イチオシレビュー一覧
▽レビューを書く文学は知性と激情のエンターテイメントである
- 投稿者: @naka-motoo [2017年 12月 25日 21時 10分]
わたしが成人する前後、小説やエッセイなど広く文学と呼ばれるものは知的好奇心を満足させ、生きる意味という情的な欲求をも満たしてくれるものでした。わたしは現在広く読まれるライトノベルやミステリを否定するものではありません。けれども、わたしはこの作者の、「ガレオン船と茶色い奴隷」と並行するこの作品を読んで、かつての感情を思い出しました。「文学は知性と激情を併せ持つものである」と。この作品は学術論文と言っても差し支えないぐらいの見識と同時にエンターテイメントとしても成立しています。それは本編である、「ガレオン船と茶色い奴隷」も同じです。たとえば村上龍の「コインロッカー・ベイビーズ」。また大江健三郎の「芽むしり・子撃ち」といった知的で爆発的なエンターテイメント性を「ガレオン船と茶色い奴隷」・覚書の作者に感じます。こういう質の高い作品が読まれないと、「文学」というジャンルは消失してしまうでしょう。
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