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[良い点]
死んでしまった少女と、幽霊を視る事のできる青年。
ふたりが惹かれあっていくのがわかって、どうなるのだろうとページをめくりました。
相手を死に導いて一緒にいたいと願う女も、どうにもならないくらいに強い気持ちがあったんだろうなと思います。
主人公の最後の選択、寂しくて切ないけれど相手の幸せを願う優しさに溢れていて、ほんのり心があたたかくなりました。
死んでしまった少女と、幽霊を視る事のできる青年。
ふたりが惹かれあっていくのがわかって、どうなるのだろうとページをめくりました。
相手を死に導いて一緒にいたいと願う女も、どうにもならないくらいに強い気持ちがあったんだろうなと思います。
主人公の最後の選択、寂しくて切ないけれど相手の幸せを願う優しさに溢れていて、ほんのり心があたたかくなりました。
お読みいただき、ありがとうございます。
最後の選択、本人もジレンマを乗り越えてやっとたどり着いたもので、寂しくて、優しいもの。
自分を犠牲にしても、相手の幸せを願うというのは、尊いですが、同時に喪失感も溢れるものでした。
最後の選択、本人もジレンマを乗り越えてやっとたどり着いたもので、寂しくて、優しいもの。
自分を犠牲にしても、相手の幸せを願うというのは、尊いですが、同時に喪失感も溢れるものでした。
- 津蔵坂あけび
- 2018年 03月23日 21時25分
[良い点]
とても好みの作品でした。
明晰夢を見た記憶が蘇る心地でした、以前ボクは見ることが多かったのですが、最近はほとんどその機会に恵まれません、時期的なものがあるのかな、なんて考えました。
序盤は特にその様に書かれてあって、その辺りのメタな感覚が面白かったです。中盤あたりから死後の世界という言及も多くなりましたが、黒い画布に様々な色彩や情景が宿るように書かれていく流れで、官能-匂いが鮮烈に花開いたシークエンスは取り分け印象的でした。
これは、この設定を思いついたあけびさん勝ちみたいな所であって、感覚を頼りにしている世界へと読者はすでに誘われているわけですので、より伝わる部分なんですね笑 そういう意味合いでも上手い物語だったと思います。
この作品はとても並みのジャンルではない個性が立っているのでそちらへの言及に行ってしまいましたが、ボクは大抵内容にはほとんど触れず文体に関して述べていく感じなんですが、あけびさんの、作品自体による傾向の差はあるのでしょうけれど、文体に満足しました。
文章を追っていくだけである快感がもたたされていく感覚がありました。過剰な詰め込まれた表現の連続というわけではありませんが、シンプルな文体の駆使よりは、むしろ『中濃』な濃さがありました、平均値よりは濃いめじゃないかと考えます。文体含めてとても好きでした。
ボクは自分が書くもののほとんどは幻想だと自任していて、読み物も幻想が好きなのですが、それゆえ無条件に好きな物語を辿っていく快感を受けていったのですが、構成として結末に、現実世界へと案内役であったはずの「彼」を帰してしまうという裏切り(ミスリードとも言えると思いますが)があって、それにより濃いばかりの幻想をむしろ覚めさせて、それが故に「幻想」をくっきりと立ち上げて作ってしまった、という幻想への切り口がなるほど、こういう幻想の生み方もあったんだなと思い面白く、感心できた部分でした。よく出来た結末でした。
[一言]
あけびさんの幻想文学のエッセイが気になり、それを読んだ上でこの作品にたどり着いたという流れでした、後日『琥珀』を読ませていただくと思います。
一点お訊きしたいことがあるので最後に質問です。
10歳の少女が亡くなったおばあちゃんから死後の世界へとスライドしていく冒頭は素晴らしかったですが、おばあちゃんが亡くなった時期と少女の亡くなった時期には大きなインターバルが無いように思われたのですが、そこが読後、疑問に思ってしまいました。描かれていない部分にはなりますが、もし可能であればその背景をお聞きしたいと思いまして。よければで構いませんので笑
とても好みの作品でした。
明晰夢を見た記憶が蘇る心地でした、以前ボクは見ることが多かったのですが、最近はほとんどその機会に恵まれません、時期的なものがあるのかな、なんて考えました。
序盤は特にその様に書かれてあって、その辺りのメタな感覚が面白かったです。中盤あたりから死後の世界という言及も多くなりましたが、黒い画布に様々な色彩や情景が宿るように書かれていく流れで、官能-匂いが鮮烈に花開いたシークエンスは取り分け印象的でした。
