感想一覧

▽感想を書く
[一言]
大変面白かったのですが、ひとつだけ気になったこと。

何も知らない人物に対して何かを伝える手紙を書く際、何がなんでも全部書くのは正しい方法ではないと思います。特に前世という概念もなく、もしかしたら異世界という意味すら怪しいような世界の人に説明するのに、異世界からきたとか乙女ゲームがどうのといっても混乱させるだけだと思う。
こういう時は、こちらの世界の人にわかりやすい言葉に直したり、いっそ、神様に教わったの、でも時間がたてば忘れてしまうのと一行で終わらせるって手もあるわけですし。

何より、過去の主人公が本当に伝えたかったのはたったひとつ「未来は開けているのだから悲観しないで前に進んで」ってことですよね。
主題はそっちなのだから、転生がどうのゲームがどうのって、未来の自分を混乱させてしまうような情報は入れないほうがいいかと。
「何このへんなお手紙。意味わかんない」って出だしの数行で捨てられちゃったら悲しいですし。

どうしても乙女ゲームとか転生のネタを入れたいのなら、たとえば最後に、過去の主人公が手紙を書き終えて仕舞いこむシーンを書き終えて出すなり、そんな形で描く事もできると思われます。

うん。
読んでいてそんなことを思いました。

西風@狐坂様

 ご感想ありがとうございます。
ご指摘の通りです。まったくの同意見です。
 普通の手紙では考えられないことです。
 普通には書かないことが手紙に書かれているのは、作者側の事情、つまり読者への状況説明のためです。

 この手紙は、過去のアンジェリーから未来のアンジェリーに宛てた本人同士間の手紙です。また、過去のアンジェリーは、未来のシナリオを知っています。主題である、「未来は開けているのだから、どんな時でも前に進むって決めた by 過去のアンジェリー」というようなことだけ書けば、アンジェリーには、過去の自分が伝えたかったことは全てが伝わるのかなぁ、と私は思っています。

 他人に何かを伝えようとしている目的ではない手紙(自分自身への手紙)なので、余分な情報がそぎ落とされてしかるべきです。筆跡のくだりも本人がその文字を見れば、「自分が書いたという記憶は無いけれど、確かに自分が書いた物のようだ」ということは直感的に分かるし、いちいち、未来の自分に対して、如何に自分がこれを書いたかを説明するのは、変です。
 ご指摘された、前世とかが書かれているのも、読者への説明です。「あ〜、そういう状況の物語なのね」と読者に伝えるためなのが目的です。

「手紙を書きながらも、輪廻転生とか、仏教とか、そんな単語がこの世界にあるか不明です。意味が分からなかったら、読み飛ばしてください。」とか、「まぁ、百合、という言葉の意味が貴女には分からないと思いますので、特に心配はしておりませんが。」などの一文を入れて、「アンジェリーには伝えきれない前提で書いています」ということを示して、読者への説明分としての色合いを薄めた工夫をしたつもりでしたが、読者の方が違和感を持たれたのであれば、私の実力不足です。

『どうしても乙女ゲームとか転生のネタを入れたいのなら、たとえば最後に、過去の主人公が手紙を書き終えて仕舞いこむシーンを書き終えて出すなり、そんな形で描く事もできると思われます。』
>>
 実は、今回、「手紙」という形式のみで短編を書いてみたかったのです(文体練習の一貫)。
 ですがこれはかなり難しく、自然な手紙にするのは非常に困難でした。1人称や3人称小説にして、「手紙」は小説の一部分(見せ場や最高潮の部分)に持って来るなど、そんな構成が必要だったと実感しています(夏目漱石の「こころ」みたいな感じにするべきだった)。

「転生してここが乙女ゲームの世界で、自分が悪役令嬢だと知った主人公。しかし、前世の記憶が消えて行く。断罪イベントまで記憶が持ちそうにない。そこで、死亡エンドの回避のため、未来の自分自身に手紙を書くことにした」っていう設定は、無茶でした。申し訳ありません。

 最後に、読んでくださってありがとうございます。

池田
↑ページトップへ