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[一言]
 拝読しました。
 カラスウリさんの物語はいくつもの多面性と多様性を備えるようで、いつも自分の浅はかな読みでよいのだろうかと感想を書いていて不安を覚えます。的外れでしたらご一笑ください。
 と、予防線を張ってから、所感を述べさせていただきます。

 既に『夢路のつぶり』を拝見しておりましたので、今回の夢の檻の具合にまず驚きました。
 どこにも行き場の無い行き止まりであるような『夢路のつぶり』の板の上と比較して、日を反射する海に潮風、そこを走る汽車という情景が、いたく開放感溢れるものに見えたからです。
 けれど読み進めるにつれ、それが広々としているだけの鳥かごだと知れてくる。なんとも見事な箱庭で、「ゼッタイ手放さない」と述懐する彼女の心が伝わるようでした。

 見事と言えば、タイトルもまったく素敵です。
 これのお陰で作中の様々なものがたまごの隠喩であるように受け取られて、あれこれと考えてしまいました。
 恋に恋するような恋をはじめとした色々な可能性が、たまごの殻の中で蠢き、或いは孵り、或いは孵化できずに死んでいく。或いは託されて別の巣に育ち、或いは本来の巣から蹴落とされてしまう。
 最終的に感じたのは、そのような印象です。
 このどこまでも開けた牢獄もまた、殻のひとつと申せましょうか。

 ただ殻は閉ざして閉じ込めるものであるのと同時に、中身を守るものであるのだとも思います。
 いきなり「君は自由だから何をしてもいいよ」「君には何でもできる可能性があるよ」などと言われたって、受け止めきれるものではないでしょう。大概はその大きさに戸惑い、また恐れるものではないかと考えます。
 鳥はどこかへ飛び去り、手の中のたまごは砕け、残されたのはからっぽの幸せですけれど、このラストシーンにどこか満たされた感触を覚えたのはだからでしょう。
 おそらくは代替でなく、彼女をその名で呼んだ彼。
 ひどく執着しているのに、それでも彼に逃げる道を与える彼女。
 彼と彼女がそれぞれに選んで、つまりはそれぞれに成長して、たまごの殻を破ったように思えたのです。
 ひどく満ち足りてとても寂しい幸福を、堪能させていただきました。
鵜狩三善さま

 感想ありがとうございます。

 >>このどこまでも開けた牢獄もまた、殻のひとつと申せましょうか。

 鵜狩さんの考察に、ただ今「す、凄い」と震えています。多分作者よりもふかく考え、読み解いてくれています。率直に言って、感激しています。

 前作「夢路のつぶり」は、続編をまったく考えていない噺でした。
 とある読者さまより、「つぶりが好きです」という熱烈な感想をいただいた時に、「あんなキモイつぶりが好き? そんな感情もアリなのか!」と、おおいなる衝撃をうけました。ならば、つぶりと人間との恋愛模様もアリかもしれない。恋愛といえば海であろう。という短絡な衝動のまま、その方の割烹へ書き込んだSSが、海辺でラブラブなつぶりちゃんでした。阿呆まるだしですみません。
 
>>ただ殻は閉ざして閉じ込めるものであるのと同時に、中身を守るものであるのだとも思います。

 守るという視点はまったく考えていませんでした。
 ふたりが、たまごの殻を破る関係までは想定していたのですが、「守る」はホント思いつきませんでした。これは……かなり悔しいです。そして実にたのしい気分になっています。上記に書きました、つぶりと恋愛を絡めるという発想と同じく、この「守る」の発想で、もう1本書きたくなる程、目から鱗です。

