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[良い点]
炎の中の殺人という凄まじい迫力に圧倒されました。

いつものことだけど、犯人は最後まで分からなかったです…思えばあんなにあからさまで分かりやすいヒントがあったと言うのに…『空白の5分間』ですね、ちゃんとミステリーしてて炎の中で人を殺すというシュールな状況下にも、しっかり活かされていました。

確かに彼は取り調べの時、2度聴かれただけで逆ギレしてたし、何か変だなぁとは思ってたんですよ…

自身の罪を隠す為に殺人を重ね、逃れたい一心で助けられる人をも見殺しにする、愚かしい彼の行動の何から何まで、共感してしまいました。愛が憎しみに変わるのは、まさにこういう瞬間なんだと言うことも。

男って…いや人間って、こういう生き物だよなぁ…としみじみ実感しています。

火災時の犯罪は、炎のどさくさに紛れて証拠をうやむやにできるから、通常の殺人より有利でバレにくいと思っていました。甘かったです。ロジックの組み立て、証拠の押収、榊原の動かし方は、いつもながら流石でした。


業火の殺人者と呼べば、いかにも恐ろしい殺人鬼に思えるけどその正体は、自分を必死にかばうために、弱さゆえに、罪を重ねていった一人の悲しい男だったのですね……またしても、犯人に肩入れしてしまいそうで、胸が痛みます……
[一言]
優里亜にも問題があると感じます。男の一度の浮気くらい、多めに見てあげたら良いのに。ブサイクとか女ったらしとか言わなくて良いことまで…逆上も無理はないと古賀に同情します。最終的には向こうの女性を捨て、自分を選んでくれたのだから『そんなのどうでも良い』って、それが一番大事な結果なのに。

『今回だけは多めに見る。その代わり次は無い。2度めは許さないからね!!』と釘を刺してお灸を据えて、にっこり笑えば済む話でしょう。

私の主観では、興信所に依頼したのも、古賀を愛してるからと言うより、恋敵に女として負けたくない意地があったのでは…と思いました。白黒つけたければ、修羅場に乗り込んで行って、現行犯の彼らにその場で問い質せば良いのですから。

死んだ人を悪く言うことをご了承ください。
あのホテルが火災したのも、心の狭い静川への天罰と言うか、助かったとしても火傷なり怪我なりで辛い目に遇う、いずれにせよ彼女は、幸せにはなれない運命であったと思います。

業火と聞いて『炎の警備隊長 五十嵐杜夫』と言う昔のミステリーを思い出しました。私は主演の小林稔侍が大好きで、きっと蒲生隊長もあんな感じだったのかな、なんて勝手に重ねています。
  • 投稿者: 退会済み
  • 女性
  • 2017年 04月12日 23時48分
管理
 奥田です。感想返信が大変遅れてすみません! 企画小説の執筆に集中していて中々時間が取れなくて……というのは言い訳ですね。あと、レビューして頂いて、ありがとうございます!

 この作品は「とにかく異常な殺人現場を!」というコンセプトで書き始めた作品で、「火災の中で殺人を起こす犯人の事情とはどのようなものなのか?」と言う疑問を中心に物語を構成していきました。要するにシチュエーションが先行していた作品なわけです。

 あと、実際の警察の捜査に関する本などを読んでみると、火災現場の犯罪って我々が想像もしないような証拠が結構ゴロゴロ転がっているものみたいです。実際、作中でも示したように警視庁には火災専門の部署があるようですし……。さすがに世の中そこまで犯罪者に甘くないようです。まぁ、榊原さんにとっては通常運転と言った感じなんでしょうが(笑)。

 ちなみにタイトルは狙っています。「一見するとやばそうな犯人に見えるが、実のところは我々と同じ思考回路を持つ普通の人間が犯人だった」というオチを効果的にするためにあえてこの禍々しいタイトルにしています。

