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古典的な悲恋モノを近未来で

  • 投稿者: 瀬戸夏樹   [2018年 02月 03日 19時 23分]
この物語は戦争の中で出会った少年と少女が、戦争によって運命を引き裂かれる古典的なスパイ悲恋モノです。
この作品が従来のものと一線を画しているのは、近未来的な設定が用いられており、ミリタリー描写の肉付けが非常に充実しているところです。
近未来的な兵器の描写ばかりではなく、新兵の教育といった運用に至る場面も臨場感たっぷりに描かれ、その描写は『現場感』と言えるまでに昇華されており、現場で奮闘してる名も無き軍人のイラつきやじれったさ、手に汗握る感じが文章を通して伝わって来ます。

敵の大量破壊兵器に対抗しうる唯一の予測システム・フリズスキャルヴ。
盗まれれば自軍が崩壊してしまいかねない。
一歩間違えれば全てが終わるそのシチュエーションが、愛する二人の決断をより悲壮にします。

愛する者を我が手で……

  • 投稿者: 春瀬由衣   [2017年 08月 09日 02時 52分]
『ネタバレ注意』

本作は近未来が想定される世界観において、優生思想に犯された帝国軍とそれに対抗する連合軍の闘いを描いたものである。しかしそれは戦記ではない。彼らが軍を去った後も、戦争は続くのだろうし、多くの人間が死ぬのだろう。しかし、我々はある一人の少女の死に注目せざるをえない。

そして私は願う。自国の兵士すら結局のところ幸せにできていない帝国軍の優生思想など無意味であることを。そしてこの悲しい戦争がいつか終わることを。
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