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我が心に恋の雨降る

夏の恋は、通り雨に似ている。あっという間にやってきて、人を巻き込み、翻弄し、過ぎ去ってしまう。

この恋は、雨が上がるまでの恋だ。ヒロインは、つかの間の雨の記憶を生きる力にしようとする。その姿は、まるで、ごくわずかな時期にしか降らない雨を受けて、花を咲かせる植物のようだ。

しかし、雨には様々な顔がある。激しく揺さぶるような雨もあれば、優しく包み込むような雨もある。

雨はいつか上がるだろう。ヒロインは、雨上がりの情景をどのように迎えるのだろうか?
動と静、都会と辺境、狂おしい夏と穏やかな秋。前半と後半の対比が鮮やかである。
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