イチオシレビュー一覧

小さい頃は見えたりしていたけど、大人になるとそうでなくなるもの、ありますよね？

イマジナリーフレンドじゃないです、
というかそんな話だったら怖い事実が判明しちゃったりするかもなお話ですよ。

本作はあくまでも現代ファンタジーです、現代ファンタジー(゜Д゜;)

さて、そんな本作は。
おじいちゃんが買った鯉のぼりと話せる少年の成長譚である。

ちなみに、話せると言ってもその声を聞けるのは少年のみ。それは、亡くなったおじいちゃんが鯉のぼりにかけた魔法のおかげです。

そんなワケで仲良しな少年達は、ある日、自分達と同じ境遇の少女と出会います。

少女は、亡くなったお父さんから貰った、折り紙の鯉のぼりを所持していました。

しかしその鯉のぼりは、ある事件をキッカケに……ある秘密がある事が判明します。

果たして、その秘密とは。
みなさんも、その秘密を通して……心の成長について、考えてみませんか？

春になると飾られる鯉のぼり、『クロ助』。クロ助はただの鯉のぼりではなかった。なんと彼は、物語の主人公である『風太』と話すことができる不思議な鯉のぼりなのだ。
風太のおじいちゃんが、風太が生まれた時に買ってくれたクロ助。思えばクロ助が話しかけてくるようになったのは、おじいちゃんが亡くなった後からだった。もしかしたら、孫を慈しむおじいちゃんの想いが込められた鯉のぼりだったのかも知れない。
でも、彼の声を聞けるのは永遠じゃない。
人は大人になる。大人になれば得られるものもあるけれど、失いゆくものもある。
だけど、たとえクロ助の声が聞こえなくなってしまっても、それは『お別れ』じゃない。男気があって、曲がったことが嫌いで、竹を割ったような性格のクロ助。彼に教わったことも、思い出も、きっと少年の胸の中で永遠に……。
春風の友達と一緒に挑む冒険、それを通じてあなたは、幼き頃に想い馳せることだろう。

家紋武範様主宰の「隕石阻止企画」参加作品です。

４９５１字のとても読みやすい童話です。童話ですが、かつて少年であり少女であった大人の心にも響く作品です。

主人公は小学４年生の少年風太。ごくごく普通の少年ですが、この時期に掲げられる鯉のぼり。その中のマゴイのクロ助と話すことが出来るのです。亡くなったおじいちゃんの魔法で。

そんな風太のクラスに一人の女の子が転校して来ます。勉強も運動も万能な子。彼女も亡くなったお父さんに贈られた小さなヒゴイの鯉のぼりを大事にしています。

だけど、その大事な小さなヒゴイの鯉のぼりを逆恨みをした子に隠されてしまいます。風太はクロ助に助けられ、ヒゴイを探しますが……

ここから先は実際に読んでお確かめください。

女の子はもうヒゴイと話すことが出来なくなってしま
いました。風太も話せる時間は残り少ない。終わろうとしている子供の時、一緒に過ごしてみませんか？

　童話に興味のある方は、ぜひこの作品をのぞいてみていただきたい。
　あらすじを少し。
　風太は五月の節句が待ちどおしい。今は亡き祖父がくれたこいのぼり、クロ助に会うことができるからだ。
　このクロ助、見かけは普通の黒いまごいなのだが、実は風太と話ができる魔法のこいのぼり。そして、風太が生まれたときからの友だちでもあった。
　そんな風太のクラスに転校してきた緑子。彼女もまた、亡き父親の手作りの赤いこいのぼりをお守りのように大切にしていた。ところがクラスのいたずらっ子たちに隠されてしまう。
　ひと足先に大人になっていこうとする緑子。
　そのことにとまどいを感じる風太。
　クロ助は言う。
「今からいろいろ考えるこたあねえ。しぜんに、しぜんに変わっていくものだからよ」
　この物語で作者は教えてくれる。
　子供の成長、それは魔法の時間を卒業していくことだと……。