 ラストに対しての、「ひどく満ち足りてとても寂しい幸福」は、「つぶり」作品すべてのテーマとなっています。やるせなさを感じていただけた様で、とても嬉しいです。
[一言]
寄生とは新しい生物が生まれる大きなチャンスですよね。私たちの体の細胞もミトコンドリアが寄生して有害だった酸素を使うことができ大きなチャンスを得たんですもんね。その間に愛があればその可能性も大きくなるのでは。幻想的で一見暗そうですが、実は大きな未来が見える作品のように思えました。そこが卵に込められているのでしょうか?感想遅くなってすみません。
  • 投稿者: 退会済み
  • 2017年 03月04日 21時22分
管理
久さん

 感想ありがとうございます。遅くなってなんて、とんでもありません!! 読んでいただけるだけで、凄く嬉しいです。

 暗い。どんずまりの二人です。ですがその先に一抹のあかるさがあるように。そう願って書き上げました。なので久さんの感想に「おおっ!!」と万歳しております。「たまご」にわたしも可能性をこめました。「つぶり」のお話しはこれからも、まったりと書き続けようと思えましたので、いつか、どこかで二人のたまごが現れる。……かもしれません。笑。

 
[一言]
二人の心の脆さがつくりだす永遠性に、じわじわと息苦しい気持ちになりました。

描写、さすがって感じですね。
仮想空間の汽車、外は青。仮想だからこそ起こる、不思議なできごとの数々。
世界の音が消えたところがお気に入りのシーンです。
あんなにも残酷なのに、世界は明るく感じました。本当に奇妙な感覚です。
  • 投稿者: 退会済み
  • 2017年 02月28日 16時15分
管理
スノーポーさま

 感想ありがとうございます。
「夢路のつぶり」のサイドストーリーとして、本作は誕生しました。が、当初は「夢路」以降を書くつもりは全くありませんでした。ところがガッテン! この気持ち悪い「つぶり」を好いてくださり、あまつさえなろうネームまでキャラ名に変えてくださった、なろう友人に衝撃を受け、憑かれたように書き上げました。大変貴重で面白い体験でした。

 世界の音が消えたシーンは、「これで読者が納得してくれるだろうか?」と不安に思っていたので、気に入っていただき嬉しいです!! 
『残酷なのに、世界は明るく感じた』これはまさに狙っていた部分です。どん詰まりの恋でありながら、一抹の明るさを物語りの主軸にしました。
 このような感想をいただき大変嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。
[良い点]
 エッグアートの中から飛び出す青い鳥ならぬホオジロ。密やかな恋。それはジロ、なずな、どちらのもの?
 閉ざされた空間の楽園で二人は永遠の夏を生きていく。幼く、純粋なゆえに、苦しみと甘さが入り混じり、わたしはその永遠の夢の檻に憧れる。
 左巻きのつぶりはいとけない者にしか寄生しないのは何故だろう。美味しいから? 全能感にあふれた記憶に満ちているから?
 きっとわたしたちが幼い頃を黄金時代と呼ぶように、懐かしさという名の調味料がまぶされているのだろう。
 苦い初恋や、男性としての自意識の芽生えもまた、スルメを嚙むように甘美さが味覚と官能を刺激するのだ。
 つぶりのなずな、ジロを手放してはならない。
[一言]
『夢路のつぶり』を読み返そうとしたら、『魅惑の天使』ちゃんの方をクリックしてしまいました。ぷぷぷぷ。
 二男がマイマイカブリを捕まえていましたが、ちと食べる種類が違いますね。治療法にはなりそうもないみたい。
  • 投稿者: 惠美子
  • 40歳~49歳 女性
  • 2017年 02月15日 20時39分
恵美子さん

 とても美しい感想をありがとうございました。感激です!!
「閉ざされた空間の楽園で二人は永遠の夏を生きていく」この言葉はまさに拙作の主軸です。あらすじにそのまま載せたい言葉でした。