 そんな感じです。それでは失礼します。
[一言]
とても面白かったです。
今回は、いくつかの偶然と言う物に注目して読ませて頂きました。
対決の所で榊原が言ってた、予想も出来ない偶然によって、あの異常な殺人現場が成立した。
一方、榊原さんにも事件を解決するのにかかせないいくつかの偶然があって。
信頼出来る鑑識さんや消防庁の偉いさんと知り合いだったり、
動画サイトで事件の動画が有る事にみずほが気づいたり、
女性弁護士の証言者と過去に関わっていたりなどなど。
そう言う意味で今回は、人間関係におけるいくつかの偶然が犯人を殺人の道へ進ませ、探偵を解決の道へ進ませた。
これはかなり神経を削って執筆した作品なんじゃないかと思いました。
最後に推理とは関係ないですが個人の好みとして、対決の所で、被害者を父親のように尊敬していた説き川が犯人に怒りをぶつける場面があればもっともっと感情移入したと思います。
なんか次回予告みたいなのも有りましたし、次回も楽しみです。
  • 投稿者: 濱田
  • 2015年 10月14日 04時14分
 奥田です。今回もご一読ありがとうございます。

 ご指摘のように、私はこういう推理小説を書くにあたって、「偶然」というものの処理に関してはかなり気を使っています。作中でも書きましたが、「すべてが必然」というフレーズは使うとかっこいいものの、現実的な話として犯罪がすべて必然によって成り立っているなどというケースは少ないです。どれだけ完璧な犯罪計画を実行に移そうとしても、そこにはどうしても偶然の要素が入り込んでしまうというのが私の持論です。しかし、だからと言ってすべてが偶然によって成り立っている犯罪というものは、現実ではありとしても小説として書くとなると読者的にはつまらなくなってしまう。ですから執筆に当たっては、この「必然」と「偶然」の割合にはかなり慎重になりますし、悩みどころでもあります(逆に言えば、すべて「必然」の犯罪計画というのは、だからこそ小説向きなのかもしれませんが……)。
 今回の場合、土壇場まで悩んだのが淀村の処遇でした。正直ここまで偶然にしてしまうのはやりすぎかとも悩んだのですが、最終的にはこういう形で妥協しています。これがよかったのかどうかは皆さんの判断次第ですが……。
 推理小説における、犯罪実行時の「偶然」の扱い。これは、推理小説を書いていく中で答えの出ない問題なのかもしれませんね。

 次回作はどうなるかわかりませんが、またご一読いただければ幸いです。それでは今回はこの辺で失礼します。
[一言]
 感想ってわけではないのです。
 火事の起きた日付が“20007年1月”となってますが、これは“2008年”ではないかと。
 瑞穂さんが高校に入学したのが“2007年4月”で、榊原氏と初めてあったのが入学式当日…、となると20007年1月”の時点では、彼女はまだ中学3年の受験生、ですよね。
 あと、シリーズ全般で大学生を“◯回生”と登場人物に言わせたり、記述なさっていますが、この言い方は関西独特で、東京・神奈川ではほとんど使わないかと思います。
 東大とか早稲田とか、西日本からも学生が集まる大学でサークルなどで局地的に(内輪の言葉として)使うくらいではないでしょうか…

 細かいところはともかく、大変面白く拝読致しました。
 ちょーっと古い気はしたのですが、“本格派”ならこれも有りかな、と思いました。
  • 投稿者: Jui(ユイ)
  • 2015年 10月11日 17時40分
 奥田です。このたびはご一読ありがとございます。

 そして、ミスのご指摘ありがとうございます。まさに仰る通りです……。多分、本文中ではちゃんと「2008年」になっているはずですが、大至急直しておきました。1月~3月が舞台だと年月管理が少し混乱する事があるんです……。

 あと、回生の話もごもっともです。一応「年生」と書くように普段から気を付けてはいるのですが、何せ自身の出身が関西方面の大学だったものでまだこの癖が抜けていないのです……。もう、作者のデフォルトと思って頂ければ幸いですかね。

 そんな感じです。それでは今後ともよろしくお願いします。
[一言]
今回も楽しく読ませていただきました。
まさか、こんな流れになるとは……思わず最後に「すっげー……」って、素で呟いてました。
いい意味で予想を裏切られて、気持ちいいです。
スーツを着て心配された彼女の下りも面白くて、ちょっと吹いてしまいました。
次回作も楽しみにお待ちしております!


