イチオシレビュー一覧
▽レビューを書く【異世界転生とか、ハイファンとか、ジャンル分けやレッテル張りはこの作品には不要だ】ごく自然に互いを信頼し合う三人娘たちの冒険譚【世界を冒険する――、ただ純粋にそれだけを描いた名作冒険ファンタジー】
■本作を読んでまず最初に思ったことが『この作品のどこが〝核心〟になるのだろう?』
■どんなジャンルの物語にもその作品の最も魅力の中核となる〝コアな部分〟が浮かび上がってくるはず。だが、この作品はその核心の部分が穿った形で出てこないのだ。正直戸惑った。そして確信した
『息をするように自然であること』
それがこの作品の〝核心〟であると
■夢も希望もない人生を亡霊のように漫然と送っていた事務員女性の〝閏〟彼女は自分でも気づかない間に別世界へと流れ着いていた。そしてそこで出会う一人の不器用な少女。その二人に世話好きな苦労人少女が加わり、三人娘の冒険家ライフが幕を開ける。
■そこには世界の滅亡とか人間を襲う魔族とか、大それた脅威は存在しない。だが『ごく自然な日常』を描くと言う事ほど、手間を要し困難な作業はないのだ。異界の異国の生活感の隅々に至るまで作者は緻密に描いてみせる。宝石のような名作だ
■どんなジャンルの物語にもその作品の最も魅力の中核となる〝コアな部分〟が浮かび上がってくるはず。だが、この作品はその核心の部分が穿った形で出てこないのだ。正直戸惑った。そして確信した
『息をするように自然であること』
それがこの作品の〝核心〟であると
■夢も希望もない人生を亡霊のように漫然と送っていた事務員女性の〝閏〟彼女は自分でも気づかない間に別世界へと流れ着いていた。そしてそこで出会う一人の不器用な少女。その二人に世話好きな苦労人少女が加わり、三人娘の冒険家ライフが幕を開ける。
■そこには世界の滅亡とか人間を襲う魔族とか、大それた脅威は存在しない。だが『ごく自然な日常』を描くと言う事ほど、手間を要し困難な作業はないのだ。異界の異国の生活感の隅々に至るまで作者は緻密に描いてみせる。宝石のような名作だ
主人公、しがないOLの『閠(うるう)』はMMORPGの転移者である。そんな彼女はファンタジーの世界へ……。
しかし、はっきり言ってそんな事はどうでもいいのだ。
まずは【肩の力を抜いて、この物語に目を通して欲しい】
この小説は、その一言に尽きるだろう。
決してテンポや構成が優れている訳ではない。
しかし!濃密な心理描写ーー美しく彩られた文字の一つ一つが、耳に優しく吐息をかける。柔らかな指先が『心』に触れてきたのだ。
そうして、十話ほど読んだ時、私は恐るべき体感をした。
文字を理解して情景を感じるのではない。目の前に不思議な生き物の住む森が、よだれがこぼれ落ちる食べ物が、心臓の音が聞こえるキャラクター達がーー“居た”のだ。
恐るべき作者の力量。“筆圧の暴力”をあなたは体験するだろう。
そしてーーいつのまにか、あなたも気づく。
この物語の中に『あなた自身が居る事に』
しかし、はっきり言ってそんな事はどうでもいいのだ。
まずは【肩の力を抜いて、この物語に目を通して欲しい】
この小説は、その一言に尽きるだろう。
決してテンポや構成が優れている訳ではない。
しかし!濃密な心理描写ーー美しく彩られた文字の一つ一つが、耳に優しく吐息をかける。柔らかな指先が『心』に触れてきたのだ。
そうして、十話ほど読んだ時、私は恐るべき体感をした。
文字を理解して情景を感じるのではない。目の前に不思議な生き物の住む森が、よだれがこぼれ落ちる食べ物が、心臓の音が聞こえるキャラクター達がーー“居た”のだ。
恐るべき作者の力量。“筆圧の暴力”をあなたは体験するだろう。
そしてーーいつのまにか、あなたも気づく。
この物語の中に『あなた自身が居る事に』
「でも、人間が紡ぐ物語が、時にひどく美しいことも知っている――君が そう であるうちは、君の寂しさを埋めてやるのも、やぶさかではない」
なろう小説には、大きく分けて二つの型があります。
それは文芸作品や小説の方法論を用いた従来の型と、ゲーム実況由来の方法論を採り入れた新しい型です。
この作品はジャンルこそ異世界転移ですが、メソッドは従来型なので、普段ゲーム実況型しか読んでいない多くの層からの支持は、もしかしたら得られないかもしれません。
しかし、それはこの作品が読みづらい、読みにくいという事実を意味しません。ひとによってはむしろ読みやすいと思います。
さて、元ブラック企業勤めの異世界転移者、視点人物ウルウにとって、世界は少しの美しいものと、多くの汚らわしいものや悪意で構成されています。
シーンとシーンはウルウ独特の視点によって明と闇に区切られ、コントラストを成しています。
