イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

2017年、夏のホラーでこんな凄いホラー作品が投稿されていた……!!

∀・)こんにちは。2017年と言いますと僕が本格的にTwitterを使い始めたりして「大人のシルバニア」にハマっていた時代ですね。いでっちでーす!!


∀・)はい、本作は「気になっている作家さまのマイページからちょっとずつ作品を読んでいこう」っていう僕のアクションでたまたまこのタイミングで読んだ作品です。そして思いだしました。僕も当時、裏野ドリームランドを書いたり読んだりして行っていたんですね(ん?行っていた?)。ただこの作品とは出会えなかった。知り合えなかった。それが残念なぐらいの素晴らしいホラー作品でした。


∀・)夜に開演される遊園地。そしてそこで死者と再会できるというまことしやかにされる噂。ドラマティックに展開されるその物語は濃厚なホラー映画をみているかのよう。夏ホラー2017の作品ですが是非読みにきて、この恐怖と感動を体感してみてください☆☆☆彡

美しいホラーを楽しんで下さい

  • 投稿者: みかん   [2017年 08月 10日 19時 40分]
ちょっとでも内容や感想を書くとネタバレになりそうで、怖くて書けません。

先入観ない状態で読んだ方が絶対に面白い。
私は先にレビューを読んでしまったので、おおすじが解ってしまった。残念です。

解っても楽しめる事は楽しめたのですが、これから全く予備知識なしで読める人が羨ましい

ただ…まぁ、結末は読んでると予想がつくのではないでしょうか?
それを含めて楽しんで頂けたらと思います。

愛と夢と謎と恐怖。全てがここに詰っている

  • 投稿者: 斉凛   [2017年 08月 10日 19時 03分]
夜の遊園地で死者と生者の一夜限りのデート。とてもロマンティックな物語。でもこれホラーです。

「僕」と「彼女」のデートシーンを彩る風景。卓越した文章力で紡ぎだされるリアルな描写は、徐々に二人の幸せの一時と乖離し初め、おぞましいはずの光景が、クールに淡々とそこに佇んでいる。
思わず物語に引き込まれる導入、謎めく二人の関係。徐々にひたひたと迫り来る終わりの刻。
クライマックスにひっくり返される瞬間、心地良い感動を感じる。読み終わった後にまた最初から読み直したくなるくらい。
登場人物達の痛い程の心の叫びに、想いに、思わず心を揺さぶられる。
ホラーもあり、ミステリーもあり、愛もそこに確かにある。不思議なお話。
計算し尽くした構成力、巧みな文章力で読者を酔わせる。一夜限りの物語。

ホラーをあまり読まない私ですが、今まで見たホラーで一番感動しました。
ホラー好きな方にも、普段読まない方にもお勧め。

彼の想いを知った時、世界がぐるっと回転する!

その観覧車に乗れば死に別れた人と一晩だけ会うことができる。
人々は祈るような気持ちで観覧車に乗り込んでいく。
過ごせるのは遊園地の敷地内だけ。
たった一晩。

ある男が望んだ相手は自分のことを知らないという少女だった。
二人の関係は謎めいている。
少女は何者で、何より彼は誰なのか。
そして何を思っているのか。

この謎が解けた瞬間、ああ、と空を見上げたくなります。
気持ちとは、そういうものだ、と思うのです。
言葉にならず、浮かび上がるような。
それでいて理屈の通らない、のっぴきならないもの。
彼や、またそこにあったそれぞれの、たくさんの気持ちも同様に。

彼の想いを知った時、私の世界はみごとにぐるりと回転した。
鮮やかな一本背負みたいに。

一夜かぎりの奇跡が招くものとは……

夜にだけ明かりを灯す遊園地で、一夜かぎりの奇跡がおきる。
男の決意が少女を招きーー
彼女の忌まわしい記憶が蘇る時、観覧車は廻り、道先案内人のウサギは跳ねる。

硬筆な文章で綴られる不可思議で恐ろしい世界。そこに交差する少女たちの思いと、男の思惑。なにが善で。なにが悪なのか。

この物語りの多くをこれ以上語るのは、無粋になるかもしれない。読者一人ひとりが作者の紡いだ謎と恐怖。そして隠された親愛の情に対面してもらいたい。

見事なまでの構成と、卓越した文章。ここまで完成度の高い小説には滅多にお目にかかれないはずだ。

愛の色は赤く、憎しみと怒りの色もまた赤い。

人に刃を向ける時は、よくよく考えてからの方がいい。振り上げたその切っ先は、いつか自分自身をもばっさりと傷つけることになるだろう。

くるりくるりと回る観覧車に乗り、男と少女は出会う。不思議な逢瀬のタイムリミットは夜明けまで。男の覚悟を、少女はまだ何も知らない。

何も伝えぬまま男がそっと育んできた愛情は、愛する人が危機に陥った時に初めて少女本人に届けられる。大切な存在を守りたいと願う心はあまりにもまっすぐで、その剥き出しの想いは邪魔するもの全てをなぎ払ってゆくのだ。

彼にとって何よりも大事なものは、少女ただ一人。幼さゆえの愚かさも、無知ゆえの過ちも、彼が許しを与えることはない。

全てを失う覚悟と一途な想いがあるのなら、きっとあなたも逆回りの観覧車に乗れるだろう。けれど忘れてはいけない。その想いが届かなければ、大切な相手は驕り高ぶり、同じように地獄の業火に焼かれることになるに違いない。
↑ページトップへ