これは、この設定を思いついたあけびさん勝ちみたいな所であって、感覚を頼りにしている世界へと読者はすでに誘われているわけですので、より伝わる部分なんですね笑 そういう意味合いでも上手い物語だったと思います。
この作品はとても並みのジャンルではない個性が立っているのでそちらへの言及に行ってしまいましたが、ボクは大抵内容にはほとんど触れず文体に関して述べていく感じなんですが、あけびさんの、作品自体による傾向の差はあるのでしょうけれど、文体に満足しました。
文章を追っていくだけである快感がもたたされていく感覚がありました。過剰な詰め込まれた表現の連続というわけではありませんが、シンプルな文体の駆使よりは、むしろ『中濃』な濃さがありました、平均値よりは濃いめじゃないかと考えます。文体含めてとても好きでした。
ボクは自分が書くもののほとんどは幻想だと自任していて、読み物も幻想が好きなのですが、それゆえ無条件に好きな物語を辿っていく快感を受けていったのですが、構成として結末に、現実世界へと案内役であったはずの「彼」を帰してしまうという裏切り(ミスリードとも言えると思いますが)があって、それにより濃いばかりの幻想をむしろ覚めさせて、それが故に「幻想」をくっきりと立ち上げて作ってしまった、という幻想への切り口がなるほど、こういう幻想の生み方もあったんだなと思い面白く、感心できた部分でした。よく出来た結末でした。
[一言]
あけびさんの幻想文学のエッセイが気になり、それを読んだ上でこの作品にたどり着いたという流れでした、後日『琥珀』を読ませていただくと思います。
一点お訊きしたいことがあるので最後に質問です。
10歳の少女が亡くなったおばあちゃんから死後の世界へとスライドしていく冒頭は素晴らしかったですが、おばあちゃんが亡くなった時期と少女の亡くなった時期には大きなインターバルが無いように思われたのですが、そこが読後、疑問に思ってしまいました。描かれていない部分にはなりますが、もし可能であればその背景をお聞きしたいと思いまして。よければで構いませんので笑
お読みいただきありがとうございます。
この作品が嗅ぎ付けられてしまうとは……。
琥珀 は、ちょっと幻想は薄いかもしれません。
月浦さんとぼく。 のほうが幻想は濃いですね。
文体は軽すぎず濃すぎず、バランスの取れたものを意識しております。
一応インターバルを示すものとしては、大きくなったねと言う言葉があるのですが。おばあちゃんの生前のお話も、昔のこととして描かれていますし。
この作品が嗅ぎ付けられてしまうとは……。
琥珀 は、ちょっと幻想は薄いかもしれません。
月浦さんとぼく。 のほうが幻想は濃いですね。
文体は軽すぎず濃すぎず、バランスの取れたものを意識しております。
一応インターバルを示すものとしては、大きくなったねと言う言葉があるのですが。おばあちゃんの生前のお話も、昔のこととして描かれていますし。
- 津蔵坂あけび
- 2018年 04月28日 13時58分
[良い点]
『琥珀』も、良作でしたが、こちらもまた良い作品ですね。遣る瀬無いような切ないような。心に雨が降るような。そんな余韻を残す物語です。特に主人公が「所詮」という言葉を何度も繰り返すところが印象的でした。生と死の、分かたれた間に流れる川(海?)を彷彿とさせて。科学的な話がさりげなく取り入れられるのもあけびさんの作品の持ち味で、匂いの話は興味深かったです。相手にとって良いことをする。望むことをする。何て残酷で優しい行為でしょうか。克己心をも試される場面だなとラストを拝読しながら思いました。そして主人公は真実を告げる…。雨音と、潮騒の音が聴こえるような気がしました。
『琥珀』も、良作でしたが、こちらもまた良い作品ですね。遣る瀬無いような切ないような。心に雨が降るような。そんな余韻を残す物語です。特に主人公が「所詮」という言葉を何度も繰り返すところが印象的でした。生と死の、分かたれた間に流れる川(海?)を彷彿とさせて。科学的な話がさりげなく取り入れられるのもあけびさんの作品の持ち味で、匂いの話は興味深かったです。相手にとって良いことをする。望むことをする。何て残酷で優しい行為でしょうか。克己心をも試される場面だなとラストを拝読しながら思いました。そして主人公は真実を告げる…。雨音と、潮騒の音が聴こえるような気がしました。
匂いの関連は、書きながら調べたので、実は専門では全然ありません。
感想並びにファンアートまで! 本当にありがとうございます!!
このころから、作品を通してのメッセージに凝るようになりました。
感想並びにファンアートまで! 本当にありがとうございます!!