そして本作は、そんな視座を持つウルウが異世界の森で白百合のような冒険少女と出会い、穢れと悪意のなかで美しいものだけを求めて少女と契約を交わすお話です。
それは文芸作品や小説の方法論を用いた従来の型と、ゲーム実況由来の方法論を採り入れた新しい型です。
この作品はジャンルこそ異世界転移ですが、メソッドは従来型なので、普段ゲーム実況型しか読んでいない多くの層からの支持は、もしかしたら得られないかもしれません。
しかし、それはこの作品が読みづらい、読みにくいという事実を意味しません。ひとによってはむしろ読みやすいと思います。
さて、元ブラック企業勤めの異世界転移者、視点人物ウルウにとって、世界は少しの美しいものと、多くの汚らわしいものや悪意で構成されています。
シーンとシーンはウルウ独特の視点によって明と闇に区切られ、コントラストを成しています。
そして本作は、そんな視座を持つウルウが異世界の森で白百合のような冒険少女と出会い、穢れと悪意のなかで美しいものだけを求めて少女と契約を交わすお話です。
随所に見られる古風な言いしが、瀬田訳のホビットの冒険のような雰囲気を匂わせつつも
ライトな文体で読みやすく、異世界情緒や旅の情景や食レポの描写などが素晴らしい作品です。
各話の最後にまとめられた用語解説に添えられフレーバーテキストも
ピリリと皮肉の効いた内容が笑いを誘いながら某トレーディングカードゲームのように
綺麗な絵柄のカードに描かれた姿が目にありありと浮かぶようです。
人嫌いで傍観する亡霊として生きるつもりだったウルウが
リリオに興味を持ち、手を貸し、触れ合い、ついに同行者となり繋がりを深めていく
少しずつ変化していく関係や柵に抵抗感を覚えつつも、やがて心地よくなっていきそうです
4腕4足の蜘蛛系亜人や8本足の犬? などが登場する、独特の世界観も新鮮な驚きをもたらしてくれて
判を押したようなテンプレ系ファンタジー小説に食傷気味という読者の方に特にお勧めします。
ライトな文体で読みやすく、異世界情緒や旅の情景や食レポの描写などが素晴らしい作品です。
各話の最後にまとめられた用語解説に添えられフレーバーテキストも
ピリリと皮肉の効いた内容が笑いを誘いながら某トレーディングカードゲームのように
綺麗な絵柄のカードに描かれた姿が目にありありと浮かぶようです。
人嫌いで傍観する亡霊として生きるつもりだったウルウが
リリオに興味を持ち、手を貸し、触れ合い、ついに同行者となり繋がりを深めていく
少しずつ変化していく関係や柵に抵抗感を覚えつつも、やがて心地よくなっていきそうです
4腕4足の蜘蛛系亜人や8本足の犬? などが登場する、独特の世界観も新鮮な驚きをもたらしてくれて
判を押したようなテンプレ系ファンタジー小説に食傷気味という読者の方に特にお勧めします。
「これはなんだろう?」
異世界転生のドタバタコメディを期待して読み始めた読者には、執拗な一人称視点の情景描写と心理描写が「重く」感じられるかもしれない。でも、スロースタート気味な物語は、徐々に読者を巻き込んでいく。
MMORPGの世界に放り出された主人公は、いつもは会社で働き詰め二六歳。転生した世界では暗殺者になっていた。自らのスキルである隠蓑を使って「幽霊」のようになる主人公。彼女は偶然見つけた少女の追跡を始める。そこから交わりだす二人の旅路。
主人公と少女の視点を切り替えながら、とにかく会話文も少なめに描写を重ねていく書き振りは、慣れてくると引き込まれていく。時々入ってくる「飯テロ」や主人公と少女の視点の色調の違いも良いクッションとして効いてくる。
ダークな雰囲気で始まる本作品ですが、本性はほのぼの系なのかもしれない。
是非、閠とリリオの旅にご同行ください。
異世界転生のドタバタコメディを期待して読み始めた読者には、執拗な一人称視点の情景描写と心理描写が「重く」感じられるかもしれない。でも、スロースタート気味な物語は、徐々に読者を巻き込んでいく。
MMORPGの世界に放り出された主人公は、いつもは会社で働き詰め二六歳。転生した世界では暗殺者になっていた。自らのスキルである隠蓑を使って「幽霊」のようになる主人公。彼女は偶然見つけた少女の追跡を始める。そこから交わりだす二人の旅路。
主人公と少女の視点を切り替えながら、とにかく会話文も少なめに描写を重ねていく書き振りは、慣れてくると引き込まれていく。時々入ってくる「飯テロ」や主人公と少女の視点の色調の違いも良いクッションとして効いてくる。
ダークな雰囲気で始まる本作品ですが、本性はほのぼの系なのかもしれない。
是非、閠とリリオの旅にご同行ください。
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