イチオシレビュー一覧

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流れのままに読んでいくと、きっと楽しい物語。

世の中には感想を書きたくなる作品があります。
この物語もそうでした。

話に魅せられ、引き込まれ、登場人物たちの視点を覗き穴にしながら、『流れる丸太を飛び移るように』登場人物を切り替えて、1つの物語という川を下って行く。
いずれ訪れる大団円まで、ゆっくり楽しむ、想像力の川下り。
そんな「普通の」物語だと思っていたのです。

しかし違いました。
後半はいきなり渦潮に巻き込まれたかのような錯覚すら感じます。
視点は交錯し、登場人物達は今まで見せてこなかった全く別の顔を私ーーつまりは読者ーーに向け、ニヤリと笑いかけてきます。
私はただ、混乱しつつ文字を読み進めるのです。
そして物語は、とても唐突に終わります。
大団円という『普通の』終わりはないままに。

「普通」に始まり、「異常」の渦に囚われる。
感じるままに読み進めると、とても貴重な読書経験が出来る物語。
ぜひ五月闇のお供に。
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