イチオシレビュー一覧

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月を綺麗だと思うと同時に。

  • 投稿者: 退会済み   [2017年 11月 26日 20時 14分]
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月は綺麗であり、どこからでも見えるものだ。どこまでも追ってくるように見える月が、その証拠だ。
私だけのものにしたい。でも、あなたは自由気ままに私の元を去って行ったり戻ってきたりする。
私の元にいない時はきっと他の人と月を眺めているのだろう。そう思うと嫉妬に溢れてしまう。だけれども、これはしょうがないものだ。
私はあなたを束縛することなどできない。
だって、それがあなただから。
今夜も月は夜空に昇り皆を照らす。
その月をあなたは、今夜は誰と眺めているのかしら?

この関係は、いつだって彼の方が一枚上手

私はいつだって待つことしかできない。彼はとても自由だから。ずっと一緒にいたいと縛りつけたとしても、するりと器用にこの腕から逃げ出してしまう。

愛しくて大切だから側にいたいと願うのはいけないことかしら。もしかしたら私以外の女にその体を自由にさせているかもしれないと思うと、私は嫉妬で胸がきりきり痛むというのに。これくらいの独占欲、認められても良いと思うの。

そんな私を見て、彼はさも愉快そうにくつくつと喉を鳴らすだけだ。怒るなよと言わんばかりに、そっと頬を寄せられれば、簡単に私は誤魔化されてしまう。まったくもう、私の心は彼に届いているのかしら。

ほら今日も気がついてみれば、ベッドの隣には隙間ができている。寂しくて、離れたくなくて、確かにぎゅっと抱きしめて眠りについたはずなのに。

月の綺麗な夜、彼は一体どこをほっつき歩いているのかしら。悔しいけれど、その姿は見惚れるくらい絵になるのだろう。

あなたは気付くことができるだろうか?

  • 投稿者: 遥彼方   [2017年 10月 30日 08時 47分]
美しき文章で綴られる『僕』の夜の彷徨。
逃がさぬように優しく腕の中に閉じ込める彼女。

そっと抜け出し闇を密やかに歩く僕。
寄り添い追いかけ、僕を照らす月光。

独り取り残され、眠る彼女。
僕が抜け出したことに気付いていても、本当の意味では閉じ込めない。

なんと妖しく艶やかな、えもいわれぬような、『僕』と『彼女』の関係であろう。

私はこの雰囲気に酔いしれつつ、二人の関係に思いを馳せて読み続けた。

二人は恋人か? 想い合っているのか。信頼し合っているのか。彼女は年上? 僕はどんな人物であろう? 妄想が止まらない。

読み進め、遅ればせながら私が『僕』の正体に気付いた時、空気が一変した。

やられた。その一言である。

もう一度読み返せば、全てが違って見える。筆者のそっとほくそ笑む姿が見えた。

悔しくはない。

このように騙されるならば、私は大歓迎である。
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