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[一言]

お世話になっております。
「僕の答えをいつまでも」読ませていただきました。

序盤の雰囲気から青春恋愛モノかと思っていましたが、
いわゆるタイムリープモノでしたね。
かなり扱いの難しい題材と言えます。
その理由と内容に関しては後ほど。


まずは文章面から。
基本的に主人公の一人称で、状況の説明を中心に展開を進めていくスタイル。
人間関係の理解に対しても同様の形式が多く、会話などは少な目に感じました。
そのため キャラクターそれぞれの要素は わかりやすい形で示されているのですが、
だからこそ キャラクター間に生じる人格的な魅力や機微に関しては
深めにくくもなっている感じがしました。

メインは四人なワケですが、際立っているのは春香のみで、
主人公も含めて 他の三人は そのための端役的ですらある。
コミカルに振った作品であれば このような印象も悪くはないのですが、
タイムリープをシリアスに扱うのであれば
後々 重要になってくるであろう彼らの印象は
しっかりとした個性を 最初の段階で示しておく方がよいでしょう。
会話の内容による特徴の提示などは有効な方法の一つです。
状況の説明を 簡潔にわかりやすく行うこともできるので、
話の展開を見直す際にでも 配分を調整してもよいでしょう。


地の文における説明、むしろ状況の描写と呼べる文章でしたが
それぞれの情景を伝えるため丁寧に示されている感じがしました。
一つ一つを練習するような意図もありそうです。
かなり詳細でもあり、推理小説にも近い緻密さすらある。

ただ、現時点までだと そこまでの細かさが必要であるのかが分からず、
すべてを覚えておくには 情報量が多くなりすぎる傾向にもあります。
と言うより、多くの読者は覚えておけないでしょう。

瞬間の場面であっても かなりの文量で描かれており、しかし すぐに次へと移ってしまう。
タイムリープモノであると、あるいは後にも登場するのなら
ある程度の意味が見いだせますが、
序章から同じ形式で示され続けると 情報の蓄積が処理しきれなくなる可能性も上がります。

緻密な描写は 内容を理解させる役に立ちますが、
立て続けに用いると 重要情報まで見落とされることになりかねません。
先の会話の利用などと混ぜて 配分のバランスを整えれば
読みやすさと 分かりやすさを上げる効果にもなるでしょう。

これは、一人称でありながら 印象を遠く感じさせている要因でもあるかもしれません。
主人公の性格を反映しているとも言えますが、描写がかなり俯瞰的で
その場で感じているというより 説明を目的とした印象になります。
感情から離れているとも言える。

たとえば「その日の背中は」の一文に
「僕は、安堵の表情を浮かべているがそういう疑問が湧くのは当然だ。」
とありますが、主体である「僕」が自分の表情を「浮かべている」と客観的に記すのは
なんとなくの違和感を感じさせるものでもあります。
対象と距離をおいた三人称的文章と言える。
「僕は安堵しながらもそんな疑問を抱いた」ぐらいの方が サラっと読み流せるでしょう。

これ単体では さほど気になるものではありませんが、
同様の印象が重なっていくと大きな違和感につながっていくので
一つ一つを丁寧に対処していく必要があります。
せっかくの一人称であるのだから、
その場における感情も交えた描写により 光景の印象も差を与えられれば、
キャラの個性を示す役にも立つでしょう。


次いで内容に関して。
状況として林間学校を扱っているのは珍しい要素と言えるでしょう。
通常なら学園モノの1イベントとして用いることが多いだけに、
導入から林間学校という点が なんらかの意味を持つのではないかと期待されます。

ただ、現時点までの内容だと その意義があまり感じられません。
他の生徒や スケジュールの都合あわせなどが 邪魔になっているようですらあります。
例えば仲良しグループの田舎旅行などとすれば同様の展開を描きながら
余計な情報を省くことができるのではないかとも思えました。
もっとも このへんは 今後の展開によっても必要性が変わってくるので
現時点での評価は難しいところですが。
林間学校という背景が必要とする情報量と、それが展開においてどのような意味をもつのか。
このへんのバランスも全体にとって考える必要がでてくるでしょう。

