イチオシレビュー一覧

■本作を読み始めて異世界転生モノの典型的パターンを第一印象に抱くかもしれない。昨今、異世界転生物は飽和状態だ。良質のものからそうでないものまで、数多く溢れる中で頭ひとつ抜きん出るのは至難の技だ
■本作は冒頭部こそ典型的な転生物だ。だが作者はそこから魅力的な冒険ハイファンタジーを語り始める
■孤児の少年『シン』は暴漢から少女を守り命を落とす。だが、自ら神を名乗る幼い少女に召喚されたことで彼の冒険の旅が幕を開ける
■魔導と魔法が現代社会のハイテクのように普及した世界、七聖の者たちが魔人から護っていた。主人公のシンは神を名乗る少女ホワルによってそこに送り出される。そして出会う半魔導具の少女フルミネ。未熟で足らないモノだらけの二人は惹かれあう。そして二人は七聖たちに見守られながら〝明日〟を目指す。謎だらけの物語の中を正統派の冒険ロマンが繰り広げられる。シンとフルミネのひたむきな姿が眩しい傑作譚だ

心優しい少年シン。
彼はある日、異世界へと転生します。

そこで彼はとある少女に出会います。

少女の名前はフルミネ。
体の半分が魔道具という少し変わった少女です。
けれど、その心は優しく、純粋なのです。

惹かれ合う二人、待ち受ける運命。
一途で純粋、心優しい彼らは揺れ揺れて、どこか危ういその姿に目を離せなくなることでしょう。

ほんわか中心。それでもシリアスを忘れず、その対比に物語の深みは増していきます。

皆さんも、運命の中危うく揺れ動く心優しい彼らが成長していく姿を見守りませんか？

≪「神様に見えないとか、これでも結構気にしてるんですよ？」≫
ホワルの力によって召喚された……『普通』ならそのままの姿で。『普通』なら。
≪「元々人間だったで本当ですか？」≫

そんなこんなで始まる彼の物語はスキルと魔力の世界で幕を開ける。出逢うのは『魔道具』の少女

シンプルに『間の取り方が巧い』文章だと感じました。どうしても設定に凝りがちな導入部をスムーズに読ませる話の作りは凄いな。と

比較的初めに出てくるアレに謎を残している点もなかなか着眼点がいいなあ。確かにそこは盲点だったかも。
しっかりと『異世界の地に足がついた』お話。

　作品の根底に優しい雰囲気の流れる一作です。
　ピュアで一途。まだまだ未熟だけれど、話が進むごとに徐々に成長していく。そんなキャラクターたちが織りなす、透明感のあるファンタジー作品になっています。

　ストーリーラインは、いわゆる異世界転生譚。
　悪漢に殺されてしまった主人公シンは、異世界に来ることになりますが、なぜか人間ではなく人狼になってしまっていました。そして、出会った少女フルミネは、半分魔道具の体。

　いつしか惹かれ合う二人。
　様々な運命が、二人を待ち受けます。

　……主人公が【英雄】になるまでの物語。
　ぜひ読んでみてください。

異世界転生というジャンルは往々にして似た経緯で異世界へと行くことになる。

例えば、居眠り運転のトラックに突っ込まれる。
例えば、誰かを庇いトラックにひかれる。
例えば、トラックに潰される。

トラック多い。

そして、トラックに限らず異世界までの経緯はどうしても被ったり似てしまう傾向にある。

だからこそ、作品の個性を出すためには『キャラの設定』や『作品が持つ独自の雰囲気』というものが重要になるのではないか？

その点でこの作品は突出している。

まず、主人公のスキルの設定。
この作品を読む方の楽しみを奪わない為に明言するのは避けるが、状況次第で矛にも盾にもなり、使い方を考えさせられる。

そして、この作品の最大の魅力だと私個人が考えるのが『ほんわかとした作品の雰囲気』だ。
もうほんとほんわか。
これがあるからこそシリアス展開がより一層深まりこの作品に引き込まれる。

素晴らしい作品だ。