感想一覧

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[一言]
今年も素敵な作品をありがとうございました。
早速近所の開かずの間を片っ端から開けてこようと思います。

夢を通じて住人をコントロールするものの正体は、一体何だったのでしょうか。
住人たちの抱いた感情、発した行動は果たして、すべて202号室の手引だったのでしょうか。
含みを残す終わり方による、いい意味でスッキリとしない、嫌な読後感が非常に好みでした。

また、夢とうつつとの境目が曖昧ではっきりとしない描写についても、さすがの文章技巧と舌を巻くばかりです。

203号室の住人の無事をお祈りしつつ、次作も楽しみにしております。
  • 投稿者: 退会済み
  • 2016年 08月20日 15時10分
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 貴重なご感想並びに嬉しいお言葉の数々、ありがとうございます、ふしの先生。
早速近所の空き部屋を、手製の陰陽札で片っ端から封印してゆこうと思います。

 夢とは身近にある現象なのに、神秘的で扱いやすい題材ですよね。よく使うあいまいな表現を重ねてゆくと、読者様によって感じ方や考え方が変わるようで、それが面白くてついついこうした構成を多用してしまいます。怪異の根について、詳しく語られていないのは怪談らしさを引き立てる演出です、ということにしておいて下さいませ。決して何も考えていなかった、なんとなくこうなった、などではありません、はい。

 文章の美しさや技巧の巧みさに関しては先生の爪の垢でも飲ませて頂きたいくらいですので、滅相もございません。しかしながらこうしたお言葉を頂ければ喜ばずにはいられません。今回もありがとうございました。
  • 黒漆
  • 2016年 08月27日 21時47分
[一言]
 拝読しました。
 目眩のように、熱病の夢のように、万華鏡のように、くるくると入れ替わる視点。
 凡百が書けば支離滅裂にしかならないようなストーリーを破綻なく描き、更に読者を引き付けて結末まで読ませ続けるその力は、まさに作者の力量を思い知らせます。

 とりわけ、いつまでも死んだ時そのままの死体、というのが不気味でした。
 家族ごっとの人形として囚われてしまったからこその事なのかもしれませんが、露見もせず、消失もせず罪の形としてそこに有り続けるものは、住人たちにとって罪の意識のように重い楔となり、それ故に連帯を結ぶ鎖となっているように感じます。

 そして末尾の「妹が欲しい」の一言。
 新しくやってきた家族の未来を思って、そしてタイトルに目を戻して、肌がぞわりと泡立つ思いです。まさに怪談と呼ぶに相応しい作でした。
ありがとうございます、目を疑うほどに過分で勿体ないお言葉を頂戴しまして、恐縮しております鵜狩先生。

 たまには救いのある物語も書いてみたくなるのですが、ホラーを書くとなるとどうしても救いのない結末に行き着いてしまう、これが全身までホラーに漬かってしまった者の行き着く末路なのです、書き手にも物語にも救いがない。冗談はさておき、流石は先生、分かり難い稚作を読んで頂き、意図していた結末を読み解いて頂けた事、大変うれしく思っております。

 現実的に見て、遺体が腐り始めれば簡単に犯行が露呈しかねないので、いっそのこと、腐らなければばれないのではないか、という流れでこうした事になっております。呪い、それは万能な魔法の言葉。ああ、すみません、暑さで少々おかしくなっております。

