イチオシレビュー一覧

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その情景に、人物に、血が通っている

 描写という二文字で語るのが惜しいと思う程に、本作は人物描写から心理描写、特に情景描写が素晴らしいと思えた。

 それらの描写達を読めば、作者が本作にとてつもない量の心血を注いでいるとハッキリ分かる。注いでいないわけが無いと感じさせられる程の、重厚かつ丁寧な描写達には圧倒されると言う他無い。

 情景描写はどのシーンを切り取っても絵が見えるように書かれている印象を持った、もっと言えば動いて見えると言っても過言では無い。
 人物描写についても、本作のジャンルにふさわしくきめ細やかに書かれており、登場人物を大事にしながら書かれていると分かるような力の入れ具合に好感を持った。

 色彩等についても強く拘って書かれている事が分かり、登場人物の名前や場所の漢字一つとっても、作者の発想力の強さを感じさせられた。

 文体もしっかりとしており、それらの描写や拘りを力強く支えていると思える作品だった。

過去から今へ、繋がり続ける物語。

この作品は、前世と今生、登場人物達の思惑や関係性が複雑に絡み合い進行します。
 
この作品の大切な部分の一つに「人の心の動き」があるのではないかと思います。
人への不信と信頼。罪の意識や、赦しの心。世界の理不尽さへの憤りや怒りと、前を向く姿勢。

そんな相反する感情を作中の人物達は持っており、その心情が綿密に描写されています。

物語だからといって何でもうまくいくわけではなく、どうしようもない悲しい結末を迎えてしまう人物もいます。
「もしも、こうだったなら」といくつも別の結果を考えてみても、そのとおりにはならない非情。
その部分が、物語でありながらも現実に通じると感じさせられます。

登場人物達が真摯に苦難を受け入れたり乗り越えてたりしていく姿が、丁寧に描かれている作品です。

ーー地に堕ち人となった神々と、悪魔の幼女。流転輪廻のその先に、彼らはどのような結末を紡ぎ出すのか……。

地上に降り立った際、幼い悪魔の娘に魅了された愛の女神。
彼女がその娘を天界へ連れ帰り、大神の怒りをかったことを発端に、壮大な物語の幕が開かれます。

天界の均衡が崩れ、落ちた神々の生命は人に姿を変え、過去から未来へと続く時の流れの中で、多彩な人間ドラマを繰り広げてゆくのです。

巡らされる策略。思惑。別れ。叶わぬ恋の行方。そして鬼気迫る戦闘……翻弄される登場人物たち。

物語を織りなすキャラは、美男の剣士や麗しい姫など。どの人物も詳細な設定があり、個性的で魅力に溢れています。

そして作者様の巧みな描写で、美しくもどこか物悲しいこの世界に降り立ち、彼らと共に物語を体験してしているような錯覚に陥り、一度読み始めたらのめり込んでしまうことでしょう。

発動された『女神回収プログラム』
過酷な運命の果てに、女神は何に微笑むのか。

今までにないお話を求めている方に、是非おすすめしたい作品です!
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