イチオシレビュー一覧
▽レビューを書く冒頭から、滔々としたモノローグで列挙される、自己の不必要性
具体的な数値がふんだんに盛り込まれた言葉の群れには「これでもか」というくらい容赦がない
そして、ほろ酔い状態で臨む「黒ぶちさん」との対話
さながら、チェックシートに一つ一つレ点を刻んでいくかの如く、自らを袋小路へと追い立てるプロセスを追体験しました
核家族化、晩婚化が遙か昔にデファクトスタンダードとなった時勢、主人公が抱く感覚に読者の多くも後ろめたい親近感を抱くはず
煩雑な日常を言い訳に目を背けている、自分の臓腑を眼前に開帳される醜穢さ
文体としてはむしろ読み易く、「黒ぶちさん」との会話も軽妙なだけに、根底に堆積した生温い諦観がより一層不気味に感じられました
かと言って、後味が悪いわけでもなく
この不可思議な掌編、読まずに見過ごす手はないでしょう
具体的な数値がふんだんに盛り込まれた言葉の群れには「これでもか」というくらい容赦がない
そして、ほろ酔い状態で臨む「黒ぶちさん」との対話
さながら、チェックシートに一つ一つレ点を刻んでいくかの如く、自らを袋小路へと追い立てるプロセスを追体験しました
核家族化、晩婚化が遙か昔にデファクトスタンダードとなった時勢、主人公が抱く感覚に読者の多くも後ろめたい親近感を抱くはず
煩雑な日常を言い訳に目を背けている、自分の臓腑を眼前に開帳される醜穢さ
文体としてはむしろ読み易く、「黒ぶちさん」との会話も軽妙なだけに、根底に堆積した生温い諦観がより一層不気味に感じられました
かと言って、後味が悪いわけでもなく
この不可思議な掌編、読まずに見過ごす手はないでしょう
冒頭から、殴り付ける様に当たり前の毎日が、襲い掛かってくる。
読んだ瞬間に、あなたもきっと殴られたかの様な衝撃を感じると思う。
だけど突然の間隙。
それは凄まじいまでの急角度で、静けさを伴って迫って来る。
これは文字の暴力と、切ないまでの人生の凝縮。
とんでもなく強いはずなのに、どこか静かな気持ちになる物語。
そう、激しくも正当なる『文学』
読んだ瞬間に、あなたもきっと殴られたかの様な衝撃を感じると思う。
だけど突然の間隙。
それは凄まじいまでの急角度で、静けさを伴って迫って来る。
これは文字の暴力と、切ないまでの人生の凝縮。
とんでもなく強いはずなのに、どこか静かな気持ちになる物語。
そう、激しくも正当なる『文学』
確かに、『消える』よりも『きえる』のほうが耳に刺さる。不思議なものですね。単語を素直に漢字で記すよりも、あえてひらがなに『開いた』ほうが、胸に響くものがある。
のっけの、『日々をこなす、と言うと退廃的な香りがする』という文言にも舌を巻きました。さすがと言うより他にない。
>見もしないテレビに何か喋らせておく。
>缶をしっとりと傾けます。
これらのくだりなんか、文学してますねぇ(他意はないですよっ)。
内容については、『ありがち』なようでありながら、『しっぽの先が二つに分かれている猫』が現れたところから、テンポが良くなります。
そして途中で語り口調が変わるわけですが、『アリ』だと思いました。
当該作品って佐倉様からしたら、ある意味、意欲作やったんちゃうかな?
とにかく読めよ、みなさん。
読んでみて、一切、損はないさかい
などと偉そうに締めくくってみた赤瀬でした。
のっけの、『日々をこなす、と言うと退廃的な香りがする』という文言にも舌を巻きました。さすがと言うより他にない。
>見もしないテレビに何か喋らせておく。
>缶をしっとりと傾けます。
これらのくだりなんか、文学してますねぇ(他意はないですよっ)。
内容については、『ありがち』なようでありながら、『しっぽの先が二つに分かれている猫』が現れたところから、テンポが良くなります。
そして途中で語り口調が変わるわけですが、『アリ』だと思いました。
当該作品って佐倉様からしたら、ある意味、意欲作やったんちゃうかな?
とにかく読めよ、みなさん。
読んでみて、一切、損はないさかい
などと偉そうに締めくくってみた赤瀬でした。
酷く平凡な主人公は、平凡が故に非常に魅力的で、それが余すことなく描かれた作品でした。
二部構成の本作は、真ん中を境に非日常に足を踏み入れ、不思議なものと対面するのですが、そこで語り口が切り替わります。まるで語り手の人格まで変わってしまったようで飽きることなく最後まで読めました。
平凡なのにとてもキラキラ煌びやかで、テンポのよい文章が秀逸な超良作です。
この主人公、超すき。
二部構成の本作は、真ん中を境に非日常に足を踏み入れ、不思議なものと対面するのですが、そこで語り口が切り替わります。まるで語り手の人格まで変わってしまったようで飽きることなく最後まで読めました。
平凡なのにとてもキラキラ煌びやかで、テンポのよい文章が秀逸な超良作です。
この主人公、超すき。
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