感想一覧

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[良い点]
細部まで磨きぬかれた大変に美しい文章。
読者を惹きつけて離さない語り口。
[一言]
このような良質な文芸を無料で読ませてもらえるなんて、感謝しかありません。ありがとうございました。
識島さんにしか書けない世界に酔いしれました。
次回作にも期待しています。

[良い点]
告解部屋を訪れた、誰とも知れぬ男性が語る懺悔ではないという、過去の出来事。
在りし日の〈丘の上の教会〉とその裏庭。そして、小屋。
とても限られた範囲内で、おそろしく緻密な美文によって織り上げられた世界ーーまさに箱庭の物語でした。

同時に、神の箱庭に生きる者としての純粋さを求められる宗教観と申しますか。最初に罪ありき、の贖いと赦しの教え(キリスト教のイメージ)が持つ厳しさと美しさが、うつろう季節の多彩な描写と幾重にも重なり、読み終えたあとも頭の芯がくらくらするほどです。
なるほど。確かにこれは没頭しますね……

(あ、すみません。レビューから飛んで参りました)

エピローグの前。
繊細に築き上げられたかりそめの静けさが、要所に散りばめられていた予兆のままに、突き崩されたあの場面。それまでユーリイと一定の距離を保つことでしか司祭としての自分を擁護できなかったアルセンが、彼を赦した瞬間、……あぁ、と目を瞑りました。
血に染まったユーリイの慟哭は、それまでの人形めいた〈異形〉としてではなく、もっとも共感できる部分でした。生き物としての。

決して諦めることはなかった少女へも。心が残りました。

何でしょう……読ませていただいて、本当に良かった。その一言に尽きてしまいます。
[一言]
実はあの頁の最後で、一筋泣いてしまったんです。(超涙もろいのです。申し訳ない……)

読みやすさが重視されるWeb小説。
しかし、稀にこちらの『天の火を浴びよ』のように、心底惹き込まれて読み終えたあともなかなか戻って来れない。そんな作品があります。

すばらしかったです。胸に残るお話をありがとうございました!

  • 投稿者: 汐の音
  • 2019年 10月29日 14時48分
[一言]
 このところ、PCとにらめっこする日が続いて目が疲れやすく、長時間お話を読むのが辛いと感じるようになっていました。そのため、本作に目が留まった際も「何日かかけてじっくり読もうかな」と思っていたのですが、いざ読み出してみると物語の世界にぐいぐい引き込まれ、一気に読み終えてしまいました。続きが気になりすぎて、季節が移ろうにつれて変わりゆく情景や、アルセン神父の信仰と人情、ユーリイへの愛情と聖職者としての罪悪感に揺れる心境の描写を走り読みしてしまい、もったいないことをしたと悔やんでおります。ぜひもう一度、今度はじっくり時間をかけて読み、美しい情景や心境の描写を味わおうと思います。

 物語の序盤に、異形が人を襲う場面や、アルセン神父が異形と対峙(あるいは対決)するシーンを加えると、異形がいかにおぞましい存在か、また神父が時にどのような仕事をしているのか、読者によりはっきり伝わると思うのですが、いかがでしょうか。それらは作中では地の文で「説明」されてはいますが、ユーリイ以外の異形が姿を現したり、神父がお仕事道具の銀の短剣を使用したりする「描写」がないため、読者に伝わりにくくなっているようにも感じます。本作は、背筋が凍るようなホラーや、血湧き肉踊るバトルものとして書かれたものではないと思いますので、的外れな指摘かもしれませんが、一読者の意見として、今後の執筆の参考としていただければ幸いです。

 若者向けのライトノベルばかり読んでいた身としては、アルセン神父とユーリイの間で、もう少し会話があってもいいのでは……とも思いました。特に、心の中で思っていることが地の文で描写されるアルセン神父と対照的に、ユーリイは胸の内で考えていることの直接的な描写がないため、何を考えているのかわかりづらく、その分もう少しアルセン神父と言葉を交わす場面があってもいいのでは、と思いました。ただ、胸中がわかりづらいことで、人間であるアルセン神父と、人ではない「異形」である彼との対比が際立ち、「いい子みたいだけど心の中に『怪物』が潜んでいる。人間として生きようと懸命に努力しているようだけど、この先どうなるのかわからない」という彼の危うさ、作中に時折垂れ込める不安な雰囲気が読者に強く伝わるようになっているのかな、とも思いました。本作が「ファンタジー」ではなく「純文学」とされている理由が、わかるような気がします。

