『こんばんわ』という台詞がありますが、言うまでもなく間違いです。正しくは『こんばんは』です、これは直ぐにでも修正された方が宜しいかと。
重箱の隅をつつくような指摘になりますが、『双子のケモノビト』にて、『シピキ鳥が四鳥にミミク兎が二匹な。計六アーツだ』とあります。
この世界の中ではその数え方が主流だ、と言われればそれまでですが、鳥も兎も数え方は『~羽』です。兎に関しては『~羽』と数えるという事に違和感を感じない人も多いかと思われますが、流石に鳥を『~鳥』と数えるのは違和感が拭えない感じでした。
話に関してですが、人間模様、例えば人物の紹介や誰に対して好意を抱いているのかは必要不可欠だと思います。しかし、貴作ではそれらが冗漫に感じられました。中々目を惹かれるような展開が訪れず、『アルヴィスの市場』にてリンネがチェルとシャルが一緒に居るのを見つけた際、嫉妬心を抱いている場面でようやく続きが気になり始めた感じですね。
私は、『つまらない小説』の条件の一つに、『登場人物の誰にも感情移入出来ない』という事を含めています。こういった『人間らしさ』を感じさせる場面はもっと早めに描いて欲しいと思いました。
そして、その次の『少年の死』から本格的に事件が動き始めた感じで、私はここに至ってやっと『おもしろくなりそうだ』と感じる事が出来ました。
まとめとして、私は貴作に二つの要望を提示したいです。一つ目は『スピード感』、人を惹き付けるような展開は早めに仕掛けなくては、読み手を飽きさせてしまう恐れがあります。折角先を読む意欲を掻き立ててくれる場面があるのに、そこに辿り着くまでに飽きられては勿体無いです。
二つ目は『アクセント』、メリハリとも言えますね。重要な場面はもっと力を入れて描写しても良いかと思います。
第一章を拝読しての感想です、単なる一読者の意見として聞き流して頂いても大丈夫ですが、もし取り入れて頂けるのならば第二章を描く際にでも反映して頂ければと思います。
解釈足らずな部分や読み違えている点があれば、遠慮無くご指摘下さい。
冒頭、砂漠にて少女が鎧のような生物と戦っている場面があります。
『触覚』という語が用いられていますが、『触角』ではありませんか? 動物の頭部から突き出ている器官を指しているのであれば、『触覚』というのは誤りです。こちらは、皮膚の表面に何かが触れた際に感じる感覚の事ですので。
『リンネの恋情』にて『こんばんわ』という台詞がありますが、言うまでもなく間違いです。正しくは『こんばんは』です、これは直ぐにでも修正された方が宜しいかと。
重箱の隅をつつくような指摘になりますが、『双子のケモノビト』にて、『シピキ鳥が四鳥にミミク兎が二匹な。計六アーツだ』とあります。
この世界の中ではその数え方が主流だ、と言われればそれまでですが、鳥も兎も数え方は『~羽』です。兎に関しては『~羽』と数えるという事に違和感を感じない人も多いかと思われますが、流石に鳥を『~鳥』と数えるのは違和感が拭えない感じでした。
話に関してですが、人間模様、例えば人物の紹介や誰に対して好意を抱いているのかは必要不可欠だと思います。しかし、貴作ではそれらが冗漫に感じられました。中々目を惹かれるような展開が訪れず、『アルヴィスの市場』にてリンネがチェルとシャルが一緒に居るのを見つけた際、嫉妬心を抱いている場面でようやく続きが気になり始めた感じですね。
私は、『つまらない小説』の条件の一つに、『登場人物の誰にも感情移入出来ない』という事を含めています。こういった『人間らしさ』を感じさせる場面はもっと早めに描いて欲しいと思いました。
そして、その次の『少年の死』から本格的に事件が動き始めた感じで、私はここに至ってやっと『おもしろくなりそうだ』と感じる事が出来ました。
まとめとして、私は貴作に二つの要望を提示したいです。一つ目は『スピード感』、人を惹き付けるような展開は早めに仕掛けなくては、読み手を飽きさせてしまう恐れがあります。折角先を読む意欲を掻き立ててくれる場面があるのに、そこに辿り着くまでに飽きられては勿体無いです。
二つ目は『アクセント』、メリハリとも言えますね。重要な場面はもっと力を入れて描写しても良いかと思います。
第一章を拝読しての感想です、単なる一読者の意見として聞き流して頂いても大丈夫ですが、もし取り入れて頂けるのならば第二章を描く際にでも反映して頂ければと思います。
解釈足らずな部分や読み違えている点があれば、遠慮無くご指摘下さい。
すみません、指摘された誤字を全て直しました(汗)なんですか「四鳥」って。なんですか「こんばんわ」って。ええ、あまりにも基本的すぎる部分での誤字で顔から火が出そうです。ああ恥ずかしい。