  • 投稿者: 本屋文
  • 2015年 09月22日 20時01分
 奥田です。返信が遅れて申し訳ありません。そして、今回もご一読ありがとうございます。

 今回はとにかく「今までにないシチュエーションの推理小説」という部分を一つの目標にしていましたので、いい意味で予想を裏切って頂けたのであればこちらとしても嬉しいです。
 あと、スーツの下りは「女子高生がセーラー服のまま探偵の手助けをするというのはどうなのか?」という点を突き詰めて行ったらああいう形に自動的になってしまいました(笑)。まぁ、話の清涼剤として読んでもらえれば幸いです。

 そんな感じでしょうか。次回作以降もよろしくお願いします。
[良い点]
今回も楽しく読ませていただきました。毎回素晴らしい作品を読ませていただきありがとうございます。

良かった点としては読み進めやすいという点が一番じゃないでしょうか。重厚に張り巡らせされた伏線などはあまりありませんが、場面場面の絵が想像しやすく、犯人も予想してた人物で、奥田さんの作品の中では割合ライトなミステリー作品なのかなと思います。
過去の作品の中で、例えばイキノコリなどは物凄く好きな作品で面白いのですが、作品に引き込まれ一気に読了したのはいいものの、どっと疲れも押し寄せてきましたが、原田山遺跡事件や今回の事件はそれがなかったですね。
独特の場面設定も良かったと思います。臨場した先で消防士が殺害される。なかなかお目にかかれる設定ではないですし、気がついたらあっというまに読了してました。犯人の身勝手さ、卑怯さ、往生際の悪さなどがうまく心理描写できており、この点も良かったですね。またこういうお目にかかったことのない舞台設定でのミステリー作品が読めたらと思います。

[気になる点]
まあ比較的簡単に犯人が特定できたという点でしょうか。しかしこれに関しては奥田さんご自身も作品紹介で認めてらっしゃるように、ある程度確信犯的にそうしてるのかなと。難解な作品ばかりが必ずしも面白いわけではないと思いますし、あまり気にはならなかったです。
[一言]
最後に犯人ですが、あそこであの方を殺そうとしなければ(襲ったりしなければ)、「あの偶然」で臨場した時に誰も殺さずに済んだし、あの方とも展開次第では復縁出来た可能性もあったと思います。それがそうしてしまったことにより4人もの命を自らの意志で奪うことになってしまった。だけどそうしたりしなければ、そんな愚かな判断をしたりしなければ「あの偶然」により、違う幸せな未来があったのなかあとちょっと想像してしまいました。
色々考えさせられた作品でした。
  • 投稿者: 加武麗羅
  • 30歳~39歳
  • 2015年 09月21日 22時35分
 奥田です。ご一読ありがとうございます。

 今回の小説はおっしゃられているように「WHO」ではなく「WHY」に力を入れています。つまり、「犯人探し」の伏線をあえて捨てて、「なぜ」「どうやって」の方に伏線を特化させ、その代りそれでも読者が十分楽しめるだけの質のネタを投入した形です。
 私のポリシーとして「一つの推理小説を書くには必ずネタ(伏線やトリック)を複数放り込む」というものがあります。というのも、初期に一つのトリックだけで強引に小説を成立させようとしていた事があったのですが、やはり無理があったのかどうしてもまともな小説にならなかったからです(話自体も単調になるし、さらに言えばその一つのネタが読者にばれた時点で物語が崩壊してしまうため)。以降、一つの伏線や一つのトリックだけで推理小説を成立させるのにはやはり限界があると考え、一つの小説を書く際には複数のネタを惜しげなく叩きこみ、一つネタがばれた程度ではびくともしないような作りにしています(なので書くのに時間がかかり、比較的小作になってしまうのですが……)。
 イキノコリやディテクティブ・ロジックのような大長編の場合、読んでみればわかりますが放り込んでいるネタ(トリックや伏線)の数は大小合わせれば十や二十のレベルではありませんし、そのネタを一気に大暴露する解決編は恐ろしく重厚になります(だからこそあの長さになるし、複数の伏線が入り乱れるため読者も犯人や真相を推理しにくくなる)。一方、今回や原田山事件のように最初からある程度読みやすさを重視している物語の場合、叩き込んでいるネタの数はそこまで多くはありません。その辺りがこの小説を何となくライトに見えるようにしている要因ではないでしょうか?