このころから、作品を通してのメッセージに凝るようになりました。
- 津蔵坂あけび
- 2018年 02月17日 13時40分
[一言]
幽霊になった少女の恋愛小説ですね。
爽やかで綺麗な小説でした。
ただこれも、時間経過が物足りませんでした。
もう少し長く、数日の時をかけて、ゆっくりと恋になっていく様をみたかったです。
物語の発想はとても良く、情景等とても綺麗に描かれていました。
楽しかったです。
幽霊になった少女の恋愛小説ですね。
爽やかで綺麗な小説でした。
ただこれも、時間経過が物足りませんでした。
もう少し長く、数日の時をかけて、ゆっくりと恋になっていく様をみたかったです。
物語の発想はとても良く、情景等とても綺麗に描かれていました。
楽しかったです。
コメントありがとうございます。
この話も全体としては短めですが、このころはこれでも自分の中では長い方でした。恋愛小説を書き始めのものでしたので、少し展開が早すぎたかもしれません。
以前ツイッターでほのめかしていたんですが。この小説は。結構な大仕掛けがなされています。主人公が幽霊であることはそれはそうなのですが、この小説には人称代名詞がひとつもありません。これは、実は、この作品に登場する登場人物は、「存在しないのかもしれない」というニュアンスを込めています。
それぞれの登場人物が象徴として描かれています。例えば、
おばあちゃん→主人公が求めるべき答え。主人公はその意味を、心のどこかでは気付いているが、つかみきれていない。でも、つかみきれていないからこそ、それを求めたい。
彼→主人公が現世で知ることがなかった、恋への未練の象徴。自分の異性に対する憧憬の塊。おばあちゃんからの助言を受けて、主人公は自分が他者に対して何ができるかということを真剣に考えるようになる。一方、彼を手に入れたいという本能的欲求が、後述の彼女の存在を呼び起こさせる。
彼女→主人公が彼に対して、どこかで感じている引け目が裏返しになり、彼を手に入れたいという本能的欲求のままに行動する存在。主人公は、恐怖と嫌悪感を彼女に感じながらも、どこかで憧れている。彼女が美人に見えているのはその心の現れ。
抜け殻→主人公は最初自身の屍を他人扱いする描写がある。これは自分の死を分かっていながら、受け入れられないのと同時に、恋を知ることもなく終わってしまった自分の命へのいら立ちのようなものも混じっている。その裏返しの姿が、背伸びをした「私」の姿。思い通りの姿になれた主人公は、恋(彼)を知り、自分の中のエゴ(彼女)に怯えながらも、正しい答え(おばあちゃんの言葉の本当の意味)を導き出す。そして最後には、自分の死を受け入れて、もとのかばねと同じ姿に戻ったところで幕引き。という構成。
ここまで踏まえて、登場人物は実は存在しなかったかもしれないと考えると、この物語自身が、主人公の死後の幻想であったと解釈ができます。彼女自身が、成長し、自分の死を受け入れるための物語というのが、この物語の一つの解釈として設けてあります。
読了ありがとうございました。
この話も全体としては短めですが、このころはこれでも自分の中では長い方でした。恋愛小説を書き始めのものでしたので、少し展開が早すぎたかもしれません。
以前ツイッターでほのめかしていたんですが。この小説は。結構な大仕掛けがなされています。主人公が幽霊であることはそれはそうなのですが、この小説には人称代名詞がひとつもありません。これは、実は、この作品に登場する登場人物は、「存在しないのかもしれない」というニュアンスを込めています。
それぞれの登場人物が象徴として描かれています。例えば、
おばあちゃん→主人公が求めるべき答え。主人公はその意味を、心のどこかでは気付いているが、つかみきれていない。でも、つかみきれていないからこそ、それを求めたい。
彼→主人公が現世で知ることがなかった、恋への未練の象徴。自分の異性に対する憧憬の塊。おばあちゃんからの助言を受けて、主人公は自分が他者に対して何ができるかということを真剣に考えるようになる。一方、彼を手に入れたいという本能的欲求が、後述の彼女の存在を呼び起こさせる。
彼女→主人公が彼に対して、どこかで感じている引け目が裏返しになり、彼を手に入れたいという本能的欲求のままに行動する存在。主人公は、恐怖と嫌悪感を彼女に感じながらも、どこかで憧れている。彼女が美人に見えているのはその心の現れ。
抜け殻→主人公は最初自身の屍を他人扱いする描写がある。これは自分の死を分かっていながら、受け入れられないのと同時に、恋を知ることもなく終わってしまった自分の命へのいら立ちのようなものも混じっている。その裏返しの姿が、背伸びをした「私」の姿。思い通りの姿になれた主人公は、恋(彼)を知り、自分の中のエゴ(彼女)に怯えながらも、正しい答え(おばあちゃんの言葉の本当の意味)を導き出す。そして最後には、自分の死を受け入れて、もとのかばねと同じ姿に戻ったところで幕引き。という構成。
ここまで踏まえて、登場人物は実は存在しなかったかもしれないと考えると、この物語自身が、主人公の死後の幻想であったと解釈ができます。彼女自身が、成長し、自分の死を受け入れるための物語というのが、この物語の一つの解釈として設けてあります。
読了ありがとうございました。
- 津蔵坂あけび
- 2016年 05月08日 16時27分
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