 はじめまして、識島果様。諸葛亮と申します。『天の火を浴びよ』、拝読させていただきました。面白かったです。読者を引き込む、強い力を持ったお話だと思います。先に、一読者として「こうしてみてはいかがでしょうか?」という提案を一つ二つ書かせていただきましたが、「余計なことを書いてしまったかも。やっぱりこのお話は、今のままがベスト!」とも思っております。識島様の他の作品も、時間のありますときにぜひ、読ませていただきたく存じます。

 それでは、失礼いたします。
 どうか執筆、がんばってください!
[一言]
Twitterでお見かけして、初めて拝読させて頂きました。
言葉を失う素敵な作品でした。
季節の移ろいを、少年と神父の心の移ろいを、実に瑞々しく鮮やかに、それでいて繊細に丁寧に描写されていて、気付けば箱庭の舞台に引き込まれていました。
若い神父の、神父故の聖心の呵責と、一人の人間としての半ば未熟な親心に板挟みされる様に、こちらも心を潰すような思いで読み耽りました。
読了後、暫し「彼が協会を再び訪れた心情」を考えずにはいられませんでした。
余韻に浸りながら、気付けば感想を書かせて頂いております…。
他の作品も、是非拝読させて頂きたいと思います。
素晴らしい作品を有難うございます。
  • 投稿者: 七科 春
  • 2017年 01月05日 00時15分
七科春さん、ご感想ありがとうございます!
Twitterからいらしてくださったのですね(Twitterをやっていてよかった!)。
こうして拙作をご高閲いただいたばかりでなくあたたかいご感想まで戴いて、感謝の念に堪えません。
今読み返すと、もっとこうすればよかっただとか、ああすればよかっただとか反省のある作品ではありますが、確かに自分の書きたかったものを書いたという感じのする作品でもあります。
読後に少しでもなにか(なにか余韻のようなものを)お心に残せたのであれば幸いです。
嬉しいご感想、たいへん励みになりました。
戴いたお言葉を糧にして、今後も好きなものを精一杯書いていけたらと思っています。本当にありがとうございました。
[良い点]
鮮やかな情景が脳裏に浮かぶ、センスの良い舞台設定
[一言]
作品を通して、圧倒的な美と信仰と、鮮やかな四季が詰め込まれた箱庭……という耽美な世界観を楽しみました。しだいに成長していくユーリィの心、そして揺れ動くアルセンの心の描写を、四季によって移り替わる美しい景色がいっそう印象的なものにしていると感じます。
罪と許し、というテーマが興味深く、すばらしい読後感でした。
素敵な作品をどうもありがとうございました。

  • 投稿者: 実里晶
  • 2016年 08月29日 02時01分
実里晶さん、ご感想をありがとうございます。
気づくのに遅れてしまって申し訳ありません……!
カクヨムから此方のほうにまでいらしていただいて、心からありがたく嬉しい思いです。
この話はとにかく「区切られたうつくしい世界」を書きたくて書き始めた話ですので、そう言っていただけてとても安堵しています。宗教の絡む話で、読みにくいものになってしまったなと思ってもいましたので……!
やはり未熟さの目立つ作品ではありますが、楽しんで書けた話です。実里さんにも少しでも楽しんでいただけたのであれば、本当に光栄なことで、さいわいです。
拙いなりにこれからも精進してまいります。貴重なお時間を割いて読んでくださって、そして素敵な感想までくださって、本当にありがとうございました!
[一言]
『空が異様だった』この言葉に物語り全般の不安が凝縮されているようでした。ユーリイの、定められている悲劇に胸が痛みます。
「ぼくははじめからいなかった」なんとも悲しいこどもの言葉です。

「あなたの罪を赦します。安心して行きなさい」そう言った神父の真意は何であったのか。言われた男は誰であったのか。最後まで考えさせられる物語りでした。素晴らしい作品をありがとうございます。

 余りに素晴らしく、感動のあまりレビューを書かせていただきました。不都合な点がございましたら削除致しますので、その際はご連絡ください。
カラスウリさん、ご感想をありがとうございます!
気づくのが遅れてしまい、申し訳ございません。
貴重なお時間を割いてお読みいただいて、こんなに素晴らしいご感想をいただいて、なんとレビューまで書いていただいて……感謝の申し上げようもありません。
この話は、私の中で未だ消化不良の面もあり、不安も後悔も大きい話でした。勝手な解釈に満ちていますし、気分が晴れるような・浄化されるような話でもありませんし、「話の筋のおもしろさ」よりも場面場面の絵画的なうつくしさを優先した話でもあります。このような荒削りな話でも、それでも何かカラスウリさんのお心に残せたのであれば、物書き冥利につきます!
「蜉蝣の家」にも以前温かいご感想を戴きましたが、こうして感想を戴くと、本当に「書いてよかった」と救われたような気分になります。戴いたお言葉を励みに、これからも書き続けてまいります。ありがとうございました。
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