イチオシレビュー一覧

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一寸の虫にも五分の魂

タイトル通りです。

お世辞にも清潔とは言いがたい私の部屋で、おそらく同居しているであろう生き物を題材にした作品でした。

作者の着眼点に驚きました。

はかない物語と文章力に引きずられ、「こんな虫がいたら」と澄んだ気持ちになりました。

けれどもし仮に、私の部屋の片隅で黒い生き物がうごめいたなら、私は勇猛果敢に殺虫スプレーと丸めた雑誌を両手に抱え、般若の形相で追い回すでしょう。

現実と理想はつねに相反し、私たちを苦しめますね。

人間の悲しい性(さが)も含めて、含蓄ある作品でした。
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