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[一言]
4万字超えでも、それを感じることなく、二日がかりですが読み終えました。

たぶんルーマニアのことを知らなくても、人と人との微妙なかかわりは素直に心に染みると思います。

ルーマニアのティミショアラから日本へ、そして時代を経て日本からティミショアラへ。

母の死、娘の死。

孫とおばあさんの出会いは、緊張感を携えて大聖堂のラストへと飽きることなく読ませてしまう、いつもながらの見事な描写力、文章力に脱帽です。
  • 投稿者: 古流
  • 男性
  • 2015年 06月04日 21時21分
蝙蝠傘さん

拙作へのご高覧どうもありがとうございます。

本作は、私としては完結させた中で最長です。

家族小説として描きたかったので、ルーマニアという国の特殊性を反映しつつ、普遍性をも獲得できていれば幸いです。

ヒロインのナディアが日本からティミショアラを訪れる旅路よりも、亡母のエレナがティミショアラの家を捨てる形で日本へと去った軌跡の方が遠かったはずです。

ヒロインは母を亡くした娘であり、祖母は娘を失った母です。
従妹は父を知らない娘であり、祖母は息子を奪われた母です。

独りになってもティミショアラに住み続けた祖母の方が、孫娘たちより苦しんだはずです。

作中でも触れたようにティミショアラの大聖堂は革命の端緒になった地でして、銃撃から逃れようとした子供たちが背後から撃たれて階段が血に染まったとの逸話があります。

だからこそ、祖母とヒロインが和解する場所として選びました。

それでは、また。
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