「ざらしろもちこ」いっちゃいましたか! ふふふふ。もちこの誘惑ですね〜
 マイマイカブリもスキです。お手製のアクリル標本持っています!! しかし舞舞螺以上に、アレを頭にいれるのはイヤですね。軽くホラーになりそうです。笑。
[良い点]
凄く綺麗で幻想的な世界でした。
ファンタジーだけど、描写で想像が映像として動き出して、ジロとナズナの旅があのままずっと続けば良いのに!と思いました。
[一言]
カラスウリ様の教養が音楽や植物、芸術にも幅広いのがすごくわかりました。自分も他のことも勉強しなきゃと思いました。
ルビも読みやすくて、特に1話目のナズナが『ゼッタイ手放さない』がすごくジロへの執着を感じて大好きです。
そこ読んでから3話目のナズナがジロを何度も逃がしたところをもう一回読んでってぐるぐる回ってました。
また別の作品も読みにお邪魔します!
失礼します。
  • 投稿者: メイ
  • 2017年 02月13日 22時57分
メイさま

 感想ありがとうございます。
 
 え〜と、教養はふかくないです。(汗)メイさんかなり誤解しています。
 例えば。クラシック=カラスウリの知性のたかさの裏ずけではありません。これはもう、たまたまで。十年まえ。ちびっこだった娘のピアノの練習につきあっているうちに、うっかり自分がハマったにすぎません。学生の時にはバッハもモーツァルトも変なかつらかぶった、退屈なおっさん。としか思っていませんでした。笑。 同様に野鳥観察も、園芸もおたく根性の趣味の領域です。なろう読者にウケるとは思っていませんが、趣味=好きなものなので、ついつい作品世界におとしているだけです。重要なので二度言います。教養たかくないです。おたくなだけです。

 ルビの件、嬉しいです!! こちらはかなり意識してつけています。地味な点に目をむけていただけ感涙です。 ナズナさんはヤンデレらしいので、多分ジロが全力で逃げたら、逆に狩りに行きそうです。きっとあの二人はあれでまあ……しあわせなのではなかろうか? と思っております。
 丁寧な感想をありがとうございました!!
[良い点]
タイトルがぴったり決まってますね。未熟ですね。つぶりとして未熟であるし、男として未熟であるし。
手を繋いで砂浜に立ち、汽車を待つ二人を表紙にした本にならないかなあ。裏表紙はハマナスにとまるつぶりですね。
いびつで未熟だけれど、二人だけの箱庭が完成です。
[一言]
ナズナさんが一途なので、こっちに触手が向かないと確信を持って安心して読めました。面白かったです。
ホオジロさん、お幸せに〜。
exaさん

 感想ありがとうございます。
 執筆途中の仮題は「エッグスタンド」でしたが、一場面しかでてこなかったので改題しました。気に入っていただけて、嬉しいです。14歳の恋に恋している状態がイメージとしてありました。ナズナさんに出会えなければ、成長して別の恋愛をしたでしょうに……
 経験はしたくありませんが、「どんずまりの恋」は物語りのテーマとしては好きなので、書いていて楽しかったです。
[一言]
つぶり側の視点で読むことができて面白いです。

つぶりは殻に隠れながら生きる、貧弱な生き物。殻のなかだけが安息の場所。仮想世界はつぶりの殻のなかなのではないか。などと勝手に解釈しました。

ナズナつぶりが感情豊かで良いキャラしてましたね。ぶっ壊れたキャラは大好きです。
つぶりの新たな一面を見ることができて嬉しいです。(つぶり同士の交流があるところとか。孤独なイメージだったので意外でした!)

文体は、いつものカラスウリさんでした。どうしてこんなに読みやすいのか。羨ましい限りです。

(ナズナさんのことはレビューに書きましたので、ここではホオジロについて書きます。)
ホオジロの恋が切ないです。なずなさんに振り向いて貰えなかったところで現れるナズナさん。
これで抵抗し続けるホオジロは強い男です。
私なら無抵抗でナズナさんに喰われます、笑。

最後に。このような素晴らしい作品を贈ってくださり感激致しました。なんとお礼をすれば良いか……!
ありがとうございます。感謝感謝。
  • 投稿者: ホオジロ
  • 23歳~29歳 男性
  • 2017年 02月10日 19時19分
ホオジロさま