タイムリープものというのも 扱いが難しい形式である。
ここまででも示しましたが、情報の扱いが特に難しい。
どうしても整合性が気にされてしまうからです。
描写の細かさも そのへんに関係してくるのかと予感してしまう。
そうかもしれないと細部を意識すると、メインストーリーへの理解が おざなりになりかねない。
キャラの機微や関係性が情緒的にではなく、
ストーリーの構造的にだけ解釈されかねなくなってしまうかもしれません。
作品として そのどちらに重きを置かれているのか、
あるいは両方なのか、判然としない感もありました。
それを難しくする要素でもあります。

目指す方向性としては 林間学校という状況と タイムリープの能力的な面、
そしてキャラクターの個性と関係性を 互いに強調しあいたいのだと思えます。
ただ、いずれか二つであれば比較的簡単ですが、
三つ同時に、特にタイムリープという要素を扱おうとすると
構成の難度が跳ね上がるでしょう。
それだけ難しい素材と言えます。

とはいえ、出来ないことはない。
まずは全体として どのような形で まとめたいのか、
そのためには どんな情報が必要になるか、
とにかく最後まで辿りつくことが大前提になると思えます。

つまり、このまま突き進んでしまった方がよい。
矛盾や 情報の増大など生じるでしょうが、
最初の段階で 気にする必要はありません。
完成度よりも どのような形であれ 決着まで行き着くことが重要です。
初期のプロットとして大枠はあると思いますが、
実際に描いていくと 足りないものが大量に出てくるでしょう。
それをすべて洗い出す必要があります。

次いで情報の扱い、必要なものと不要なものの切り分けが必須になる。
全体を通すことによってしか この分別はできません。
次々と投稿していく形式では 慣れている者でも相当に難しい。
一通りが完成したからこそ必要性を見いだせる要素も出てくると思います。
内容の重複や 情報を提示する順序など 見直す点も見えてくるでしょう。


世界線という単語からイメージの元はシュタインズ・ゲートあたりかなと感じましたが、
タイムリープものは性質上 構成に相当の繊細さが必要になります。
作品の方向性によっても精度は異なりますが、シリアスにするほど気にもされる。
最低限の必要性が どの部分になるか、それが読者にキチンと伝わるか、
多少 露骨なぐらいに意識しておいた方が 全体の完成度は上がりやすくなるでしょう。

優れた作品は それらの意識を学ぶためにも役立ちます。
高畑京一郎の「タイム・リープ あしたはきのう」や
西澤 保彦の「七回死んだ男」あたり 優秀なテキストになるでしょう。
特に西澤さんは この種のSF的なミステリにとって先駆者的な方でもあるので
著書は参考になる点が多いと思います。
技術的な面を抜いても面白い作品なので、機会があれば読んでみてください。


思いつくまま気になった点を指摘してきましたが、
あくまで私的な感性に基づいたものであることは ご理解ください。
万人に受け入れられる傾向ではなく、むしろかなり特殊な観点だとも思います。
納得の程度も人によって大きく異なるでしょう。
気にするにしても 自分の感性にとっての必要性を吟味し、
有意義だと思えたところだけ ご利用ください。
その取捨選択こそが個性に つながると思いますので。


あと、気づいた範囲で誤字などの報告を。

「今日の月は」から
 綾ちゃんから答えを聞きだしていた。
→彩ちゃん

「最後の夜まで」と「努力と才能」の内容が重複していました。
おそらく「努力と才能」の方のアップミスでしょう。


こんなところで。
相互批評企画への参加、ありがとうございました。

  • 投稿者: 退会済み
  • 2015年 11月16日 21時17分
管理
非常にキメの細かい批評をしていただき感激しております。
数ある小説の中から見つけていただき
さらに相互批評企画にお誘いいただきまして
ありがとうございました。


文章面について

情報の取捨選択が出来ていませんよね・・・。
あえて春香を際立たせておりますが
たしかに、物語的に他三人の印象や個性を示しておくべきだと感じます。
会話による情報の提示を意識してみます。

