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朝起きて、狐連れて、三十分ちょっとの散歩道

  • 投稿者: 応滝   [2017年 08月 20日 14時 05分]
 この小説を語るにあたってまず、「焔狐と天気雨」という短編がある
 読むかどうか迷っているなんてひとは、そちらを著者ページから辿って読んでみるといいかもしれない。
 本作はそんな物語の長編版である。
 ゴールはすでに明かされている。しかし、それは面白さを損なう理由にはなりえない。
 わたしたちが出会うのはその道程、その道筋だ。

 文章の書きかたが丁寧で『やさしい』読了感がある。
 歩くような速さで日常系ラブコメが、読む人を選ばない低文脈な文章で積み上げられていく。
 目に心地よいこの小説は私たちを癒してくれる。

 そんなマイペースな彼らの歩みでも、構成の巧みさに何度もはっとさせられる。
 決して奇抜ではないが、web掲載なことを生かした質朴な技が光っている。

 更新を追いながらだと、その次の話を待つ楽しさを120%味わえる。いまのうち。
 わたしの、推し。
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