 とはいえ、だからと言ってあくまで伏線の数を減らしているだけで伏線の質そのものを落としているつもりは全くありません。今回の小説、「WHY」の部分を楽しんで頂けたのであればこれ以上の幸せはありません。

 それでは今後ともよろしくお願いします。
[良い点]
・安定のクオリティで面白い。
商業クオリティの作品を連続して書ける点は凄いと思います。平均的なミステリプロ作品より面白いです。
なんでしょう、「予想される面白さ」を確実に提供してくださる作家さんです。
・斬新な設定
初めて見る事件のシチュエーションでした。
・読みやすさ
最後まで一気に読めました。

[一言]
投稿お疲れ様です。

今回はキャラ抑え目で、無難に手堅くまとめた感じでしょうか。

著者様の作品は、終盤に二転三転する展開がくる印象でしたので、「一度犯人を推理する→安心した所で、真犯人登場で事務所放火→それを見越した探偵が炎の中で推理ショウ」みたいになるのかなと、読みながら想像していました。

近年のミステリは、キャラ性が強く求められているかと思います。本作品のキャラも十分キャラ性はあるかと思いますので、もう少し事件に関係ない話があってもよかったのかなと思いました。探偵と助手周りのラブコメなど。しかし、無駄ないスリムな作風が著者様の特徴でもあるかと思いますので、難しい所ですが。

とにかく、面白かったです。

次回作も期待しております。
 奥田です。ご一読ありがとうございます。

 今回は火災現場の二十五分間で複雑に入り組む人間行動の調整に手いっぱいで、キャラの深い掘り下げまで手が回らなかったというのが現実です。たったの二十五分でしたが、作中で証言した消防士四人+淀村伊織の証言の間で矛盾を発生させないようにするのが恐ろしく大変で、それだけで全神経を使い果たしたという感じですかね……(今回の事件の場合、トリックの都合上五分の誤差も見逃せないので調整にはかなり気を使いました)。やっぱりこういう分単位で動く小説というのは書く側も大変という事でしょうか……。実は当初の予定では生存者の平良木、ハンク、谷松にも証言もさせて容疑者リストに入れるつもりだったのですが、それをやり始めると矛盾調整に時間がかかりすぎてしまうためあえなく断念。全員気絶中という展開になってしまいました。また、淀村伊織も最後の最後まで直接証言させるか迷っています(いったん連絡が取れなくなったのはその迷いの名残です)。まぁ、そのおかげで彼女はとんでもない強キャラになって帰ってくる事になったのですが……。

 シチュエーションに関しては活動報告で書いた通り、今までの推理小説でまずない状況を意図的に選択しています。というより、今までたくさんの推理小説を読んできた中で、消防士が事件の中核にかかわる物語がほとんどなかった事から「じゃあ」と書いてみた話だったりします(加藤元浩の「QED」シリーズに一話あったくらい?)。そういう意味で読者の盲点をついた形です。こう考えると消防士というのは推理小説で言う「見えない人」になるのかもしれませんね。

 そんな感じですかね。それでは次回作もよろしくお願いします。

 
[気になる点]
誤字報告です。

「自分はあの日、宿直の担当でした。第一報が入っていた土岐はすでに仮眠をしていたかと思います。通報が入ったのでいつも通りに出動し、午後十時十五分頃には現着していたはずです」というセリフですが、「第一報が入っていた時は〜」の間違いではないでしょうか?



第六章「対決」の古賀のセリフ。

「な、何を言い出すんですか! あれはどう考えても事故だった! それをいきなり殺人だなんて、そんな……蒲生隊長の最後に泥を塗るつもりですか」

「蒲生隊長の最期」と表記した方が良いと思いました。


「なおかつ火災以来二階以上は政争も含めて全面立ち入り禁止になっていますから、(以下略)」

清掃の間違いでしょうか?
[一言]
相変わらずのクオリティが高い本格ミステリで、楽しく読ませていただきました。

駄文ながら、レビューを書きたくなりました。
  • 投稿者: 山本正純
  • 18歳~22歳 男性
  • 2015年 09月21日 09時33分
奥田です。ご一読ありがとうございます。

「土岐」「政争」に関しては完全にこちらのミスですので即刻修正させて頂きました。ただ、「最後」に関しては個人的なポリシーとして常にこちらを使い続けているので、今回はあえて修正していません。国語的に明らかにおかしいなら修正も考慮に入れるつもりですが、この辺どうなんでしょうね……。とりあえず、私のこだわりです。

 あと、レビュー、ありがとうございました! 今後ともよろしくお願いします!
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