感想一覧

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[良い点]
タイトルからハッピーエンドになるということは分かっていましたが、勝ちが決まった瞬間やヒーローインタビューでの河東のプロポーズに胸が熱くなって、一緒に貰い泣きしかけるほど、読んでいる自分まで嬉しくなる、とても温かい作品でした。当事者である河東やゆうきの視点から物語を描くパターンもおそらく考えられたと思いますが、高校時代のエピソードなども、ゆうきの話や河東のプロフィールとして知っている程度の、贔屓球団が同じ男友達の主人公の視点だったからこそ、読んでいる方も彼と同じように二人を応援できたと思います。
今後の活動を応援しております。
[良い点]
ヒロインが主人公に婚約者の件を明かした後、主人公が彼女の応援姿を見て『涙が出そうになった』という場面。
「当たり前だろ? 優勝が懸かってるんだ!」という一言でサラッと返していましたが、内心では色々と複雑な思いがあったことでしょう。あえてその心情描写はせず、読者の想像に任せているところは、小説としてよくできていると思いました。
[気になる点]
野球小説として、少し気になったところがあります。

まず、舞台が日本シリーズでありながら、投手の説明に『オープン戦の期間は一度も出場機会を貰えなかった』というかなり昔の話を持ってきていること。
これがシーズン中の戦いならば「オープン戦では」というのも理にかなっているのでしょうが、日本シリーズで今さらオープン戦の話をされても「ではシーズン中はどうだったのか」と思ってしまう。その点、ずっと気になりながら読む形になってしまいました。悪くいえば「気になって物語に集中できない」みたいな。
後々、後ろの愚痴っぽい会話で「シーズン中も良くなかった」というのは示唆されますが……。それまで私が「気になっていた」というのは、はたして作者様の狙い通りだったのでしょうか(一種のミステリー的要素みたいな)。私は「作者様の狙い通り」とは思えませんでしたし、もし「作者様の狙い通り」でないとしたら、ここまで引っ張るべきではない、と感じました。

また、『八番打者はバットを短めに持ち、長打の体勢に入る』という記述。
私自身は実際にスポーツとして野球をやっているわけではなく、テレビでプロ野球を観戦する程度の知識しかありません。それでも、非力な「当てにいく」タイプの選手がいつもバットを短く持ったり、あるいは、ホームランバッターがたまにグリップエンドを余らせて持ったので「お、バットを短く持ちましたね! 長打狙いではなく、確実にヒットを打とうというのですね!」とアナウンサーや解説が指摘したり、というのは何度も目にしたことがあります。
でも、これって、現在の考え方とは違うのでしょうか。あるいは逆に、前書きに「少々時代錯誤な感じがありますが」とあったように、もしかしたら昔「バットを短く持った方が長打狙い」という風潮の時期があったのでしょうか。


今はどうだか知りませんが、プロ野球観戦は、娯楽の少なかった時代から続いている、日本人の伝統的な娯楽の一つ。だから野球の知識は、一般人でも結構細かい部分まで「常識」になっており、迂闊なことを書くとツッコミをくらいやすいのではないか、と思います。

[一言]
小説としての完成度は物凄く高いと思うので、上記のような(野球知識的なことで)「気になる点」があるのは惜しい、と思いました。完成度の高さゆえに細かいアラが目立ってしまう感じです。
感想ありがとうございます
気になる点、自分で読み返してみました。それを踏まえて、以下の修正を行いました。

・「オープン戦」を「交流戦」に修正。また、前半戦、後半戦、クライマックスシリーズの様子を簡単に記載。

・8番打者の当たりを長打ではなく、相手のエラーに変更。それに伴い、その後の文脈を推敲。

ご指摘された点は仰る通りで、自分が野球にわかであることを露呈してしまっていました。2015年時点では野球の知識が全然無く、日本シリーズを観た感動からそのまま自分の感性で作品におこしていました。そのため、細かい部分で粗が出てしまったのだと思います。現在はすっかり野球漬けになっているので、ご指摘された点以外の部分も細かい修正を施しました。
この度は的確なアドバイス、ありがとうございました。私は今回の野球だけでなく、様々な分野でにわか知識のまま作品を執筆してしまう傾向にあるので、じっくりと調べてから作品作りに取り組んでいきたいと思っております。
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