 素敵レビューと感想をありがとうございました。
 まず「読みやすい」と言っていただけた事が、大変うれしいです。毎回。変てこな書き出し、さらに続く変てこな内容。一体誰得で、何人の方が読み進めてくれるのだろうか。と、戦々恐々での投稿ですので、心底嬉しいです。もし読みやすさがあるとしましたら、音読効果と文章削除効果かもしれません。音読最中にとことん削除されていき、死屍累々のありさまとなっています。笑。

 今回は「つぶり」の貧弱さを全面にだしたかったので、そこを読み取っていただきひとまずほっとしております。「つぶり」の集団。次回これを描写したかったので、おおっ!! と思いました。かなり気味悪そうです。
 ホオジロ少年の悲恋とナズナさんへの傾斜は、リアル中学生の恋愛事情を聞きかじって思いつきました。どんずまりの恋でありながら、どこか数パーセントの明るさを持たせたかったです。

 ジロさんの一言がなければ生まれなかった作品です。こちらこそ、感謝感激です。ありがとうございました。
[良い点]
歪みあった二人の恋慕は、確かな調べを奏でた。
逃げられない二人は、何であれ幸せであろう。これぞ、文学と、身を貫かれた想いが私を離さない。

奏でた音楽が、ひどく激しく、ひどく繊細な二人の心を表しているかの様。


共犯となり得てしまう二人は、もう誰がなんと言おうと、完結してしまう。たまごは、淡く淡く。ただもう温かく。
[気になる点]
既にレビューを書いてしまった私のばかっ!(鳴きながら谷へ走っていく)
[一言]
今ならこういうレビューになるかもしれないと、書き連ねてしまいました。

稲妻は私も打たれてしまいました。

嗚呼、文学ですまさしく。
嗚呼、切ない。

つぶり、可愛いといじらしいと私も感じました。
玉藻稲荷&土鍋ご飯さま

 レビューと感想をありがとうございます!!
 感謝感激です。ですから谷へ走っていかないでーー! そっちにはキンポウゲさんが居るから。彼女はナズナさんより容赦ないからあああ。笑。
 連載途中でレビューをいただく事など、そうそう無いので、むっちゃ嬉しかったです。書いていてテンションだだ上がりでした。五体投地でスライディング土下座したいくらいです。

 文学と称していただき、面はゆいです。でへへへ。でも嬉しい。
 つぶり、可愛いですか? いけませんね。ホオジロさんと同じ病状です。末期になる前に早く夢から醒める事をお薦め致します。
[良い点]
最後までハラハラ拝読させて頂きました。
どちらが捕らえ、どちらが囚われたのか。閉じた楽園は崩壊の日も近いのに。
偽者だったはずが、いつしか他に替わりがないものになっていく……切なく楽しませて頂きました。
ありがとうございました。
狼子 由さま

 初めまして!! 感想ありがとうございます。
 閉じた楽園というフレーズにシビレました。次の「つぶり」の題名に使いたいくらいです。考えていたプロットの直球ど真ん中フレーズです。
 偽物が他に替わりがないものになっていく。そう感じ取っていただき嬉しいです。
 わたしは「捕らえたもの」と「捕われたもの」と表記しましたが、「囚われた」の方が良いですね。後でそちらに変更しておこうと思いました。重ね重ねありがとうございます。
[良い点]
げしげし膝を蹴るナズナさん可愛い。
ふっふっふ。マトモな感想は、完結後に書かせていただきますよ!
  • 投稿者: ホオジロ
  • 23歳~29歳 男性
  • 2017年 02月08日 13時08分
ホオジロさま

 ホオジロ少年物語りへ、作家ホオジロさんから感想をいただくというシュールさがなんとも言えませんね!! ナズナさんから伝言です。「蹴るのは脛(すね)で、膝(ひざ)じゃないぞ、ジロ。しかし可愛いとのコメで全て許すっ」
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