イチオシレビュー一覧

　私の頭に水森亜土のあの柔らかでキュートな歌声がこだましてしょうがない……。昔、子供の頃によくきいていたアニメ「ハゼドン」のテーマである。ハゼが海で大冒険をするアニメであった。
　それからしばらくして、地方テレビで「ツクゴン」（佃權）のCMがやっていて、その歌もどこか「ハゼドン」を意識したもので、最後、
「伊達にゃ惚れないツクゴンの伊達巻っ
　……と、くりゃ！」
　というセリフが私の心に突き刺さったものである。
　本作は、そのハゼドンの世界に、クトゥルー神話の神の一種「ダゴン」を混ぜたものであり……、読者よ、恐らく作者はこの小説を通して
「人間は海から進化してきたのだ。
　思い出せ！！！
　生物の故郷としての海を」
　と主張したいのである。
　さらに加えて、この小説は、作者の日本縦断自転車旅行の旅の記憶さえ満喫できるのだ……。
　まさに海の幸てんこもり、という作品である！！