感情も交えた描写により光景の印象も差を与えられれば、
キャラの個性を示す役に立つ。これも意識していきたいと思います。


内容に関しまして


林間学校を選んだ理由は元々の構想が林間学校だっただけで深い意味はないのです。
最初は林間学校で終わらせるつもりが終わり方を変えた途端その必要性が薄く、もはや無くなってしまっているような感じです。

とはいえまったく出てこないのまずいので
今の構想では、物語の最後に少し絡めていくに留まっています。
これは力技で失敗だと思っています。

何度も読み返し、全体を上手く、丸く出来るように考えてみます。
とはいえ、完結はさせたいのでこのままいってしまう恐れもあります。

田舎旅行はまさしくだと思いました。

私も書き進めていて、生徒同士の絡みもないし、長い期間のイベントが邪魔になっているなと感じておりました。
この先ですが、根無草さんの指摘に気を付けて進めて行きたいと思っております。


情景の細かさとメインストーリーのバランスを気を付けたいと思います。
ここのバランスの取り方はまだ力不足感が否めないですね・・・。
シュタインズ・ゲートは見たことが無いのですが時空、タイムリープ物なのでしょうか。

高畑さんや西澤さんの本は有名ですね!
北村薫さんのシリーズを読んでから
と思っていましたが早急に読む必要がありそうです。

一人で書いていたら確実に気づけなかったことが多いです。
非常に整理されたご意見で初心者の私にも分かりやすい言葉をお使いいただいてありがとうございます。
非常に勉強になりました。



改めまして企画にお誘いいただきましたこと
貴重なお時間を割いてアドバイスをいただけましたこと
本当にありがとうございました。
[良い点]
春香ちゃんがとても可愛いです。元気な女の子、いいですよね。振り回されたいです。

こういう青春を送りたかったなあと思います。
続きを楽しみにしています。
ありがとうございます!上手く振り回せているでしょうか。嬉しいです。

青春部分ももう少し書いていければなと思います。


また、時空系SFを絡めながら頑張ります。

本当にありがとうございます!
[一言]
等身大の高校生が描かれていて、温かくて、ヒヤッとして、でも楽しくて、とても幸せな気分になりました。
私は日常を書くのが苦手なので、こんなに自然に高校生が描けている作者さまはすごいなぁと思います。
各所に散りばめられている小さな謎たちは、今後回収されていくんでしょうね。
そこら辺も楽しみにしながら、更新をお待ちしています。
素晴らしい作品でした!
  • 投稿者: 竜堂 酔仙
  • 15歳~17歳 男性
  • 2015年 10月06日 21時06分
本当にありがとうございます!
解くべきものをどこまで出して良いものか、に無い頭を振り絞っておりますw
自然に描けていますでしょうか。これを踏まえて謎を解きたいと思っております。

ありがとうございます!嬉しいです!
[一言]
「僕の答えをいつまでも」冒頭のみですが読ませていただきました。
まずはキャラ紹介的な内容からですね。
基本的な性格と関係性を示し、ここから展開していくのでしょう。
その中で どれだけキャラの魅力を示せるかがポイントになりそうです。


自分も連載中の作品でネット小説大賞に参加しています。
完結したら相互批評企画などやろうかと考えておりますので、
よければ ご参加くださいませ。
  • 投稿者: 退会済み
  • 2015年 10月05日 20時07分
管理
ありがとうございます!
稚拙な文章ですごく読みにくいですよねすみません……。

キャラの魅力、ですね。意識します。重ね重ねありがとうございます。


本当にありがとうございます

覗かせていただきます!
[一言]
感想1番乗り!初投稿にしては面白い設定ですね。
私からはあんまし細かく言えないんですけど、頑張ってくださいということで!
  • 投稿者: 退会済み
  • 2015年 10月02日 10時39分
管理
ありがとうございます!
時空ものSFが好きで自分も書いてみたい!

と思ったのはいいのですがやはり難しいですね。。。

嬉しいです。三日坊主を克服しようと思います!
ありがとうございます!
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