 いろいろと反省ばかりの本作ではありますが、これ以上ないほどのお言葉、ありがとうございました。そして稚作が少しでも暑さを和らげる要因となれたのれあれば、これ以上書き手として嬉しいことはありません。
  • 黒漆
  • 2016年 08月12日 15時27分
[良い点]
構成がお見事です。
開幕から狂気を匂わせつつ、それが実は主人公特有のものではなく(彼女も既に巻き込まれていたのだけれど)、狂っていたのは浦野ハイツの住人達、浦野ハイツそのものだった…という最も救いのない結末。
これぞホラーですね。浦野ハイツの設定を活かしきった良作でございました。御馳走様です(´∀`*)
[一言]
拝読致しました!
モノローグからエンディングまで、一貫して不気味で不穏。主人公の闇が話の鍵を握るのかと読者をワクワクさせつつ、終盤でのどんでん返しに持っていく技量。さすが、驚かされました。誰も彼も、囚われてしまっていたのですね。読者も例外ではなく…。
ラスト、無邪気な子供の要求が、衝撃的です。
家族が「全員」揃ったら、いったい何が起こるのでしょう? この恐怖は始まりに過ぎないのかもしれません。
  • 投稿者: 雪麻呂
  • 2016年 08月08日 12時55分
 いつも嬉しいお言葉ばかり頂いてしまい、ありがとうございます雪麻呂先生。今回の稚作は設定を突っ込みすぎて生かしきれているのかどうか、自分でもよく分かっていなかったため、こうした言葉を頂けた事が大変うれしいです。
 こうして構文力をお持ちになられた執筆家様方に保証を頂けると、自分には過ぎたお言葉とは思いつつも、多少は成長し文作力が身についているのかなと安心を頂けます。
 王道のホラー、全くと言って救いのない話ですが、お楽しみいただけたら嬉しく思っております。ちなみに家族が全員そろった暁には、きっと逆様になり、パーティーでも開かれるのではないでしょうか、と言いつつその辺は何も考えておりませんでした(笑
 今作も非常にありがたく、嬉しいお言葉、ありがとうございました。
  • 黒漆
  • 2016年 08月08日 13時14分
[一言]
いつもながらクオリティの高い作品に唸らされます。

まず構成に感嘆いたしました。どこにでもいる主婦の日常に、殺人者のモノローグが挿入される。これは彼女の過去なのか、未来なのか、妄想なのか、あるいは第三者の体験なのか……と惑わされました。まさしく作者様の思うツボ(笑)。
最後に真相が明らかになった時、パズルのピースがはまるように大きな絵が見えてきます。ギミックに驚かされると同時に、平凡な賃貸アパートの秘密に身震いがしました。

語り手の日常や心情の描写がリアルなので、その奥底に蓄積されていく苛立ちや憎悪に説得力があります。彼女の溜めこんだ負の感情は、誰しも覚えのあるものです。普通なら誰かに愚痴ったりSNSに書き込んだりして解消できる程度の罪のないものなのに、取り返しのつかない行為にまで及んだのはやはり裏野ハイツの呪いなのでしょうか……。火蓋を切った老婆の情念が他人を呼び寄せたのか、あるいは最初からそういう「場」だったのか、いずれにせよ不幸な巡り合わせとしか言いようがありません。
最後の一文がたいへんに恐ろしく、これからも繋がってゆくであろう狂気を予想させますね。

完成度が高く内容の濃い短編ホラーでした。面白かったです!
  • 投稿者: 橘 塔子
  • 女性
  • 2016年 08月07日 22時15分
 いつもありがたいお言葉、ありがとうございます橘先生。御作を拝読しまして反省しきりの私ごときに、もったいないご評価を頂き恐縮しきりです。
 実を申しますと「家族の死合わせ」というのが当初考えていたタイトルでして、これだと展開が簡単によまれてしまうのでは、という愚慮からひらがなに変えたのですが、なんだかかえって訳が分からなくなってしまって、反省しています。
 放置児である首を絞め殺された子供が過去に存在していて、彼が寂しさから家族を集めている、というのが裏設定なのですが、文章足らずでこの体たらく、いやあ反省しきりです。
 頂けましたお言葉の通り、狙いはラストでパズルのピースが組み合わされる瞬間にありました。こうして頂きたいお言葉を頂けたことが何よりも嬉しく、これ以上の喜びはありません。この度は力足らずのまどろっこしい文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
  • 黒漆
  • 2016年 08月08日 12時58分
[良い点]
心が凍りつくような物語です。複雑な構造ながら、最後にすべてが符合する。符合すると、恐ろしいだけではなくやりきれなくなる。アパートの住人の仲間になってしまったような……素晴らしかったです。
 初めまして西田先生。貴重なご感想並びにもったいないご評価を頂いてしまい、恐縮しております。提示された設定を、とにもかくにもすべて放り込んで書きました稚作、果たして楽しんでいただけるかどうか不安でしたので、こうしたご評価を頂き、ひとまず安心しております。
 まだまだ力足らずではありますが、他の作も読んでいただけたら嬉しく思いますので、宜しくお願いいたします。今回は嬉しいお言葉、ありがとうございました。
  • 黒漆
  • 2016年 07月30日 08時14分
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