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[一言]
 面白いチャンネル…。 面白いチャンネル…。 面白いチャンネル…。

 俺はなんてことない退屈そうに携帯を弄くっている女子高生のチャンネルに入り込んで、うわごとのように呟いていた。どうしてこうも皆くだらない、感じるのは退屈・飽和・焦燥・嫉妬。いつだかオヤジが「状況が何だ!俺が状況を作るんだ。」と言っていたのを思い出し、同時にその言葉がナポレオン・ボナパルトのパクリだったと後々知ったことを思い出していた。

 〝キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア〟

 そんな時だった、鼓膜に劈く悲鳴が町に木霊した。悲鳴の主は空を見上げて指を指し、酸欠の金魚の如く口をパクパクとさせている。俺も視線を携帯から指さす方向へと向ける、そこには…なんとも面白そうなチャンネルがあった。

 高層13階はあるだろうか?その屋上で女性がフェンスを越え靴を脱いで今にも飛び降りようとしていた。この女が何故こんな真似をしようとしてるのかはしらん。ただ飛び降り自殺の生中継なんて早々見られる物じゃない。俺は即座にチャンネルを女に変える。

 見えて聞こえるのは蟻の様に小さくなった人だかりと〝止めろ〟〝考え直せ〟の声。そして目が回るほどの高さ、大型トラクターが自分の小指の爪より小さく見える。いいぞいいぞ、その調子だ。

 一歩、一歩と女…俺はフェンスを越えたタイルを歩いていく、行き着く先は虚空。13階からの投身だ。俺は屋上の最後の一段を上り…そして虚空へ身を投げた。脳味噌は宇宙の彼方へ飛んで行くような浮遊感、纏う風すべてが開放感に満ちた物だった。

 当然蟻の様に小さかった風景は等身大へと戻っていく、そして…。

 俺はギリギリに近くの大学生にチャンネルを変えた、流石に潰れたカエルになる瞬間は体験したくないからな。ああ、面白いチャンネルだった。もっと良いチャンネルは無いだろうか…。「状況が何だ!俺が状況を作るんだ。」俺はその言葉を頭で思い浮かべ長考していた。


 作ってみましたー
  • 投稿者: 退会済み
  • 2016年 09月26日 23時46分
管理


賢者がおられましたね。


飛び降りチャンネルは俺も考えましたが、やはり人が違うと流れも違うもんですね。


ありがとうございます。くすぐったい気もあり、楽しめました。
  • 灰色の猫
  • 2016年 09月27日 01時33分
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