兎を「羽」と数えるのは知っていますが、これは日本独特の呼び方ですので、一応アフリカ大陸をイメージしている今作では「匹」と数えるようにしています。
スピード感に関しては、これ以上早くに魅せるための場面を出せない、というのが本音です。一応第一章は三幕構成で考えていましたが、どうやら割合を間違えたようですね。書き始めた経緯により、最後まで読まれることを前提にするという甘えがあるのかもしれません。ここは完全に私の力量不足です。
アクセントについても同様に、私の力量不足ですね。戦闘描写が苦手なもので、どうしても密度が薄くなってしまいます。
しかし私が虹色冒険者様の小説に感じたものと全く逆のことを、虹色冒険者様は私の小説に感じていられるようなので、好みの差、読んできたジャンルの差、というものがあるのかもしれません。
いずれにせよ、どんな人も読める小説を書きたいものです。
兎を「羽」と数えるのは知っていますが、これは日本独特の呼び方ですので、一応アフリカ大陸をイメージしている今作では「匹」と数えるようにしています。
スピード感に関しては、これ以上早くに魅せるための場面を出せない、というのが本音です。一応第一章は三幕構成で考えていましたが、どうやら割合を間違えたようですね。書き始めた経緯により、最後まで読まれることを前提にするという甘えがあるのかもしれません。ここは完全に私の力量不足です。
アクセントについても同様に、私の力量不足ですね。戦闘描写が苦手なもので、どうしても密度が薄くなってしまいます。
しかし私が虹色冒険者様の小説に感じたものと全く逆のことを、虹色冒険者様は私の小説に感じていられるようなので、好みの差、読んできたジャンルの差、というものがあるのかもしれません。
いずれにせよ、どんな人も読める小説を書きたいものです。
- 佐木間
- 2015年 02月08日 18時18分
[良い点]
文章は上手いと思います。
書きなれた感じで、とても読みやすいです。
丁寧でとても好感が持てました。たぶん読書量の多い方なのだろうと思います。こういった異世界のことをすんなりと読ませることができるのは、ハンパ者には無理です。
[気になる点]
悪いとは思いませんが(私の、読み手側の問題かも知れません)ケモノビトがいまいち掴めていません。
宿すことができるようでもあるし、また人間と外観上の違いがあるのかわかりません。
できれば、もう少し早い段階で、詳しく描いて欲しいです(あくまで私の感想です。わかる人にはわかるでしょうけれど)
地の部分の書き込みが作品の今後を左右させる気がするので……よろしくお願いします。
[一言]
面白かったです。
読ませていただきありがとうございました。
もし完成されたら、何らかの「賞」に出すことをお勧めしたい作品です(勧めたのは初めてです)
文章は上手いと思います。
書きなれた感じで、とても読みやすいです。
丁寧でとても好感が持てました。たぶん読書量の多い方なのだろうと思います。こういった異世界のことをすんなりと読ませることができるのは、ハンパ者には無理です。
[気になる点]
悪いとは思いませんが(私の、読み手側の問題かも知れません)ケモノビトがいまいち掴めていません。
宿すことができるようでもあるし、また人間と外観上の違いがあるのかわかりません。
できれば、もう少し早い段階で、詳しく描いて欲しいです(あくまで私の感想です。わかる人にはわかるでしょうけれど)
地の部分の書き込みが作品の今後を左右させる気がするので……よろしくお願いします。
[一言]
面白かったです。
読ませていただきありがとうございました。
もし完成されたら、何らかの「賞」に出すことをお勧めしたい作品です(勧めたのは初めてです)
感想ありがとうございます。そう言われてみると、確かにケモノビトの説明が少ないですよね。あとで書き加えておきます。
元より、この小説はとある賞に出すために書いているので、そう言っていただけると自信がつきます(笑)
なろうに投稿したのも、執筆スピードを維持するための訓練の一環ですので。古都ノ葉さんの感想は励みになります。
元より、この小説はとある賞に出すために書いているので、そう言っていただけると自信がつきます(笑)
なろうに投稿したのも、執筆スピードを維持するための訓練の一環ですので。古都ノ葉さんの感想は励みになります。
- 佐木間
- 2015年 02月08日 16時17分
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