感想一覧

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[一言]
拝読させていただきました。
飲食店などで忙しなく働き立ち回る給仕さんたちを見ていて、たいへん気の毒に感じていましたが、作品を読み進めるうちに同じような気持ちを感じていました。そういった感情移入や同情をするのも、自分が接客業をして、似たような目に遭っていたからだとは思いますが、ひとまず自分のことはどうでもよい。主人公の彼にとっては店が全てであり、そこを出て自由を得たことは、なにひとつ幸せに繋がらない、という結末に強く悲しみを感じます。その世界では、まず人間としてではなく、店員としてしか生きられない、存在できない。そして働く以上は、常に増え続け溢れ続ける何かを、たったコップ一杯で受け止め続けなくてはいけないという、そういったシステムに怒りを感じもします。主人公が地下のバーで出会う、憂鬱な彼女は、やはり主人公自身の良心のようなものだったのでは、とも思います。この女性に逆らうことができないのは当然ではないでしょうか。そうでなければ犯罪者は人知れず苦悩したりしない。しかしその彼女についていった結果、世界の全てが疑わしくなるのは、非常に辛いことです。
読み終わり、どういうわけか映画「未来世紀ブラジル」のテーマ曲が頭に流れてきました。
ひとり合点でおしつけがましい感想を書いてしまいました。お気を害されていなければ幸いです。
ありがとうございました。
読んでいただき、ありがとうございました。このお話は一年くらい前に出来上がったものなんですが、当時の自分の気持ちが書いていただいた感想によって思い出されて、とても新鮮な気分でした。おそらく技巧的な部分にかなり難がある作品でしょうし、実際それは自分で読み返すたびに痛切に感じることでもあります。そんな中で物語の構造を評価していただけたことは私にとって幸せです。ありがとうございます。
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