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[一言]
※企画のレビューを降りたので削除したものをこちらに転記する。
申し訳ない。
昨年、例の[トリニティ]を描いた作者である。
短いからと侮ることなかれ。毒棘だらけの果実を剥くつもりの覚悟をして、
静謐に支配される部屋、深夜独り心して読まねばなるまい。
PDFで読まれることをお勧めする。実はそこにも几帳面な作者の計算が垣間見える。
3章立てだが、一貫すると言えばする、しないと言えばしない。独立して読みたければ読めばよい、別に
作者は気にもしないだろう。但し、3つ通して読んだ後の読了感は何とも言えぬとろりとしたもの。
この悪夢から醒めるには一度熟睡するしかなかろう。但し悪夢の中で夢を見ない保証はどこにも、ない。
レビューとしては以上である。以下は私の雑文だ。
草書、というものは不思議なものだ。あのへびがのたくった様な筆跡は、なまじっかな者には記せない。
真似して出来る代物でもない。ましてや、香典の表書きを何度も練習して書く私など及びもしない。
総じて達筆という。書は実に奥深い。何も日本人ばかりでない。アルファベットを使う民族、アラビア文字にも草書と同じものがある。
文字を記す行為は己を示す。文字には人が顕れる。草書はその顕著な例だ。
ところがどうだ、昨今、我々はキーボードに向かう。誤字は多いが乱筆も判読不能もありえない。
フォーマルかリクルートスーツか、そんなものを纏うのと同じだ。
面接官の前に並ぶ10名の受験者。
服装、態度は正に余所行き、あなたは面接官、さてその中で光るものを見つけなければなるまい。
こうした状況はネット小説でも同じである。リクルートスーツの群衆、その中で光るもの。
しかし、である。所詮文字は文字、言葉は言葉だ。
小説は美しく書けている、とか韻がいい、音がいい、だけではない。
正に内容が伴うか、つまりは本質が問われる。
この作品、書としては完璧である。世界観も申し分なく作者の手の内にある。
昨年、おどろおどろしく美麗な人形(セクサロイドと呼ぶべきか)の世界を完璧に描いて魅せた作者。
本作も美しくおぞましい。正にぶれていない。
2番目の踊り子にその遺伝子を認むことに異論はあるまい。もちろん猫ではない猫にもその血は流れる。
だが、3番目の街を飲み込んだ時、私の中に一瞬過ったあの、もの足りなさ。
腹八分に至らない欲求不満は何だろう?作者殿、お解り頂けるだろうか?
既に完成された達筆の作者。更に高みを見てみたい、という一読者の我儘、と笑止するか、
果てまた、挑戦状と受け取るか。それは作者にお任せしたい。
※企画のレビューを降りたので削除したものをこちらに転記する。
申し訳ない。
昨年、例の[トリニティ]を描いた作者である。
短いからと侮ることなかれ。毒棘だらけの果実を剥くつもりの覚悟をして、
静謐に支配される部屋、深夜独り心して読まねばなるまい。
PDFで読まれることをお勧めする。実はそこにも几帳面な作者の計算が垣間見える。
3章立てだが、一貫すると言えばする、しないと言えばしない。独立して読みたければ読めばよい、別に
作者は気にもしないだろう。但し、3つ通して読んだ後の読了感は何とも言えぬとろりとしたもの。
この悪夢から醒めるには一度熟睡するしかなかろう。但し悪夢の中で夢を見ない保証はどこにも、ない。
レビューとしては以上である。以下は私の雑文だ。
草書、というものは不思議なものだ。あのへびがのたくった様な筆跡は、なまじっかな者には記せない。
真似して出来る代物でもない。ましてや、香典の表書きを何度も練習して書く私など及びもしない。
総じて達筆という。書は実に奥深い。何も日本人ばかりでない。アルファベットを使う民族、アラビア文字にも草書と同じものがある。
文字を記す行為は己を示す。文字には人が顕れる。草書はその顕著な例だ。
ところがどうだ、昨今、我々はキーボードに向かう。誤字は多いが乱筆も判読不能もありえない。
フォーマルかリクルートスーツか、そんなものを纏うのと同じだ。
面接官の前に並ぶ10名の受験者。
服装、態度は正に余所行き、あなたは面接官、さてその中で光るものを見つけなければなるまい。
こうした状況はネット小説でも同じである。リクルートスーツの群衆、その中で光るもの。
しかし、である。所詮文字は文字、言葉は言葉だ。
小説は美しく書けている、とか韻がいい、音がいい、だけではない。
正に内容が伴うか、つまりは本質が問われる。
この作品、書としては完璧である。世界観も申し分なく作者の手の内にある。
昨年、おどろおどろしく美麗な人形(セクサロイドと呼ぶべきか)の世界を完璧に描いて魅せた作者。
本作も美しくおぞましい。正にぶれていない。
2番目の踊り子にその遺伝子を認むことに異論はあるまい。もちろん猫ではない猫にもその血は流れる。
だが、3番目の街を飲み込んだ時、私の中に一瞬過ったあの、もの足りなさ。
腹八分に至らない欲求不満は何だろう?作者殿、お解り頂けるだろうか?
既に完成された達筆の作者。更に高みを見てみたい、という一読者の我儘、と笑止するか、
果てまた、挑戦状と受け取るか。それは作者にお任せしたい。
- 投稿者: 四十万
- 2009年 09月17日 07時22分
[一言]
ども、近藤です。
三番目のお話の「地下二階を増設いたしました」というところが大好きです。そしてまた、SF的表現のスタンダードではないかと。
SFは未来ばかりではなく、現実の、進行している時間に対しても大変有効です。現実から遊離するということは、それだけ客観的になれるものであり、従ってこの作品のように社会を批評する物語としても機能し得る。
大変参考になりました。ではまた。
ども、近藤です。
三番目のお話の「地下二階を増設いたしました」というところが大好きです。そしてまた、SF的表現のスタンダードではないかと。
SFは未来ばかりではなく、現実の、進行している時間に対しても大変有効です。現実から遊離するということは、それだけ客観的になれるものであり、従ってこの作品のように社会を批評する物語としても機能し得る。
大変参考になりました。ではまた。
- 投稿者: 退会済み
- 30歳~39歳 男性
- 2009年 09月09日 22時12分
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