イチオシレビュー一覧

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盲目だろうと関係ない。身体で覚えて、クリアする!

 VRMMO「我朧皇伝ヴェルゼルガ・ソード」。友人に誘われ、そのゲームに挑戦することになった澄麗紫苑は――盲目でありながら狩ゲーをプレイしてきた、稀有な少年であった。
 目が見えないプレイヤー。それは視えることが当たり前、という世界で生きてきた我々にとっては、不利にしか見えない条件だ。だが彼は、数え切れぬほどの試行錯誤と痛みを経て――視える者では辿り着けない強さを手にする。

 盲目の主人公という、あまりに異色なVRMMO物。類を見ない個性を放つ、新進気鋭の意欲作です。

全盲の少年の鋭さ、それこそが現実。

  • 投稿者: 長岡更紗   [2017年 10月 17日 16時 57分 ()]
人の性格には個性がある。それと同じで身体的特徴もまた個性だ。

主人公の少年シオンは、全盲の少年である。
その少年が友人に誘われて始めたのが、なんとVRゲームだったのである。

あなたは目を瞑ってゲームをした事があるだろうか?
私はなかった。だからやってみた。
『音』のみでの世界というのは、普段目から情報を得ている者にとっては結構怖い。
けれどもやり込んだ格闘ゲームならばそれなりにやれた。

技を出した。
相手が倒れた。
きっとこのくらいの距離が出た。
このキャラの性格ならば起きてすぐ近づいてくる。
今だ、技を出せっ!

YOU WIN!

設定を低くしていたとはいえ、まさかの勝利である。

あなたはこの主人公のシオンに『そんなゲームが出来るわけない』と言えるだろうか?
全盲の少年がバトルする姿など、非現実にしか思えないだろうか?

否。

これほど現実的な描写は他にない。
私はそう思う。
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