イチオシレビュー一覧

転生した異世界で、主人公が更に闇に堕ちていく物語。

夜の帳がゆっくりと迫るよう、確実に蝕まれていく主人公の心と体。

異世界で報われると思っていたのだが、読み進めるうちに、不条理な出来事に何度も心が締め付けられた。とにかく切ない。

シンプル且つストレートな物語だからこそ、心に響く。情景も浮かぶ。

主人公以外の登場人物たちも、非常に丁寧に語られている。

…物語はまだ完結していません。

作者さんも2年ぶりの更新でしょうか。
これからの展開に期待せずにはいられません。

是非ともオススメの物語です。

転生したての頃は、良い環境で温かく育てられていたアルバくん。それが一転、色々あって人間嫌いになっていく様が面白いです。タイトルからも更なる「堕ち」が期待されるわけで、ダークなお話が好きな方には御馳走かと。
お話はＲＰＧ的な紀行物でギルドのランクを上げたり亜人達に戦闘訓練したり様々なイベをこなしつつ町から町に進行していく感じで、第3章91話時点では２大陸目まで進んでいます。主人公、相棒の百合子さんもそうですが、血の気の多いキャラが多く、それらとの掛け合いも面白くキャラ立ちもキチンとされています。
私的には戦闘描写がスピーディで分かりやすいところが好きです。
異世界物としては非凡というレベルではありませんが、若干変化球が入って安定して読める作品だと思います。

この作品、作者様が最初はほのぼの、途中から暗くなったり残酷描写あり、とあらかじめ説明されております。当然そのことを覚悟して読み始めたわけですが……辛い。実に辛い。主人公である熊神太郎は転生の結果、アルバという赤ん坊になって異世界を生き抜いていくわけですが、そのアルバを支えてくれる色んな存在達が、もうね、あったかいんです。だからこそ作品がどんどん暗くなったり残酷になっていくのが辛くて仕方がない。でもだからこそ、日がどんどん傾くかのように暗くなっていくアルバの旅路は最後どんな場所に辿り着くのか、気になって仕方がありません。誰よりも優しかった主人公がその優しさを塗りつぶしてしまうほどの憎悪によって復讐のためだけに生きる鬼になる――そんな小説が好きな方、オススメです。