イチオシレビュー一覧

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真っ赤な美しい鶴は、凛と立つ。

  • 投稿者: 退会済み   [2017年 07月 26日 12時 06分 ()]
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「長いトンネルを抜けるとそこは――」

 オマージュ的様相から始まるこの物語の主人公は、東南アジアの一国で煩わしい海外勤務につくことになった男だ。SNSに興味を抱かないはずの男がその「煩わしさ」から、ツイッターにアクセスし、自分の名前を検索し、そして「なりすまし」を見つける。ここからこの男は持ち前の「エンジニアリング的思考と行動力」をもってして、犯人を突き止めようとする。

 『異国の騎士』というアカウント名をとり、自分の名をかたる『なりすまし』をフォローする。こいつは何者か――その探求において、煩わしかった東南アジアでの生活ほぼすべての中で、ある意味での「愉しみ」が発生してくるようにさえ思える。

 一人の女性の姿が浮かび上がってくる。

 この先はぜひご自身で……。

 ひしゃげた折り鶴は、元にはもどらない。それでも心の中には永遠に、真っ赤な美しい鶴が、凛と立っている。

秘めたる思いが通じ会う奇跡

  • 投稿者: 天界音楽   [2017年 07月 25日 00時 03分]
 なりすましだなんて、穏やかじゃないなぁと思いながら読み始めました。今時、個人情報には気を使うのが当然ですから、自分の詳細な情報を持った他人がSNSで活動しているなんて、主人公も気が気じゃなかったと思います。それが、なりすましの犯人を追いかける内、親しみに変わっていく……分からなくありません。

 最初は好意的な感情じゃなかったもしれない。それが、段々と自分になりすましている人物に興味を覚えていく、知りたくなる。

「どうして僕になんてなりすまそうと思ったのだろう」

 皆さんはどうですか、自分がなりすましに遭ったら、それが誰なのか見当がつきますか? 彼は、彼女は、どうしてそんなことをしようと思ったのでしょうか?

 連絡が取れない相手を探そうとしたとき、私たちにはどんな手段が取れるでしょう。広大な電子の海で、相手に辿り着く確率はまさに奇跡です。続きはぜひ、自分の目で確かめてください。
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