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[一言]
 早速、拝読いたしました。
 状況設定からすでにヒューマンドラマでしたが、少年に全快の夢を見せながら病死を与えていくあたりの技術は、相当だと思いました。一瞬、SFに縒れていくのかなと予感させつつ、それを裏切って純文学的に仕上げているところが、とても良かったです。最後の葬式の場面は、涙誘いますね。僕には、なかなかあんな感動的なシーンが書けないです。
 難があるとすれば、少年は夢の中でとはいえ、深く愛してくれていた両親を裏切ってしまったというところです。病魔が苦しく、精神が冒されていたとは言え、少し残念な気がしました。ただ、宇宙人の二人の顔が父母像であるところと、宇宙人の話はもともと母親の聞かせた童話が元であるところが、少年の精神が健全であるという証拠でしょうか。
 まあ、少年の心が少し病んでいたのは、皮肉がかった展開でむしろ面白いのかもしれません。
 いずれにせよ、両親と子供の間の暖かい愛が、うまく描かれていて、感動的ドラマでした。面白かったです。
 
  • 投稿者: 大坪命樹
  • 40歳~49歳
  • 2016年 11月05日 15時47分
[一言]
読ませていただきました。

さて必死で頭の中身を整理しようとしているのですが、この作品はかなり評価がむつかしいなと思いました。幻想的な雰囲気に仕上げられていて、ちょっとした主人公の心理の動きにも深い意味が込められているようで、うーん、と考えさせられてしまいました。

読み終わった後にわたしが感じたのは、人間の心の闇をのぞくような恐怖でした。宇宙人の存在を主人公の妄想と断ずるならば、この作品には病に蝕まれて、少しずつ人間であることの証明を失っていく主人公の狂気が克明に記されています。絶望感から大量殺人に走る人間の心理に通じるような、空恐ろしい感覚です。
他方、これは半ばわたしの想像ですが、終章に記された内容こそがまやかしであるとするならば。「この星の王」となった主人公がいかなる存在に成り果てているのか、こちらも想像するだに恐ろしい。
そういった恐怖に魅せられて、夢中でページをめくりました。正直に告白すると、わたしは文章を見る目がないほうで、「なろう」に掲載されている作品を読んでも、読める文章か否かくらいしか分かりません。その上、読んでみようという気になる作品といえば、ほぼ皆無です。どれも等しく「面白くない」と思えてしまうのです。そんな中、この作品には他にはない魅力があるように感じました。「君が勇者になってから」のほうを序盤だけとはいえ先に読みましたが、個人の嗜好も多分にあるかと思いますが、同じ作者とは到底思えないほど違って見えます。

この作品については、わたしには改善点など思いつきません。ただし、個人の感情を申し上げると、最後に救いが用意されたお話を読みたい、という欲求があります。また、ストーリーがしっかりと浮き上がった分かりやすい作品も、という気持ちもあります。
そのあたり、次回作(もしかしたら「君が勇者になってから」がそんな作品なのかもしれません)で読ませていただけたらと思います。
応援しています。
  • 投稿者: 退会済み
  • 30歳~39歳 男性
  • 2009年 07月08日 21時04分
管理
曽口十土様、この度は相互評価ありがとうございました。

突然、評価作品を変更したにもかかわらず、丁寧に読んでいただき、光栄です。

やはり曽口十土様にこの作品の評価を託して正解でした。

この作品は、私のなかの狂気というものを包み隠さず書き綴ったものなので、人様に積極的に見せるものではないと思ってます。
なので、もう一作の影にかくれるよう、ひっそりと公開しておりました。

ただ、この度縁あって曽口十土様の作品に触れ、
この方ならこの影に招いても大丈夫だろう。むしろこの影の世界を楽しめる感性を持ってそうだ。などと考え、こちらに招かせて頂きました。

どうやらその勘もあながち間違ってはなかったようで、嬉しい限りです。

曽口十土様の読解能力が高いせいか、私の伝えたかったことは既に全て感じとっていただけたようです。
加えて、結末の真意に目を向けていただけたことが嬉しい。
なるほど確かに、これが主人公の妄想じゃなかったとしたら、怖いですね。
舞台が今よりも昔であることは確実なので、この出来事が現実に起きてたらと考えると、今を生きる我々は、自分が本当に地球人なのかすらわからなくなりそうです。
普段身体を動かす感覚すら、地球人的なのか疑わしい。
もしかしたら王になった白い少年とも、既に会ってるのかもしれない。
気味の悪い話です。

それと、曽口十土様の最後の予想は正解です。

私はこれを書いた直後から「君が勇者になってから」を執筆しました。
曽口十土様が感じたのと同じような理由から
「もっと明るくて、読んでて楽しい小説が書きたい!」
と強く思ったのです。
自分の書きたいものを書きたいように書いたのがこの短編。
エンターテイメント性を意識して頭を働かせつつ書いたのがあの長編となります。

曽口十土様の勘の鋭さには頭が下がる思いです。

二つの小説のうち、どちらを面白いと感じるかは人によるかと思いますが、
題材の地味さと後味の悪さから、こちらの作品を評価してくださる方は少ないと思われるので、
今回頂いた感想と評価、大事にさせてもらいます。

この度は身にあまる高評価ありがとうございました。
より一層精進いたします。
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