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この『物語』は、終わらない。

  • 投稿者: XICS   [2017年 11月 11日 02時 04分 ()]
エミリーは、偶然出会ったトーキィという男によってエイリオという存在に『書き換えられて』しまう。そのトーキィを追っているフラムという修書士と出会い、『彼』の物語が動き出す――というのがあらすじである。

この作品の肝は、主人公をはじめとした人物たちの機微な感情が豊かな表現で描写されていることである。エイリオやフラムは素直な性格ではなく、彼らの会話の中で面白い皮肉やひねくれた感情を読み取ることができる。読んでいて飽きることはないだろう。
ストーリーは、はじめは戸惑うかもしれないが、後半になると何故このような進め方にしたのかが腑に落ちる筈だ。読んでいて飽きさせない展開は流石である。

そして、『エミリー』の過去に触れる場面で、「彼女の声はあの人に聞こえるほど大きくはなく、あの人の言葉は彼女をここに居させるには強くなかった」と個人的に思ってしまった。

その結末は、素晴らしい本編で楽しんでほしい。
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